A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

サド・メルのメンバーが主役を讃えて・・・・

2008-05-19 | PEPPER ADAMS
Muses for Richard Davis

サド・メルのメンバー達は、スタジオワークをやっていたミュージシャンが多い。普段はバックオーケストラの一員として色々なセッションに顔を出していたが、時にオーケストラ以外にも彼らが集まって自分達のアルバム作りをしていた。
今回の、アルバムのリーダーはリチャードデイビス。
活動歴は長い。50年代はサラボーンのバックが長かった。”At kelly’s“, “After Hours at the London House”といったサラの名盤のベースは皆このリチャードデイビスが担当していた。60年代に入ってからはエリックドルフィーのグループにも参加。クラシックのオーケストラにも籍を置いたことがある。他にもデイビスの参加したストレートなジャズのアルバムは非常に多い。ところが、彼のリーダーアルバムは全く見当たらない。確かにベースがリーダーを努めることは少ないのだが、デイビスのベースが裏方に徹していたかというとそうでもない。

デイビスが前面に出た自分にとって一番身近なアルバムは、エルビンジョーンズとの“Heavy Sounds”。当時、ジャズ喫茶でよくかかっていたアルバムだ。
この頃のデイビスはサド・メルのレギュラーメンバーとして加わって活躍していた時期だ。
実は、自分はサド・メルの初来日の時デイビスのベースの凄さを知った。デイビスのプレーを目の当たりにして、それまでのベースのイメージを遥かに超えた迫力、そして大きなベースをあたかもギターのように扱うテクニック、そして他のプレーヤーとのコラボレーションの仕方に驚嘆したのを、つい昨日の出来事のように鮮明に記憶が残っている。自分がジャズを聴いてきた中である種の幼児体験のようなものだ。ロ-ランドハナのピアノとこのデイビスのベースの絡みの素晴らしさを超えた演奏に、そうそう簡単に巡り合えるものではなかった。

このアルバムは、ヘビーサウンズの翌年の69年の録音。リチャードデイビスの初のリーダーアルバムといってもいいであろう。
主役のデイビスのベースの周りに駆けつけたのはサド・メルのメンバー達、その中にはジェリーダジオンの姿もあった。彼もリーダーアルバムがほとんど無いが、デイビスの初リーダーアルバムに自作の曲を携えて参集した。そしてフレディーハバート、ドラムのルイスヘイズが駆けつけている。曲によってセプテットの大型コンボ編成からデュオまで。
曲毎に編成を変えてデイビスのベースを引き立たせている。デュオの相手を務めたハナとハバードの掛け合いも秀逸だが、毎週サド・メルので一緒にプレーをしているメンバーとのモダンなアンサンブルも聴き所が多い。
そしてこのアルバムはMPSが原盤。ヨーロッパ調の素晴らしい音も特筆に価する。

1. Milk Train                Knepper 6:03
2. A Child Is Born            Jones 5:00
3. Softly, As in a Morning Sunrise  Hammerstein, Romberg 9:25
4. What Is It?               Adams 7:00
5. Muses for Richard Davis       Hanna 5:00
6. Toe Tail Moon             Dodgion 4:55

Freddie Hubbard (tp)
Jimmy Knepper (tb)
Jerry Dodgion (as)
Pepper Adams (bs)
Eddie Daniels (ts)
Sir Roland Hanna (p)
Richard Davis (b)
Louis Hayes (ds)

Rolf Donner Engineer
Recorded in 1969
コメント
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