The Scott Hamilton Quintet In Concert
75年クインシージョーンズの来日の記事を当時のスイングジャーナルで見ていたが、その頃来日するジャズミュージシャンはまさに目白押し状態。大物同士がバッティングすることもあった。話題となるような大物だけでなく個人で来日するミュージシャンを含めると月に5組以上(要は毎週のように)が常態化していた。それも、ほとんどのグループが全国を長期間ツアーしていった。
自分も結構聴きに行ったつもりだったが、こうやって見返してみると当然行けなかった方が遥かに多い。今思えば、聴き逃したのが残念至極というコンサートがいくつもある。当時は来日ミュージシャも多かったが、聴く方もそれに負けないほどファンが多かったということだろう。
75年というと、コンコルドレーベルが活動を本格化した頃。コンコルドジャズフェスティバルのメイン会場であるコンコルドパビリオンもこの年にできた。そして、新人スコットハミルトンが地元でプロデビューしたのもこの頃だ。
そのスコットハミルトンが今年も来日する。日本に来るのは何回目だろう。今回は、スペインのジョアン・チャモロ・クインテットに天才少女アンドレア・モティス(といってもまだ聴いた事はないが)が一緒という豪華版のようだ。ハミルトンは自分より5歳年下、若手と思っていたハミルトンも還暦を迎えたはず、しばらくライブを聴いていなかったので今回は果たしてどんなプレーを聴かせてくれるか楽しみだ。
さて、そのハミルトンだが、コンコルドレーベルと一緒にあっという間に看板スターになり、コンコルドオールスターズ(スーパーバンド)にも加わって世界中を廻った。日本にもそれらのグループに加わって来日したが、78年のConcord Supper Band in Tokyo、79年CONCORD SUPPER BAND 2、81年Tour De Force / Al Cohn, Scott Hamilton, Buddy Tateの来日時の演奏は、それぞれがアルバムとなって残っている。コンコルドレーベルの新星として自らのアルバムだけでなく、他のミュージシャンのアルバムへのゲスト参加も加えると、1983年までに参加したアルバムはすでに31枚となっていた。
ハミルトン自身が有名になりすぎたので、彼と一緒にボストンでプレーし、初めてニューヨークに出て来た時の仲間達と演奏する機会は当然少なくなっていたが、82年2月に久しぶりに彼らと一緒にアルバムClose Upを作った。
都会に出て田舎の仲間との付き合いも疎遠になってしまっていたが、久々に里帰りし、旧友達と昔話に花が咲き、いつの間にか地元の言葉になっていたといった感じだろう。
そして、翌1983年このメンバーで来日した。当時は、ジャズフェスティバルブームの真っ只中、オールスターズで来日し大きなフェスティバルへの参加であれば、会場は野外の大会場が普通だった時代だ。
しかし、この時は地味なハミルトンの単独コンサートだったので、会場は小さ目のヤマハホールであった。録音の雰囲気からも感じるが、ジャズのコンボはホールといってもこの程度の規模が丁度いい。
しかし、いくら気心の知れたオリジナルメンバーでも、演奏する場はアウェイの日本。ホームタウンのニューヨークやボストンでの演奏とは多少リラックス感が違ったかもしれないが、演奏内容はハミルトンに限らず全員いつものようにスインギーで小気味よいプレーだ。
スコットハミルトンはデビュー当時、ベンウェブスターやイリノイジャケ―の「そっくりさん」といわれたが、デビュー当時からハミルトンは自分が影響を受けたのは一人、二人ではなく30人以上だと豪語していたという。それだけ、若い頃から自分のスタイルには自信があったのだろう。それ故、一時の人気で消え去ることなく今まで第一人者で居続けられるのだろう。
このアルバムの録音から40年以上が経った。ミルトンは、その後生活の拠点をロンドンに移す。ボストン生まれのハミルトンは、ホームタウンはヨーロッパの雰囲気が好みなのかもしれない。最近の拠点はイタリアと聞く。
プレーの本質は変わらなくとも、世界各地で演奏することでプレースタイルは微妙に変化しているかもしれない。これまでの日本の演奏もスタイル形成の糧となっているに違いない。
歳をとると生まれ故郷の生活の拠点を戻す、要は田舎に帰る人は多い。ハミルトンのようにグローバルで活動し、生活の拠点を移すと、ホームタウンは今や自分を育ててくれた世界中の街に広がっているように思う。生まれ故郷だけでなく、今までの自分を育ててくれたところがすべて故郷のようだ。今回の来日も里帰りかもしれない。ゲストを交えてハミルトン流のリラックスした演奏を楽しみたいものだ。
1. I Can't Believe That You're in Love With Me 6:55
2. Wrap Your Troubles in Dreams 5:36
3. I've Found a New Baby 5:08
4. When I Fall in Love 5:46
5. Whispering 7:04
6. Sultry Serenade 6:36
7. Stardust 3:53
8. One O’clock Jump 5:05
Scott Hamilton (ts)
Chris Flory (g)
John Bunch (p)
Phil Flanigan (b)
Chck Riggs (ds)
Produced by Carl Jefferson
Recorded live at Yamaha Hall, Tokyo, Japan June 1983
Recording Engineer : Tameo Kawada
