A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ボーカルのバックはやはりボーカルを超えない程度に・・・

2015-03-05 | MY FAVORITE ALBUM
Just Friends / Helen Merrill featuring Stan Getz

まだ北国は寒い日が続きているが、3月に入って関東は春らしくなってきた。昨日は雨予報であったが天気の回復は早く、朝から好天に恵まれポカポカ陽気のゴルフ日和。

ゴルフの方は寄る年波には勝てず、最近飛ばなくなっただけでなく集中力も散漫になりますます下手になっている。練習もすっかりご無沙汰だが、先日後輩から久々にワンポイントアドバイスを貰った。知らない間に大分フォームも乱れていたが、原因はどうやらスタンスの向きであったようだ。それを直すと、不思議と球筋が違ってきた。

昨日の前半は久々の絶好調、バーディー逃しでスタートしたがパーオンが続く。グリーンが難しくパットに悩まされスコアは今一つであったが久々に爽快な気分。全盛期のようにはいかなくとも、これで何とかまだ若者達とのラウンドを諦めなくてすみそうだ。「年寄ゴルフ」への転向はまだもう少し先だ。

先日、ダイアンシュアのライブに出掛けた。久しぶりに聴く彼女の弾き語りであったが、彼女もいつの間にか還暦を迎えていた。
GRPでデビューし、カウントベイシーやメイナードファーガソンなどのビッグバンドとの共演や、BBキングとの共演など活動の幅は広く、誰と共演しても競い負けることのないダイナミズムを持ったボーカルが売りであった。
今回は自分のピアノトリオにテナーだけを加えた小さな編成のしっとりモードの演奏。曲もスタンダードが多く、このようなダイアンシュアも年相応の魅力が出ていい感じだなと思った。

4月に昨年体調不良で公演がキャンセルされたヘレンメリルがまた来日するようだ。先日のクラークテリーのようにベテランの訃報に接すると、聴ける間にもう一度聴いておかねばという気持ちになる。
彼女のボーカルというと有名なクリフォードブラウンとの共演アルバム以外にも、管楽器との共演した魅力的な作品が多い。先日紹介したペッパーアダムスとの共演も、単なる歌伴以上のコラボを生み出していた。メリルと共演の場合はバックを務めるというより、立派な共演者の一人だ。

ダイアンシュアといえば、彼女を表舞台に立たせたのはスタンゲッツであったが、ヘレンメリルにもスタンゲッツとの共演作があった。ピアノがヨヒアムキューン、ドラムにダニエルユーメルというのも魅力だ。
録音されたのは1989年、ゲッツにとっては60歳を過ぎての晩年の録音となる。メリルもまさに還暦を迎えようとしていた時の熟年コンビだ。

Cavitinaで始まる演奏は、最初はゆったりとそしてだんだんとテンポも上がり、タイトル曲ジャストフレンド、そしてIt Don’t Mean A Thingでは、メリルもゲッツも絶好調のノリとなる。



メリルの歌はもともと絶叫型ではないハスキーボイス。それが歳相応に円熟味を増している。ゲッツも同様だが、さらにメリルのバック(いや相方)というのを十分にわきまえた演奏だ。けっしてメリルの歌に対抗心を持つのではなく、引き立て役に徹している。これがゲッツの良い所だろう。熟年の2人でなければできないコラボだと思う。

そのメリルも今では80代の半ば。今でも元気に歌い続けているだけでも敬服する。その年になって自分は果たしてゴルフが続けていられるか?飛ばなくなったとか、下手になったという以前に、メリルの様にその年になってもコースに出られるようになりたいものだ。

1. Cavatina              Cleo Laine / Stanley Myers 5:47
2. It Never Entered My Mind    Lorenz Hart / Richard Rodgers 6:12
3. Just Friends            John Klenner / Sam M. Lewis 4:38
4. It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)Duke Ellington / Irving Mills 6:01
5. Baby Ain't I Good to You             Don Redman 2:50
6. It's Not Easy Being Green             Joe Raposo 2:54
7. If You Go Away           Jacques Brel / Rod McKuen 4:02
8. Yesterday                    Jerome. Kern 6:43
9. Music Makers            Helen Merrill / Torrie Zito 5:17

