のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

2012年6月の読書

2012年08月17日 23時44分43秒 | 読書歴
今頃、6月の本を総まとめ。
世の中には、読んだ本を管理するデータベース的なサイトもあるようで
友人から「読書メーター」を進められました。どんなのなんだろう、「読書メーター」。
ネット社会ですらひきこもりを貫いているので、まったくもって情報に疎いのです。
でも、自分の言葉で自分の読んだ本を振り返らないと、本って読み流しちゃうからなー。
6月の読書量はちょうど10冊。ちょうどよい読書ペースでした。

55.ノンちゃん雲に乗る/石井桃子
■ストーリ
8歳の女の子、田代信子(ノンちゃん)は、ある春の朝、お母さんと兄ちゃんが自分に黙って出かけたので、悲しくて泣いていた。木の上からひょうたん池に映る空を覗いているうちに、誤って池に落ちてしまったノンちゃんは、気がつくと水の中の空の上に。雲の上には白いひげを生やしたおじいさんがいて、熊手ですくって助けてくれた。ノンちゃんはおじいさんに、自分や家族の身の上を打ち明ける。
■感想 ☆☆☆
1951年に発表された日本の童話です。1951年といえば戦後たったの6年。けれど、古さをあまり感じさせません。もちろん、作品で使われている言葉の中に「級長」や「通知表」など時代を感じさせるものがあったり、東京の外れの地理描写が今とまったく異なっていて、非常にのんびりしたものだったり、と「古さ」を実感する部分はたくさんあります。けれど、それでも、今読んで面白く、今もこういった子供っていそうだな、と思わせてくれる作品でした。ノンちゃんがいい子なんだけど、その「いい子」の部分が少々、鼻につくきらいがある女の子で、そのバランスの悪さがいとおしいな、と思いました。
確かこの作品、初めて読んだときはハードカバーで、そちらは確か2色刷りになっていた気がします。おじいさんと出会ってからの「あちらの世界」の描写の部分と、現実世界の描写部分。このふたつに分けてくれていました。あの2色刷りが作品のファンタジーな設定を強めてくれていて大好きだったんだけど。

56.オー・ファザー/伊坂幸太郎
■ストーリ
みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は6人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?いや、そうじゃないんだ!母一人、子一人なのはいいとして、父親が4人もいるんだよ。しかも、みんなどこか変わっていて。俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。それなのに、またもや変な事件に巻き込まれて。
■感想 ☆☆☆☆
伊坂さんらしい直球のエンターテイメント。スピーディな場面展開と、どこか人を喰ったような印象を受けるセリフ回し。どちらも「伊坂さんらしさ」に満ち溢れていて、改めて伊坂さん好きだなぁ、と思いました。「面白さ」に真っ向から勝負を挑む伊坂さんが大好きです。

57.ばらとゆびわ/サッカレイ
■ストーリ
パフラゴニアのギグリオ王子は、たいへんなお人よし。ポケットにお金さえあれば、たとえ王冠を失っても気にしない。王子はいとこのアンジェリカ姫に夢中になるのですが、それは姫がつけている魔法のゆびわのためなのでした。
■感想 ☆☆☆☆
教会友達からお借りした1冊。復刻版なので、挿絵も当時のものが入っていて、懐かしい気持ちになります。また表紙のデザインがとてつもなくかわいいのです。お話自体も面白かった!子供の時に出会いたかった!!
作者のサッカレイさんは大人向けの作品「虚栄の市」の作者さんだそうです。どうやら難しい作品みたいなので、図書館でちらりと中身をのぞいてみようと思います。

58.そばかすの少年/ジーン・ポーター
■ストーリ
片手を失い、自分の本名すら知らない孤児の少年「そばかす」は、「リンバロストの森」で木材泥棒から森を守る番人として働くことになる。大人でさえ恐怖をいだく森と沼地。孤独と恐怖、厳しい自然と闘いながら、人の愛情に包まれて、「そばかす」は逞しく成長していく。
■感想 ☆☆☆☆
ジーン・ポーターの名作「リンバストロの乙女」の姉妹編。こちらの作品が1作目です。私は本作品の主人公である「そばかす」よりも「そばかす」を横で支える勇気に満ち溢れた「エンジェル」が好きでした。彼女の曲がったことが大嫌いな勇気に満ち溢れた人柄は、当時のヒロイン像としては、異色だったのではないかな、と思います。作品の大筋と関係なく、随所に盛り込まれている「食事」の場面は、読んでいると必ず、「そういえばお腹がへってるんだった」ということを思い出させてくれます。

