夢七雑録

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稲荷百社詣その七

2007-12-15 15:19:00 | 稲荷百社詣

(14)千束神社 (台東区竜泉2)(写真) ★★

 「八月二十日は千束神社のまつりとて山車屋台に町々の見栄をはりて土手をのぼりて廓内まで入りこまんず勢ひ、若者が気組み思いやるべし....」

 樋口一葉の「たけくらべ」の世界はすっかり消え去ってしまったが、その微かな記憶が千束神社(千束稲荷)には残っているような気がする。賽銭をあげてから、暫くは、祭の音が聞こえてこないか耳を澄ましてみる。でも、聞こえるのは猫の鳴き声だけ。

(15)玉姫稲荷 (台東区清川2)★★

 この稲荷に行くのであれば、「こんこん靴市」の日がオススメである。普段は閑散としている稲荷神社も、この日ばかりは、近隣の靴メーカが所狭しと店を出し、境内は買い物客でごったがえしている。皮革関連商品を安く販売するのが、このイベントの主旨とはいえ、靴市だけ覗いて帰るわけにはいかない。最初に稲荷神社を参拝するのが礼儀だろう。その後、何か面白そうな靴がないかと見て回る。すると、ジャンピングシューズのような靴を見つけた。値段が折合わないのと、サイズが合わなかったので止めにしたが、買っておけば良かったかも知れない。

(16)真崎稲荷(荒川区南千住3)★

 江戸稲荷番付では関脇をつとめる繁盛した稲荷である。ここの名物は田楽で、茶屋が軒を並べていたという。場所的に吉原の連絡口としても便利だったらしい。今は石浜神社に間借りしているような有様で、当時の面影はなく、真崎稲荷としてより、浅草七福神の寿老人として参詣する人の方が多いのかも知れない。境内に招来稲荷という祠があったので、念のため、おいでおいでと唱えてみたが、狐は勿論、猫すら現れない。仕方なく外に出ると、それを待っていたかのように一台の車が急発進した。こちらを見張っていたのだろう。


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