Helen Merrill (vol)
Stan Getz (ts)
Joachim Kühn (p)
Torrie Zito (p)
Jean-François Jenny-Clark (b)
Daniel Humair (ds)

Produced by Jean-Philippe Allard & Kiyoshi "Boxman" Koyama

except (5,6,7)
Recorded on June 11&12, 1988 at Studio Guilaume tell, Paris, France
Engineer : Thierry Rogen

(5,6,7)
Recorded on June 19 6 July 5, 1989 at Clinton Studio,New York
Engineer : Ed Rak


Just Friends
Helen Merrill
Uni/Verve
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「クールの誕生」は新たなジャズ誕生のはじめの一歩であった・・・

2015-03-03 | MY FAVORITE ALBUM
Birth Of The Cool / Miles Davis Nonet

ジェリーマリガンのアレンジといえばマイルスの「クールの誕生」が有名だ。しかし、有名なアルバムだと演奏の中身はすぐに思い起こせても、他の情報も知っているつもりになって、実はあまり詳細を知らない事が多い。このクールの誕生もそんなアルバムの一枚だ。
先日、話に出たついでに久々に聴き返してみた。良く言えば耳の心地よいサウンドに、悪く言えば刺激のない平板な流れの中で、いつもあっと言う間に聴き終えてしまうアルバムだ。

まずは、このグループができた年を改めて知ってびっくり。戦後まもなく、自分がまだ生まれていない1948年に誕生している。レコーディングのためだけでなくロイヤルルーストにライブ出演していた。スタジオ録音は翌年になるがもちろんSPだ。曲が短いのもそのせいだろう。裏表で何枚かのSPがリリースされ、当然今のようなアルバムにもなっていなかったし、その時はクールの誕生などというアルバムタイトルもついていなかった。このアルバム形態になったのはしばらくしてからだ。。

ビッグバンド編成でもない大型コンボの編成。それにチューバやフレンチホルンが加わる。
確かに斬新なサウンドだ。何も、クールサウンドを作る事が目的ではなかっただろう。ホットなアドリブソロがクローズアップされている中で、反対にアレンジされた演奏を極めたいと思ったのだろうが、この演奏を聴いたファンはどのように感じていたのだろう。マイルス自身も、直前にはパーカーと一緒に演奏し初レコーディングをしたが、このグループでは全く違う試みをしている。

このサウンドを作り出したのは、ギルエバンスを中心に、ジョンルイスとジェリーマリガン、それにマイルスが加わっての共同作業だった。最初は誰がアレンジをしたかも正確には伝わっていなかったようだが、最後に譜面に起こしたのはジェリーマリガン。多くの曲を担当したそうだ。もちろん、バリトンサックスも演奏しソロの出番も多いが、やはり編曲で大きく活躍したようだ。

世間の動きに惑わされることなく、このようなアレンジをし、演奏をしたミュージシャン達も偉いが、ライブを行い、レコーディングの段取りをした関係者もまた偉いと思う。ピートルゴロがプロデューサーとなっているが、真相は???のようだ。マリガンのアレンジへの関わり方を含めて、まさにこの「クールサウンド」の誕生については、その後調査、解明が進んだという話を昔読んだ記憶があった。今度探してみよう。

マリガンだけでなく、このグループに参加したメンバーは、この後それぞれの道を歩む。マイルスばかりに日が当たるが、他のメンバーも錚々たるメンバーだ。それぞれがこのグループでの経験を生かして明らかに他のグループとは違うサウンドづくりにチャレンジしていった。