Originally released on Concord CJ-233
75年クインシージョーンズの来日の記事を当時のスイングジャーナルで見ていたが、その頃来日するジャズミュージシャンはまさに目白押し状態。大物同士がバッティングすることもあった。話題となるような大物だけでなく個人で来日するミュージシャンを含めると月に5組以上(要は毎週のように)が常態化していた。それも、ほとんどのグループが全国を長期間ツアーしていった。
自分も結構聴きに行ったつもりだったが、こうやって見返してみると当然行けなかった方が遥かに多い。今思えば、聴き逃したのが残念至極というコンサートがいくつもある。当時は来日ミュージシャも多かったが、聴く方もそれに負けないほどファンが多かったということだろう。
75年というと、コンコルドレーベルが活動を本格化した頃。コンコルドジャズフェスティバルのメイン会場であるコンコルドパビリオンもこの年にできた。そして、新人スコットハミルトンが地元でプロデビューしたのもこの頃だ。
そのスコットハミルトンが今年も来日する。日本に来るのは何回目だろう。今回は、スペインのジョアン・チャモロ・クインテットに天才少女アンドレア・モティス(といってもまだ聴いた事はないが)が一緒という豪華版のようだ。ハミルトンは自分より5歳年下、若手と思っていたハミルトンも還暦を迎えたはず、しばらくライブを聴いていなかったので今回は果たしてどんなプレーを聴かせてくれるか楽しみだ。
さて、そのハミルトンだが、コンコルドレーベルと一緒にあっという間に看板スターになり、コンコルドオールスターズ(スーパーバンド)にも加わって世界中を廻った。日本にもそれらのグループに加わって来日したが、78年のConcord Supper Band in Tokyo、79年CONCORD SUPPER BAND 2、81年Tour De Force / Al Cohn, Scott Hamilton, Buddy Tateの来日時の演奏は、それぞれがアルバムとなって残っている。コンコルドレーベルの新星として自らのアルバムだけでなく、他のミュージシャンのアルバムへのゲスト参加も加えると、1983年までに参加したアルバムはすでに31枚となっていた。
ハミルトン自身が有名になりすぎたので、彼と一緒にボストンでプレーし、初めてニューヨークに出て来た時の仲間達と演奏する機会は当然少なくなっていたが、82年2月に久しぶりに彼らと一緒にアルバムClose Upを作った。
都会に出て田舎の仲間との付き合いも疎遠になってしまっていたが、久々に里帰りし、旧友達と昔話に花が咲き、いつの間にか地元の言葉になっていたといった感じだろう。
そして、翌1983年このメンバーで来日した。当時は、ジャズフェスティバルブームの真っ只中、オールスターズで来日し大きなフェスティバルへの参加であれば、会場は野外の大会場が普通だった時代だ。
しかし、この時は地味なハミルトンの単独コンサートだったので、会場は小さ目のヤマハホールであった。録音の雰囲気からも感じるが、ジャズのコンボはホールといってもこの程度の規模が丁度いい。
しかし、いくら気心の知れたオリジナルメンバーでも、演奏する場はアウェイの日本。ホームタウンのニューヨークやボストンでの演奏とは多少リラックス感が違ったかもしれないが、演奏内容はハミルトンに限らず全員いつものようにスインギーで小気味よいプレーだ。
スコットハミルトンはデビュー当時、ベンウェブスターやイリノイジャケ―の「そっくりさん」といわれたが、デビュー当時からハミルトンは自分が影響を受けたのは一人、二人ではなく30人以上だと豪語していたという。それだけ、若い頃から自分のスタイルには自信があったのだろう。それ故、一時の人気で消え去ることなく今まで第一人者で居続けられるのだろう。
このアルバムの録音から40年以上が経った。ミルトンは、その後生活の拠点をロンドンに移す。ボストン生まれのハミルトンは、ホームタウンはヨーロッパの雰囲気が好みなのかもしれない。最近の拠点はイタリアと聞く。
プレーの本質は変わらなくとも、世界各地で演奏することでプレースタイルは微妙に変化しているかもしれない。これまでの日本の演奏もスタイル形成の糧となっているに違いない。
歳をとると生まれ故郷の生活の拠点を戻す、要は田舎に帰る人は多い。ハミルトンのようにグローバルで活動し、生活の拠点を移すと、ホームタウンは今や自分を育ててくれた世界中の街に広がっているように思う。生まれ故郷だけでなく、今までの自分を育ててくれたところがすべて故郷のようだ。今回の来日も里帰りかもしれない。ゲストを交えてハミルトン流のリラックスした演奏を楽しみたいものだ。
1. I Can't Believe That You're in Love With Me 6:55
2. Wrap Your Troubles in Dreams 5:36
3. I've Found a New Baby 5:08
4. When I Fall in Love 5:46
5. Whispering 7:04
6. Sultry Serenade 6:36
7. Stardust 3:53
8. One O’clock Jump 5:05
Scott Hamilton (ts)
Chris Flory (g)
John Bunch (p)
Phil Flanigan (b)
Chck Riggs (ds)
Produced by Carl Jefferson
Recorded live at Yamaha Hall, Tokyo, Japan June 1983
Recording Engineer : Tameo Kawada
Originally released on Concord CJ-233