のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

空色勾玉/荻原規子

2008年05月25日 22時04分24秒 | 読書歴
38.空色勾玉/荻原規子
■ストーリ
 神々がまだ地上を歩いていた古代日本を舞台としたファンタジー。
国家統一を計る輝の大御神とそれに抵抗する闇の一族との戦いが
 繰り広げられている古代日本の「豊葦原」。ある日突然自分が
 闇の一族の巫女「水の乙女」であることを告げられた村娘の狭也は、
 あこがれの輝の宮へ救いを求める。しかしそこで出会ったのは、
 閉じ込められて夢を見ていた輝の大御神の末子、稚羽矢。
 ふたりは不思議な運命に導かれる。

■感想 ☆☆☆*
 高校時代に読んだこの作品を図書館で見かけるたびに、
 読み返したいと思っていたが、ようやく実現。
 日本の神話を中心に話が繰り広げられており、
 今、読み返してもやはり面白い。むしろ、年を重ねたからこそ
 昔とは異なる視点で作品を読むことができ、更におもしろさを
 味わえた気がする。

 本の帯のキャッチコピーは
 「ひとりは「闇」の血筋に生まれ、輝く不死の「光」にこがれた。
  ひとりは「光」の宮の奥、縛められて「闇」を夢見た。」

 日本人は西洋人よりも闇に対して寛容だし、闇に美学を見出し、
 闇とうまく付き合おうとする。西洋のように一神教ではなく、
 「すべてとうまくつきあおう」という思想が根付いている。
 そういった思想が色濃く反映されている作品だった。光に憧れ続ける
 ヒロインは、「戦い」を拒む。しかし、手をこまねいて入れば
 闇は排斥されてしまう。葛藤の中で、戦わずに共存していくことを
 選ぼうとするヒロインが愛しい。こういった世界観があることを
 私たち日本人はもっともっと世界に向けて発信していかなければ
 いけないのでは、と思った。


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