のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

初ものがたり/宮部みゆき

2008年08月10日 23時03分10秒 | 読書歴
55.初ものがたり/宮部みゆき
■ストーリ
 鰹、白魚、鮭、柿、桜・・・。江戸の四季を彩る「初もの」が
 からんだ謎、また謎。本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」
 こと岡っ引きの茂七が子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む。
 夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司やの親父、
 霊力をもつという「拝み屋」の少年など、一癖二癖もある
 脇役たちも縦横無尽に神出鬼没。人情と季節感にあふれた時代小説。

■感想 ☆☆☆☆
 これぞ、宮部さん!と喝采をあげたくなる人情もの。
 読んでいるうちに、登場人物の肌の温度が伝わってくるような
 気がしてくるほど身近に感じられる人たちばかり。
 「謎」というよりは「事件」、それも殺人事件など、むごい犯罪を
 扱っているのに、「本所深川」や「堪忍箱」のような苦い後味は
 感じさせない。どちらかというと、読み終わった後に、心が
 ほんわかと暖かく感じられる。

 それはひとえに、主人公の茂七親分の人柄によるところなのだろうと
 思う。彼のあたたかさ、人間の大きさが作品世界に大きな影響を
 及ぼし、この作品の温度を暖かく、触れ心地の良いものに
 している。そして、この空気、この温度が謎を主軸に起き、
 謎明かしで終わるこの作品を「推理小説」ではなく「人情もの」
 にしている。

 惜しむらくは、要所要所に登場する稲荷寿司屋の親父。
 決して、余計な言葉を発することはないけれども、おそらく
 最も早く事件の真相に近付いているのは彼にちがいない、と
 思わせてくれる名脇役だが、彼についての謎は解明されず
 「不思議」を残したまま、作品は終わる。
 あとがきで作者が「続編があります」と伝えてくれてはいるものの
 未だに発行されてはいない模様。
 早く続きが読みたいです!


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いつまでも待っている・・・ (ゆきの)
2008-08-11 23:30:32
宮部さんの本の中でも好きランク上位にある本です。

初鰹のお話が好きだったな~。

のりぞうさんが仰るように、とても素敵な作品ですが、難を言うなら…続きが…続きが出ないことです…。

この本を読んでから、もう何年も待ってるんですけど、続き、出ないかなあ…。

何年か前、茂七親分のシリーズは「深川」が、高橋英樹さんが茂七役で、NHKでドラマ化されてましたが、母が毎回見ておりまして。

「初ものがたり」もなるといいのにね、って言ってました。

だって「初ものがたり」が映像化されれば、続編が出やすくなるかな、とか思ってんですもの…。

でも、茂七親分は高橋さんじゃない方が…いいかな、とか。

ごめんなさい、でも高橋さんだと育ちの良い正統派ハンサムすぎて…ちょっと私のイメージとは違ったのです。

茂七親分はもっと…長年使い込まれたお寿司屋さんの一枚板のカウンターみたいな、味と頑丈さみたいなのがある人がいいなあ…。

(勝手な言い分)

稲荷寿司やの親父さんは…文句なしに惚れ惚れとするような男っぷりのいい人がいいなあ…。

久々に読み返したくなりました!
返信する
お返事☆ (のりぞう)
2008-08-11 23:45:56
■ゆきのさん
 そうなんです!茂七親分は高橋さんじゃないんです!
 いえ、高橋さんの茂七親分も楽しみながら見ていたんですけど
 (安達祐実さんがかわいらしかったなぁ。。。)
 でも、この作品の茂七親分とはなんか違うんですよね。
 ワタクシの中でも茂七親分は渋い人。
 普段のドラマでは「名脇役」と言われている人に
 演じてほしいな。でも、稲荷寿司やさんは
 誰が演じても満足できないかも^^;

 続編、早く出るといいですね。
返信する
Unknown (藍色)
2009-08-07 18:48:57
トラックバックさせていただきました。
http://1iki.blog19.fc2.com/blog-entry-1163.html

トラックバックお待ちしています。
返信する

コメントを投稿