その日二度目の温泉

2015-07-22 23:41:15 |  東北 花の山旅+α
7月5日(日) 午後

遅くなった昼食を終え出発。
翌日は岩手県南部にある焼石岳を登る予定。
宿のある最寄りの町は北上市。
昨晩、その日の宿を予約しておいた。
ゴールデンウィークや連休と違い、この時期平日なら前日でも宿を選択して予約できる。
なのでこういった旅行前はだいたいの行程を決めるまでで、現地でその日の行動結果と翌日の予定から都合の良い町の宿を予約する。
旅の最中に宿の予約に時間を取るが、柔軟性高く良いと思う。

さてスマホナビによると北上市へは羽黒山から3時間半かかると言う。
結構遠いな。
そうだ、宿までの途中に温泉はないだろか。
また10年前のガイドブックで調べてみる。
お、なんか面白そうな所が…。
新庄市、湯沢市、横手市と辿り北上市へ向かう予定だったが、横手市から北上市へと向かう途上、ほっとゆだ駅というJRの駅があり、その駅舎に温泉施設があるという。
へえ、珍しい。
鉄道の旅の途中で入浴するのがあるべき姿?なんだろうけど、車で乗り付けることにしよう。

お天気は午後遅くなってますます良くなり、そこまでのドライブがまた気持ちよかった。
山中につながる道路は広く他の車は少なく、谷間のワインディングロードや山村の田んぼの横をストレスなく走った。
3時間かかったが3時間という長さを感じさせない楽しいドライブだった。



ははあ、駅前の広場に入って行くと果たして駅舎の改札入口の隣に紺の地に白抜きした「ゆ」の文字の暖簾がかかった温泉入口があった。
駅前の広場に駐車し、お風呂セットを持って暖簾をくぐる。
入ってみると、蓋のない木製の下駄箱に100円ロッカーが並ぶ、ちょいと新し目の昭和な眺め。
入浴料は300円。
脱衣所のロッカーに手荷物を入れ、服を脱いでると壁に貼られた時刻表が目に入った。
1時間に1本くらいやって来る様だ。次は18:23の横手行き。
それまでに入浴終了しなければ。
車なのになんで発車時刻までに出てくるのか?
当然列車撮影のため。

浴室に入ると節電しているのかとても薄暗い。
身体を洗い、湯船に入ろうと背後を見ると、あつめ、ふつう、ぬるめの三つに分けられている。
んん?
ぬるめの湯船の横の壁に巨大な信号機が掛けられてあった。
いや実物大なんだろうけど風呂場で間近に見るとでかい。
説明書きがある。
読んでみると、青は次の列車の出発までに45分~30分、黄色は30分~15分、赤色は15分~出発だって。
その時は黄色だった。
ふつうの熱さの湯船に入り、いつもの脚と腕のストレッチをして早々に浴室を出た。



外に出て車に戻り撮影準備する。
雲は少し赤みがかってきた。
その時間の改札は無人でホームで撮影しようと思ったが、貼り紙に見送りなどで入場する時は入場券を買えと書かれている。
んー、別を探すか。
駅の東側の柵の外から撮ることにした。
構図を決め置きピン設定し、さあいつでも来いと時計を見ると、まだ10分以上間があった。
あらら、急がなくてもよかったか。
少し湯冷めするかなと思うような涼しい風に吹かれて暇をつぶし、列車を待った。



踏切の音が聞こえ、気動車がようやくやって来た。
撮影するが背景の家と草と森の緑に埋れてしまい、なんちゃない写真になってしまった。
すぐそこの陸橋の上から撮ったらよかったかな。
時間もあったから様子を見に上がればよかった。
失敗。
そんなこんなで一日目の夕刻を過ごし、再び北上へと向かった。


耳ダンボ

2015-07-19 21:01:59 |  東北 花の山旅+α
7月5日(日) 昼食

14時、参道入口の駐車場に帰着し、遅い昼食を食べるべくお店を物色。
すぐ近くの小さな食堂で蕎麦を食べることにした。
一つだけ空いてた席の隣では、ファミリーが和やかに食後のかき氷を食べていた。
若いお父さんとお母さんと小さな女の子。
日曜の午後の少しお疲れ感が漂っている。

私の注文した蕎麦がやってきて食べ始めた。
食べるのに手と口は忙しかったが、耳は暇してたので隣から聞こえてくる会話にどうしても気がいく。
ありふれた会話だがちょっとハラハラドキドキする展開と、女の子の受け答えが可愛らしかったので、途中からしっかり聞いてしまった。
以下、最後以外は耳からだけの情報。

母 「今日はもうサクランボ食べに行くのやめとこうか。」
子 「えー、なんで?」
母 「お腹いっぱいで食べられないでしょ。」
子 「サクランボ食べられるよ。山形に来たらサクランボ食べるんでしょ。」
母 〈してやられた感じで〉 「そうだったねー。」
子 「サクランボ食べようよ。山形のサクランボは他と違うんでしょ?」
私 (そう教えて連れてきたんならお母さん、連れて行かないとね。

父 「お父さん寝とくから、二人で行ってくるんならいいよ。」
母 「来る時運転したのは私なのに、どういう事かな。」
子 「?」
 〈母と父で小声でやりとり、よく聞こえない。父は面倒い事をしたく無さげ。母の声、少しイライラ。〉
母 「お父さんお疲れみたいね。」
子 〈自分がなにか悪いことをしたと思ったのか心配そうに〉 「怒ってる?」
母 「怒ってないよ。」
私 (大丈夫、お母さんはお父さんに怒ってるんだよ。

母 〈目を付けていたサクランボ農園に携帯電話で確認を入れる。が、すでにサクランボ狩りの時期を終えてしまっていたらしい。〉
母 「サクランボ狩りもう終わっちゃったんだって。」
子 「えー、サクランボ食べられらないの?」
私 (そうか、もう7月だもんな。
母 「大丈夫、お母さんがなんとかするからね。」
母 〈携帯で観光案内所と思われる所に電話し、まだサクランボ狩りができる施設がないか問い合わせる。〉
子 〈緊張感漂う空気の中、何を思うのか無言。〉
母 〈まだ営業してる所があったらしく、当該施設に電話し営業時間、期間など必要事項を淀みなく確認する。〉
私 (お母さん、やるじゃない。

母 「サクランボ食べられるけど、今日はもう遅いからやめとこうか。明日か明後日食べに行こう。」
私 (おや、そちらも夏休みですか。明日、明後日があってよかった。
母 「今日はこれから海に行って遊ぼうか。」
私 (この後食べれなくて、泣くのかな、騒ぐかな。
子 〈一生懸命〉 「うん、海に行く。海で遊ぶ。」
私 (あら、なんて聞き分けのいい。
母 「じゃあ行こうか。」

私 〈みんなで会計に立つ後ろ姿を追う。〉
子 〈手をつなぐ父を見上げ、なんでか沈んでしまった雰囲気を盛り上げようと、海で遊ぶの楽しいよ、どんなことして遊ぼうか、きっと楽しいよ、と話しかける。〉
私 (健気だなあ。家族の仲を取り持つ愛だな。幼いのにできた子だ。
お父さん、大事に育ててあげてください。

<これは食べれないサクランボ>



2446段

2015-07-18 00:34:55 |  東北 花の山旅+α
なんか雨雲レーダーを見てると大阪の真上に台風がずっと居座ってるように見える。
午後からずっとこんなだ。
この雨いつ止むんだろう。
台風は日本海に抜けたよな。
ところで、台風が立て続けに二つ来て梅雨前線が吹き飛ばされちゃったけど、台風が過ぎて晴れが続いたら梅雨明けした日はいつになるんだろう。
どんな判断がなされるかちょっと楽しみである。
それでは夏休みの日記の続きを。


7月5日(日) 天気:朝のうち曇りのち晴れ

明るくなったので起き出し、車を降りて身体を伸ばした。
昨晩は近くの車から音楽が漏れてきていて耳についた。
それでもまあ眠れた方か。
昨晩買っておいたパンその他で朝食。
道の駅横にある「なの花温泉 田田」は、朝の6時開店というありがたい温泉銭湯。
6時過ぎから入浴させてもらった。

<庄内平野>


その日は羽黒山を訪れることにしていた。
山ではあるが登山する訳ではない。
山岳信仰で有名な出羽三山の一つで、400m程の山頂に大きな神社がありそこに詣でるのだ。
車でも山頂まで行けるが、なにやら歴史ある石段の参道を歩いても行けるようだ。
休みなく歩いて50分ほどらしい。
明日からの山登りの足慣らしにちょうど良さそう。

<随神門>


8時に参道入口の駐車場着。
早速歩き出した。
石の鳥居と赤い随神門をくぐると、いきなり森深い参道が始まった。
およ、なんか思ってたよりすごいぞ。
まずは石段を下る。
石段が不揃いなのがいい。
左右には太い杉の木が沢山植わり、下り切ると摂末社の白木の社が並んでいた。
ゆるく起伏ある参道の眺めは次々と変化し、撮影対象をあちこちに見つけてしまう。
樹齢1000年を越えるとされる杉や立派な五重塔がドーンと建っている。

<石段と杉と社>


<橋はこれ一つ>


<爺杉>


<渋すぎる火災報知器>


<五重塔>


観光客はまずまず来ていて、五重塔を見学して駐車場に戻る方が半分くらい。
五重塔から向こうの参道が「一の坂」と呼ばれる急な上り坂の始まりとなる。
参道はずっと石段(不揃い )で、右に左にとうねり斜度は度々変わり、両側には太い杉の並木(と言うのか?)が続く。
景色の構成要素はずっと同じだが、組み合わせの変化が面白く、同じような写真を何枚も撮ってしまった。

<一の坂>


<森深き参道>


む、まずい。
お腹が空いて来た。
朝飯少なかったかな。
昼までに降りる予定だったし、登山じゃないから行動食なんて持ってこなかった。
まずいな、筋肉が痩せてしまう。
そうだ、ガイドブックで羽黒山を調べた時、途中に茶店があると書いてあった。
そこを頼りにしよう。
と歩いて行くと、「二の坂」という長い坂道の途中に茶店が現れた。
助かった。

<奥の斜面が二の坂>


<杉の巨木>


二の坂茶屋は昔の街道沿いに建ってたような小屋の茶店で、これまで歩いてきた道にとても似つかわしい。
記念品的お土産も売っている。
茣蓙の敷かれた座敷の端に腰掛け、団子と抹茶のセットをいただく。
目の前に樹々の切れ目があり、庄内平野を見下ろせる。
水田の緑が霞んだ向こうに広がっていた。
茶店の方の話では、秋には稲穂が実り黄色く見えるのだそう。
よろしいなあ。
石段は2446段あるそうでこの杉並木、ミシュラン・グリーンガイドで三つ星を貰ってるらしい。
そうだよな、ちょっと普通では見れない眺めだもんな。

<おだんご>


<石の道>


<三の坂>


エネルギーを補給し終えて出発。
この後一旦平坦地を歩いた後、三つ目の坂道「三の坂」を登る。
門付きの大きな館の前にでた。
看板に精進料理の案内がある。
うーん、いいお値段だこと。
前からパンプス履いた女性が歩いて来るので、山頂が近いようだ。

<斎館>


と思ったら到着。
赤い鳥居の向こうに広い境内が見えた。
そこからだと手前に二つ社があり、その向こうに巨大な本殿があった。
これはでかい。
近づいて見上げる。
屋根が分厚い萱葺きで、手前にせり出しているのですごい迫力である。
三神合祭殿(さんじんごうさいでん)と言う。
圧倒されつつお詣りし、撮影した。

<萱の屋根>


<この力士、軒で屋根を支えてた。>


出羽三山というからには三つの山が信仰の対象になっている。
この羽黒山と月山、湯殿山である。
ここにはこれら3山の神を併せて祀っているそう。
月山には登った事がある。
山頂の神社でお祓いもしてもらい、その時手に入れた御守りは登山の無事を願い今も財布の中に入っている。
湯殿山はまだ訪れた事がない。
次に東北の山を攻める機会があれば訪れたい。

<神社だけど鐘がある>


<まだアジサイがきれいだった>


境内にたくさん祀られている摂末社を見て回り、霊祭殿でご先祖様が安らかに眠られますようお祈りした。
境内に入ったのが11時45分、下山を始めようと思ったのが13時前。
8時半に随神門をくぐってから4時間半が経過。
撮影にどれだけ時間をかけてるんだか。
ゆっくり登ってきた訳だから心肺機能にしんどさは無いが、茶店で座った時以外は立詰めで、さすがに疲れた。
境内の石段に座って少し休憩し、下山開始した。



下りの撮影枚数は少なく、さくさく歩いた。
14時、駐車場に帰着。
お疲れ様でした。

高速道路は空いていた

2015-07-14 23:42:35 |  東北 花の山旅+α
涼しい東北地方から帰ってきたらこの暑さ。
東北を去る日は向こうも真夏日だったようだが、も少し爽やかだった。
汗をかきながら眠る真夏がやって来た。
モワッとした部屋の空気が、休み明けの身体にこたえるでないか。
では、夏休みの記録開始。

7月4日(土) 天気:曇り

梅雨が明け夏休みに入ると、金曜日の深夜の名神高速は自家用車で溢れる。
土日にかけて、あるいは月曜火曜と夏休みを効率良く遊ぶため、車中泊して早出する人達だ。
私もその一員。
しかし7月前半の金曜日であればまだそんな事態は発生しないようだ。
長距離トラックが行き来する普通の平日の深夜の高速だった。
トラックに混じり東へと向かう。

<名神高速 伊吹PAにて>


深夜発の旅の始まりの日の晩飯は、いつも車中で食べる。
決まってロー○ンの助六である。
酢飯の締まり具合がお好みである。
甘酸っぱいガリもジューシー。
こんな深夜に売ってるだろうかと毎回心配するが、品薄の陳列棚にいつも一つ必ず残っている。
不思議だ。
助六を選ぶようになってから助六以外のモノを選択した覚えがない。
助六は運転しながら食べるのに便利である。
包装は先に解き、助手席に開けた器と手を拭くティッシュペーパーを置き準備完了。
高速に乗ってからやおら手を伸ばす。
巻寿司においなりさんは手づかみで手元を見なくても食べられ、時間が無い時の車中食として便利だ。

<中央道 阿智PAにて>


今回も出発前日まで東北地方の遠さを思う度、行く気が萎えていた。
初めての行き先ならどんな道のりなのだろうと期待感もあるのだが、福島辺りから帰ってくるのを何度か経験しているので、その道程の長さと疲れようを思い浮かべて二の足を踏むのだ。
しかし行かねば絶対後悔することになる。
頑張って準備し出発した。
出発してしまえばもう大丈夫。
今回は出発が深夜の2時前になったので最初の道程は短距離でギブアップ、伊吹PAで車中泊した。


<長野道 梓川SAにて>


翌朝、天気は曇り。
雨がぱらつきはするがワイパーを動かすほどではない。
名神から中央道に入って街を抜けるまでが一番交通量が多かった。
が渋滞はなし。
北へ向かうに連れ交通量は減っていく。
過去の経験から土曜日にたどり着けるのは北陸道なら新潟の北端あるいは山形の南端、東北道なら白河辺り。
その時はまだどちらから東北入りするか決めれていなかった。
一つ目に登る山をどれにするか。
北から攻めるなら東北道、南から攻めるなら日曜日早朝に登山口には辿り着けないから、一日観光できるところがないといけない。
10年前に買った山形県と岩手県のガイドブックを部屋の雑誌の山から引っ張り出してきていたので、SAで昼食を摂りながら面白そうなところを探した。
帰りの走行距離が長くなるが、南から辿っていくこととした。
一日観光は山形県で。
上信越道に入り北へ走る。

<北陸道 米山SAにて>


その後もどんどん交通量は減り快適にドライブ。
長時間走る事になるから家から昔聞いたCDを大量に持ってきた。
久しぶりに聞く耳に馴染んだ歌とメロディー。
当初の心配とは裏腹に、高速道路を含め下道走行時も思っていた以上にドライブを楽しめた。
最近旅する時は鉄道利用が多かったからなあ。
なだらかにうねる道路に沿って左右に流れる開けた景色。
エンジンの震度とタイヤとサスペンションが伝える路面の情報。
思うままに加速し曲がり惰性で下る。
足と手が指示するままに反応してくれる我が愛車。
コントローラブルな感覚が気持ちいい。
一体になって走る。

<北陸道 米山SAにて>


北陸道に入り新潟市を越える。
暗くなってきた。
昔来た時は中条ICが北陸道の終点だった気がする。
延伸していて朝日まほろばというインターチェンジが終点だった。
とっぷりと日の暮れた国道を北に走ると進行方向左手の眺めから明かりが無くなった。
川でも流れてるのかと思ったが、日本海だった。
帰省帰りに夜走る国道163号の木津川沿いの道を思い出しつつ山形県は鶴岡市に向かう。
その日は温泉施設が隣にある道の駅庄内みかわで車中泊とした。