大木昌の雑記帳

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アメリカ産牛肉の危険性-発ガン性と発育異常-

2012-11-23 21:32:01 | 健康・医療
アメリカ産牛肉の危険性-発ガン性と発育異常-(注)

このブログの2012年6月17日「食文化の変化(2)-魚から肉へ-」で,

現在,日本人の一般家庭では魚より肉の消費量が多くなっていることを書きました。

今日の日本人の食生活において,肉は欠かせない食品となっています。

しかも,肉は家庭での食事の他に,外食店での消費がかなり大きな比重を占めているのです。

とりわけ若者の間では,ハンバーガーや牛丼,焼き肉などが人気です。

若者だけでなく,サラリーマンも昼食にハンバーガーを食べることが珍しくありません。

さらに,ランチ時に,若いお母さんがマクドナルドなどの店で小さいこともと共にハンバーガーを食べている姿を
よくみかけます。

アメリカのハンバーガーショップ,マクドナルドの社長はかつて次のように言っていました。

子どもの味覚を自分たちに会社のハンバーガーの味に慣れさせてしまえば,その後ずっと彼らはマクドナルドの
ハンバーガーを食べるようになる,と。

この会社は時々ハンバーガーの大幅値下げをします。

これは,上に述べたような戦略のもとに行われているのです。

ところで,日本人が食べている牛肉はどこからくるのでしょうか。

農水省の発表によれば,平成21年には,国産肉が43%,輸入肉が57%です。

国産の牛肉は値段も高いので,ハンバーガー,牛丼,居酒屋などの外食産業では圧倒的に輸入牛肉を使っています。

特にハンガーガーに使われている肉のホルモン濃度はずば抜けて高いのです。

輸入の大部分はアメリカとオーストラリアです。

問題は,この両国とも牛の飼育飼料にホルモン剤や抗生物質を使っていることです。

しかも,ハンバーガーや牛丼などの肉はほとんど米国産です。

一時,狂牛病との関連でアメリカ産牛肉の輸入は減りましたが,今は復活しています。

最近,改めて輸入牛肉に含まれる残留ホルモン剤や抗生物質の健康被害が注目されています。

たとえば,『週間文春』の2012年11月22,29日号は二度にわたって奥野修司氏が,特にアメリカ産牛肉
の危険性について以下の3点指摘しています。

第一,アメリカ産牛肉には肥育に使われた女性ホルモン(エストロゲン)が高濃度で残留している。

第二に,牛肉消費量の増加にともなってホルモン起因のガン(とりわけ乳ガンなど)が著しく増加しており,
日本もこれはアメリカでの傾向をたどっている。

第三に,高濃度の残留ホルモンは,男性の前立腺ガンや精巣ガンを増加させている可能性が極めて高い。

ここで,補足しておくと,ここでいう「ホルモン」とは正確に言えば「ホルモン様物資」で,体内で作られる天然
のホルモンと同じではありません。

しかし,体内にはいると,女性ホルモンと似ているので,体は女性ホルモンとして認識し,その作用が発動します。
この意味では「環境ホルモン」と同じです。

厳密な意味で,アメリカ産牛肉の消費と上記の現象との因果関係が裏付けられているわけではありませんが,

かなりその可能性があることは確かです。

思春期以降の生殖年齢になると体内に女性ホルモンが多量にあるのでそれほど問題はありません。

しかし,それ以前と閉経後に外からホルモン様物質が入ってくると体は大きな影響をうけます。

日本では更年期障害の治療に女性ホルモンを補充する治療法がありますが,これが乳ガンや子宮ガンのリスクを
高めることは知られています。

とりわけ深刻なのは,女児の場合です。

人体実験はできませんが,人間で言えば10才に相当するマウスによる実験ははっきりと,ホルモン剤の障害を
表しています。

性的に未熟なときにエストロゲン様物質を与えると生理が始まったとき,周期が乱れたり発情期が増えるのに卵を
作る能力が落ち,
不妊の原因になった事例もあります。

さらに,北海道対がん協会細胞診ゼンター所長の藤田博正医師によれば,骨が伸びる先端部分(骨端線)は,
男女ともに思春期に多くのエストロゲンにさらされると,ここが閉じてしまいます。