59.もしも野球部のマネージャーがドラッガーを読んだら/岩崎夏海
■感想 ☆☆☆*
言わずと知れた大ヒット作。我が家で見つけたので手にとりました。面白かった!!売れるのも分かるな、と納得の分かりやすさです。小難しいドラッカーが具体的に分かりやすくなっていて、十分に「理解できた」気持ちを味わせてくれます。みんなが分かる言葉で描くことの大切さをを十分に描いてくれている気がします。

60.神様のシナリオ/松居幸奈
■ストーリ
高校時代から人の面倒を見ることが好きだった「委員長」こと松田咲子がテレビ局に就職し、手のひらの幸せに気づきながら成長していく姿をとおして、生きる歓び、働くことの意味を問う。
■感想 ☆☆☆☆
ドラマ化できそうな作品だな、と読みながら思っていたところ、作者の方は現役のテレビ局ディレクターさんでした。道理でね。と納得。わかりやすく面白いエンターテイメントです。主人公の苦労がちゃんと報われるので、読み終えた後にほんわかと幸せな気持ちになりました。朝ドラにできそうなのにな。してくれないかな。

61.落語的学問のすすめ/桂文珍
■内容
昭和63年4月、関西大学国文学史の非常勤講師となった西田勤先生(落語家、桂文珍)は毎週月曜日1時限目の講義を受け持ち、なんと15年間にわたり教壇に立った。国文学史といっても、学問の領域を飛び越えて、上方落語のおもしろさから吉本興業や社会現象までをネタにして教室を笑いの渦に巻き込む。
■感想 ☆☆☆☆*
こんなおもしろい講義を毎週、聴くことができた学生さんは本当に幸せ者だな、と羨ましくなりました。すごく面白い!そしてためになる。初めて知ったな、という情報が「ちょっとした雑談」風に語られる講義の中にふんだんに散りばめられていました。落語家さんというのは「話を聴かせるプロ」の職業の方なんだな、ということを実感できる授業でした。15年も講義を受け持たれていたのだったら、この作品、続編が出ているのかしら?ということが今現在、非常に気になっています。続編出ていたら、ぜひとも読みたいな。

62.シアター/有川浩
63・シアター2/有川浩
■ストーリ
小劇団「シアターフラッグ」はファンも多い中堅どころの演劇集団。しかし、彼らは解散の危機にひんしていた。なぜなら、お金がないのである。その負債額300万円。悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返却すること。できない場合は劇団を潰せ」という厳しい条件を出した。プロ声優・羽田千歳が加わって、一癖も二癖もある劇団員は総勢10名に。鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるが、はたして彼らの運命やいかに。
■感想 ☆☆☆☆☆
おもしろかった!!思わず読み終えた後にもう一度、読み返しました。それぐらい大好き!!と興奮した作品でした。もともと演劇の舞台が大好きで、劇団の運営の難しさや「食える役者」になることの難しさは、そこそこ知っているのです。だからこそ、「どこかで見たことある(聞いたことある)」ようなリアリティのある話の展開に感嘆しつつ、むさぼるように読み終えました。シリーズとしては3作目で結末を迎えるそうです。どうぞ、彼らがみんなみんな幸せになりますように。大好きな演劇を続けられますように。そう願わずにはいられないぐらい「シアターフラッグ」に肩入れしています。

64.りかさん/梨木果歩
■ストーリ
リカちゃん人形が欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは「りか」という名前の黒髪市松人形。こんなはずじゃなかったのに、とがっかりしていたようこだったが、次第に「りかさん」と心を寄せあっていく。そう。「りかさん」はようこと心を通わせる術を持っていたのだ。りかさんに導かれたようこは、偶然出会った古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れる。
■感想 ☆☆☆☆
読み終えて、いかにも「日本」らしいファンタジーだな、と思いました。私にとって、西洋のファンタジー作品はパステルカラーのイメージなのに対して、日本のファンタジーは渋みのあるぼかし模様。ファンタジーらしいふわふわした設定であっても、話の展開がどこかダークさを漂わせ、いつしか物語は、人間の業や苦しみ、悲しみを偽らず、隠すことなく描き出します。「りかさん」が本当にかわいくてかわいくてかわいくて、私も「りかさん」みたいなお人形がいたらな、生涯の友達にするんだけど。そう真剣に願いました。