その後、ジョンルイスの作ったのがMJQ。そのクラシカルなサウンドはワン&オンリーだった。マリガンもチェットベイカーやブルックマイヤーとのカルテットでは、アレンジを重視したコラボプレーにチャレンジする。さらにマリガンは、ショーティーロジャースなど西海岸の面々に、大きな編成でのアレンジされたサウンドづくりを引き継ぐ。これがウェストコーストコーストジャズへ育つ。
トロンボーンのJ&Kの2人も参加していた。やはり2人はコラボとコンビネーションを大事にした単なるバトルチームでは無かった。リーコニッツもクールなトーンを生かして、独自の路線を歩く。
ドラムのマックスローチとケニークラークもしかり。2人ともどこか理性を感じさせる演奏だ。ケニークラークがサボイレーベルのサウンドづくりに果たした役割も大きかったように思う。

という意味でも、このアルバムはマイルスのアルバムというよりは、参加したメンバー人一人の出発点となるアルバムだと思う。
そして、時代を経てそれぞれがまた進化していった。このアルバムを作ったグループのメンバー達がジャズの歴史のある部分の原点となったのは間違いない。アンサンブル物が好きな自分にとっても、出発点の一枚だ。

ちょうどバップの萌芽期、モダンジャズの大きな動きがホットなソロ中心の演奏に流されそうになった時、反対の動きが起こるのもある種の世の必然であったのかもしれない。
たまたまその場にマイルスが居合わせたということだろう。

1. Move                     Denzil Best 2:35
2. Jeru                   Gerry Mulligan 3:10
3. Moon Dreams     Chummy MacGregor / Johnny Mercer 3:21
4. Venus de Milo       Gerry Mulligan 3:14
5. Budo             Miles Davis / Bud Powell 2:34
6. Deception                 Miles Davis 2:50
7. Godchild               George Wallington 3:12
8. Boplicity                 Cleo Henry 3:02
9. Rocker                 Gerry Mulligan 3:07
10. Israel                  Johnny Carisi 2:19
11. Rouge                    John Lewis 3:17

Walter Rivers Producer
Pete Rugolo Producer

Miles Davis (tp.Arr)
Gerry Mulligan (bs,arr)
Kai Winding (tb)
J.J. Johnson (tb)
Lee Konitz (as)
John Lewis (p.arr)
Gunther Schuller (frh)
Sandy Siegelstein (frh)
Billy Barber (tuba)
John Barber (tuba)
Al McKibbon (b)
Nelson Boyd (b)
Kenny Clarke (ds)
Max Roach (ds)

Recoreded in NYC, April 22, 1949 & March 9, 1950




Birth of the Cool
クリエーター情報なし
Blue Note Records
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20年ぶりのビッグバンドだったが、めでたくグラミー賞を・・・・

2015-03-01 | MY FAVORITE ALBUM
Walk On The Water / Gerry Mulligan &His Orchestra

1981年2月、テレビ番組用のディジーガレスピーのドリームバンドの企画に主役の一人として参画したのがジェリーマリガンであったのは先日このDVDの紹介の中で述べたとおりだ。
メインソリストとしても登場していたが、バックのドリームバンドのオーケストラのスコアも、スライドハンプトンに加えてマリガンもアレンジで加わったようだ。ガレスピーのビッグバンドにマリガンのアレンジでは?というのも気になったが、マリガンの出しゃばりぶりには、他のメンバー達はへそを曲げていたようであった。

バリトンサックスの第一人者として名を成したマリガンであるが、そもそもマリガンのミュージシャン生活の始まりはアレンジャーとしてであった。まだティーンネイジャーの時にプロのアレンジャーデビューを果たしている。7歳からピアノを初め、クラリネットを学び、そしてテーナーを学んだ先生でもあったSam Correntiからの勧めもあってアレンジの勉強を始めたという。決して専門的な教育を受けた訳でもなさそうだ。演奏だけでなく、作編曲を含めて、マリガンのメロディアスな音楽性は天性のものなのだろう。

アレンジャーとして後世に残る大役を果たしたのは、マイルスの名盤「クールの誕生」が最初だろう。この時一緒だったギルエバンスの影響もあるのか、まだスイング時代の名残が普通のアレンジとは一線を引く特徴あるものだった。
マリガンは大きな編成だけでなく、カルテットでもアレンジを施した演奏をする。日頃からアレンジは数多く手掛けていたとは思うが、やはり本格的なアレンジとなると大編成になる。

