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ホワイトオランダー/2002年米国

2007年12月25日 22時05分42秒 | 映画鑑賞
■ホワイトオランダー/2002年アメリカ
■ストーリ
 「あなたの愛が、私を壊す。」
 強烈で独善的だが、美しくカリスマ性を持つアーティストの
 イングリッド(ミシェル・ファイファー)が恋人殺しの罪で逮捕され
 終身刑を宣告された。まだ15歳の娘アストリッド(アリソン・ローマン)
 は3人の里親の元を転々と渡り歩くことになる。人生で最も多感な時期に
 里親を転々とすることになった少女の心の自立と母との葛藤を描く。

■感想 ☆☆☆*
 「ホワイトオランダー」とは白い夾竹桃のこと。美しい花だが、外敵から
 身を守るために自ら毒を放つ危険な花だそうだ。ホワイトオランダーを
 髣髴とさせる美しく危険な女性をミシェル・ファイファーが力強く
 凛々しく演じている。
 自分以外の何者も信じず、強烈なまでに自己を確立し、自分だけではなく
 娘をも自分と同じように愛し、自分と同じように強くあってほしいと
 願うイングリッド。強く破滅的な母親を愛し、愛されたいと願い、
 振り回される少女アストリッド。愛情が必要な時期に、確固たる愛情を
 もらうことが叶わず、様々な里親の元を転々とすることになった
 アストリッドの不安げな瞳、表情がいとおしく、切なく、こちらまで
 不安な気持ちにさせられる。
 イングリッドはアストリッドを娘として愛している。けれど、彼女は
 自分が自分として生きることも大切なのだ。何より自分自身をも愛している。
 そんな母親の気持ちに気付いているアストリッドは、自分が捨てられるかも
 しれないという不安をずっと抱いている。母親不在の中、次第に大人になっ
 ていくアストリッドは、母親の愛情にすがりたいという気持ちと、母親から
 自立したい、解放されたいと願う気持ち、ふたつの相反する気持ちの狭間で
 揺れ動き、混乱する。

 とにかく女性陣がみな魅力的に役を演じきっている。
 最終的に「母親」としての選択を見せ付けた母親を演じたミシェル・ファイ
 ファーの揺るがない視線と雄雄しい表情も、精神的に弱く、イングリッドに
 心を壊されてしまった里親を演じたレニー・ゼルウィガーの泣きそうな笑顔
 もどれも役に見事にマッチしていた。

 けれど、この映画で最も魅力的だったのは、アストリッド。
 常に不安げに揺れ動く表情と何かを求めているような視線の先が印象的で、
 彼女が次にどういった行動に出るのか、最終的にどこにたどりつくのか、
 最後まで目が離せなかった。2002年公開のこの映画で、アストリッドは
 15歳の少女だ。アリソン・ローマンは23歳だが、儚げながら、
 母親譲りの芯の強さを持つ少女を見事に演じていた。

 この映画、公開当初に試写会で当たって見たことがあったのですが、
 今回のほうが数倍楽しめました。
 人の好みは年月とともに変わっていくのだと実感。


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