藤田氏は,50年前の日本人は,男18才,女16才まで身長が伸びていたのに,現在は2才早く成長が止ま
っている,と指摘しています。

食肉に含まれるホルモン剤の影響が世界で注目を浴びたのは,1985年のことでした。

この年,プエルトリコで3000人の乳幼児(女児)で,初潮が早まり乳房が膨らむ,という現象が起きました。

また,イタリアやフランスでもホルモン剤が残留する肉を食べた幼児の初潮が早まったり,体毛が生えてくるなど
の症状が確認されました。

EU(ヨーロッパ諸国連合)はただちにこの問題の検討を始め,ホルモン剤はガンを発生させる危険性があるとの
結論に達しました。

そして,1989年にホルモン剤を使用した肉(実際には米国産)の輸入を禁止しました。

これに対してアメリカは,ホルモン剤は人体に影響しないとの主張を譲りません。

アメリカはEUからの果物の輸入に100%の関税をかけるなどの報復措置をとりました。

その一方で,ガットなどの国際機関に,この輸入禁止措置が自由貿易の原則に反すると提訴もしました。

アメリカにとって,牛肉産業は単なる輸出品以上の政治的意味合いをもっているのです。

提訴の結果は,一定の範囲内の量ならば輸入禁止は妥当ではないということになりました。

しかし,ホルモン剤不使用として輸入した米国産の牛肉をEU側が検査したところ,
20%ほどの肉からホルモン剤(エストラジオール17ベータ)が検出されました。

こうして,EUは結局,米国産のホルモン剤を使用した肉の輸入禁止を貫いています。

EUのこうした姿勢は,国民の健康を守るという強い意志が伺えます。

日本でも,当時,専門家が検討し,ホルモン剤とガンの因果関係をあるていど認めています(『畜産情報 
月報, 2002年4月』。

しかし,厚労省は,低容量の残留ホルモン剤の場合には輸入を認めています。

現在日本は,米国産の牛肉は狂牛病の検査は行っていますが,ホルモン剤に関しては事実上ほとんど行っていません。

本当に国民の健康を守るなら,EUのように厳格にチェックすべきでしょう。

ところで,アメリカはなぜ,ホルモン剤を使うのでしょうか。

主なメリットは,牛の性格が穏和になる, 成長が早まる,肉が軟らかくなる(時にオス牛),肉の量が増える,
などです。

イリノイ大学のエプスタイン教授は,「牛1頭あたり牛肉の生産量が50ポンド(22.5キロ)増加し,利益が
10%アップする」と述べています。

つまり,ホルモンの使用は,企業利益を優先して健康を犠牲にしているのです。

抗生物質は,畜舎に牛を密集させる肥育すると,一旦,感染症が発生すると,次々と牛が感染してしまう可能性が
あります。

そこで,餌の中に抗生物質を入れるのですが,これを常時食べていると,いざ抗生物質の本来の出番がきても効果が
薄くなります。

幼いときに米国産牛肉を使ったハンバーグの味が舌と脳にしみついてしまった子どもを作らないためにも,是非,

日本政府もEUのようにアメリカの圧力に負けず,輸入制限か禁止して欲しいと思います。



(注)この記事を書くために,上に示した『週刊文春』の記事の他に,以下のインターネットサイトを参考にしました。
参照うあいずれも2012年12月20日です。

http://soudan.main.jp/sion28.html

http://lin.alic.go.jp/alic/month/fore/2002/apr/top-eu02.htm

http://www.sweetnet.com/milk.htm

http://www.mhlw.go.jp/topics/0106/tp0601-2a.html


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