そのマリガンが、大編成のアレンジと演奏にチャレンジしてビッグバンドを編成したのはちょうど60年代に入った時だった。コンサートジャズバンドと命名され、ダンスバンドではない事を宣言し、じっくり聴かせるための演奏活動を行った。このオーケストラに加わっていたベースのビルクロウが著書「さよならバードランド」の中で語っているが、このバンドに参加していたミュージシャンも、この仕事を最優先にして演奏にも熱が入っていたという。しかし、スポンサーでもあったノーマングランツが去ると、この大きな編成のグループは解散となった。それ以降、マリガンのビッグバンドが編成されたという話を聞く事はなかったのだが・・・・。

実はこのアルバムを作る数年前、70年代の後半からメルトーメのバックを務めるビッグバンドを編成し、マリガンはビッグバンドの活動を再開していた。そして、ガレスピーのドリームバンドの企画を詰めていた時、自らのビッグバンドを編成して各地でコンサート活動も行っていた。最初は昔の曲の再演であったようだが、徐々に新しい曲やアレンジも加わって、新生コンサートジャズバンドは確実に活動を続けていた。
バリトンサックスではアダムスの急迫を受け、長年守っていた王座の地位も危うくなっていたが、アレンジャー&ビッグバンドとしては再び注目を浴びつつあった。
そして、一年以上に渡るその活動の成果ともいえるのが、このアルバムとなった。

ちょっと聴くと軽い感じの何の変哲もない演奏に聴こえる。ビッグバンドでお馴染みのセクションごとのアンサンブルの対比も無い、強烈なハイノートがある訳でもない。マリガンのアレンジというのは、先日紹介しているデュークピアソンと同様、コンボ用のアレンジを拡大した感じになる。ギルエバンスを源とする、ボブブルックマイヤーや、マリアシュナイダーと相通じるものだ。トランペットのトムハレル、ピアノのミッチェルフォアマン、そしてマリガン自身のバリトンもペッパーアダムスのそれとは好対照だが、時にはソプラノを交えて、皆、アレンジに実にピッタリなソロを繰り広げる。
メロディーを大事にするいいアレンジとはこのような物をいうのだろう。小難しい複雑なアレンジが必ずしもいいアレンジだとは思わない。

そして、このアルバムは翌1982年のグラミー賞のビッグバンド部門で見事に受賞を果たす。60年のコンサートジャズバンドと較べると活動も地味だったし、アルバムも(多分)このアルバムしかないが、60年代同様、再びビッグバンドの新時代の幕開きを務めたのもマリガンのコンサートバンドであった。

1. For An Unfinished Woman       Gerry Mulligan 7:13
2. Song For Strayhorn          Gerry Mulligan 6:08
3. 42nd And Broadway          Gerry Mulligan 5:07
4. Angelica               Mitchel Forman  6:25
5. Walk On The Water          Gerry Mulligan 4:24
6. Across The Track Blues        Duke Ellington  3:10
7. I'm Getting Sentimental Over You  George Bassman / Ned Washington 6:06

GERRY MULLIGAN AND HIS CONCERT JAZZ BAND
Gerry Mulligan (bs, ss, arr)
Laurie Frink, Barry Ries, Tom Harrell, Mike Davis, Danny Hayes (tp)
Keith, O’Quinn, Dave Glenn, Alan Raph (tb)
Eric Turkel, Gerry Niewood, Ken Hitchcock (as)
Gary Keller, Ralph Olson, Seth Broedy (ts), Joe Temperly (bs)
Mitchel Forman (p), Jay Leonhart (b), Mike Bocchicchio (b), Richie de Rosa (ds)
Tom Fay (arr)

Recorded at Downtown Sound Studios, New York City, N.Y., September, 1980


Walk on the Water
クリエーター情報なし
Drg
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