2020-0426-man3571
万葉短歌3571 己妻を3316
己妻を 人の里に置き おほほしく
見つつぞ来ぬる この道の間 ○
3316 万葉短歌3571 ShuG586 2020-0426-man3571
□おのづまを ひとのさとにおき おほほしく
みつつぞきぬる このみちのあひだ
〇=出典未詳。
【編者注】防人歌(3567-3571、5首)の第5首。男。
【訓注】己妻(おのづま=於能豆麻)[「自分の妻を単に<妻>と呼ぶことは、歌詞には非常に少ない」]。おほほしく(於保々思久)[「胸がふさがって気が晴れないさま」。02-0175欝悒(おほほしく)、-0189欝悒、など]。
【依拠本注-防人歌の評価】たった五首ながら、ここには防人の別れのほとんどの様態が尽くされている点が重要。巻二十の大歌群を通じても、要約すれば、別れのさまは、この五首の様態に尽きるといっても過言ではあるまい。五首は、まさに、東国の防人歌の典型であったといってよい。
*** 万葉集 巻14 防人歌(3567-3571、5首) 終 ***