のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

チック・チック・・・ブーン!

2006年11月26日 20時55分09秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■内容
 「RENT」の原点であり、作者ジョナサン・ラーソン自身を
 描いたロック・ミュージカル。
 1990年NY。30歳を目前にしたジョナサン(山本耕史)は
 作曲家としてのキャリアに焦りと不安を感じながら、悶々とした
 日々を送っていた。現実派の親友マイケル(G・アドキンス)は
 ビジネスマンに転進し成功。恋人(愛内里菜)は結婚を望んで
 いる。30歳、それは青春の終わりなのだろうか。
 夢を諦めるべきなのだろうか。チック、チック、チック・・・
 頭の中で時計の音が鳴り響く。

■感想 ☆☆☆*
 驚くべきことに今月、舞台は5回目です。
 もっともその内容は多岐に渡っているため、純粋に「演劇」
 というジャンルでくくると3回目です。それにしても
 芸術性豊かな一ヶ月を送ることができたな、と
 自己満足に浸っています。

 3人の歌唱力に圧倒された2時間でした。
 彼らの歌の持つ魅力に鳥肌が何度立ったことか。
 人の声はすごい。様々な感情が歌に詰め込まれて表現され
 そして爆発する。その瞬間をダイレクトに味わうことが
 できました。
 3人それぞれの歌声がとにかく魅力的で、気持ちがよくて
 当初、不安に思っていたミュージカル初挑戦の
 愛内さんの演技もまったく気にならず。
 3人しかいないため、様々な役柄を一手に引き受けて
 いましたが、それぞれを見事に演じ分けていました。
 普段のやや甘ったるいしゃべり方を知っているだけに
 一緒に鑑賞した友人と感嘆してしまいました。

 ただ、親友マイケルを演じたアドキンスさんの拙い
 日本語にはやや辟易としました。科白が聞きにくいために
 感情移入がどうにもしづらいのです。というよりも
 拙い日本語なだけに「不自然さ」が鼻についてしょうがない。
 日本人が演じてくれたほうがよかったなぁ、としみじみ
 思ってしまいました。ミュージカル俳優を見つけるのが
 難しかったのでしょうか?

 そして主役、というよりはほぼ一人芝居の様相だった
 山本さん。彼の声のすばらしさ、歌唱力の見事さ
 演技にかける情熱は三人の中で群を抜いているように
 感じました。彼が出演するミュージカルは、
 またぜひ見たい、と心から熱望。

 ・・・えー。ストーリには触れずに彼らの歌ばかり
 褒めてます。そうなんです。話の筋は苦手だったんです。
 あまりにも自分自身の内面に突きつけられる内容で
 ひたすら痛くてたまらない舞台でした。

 やりたいことがあるにも関わらず、認められずに
 焦燥を感じている人生と
 やりたいことが特になく、日々をなんとなく
 でも、そこそこ楽しく生きている人生と
 やりたいことを一生懸命探している
 俗にいう「自分探し」中の人生と、
 一体、どの人生がもっとも幸せなのか。
 人はどれだけ欲張りなのか。
 「安定した生活」も「夢」も「成功」も「好きな人と
 過ごす毎日」も「金銭的成功」もどれも望んでしまう。
 決して「現状」に満足できない。常に今の生活にない
 ものを未来に求めてしまう。
 その焦燥感が自分を高めてくれる。成長させてくれる。

 と分かっていても、私は「安定」を優先させてしまう。
 そういうつまらない人間だな、ということを
 あらためて突きつけられた舞台でした。
 夢に向かってがむしゃらに努力できる人っていうのは
 それだけでとてつもなくすごい人だと思うのです。


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