■ストーリ
長谷川初実(ハツ)は、陸上部に所属する高校1年生。
気の合う者同士でグループを作りお互いに馴染もうとする
クラスメートたちに溶け込めないでいる。そんな彼女は
同じくクラスの余り者、にな川とひょんなことからよく話すようになる。
彼は、ファッション雑誌のモデル「オリチャン」の熱狂的なファンで
初実が彼女と会ったことがあるという話に強い関心を寄せる。
■感想 ☆☆
なんてことのない日常の話の連続で、話の盛り上がりなどはない。
それでも、主人公の人物造詣、というか、彼女が感じている
葛藤や焦りが見事に共感ができるものばかりで、
恥かしい失敗を隠し撮りされていて、その映像を見せられているような
そんな感情を味合わされた。
クラスの輪の中に自分から入ることができずにいる主人公は
自分がクラスで浮いていることも、中学時代の友人が少しずつ
自分から離れていっていることもきちんと認識している。
自分の状況も、自分がクラスメイトから友人になりたい、と
思われるような子ではないことも、すべてを自覚した上で
「自分は友人を選ぶタイプ。
しかも趣味がいい。だからクラスメイトのような
レベルの低い子とは友人になれない。」
と、さも自分が友人を選んでいるかのように
自分が周囲を拒絶しているかのように話す。
そのプライドの高さ、そのコンプレックスの複雑さから
目が離せなくなった。
こちらから近づいていけない自分の臆病さから
目をそらさなければ保てない心のバランスも
周囲を見下すことで守り続けるプライドも
その部分だけを見ているととてつもなく嫌な子。
けれど、その裏には「自分が心を許せる友人がいない寂しさ」とか
「本当は友人が欲しいのに、グループに入りたいのに
入れないでいる焦り」とかが見え隠れしていて
だから、「嫌な子」にはならない。
そして、似たように「クラスのあぶれもの」にも関わらず
初美とはまったく異なるにな川。
彼は自分が「あまり者」であることをまったく意識していない。
そのことで傷つてもいない。だから初美は彼から目が離せなくなる。
気になってしまう。
自分の世界と折り合いをつけているにな川に対して
初美は、「自分以上にクラスメイトと遠いところにいる」
という「侮蔑」や自分が抱いている焦りなどと無縁の「羨ましさ」を
感じているのだろう。そして、そういう憧れや侮蔑が
すべて混じって、彼が気になって気になってたまらなくなる。
けれど、自分の中の感情の変化には気づけない。
クラスメイトのグループ変動などは客観的に冷静に観察できているのに
自分自身の気持ちにはにぶい。クラスメイトに「恋だね」と
指摘されても気づかない。認めない。認めたがらない。
そのどこまでも不器用な初美がなんとなく愛しい。
けれども苛々する。そんな小説だった。
長谷川初実(ハツ)は、陸上部に所属する高校1年生。
気の合う者同士でグループを作りお互いに馴染もうとする
クラスメートたちに溶け込めないでいる。そんな彼女は
同じくクラスの余り者、にな川とひょんなことからよく話すようになる。
彼は、ファッション雑誌のモデル「オリチャン」の熱狂的なファンで
初実が彼女と会ったことがあるという話に強い関心を寄せる。
■感想 ☆☆
なんてことのない日常の話の連続で、話の盛り上がりなどはない。
それでも、主人公の人物造詣、というか、彼女が感じている
葛藤や焦りが見事に共感ができるものばかりで、
恥かしい失敗を隠し撮りされていて、その映像を見せられているような
そんな感情を味合わされた。
クラスの輪の中に自分から入ることができずにいる主人公は
自分がクラスで浮いていることも、中学時代の友人が少しずつ
自分から離れていっていることもきちんと認識している。
自分の状況も、自分がクラスメイトから友人になりたい、と
思われるような子ではないことも、すべてを自覚した上で
「自分は友人を選ぶタイプ。
しかも趣味がいい。だからクラスメイトのような
レベルの低い子とは友人になれない。」
と、さも自分が友人を選んでいるかのように
自分が周囲を拒絶しているかのように話す。
そのプライドの高さ、そのコンプレックスの複雑さから
目が離せなくなった。
こちらから近づいていけない自分の臆病さから
目をそらさなければ保てない心のバランスも
周囲を見下すことで守り続けるプライドも
その部分だけを見ているととてつもなく嫌な子。
けれど、その裏には「自分が心を許せる友人がいない寂しさ」とか
「本当は友人が欲しいのに、グループに入りたいのに
入れないでいる焦り」とかが見え隠れしていて
だから、「嫌な子」にはならない。
そして、似たように「クラスのあぶれもの」にも関わらず
初美とはまったく異なるにな川。
彼は自分が「あまり者」であることをまったく意識していない。
そのことで傷つてもいない。だから初美は彼から目が離せなくなる。
気になってしまう。
自分の世界と折り合いをつけているにな川に対して
初美は、「自分以上にクラスメイトと遠いところにいる」
という「侮蔑」や自分が抱いている焦りなどと無縁の「羨ましさ」を
感じているのだろう。そして、そういう憧れや侮蔑が
すべて混じって、彼が気になって気になってたまらなくなる。
けれど、自分の中の感情の変化には気づけない。
クラスメイトのグループ変動などは客観的に冷静に観察できているのに
自分自身の気持ちにはにぶい。クラスメイトに「恋だね」と
指摘されても気づかない。認めない。認めたがらない。
そのどこまでも不器用な初美がなんとなく愛しい。
けれども苛々する。そんな小説だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます