風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

いまは夢ばかり運ばれていく

2016年02月24日 | 「詩集2016」

軽くて不確かなものを
雲はしずかに運んでいく
見えないが何か声のするものを
風は気まぐれに運んでいく

水が騒いでいる
いや水鳥が羽ばたいている
寒い日は浮いたままでいたのに
冷たかった水が
すこしだけ温んできたのだろうか

ヨーヨーおじさんは
片足だけ水に浸して目が覚めた
水の中で
雲が乱れ散った
不確かなものは不確かなまま
見えないものは見えないまま
水の底では
冬眠しつづける仲間がいるのだと
それだけを知った

やがて水鳥が運んでいくのは
夢ばかり見ていた
深い眠りの季節かもしれない
水のそとで
小さな花が咲いた



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