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のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

ETV特集「オレを覚えていてほしい」

2006年02月19日 18時19分17秒 | テレビ鑑賞
■内容
 異色の闘病記がインターネットで、書籍で、ひそかな話題を
 呼んでいる。著者は奥山貴宏さん、職業はフリーライター。
 2005年4月、肺がんのため33歳で亡くなった。
 2003年2月、風邪をこじらせて訪れた病院で突然「余命2年」
 と診断された奥山さんは亡くなる前日までホームページ上に
 闘病日記のブログをアップし続けた。

■感想
 深夜の静寂に音が欲しくなってつけたテレビの
 ブラウン管の中に奥山さんがいた。
 そのまま、食い入るように番組を見た。

 彼の名前は知っていた。彼の本「ガン漂流」など
 一連の闘病日記(と言っても三冊)の存在も、内容も、
 そして文体もほんの少し知っていた。
 けれど、じっくりと読んだことはなかった。
 立ち読みするには重い内容だったし、買うにも
 勇気が必要な重さだった。

 何より、彼の言うところの「ロックな」文体が
 わたしは少し苦手だったのだ。
 彼には同情も許さないような厳しさがある。
 うすっぺらい私が手にとってはいけない。
 そんな気がしていた。

 だから彼の言葉をじっくりと追うのは
 今回が初めてだった。彼のしゃべっている姿を
 見るのも初めてだった。
 やはり彼は思ったとおりの人だった。
 強気で自分にも他人にも厳しい。
 「癌で余命2年」という現実を客観的に見つめ
 自分が存在した証を残そうと最後までもがいていた。
 生かされることよりも生きることを選んでいた。

 ある中学に呼ばれて自分の体験を話す奥山さん。
 講演後、みんなが奥山さんの話に聞き入っていたこと、
 涙をこぼしていた女生徒もいたことを報告する先生に
 奥山さんは笑いながら言った。

 「まじで?でも、それは本意じゃないなぁ。」

 同情されることや安易に涙されることを
 恐れていた奥山さんにやっぱりな、と思った。
 うん。思ったとおりの人だった。

 けれども時が進むにつれて、
 少しずつ彼の言動が私の印象と異なってくる。

 最後の誕生日にみんなからのコメントに喜ぶ彼。
 動きたいのに動けなくて、それでも文章を
 記し続ける彼。朝ごはんを食べて外出の支度をするだけで
 午後二時になった、とあっけらかんと記す彼。

 そして最後のブログ記事。
 「死にたくないな。
  書店で会いたい。
  本屋でセットで買ってくれ。」

 死にたくない、俺を覚えていて欲しい。
 と言っていたという彼。彼の望みどおり
 彼の応援サイトは今も多数存在している。
 このETV特集は放映されて1年も過ぎていないのに
 反響が大きく、数回目の再放送だそうだ。

 番組のラストは念願かなって小説を
 書き終えた彼が深夜にシャンパンで乾杯する姿。
 笑顔だった。それを見て涙してしまった私は
 彼のロックな生き様を真似できそうにはない。


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