稜線漫歩

2014-09-13 01:47:17 |  南アルプスのおはな・し
南アルプスのお話(五)

スッキリと晴れ渡った山上を歩くのは気持ち良い。
ただしそこは標高約3000mの稜線、夜間は冷え込み早朝は寒い。
出発する時の山小屋の水銀柱は7℃を指していた。
稜線を吹き抜ける風に鼻水が垂れる。
が急斜面を登り、山頂で景色を楽しむ内に気温も上がり、寒くもなく暑くもない心地よい気候の元、少し汗ばむくらいのペースで歩いた。

<影伸びる登山道>


南北に延びる峰の左から射す朝日に、稜線にできる陰と日なたの明暗差が面白い。
岩峰の右側を巻いて歩くと左上から太陽が顔を出したり隠れたり。
乾いた空気に包まれているのか、峰を越えると現れる山小屋はクッキリと望め、視界のどこもかしこもコントラストが高い。

<北岳山荘>


ぐるり360°、見渡す山の景色を遮るものは何も無い。
持っていた山岳地図で山座同定。
北岳から後方は近くシルエットの鳳凰三山、光を浴びた甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳。
その後方に八ヶ岳、遠く北アルプスの槍の穂も見える。
行く先右手には中央アルプス、乗鞍岳、御嶽山、恵那山が青く峰を並べ、行くてにはどっしりと間ノ岳が待ち構える。

<北岳から、来た道を振り返る>


農鳥岳からは、歩いてきた北岳、間ノ岳、反対側の南には塩見岳、荒川岳、赤石岳といった南アルプス南部の山が続く。
白峰南嶺の尾根が南に延びる左には富士山。
辺りの山は雲の下。

<雲の波打ち寄せる富士>


西側手前にはこちらの稜線と並行して仙塩尾根が長々と連なっている。
あそこもいずれ歩いてみたいものだ。
…ああ、このとき私は南アルプス真っ只中にいたんだなあ。
くー。
なんとも痛快な二日間だった。

<右 北岳(日本の山の標高第2位)、左 間ノ岳(同第3位)>