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風の歌を聴け/村上春樹

2007年07月12日 21時30分17秒 | 読書歴
■風の歌を聴け/村上春樹
■ストーリ
 1970年夏。
 あの日の風は、ものうく、ほろ苦く通りすぎていった。僕たちの夢は、
 もう戻りはしない。海辺の街に帰省した「僕」は、友人の「鼠」と
 ビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。
 ふたりそれぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、
 「僕」の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。

■感想
 ムーミンシリーズを貸してくれた友人から、今度は村上春樹の作品を
 数多く貸していただきました。かなりの量でしばらくは村上春樹月間
 となりそうです。
 初期の作品にほとんど触れたことがないため、これを機会にがっつり
 読み更けろうと決意し、手に取った一冊目です。
 何も考えずに手に取りましたが、村上春樹のデビュー作だそうです。

 全編を通して長い詩のような文章で綴られている。
 軽快で読み易い。あっさりとしていて、最後まで飽きずに読める。
 それでいて味わい深い。けれども、作者の意図やストーリー展開を
 問われると答えに窮してしまう。
 明確なストーリーというものはなく、つかみどころのない筋が続く。
 まるで抽象画のような世界が広がる。
 短編小説と言ってもいいくらい短いため、あっという間に読み終える
 ことができる。文章もテンポがよいため、読みやすい。
 それなのに、読み終わった後に感じる「うーん」と考え込まされる
 この感覚はなんだろう。

 「完璧な文章などといったものは存在しない」
 「正直に語ることはひどくむずかしい。僕が正直になろうと
  すればするほど、正確な言葉は闇の奥深くへ沈みこんでいく。」

 どんな本を読んで何を考えたら、こんな感性が身につくのだろう。
 自分の凡人ぶりを思い知らされてしまった。


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