富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

石見銀山から学んで来ました

2005年12月04日 22時56分40秒 | 世界遺産伝道師協会
朝、暗いうちから動き出して、羽田空港を8:25のJALで出雲空港へ、着陸寸前す
ごい雷が翼のところで光り、轟音と衝撃があり機体が不安になるほどであったが、無
事着陸。

レンタカー3台で出雲大社へ、沿道の家並みを見ると家のつくりに特徴がある、棟の
瓦が両端が高くなる屋根を持つ、瓦は光る黒と茶の瓦だ。大社では時間をかけて大社
つくりの社殿と取り巻く環境を見て、昼食は「そば処かねや」で出雲そば。阿国の墓
に詣で大田市役所へ向かう。

大田市役所で石見銀山課の方から石見銀山の説明を受けた。「世界遺産として考える
視点の重要さ」を強調された。それは、世界遺産として遺産を語るとき、人類の遺産
としての普遍的な価値をしっかりと語ることが不可欠だということだった。

島根県教育庁文化課世界遺産登録室発行のパンフレットは(石見銀山遺跡がもつ顕著
な普遍的価値は、次の3点です)と始まり1、世界的に重要な経済・文化交流を生み
出した。2、伝統的技術による銀生産方式を豊富で良好に残す。3、銀の生産から搬
出に至る全体像を不足なく明確に示す。という見出しになっています。

富岡製糸を語るとき、世界遺産としての”普遍的価値”と養蚕・製糸・織物の遺産が
システムとして残っていることを明確に伝えていかなければならないということを改
めて確信した。石見銀山も昔と説明の視点がか変わらざるを得なくなってきているこ
とを聞いて、富岡製糸場も、県外・世界からきた人々には材木はどこから持ってきて
云々の話だけでない語り口が必要なことを痛感し、伝道師が取り組んできたパワーポ
イントCDによる視点の大切さを再確認することとなった。

石見銀山課の職員の方の案内で沖泊まりを現地見学。銀の積み出し港、北前船の寄港
地。鼻ぐり岩や神社、城跡などがあり、往時をしのばせる静かな集落が残る。温泉津
温泉(「ゆのつ」とは「温泉のある港<津>」の意)は重要伝統的建造物群。内藤豪
商屋敷をはじめ江戸時代から明治・大正・昭和の建築で街並みを作っている。地割は
間口が狭く奥に長い江戸時代の姿が残り、町屋造りの屋敷には中庭に井戸が残る。日
蓮宗の寺には北前船に関連した商人たちの珍しい様式の墓が多く残る。整備・活用の
工夫はこれからのようであるが。電線の埋設、家並みの整備が進めば温泉を伴う良い
伝建群になる。担当者は「下駄を履いた人が歩く街にしていきたい」と夢を語ってい
た。

石見銀山観光ボランティアの会のお二人に案内され、龍源寺間歩(坑道のことを「間
歩」という)の見学に向かう、途中、鉱夫たちの元締めをしていた高橋家を見ながら
歩く。史跡になっている間歩は狭く細い手掘りの坑道が続く。照明があり、出口には
江戸時代の鉱業の姿が展示されている。佐毘売山神社、清水谷製錬所跡などを見て、
林道の建設を中止したガタガタ道を仙の山に登る。途中、見晴らしのいいところで、
「ここから見えるところはバッファゾーン」といわれる景色を見る。石見銀山はいく
つかのコアゾーンをバッファゾーンの広がりで結びつけて1つの世界遺産候補地域を
作り上げている。

鉱山地区も、消火栓・電話ボックスなどが景観に適合して何気なくおかれ、見学者は
自然の中に溶け込んだこれらの施設に特に気を止めずに見過ごせるような形になって
いた。

大森地区の重要伝統的建造物群を見る。重伝建に指定される前から、町の住民すべて
が文化財保護委員になっているという町である、。街並みに合わせて各家の郵便受け
や自動販売機までけばけばしくなるようなものは、工夫され町のに溶け込ませている。
ここも電線などを埋設することで良い町になることでしょう。「群言堂」という店が民
家を活用した近代的な店に工夫しているが、もっと泥臭い活用法もあるのではないだ
ろうか。地元の人たちは、外の資本・人間が入り込んできて旧来の町の人々の繋がりが 
壊れていくことを心配している所もある。旧代官所を活用した資料館もあった。資料館
の本格的な活用もこれからの課題に感じた。

石見銀山観光ボランティアガイドの会の会長さんからは、大切なことを具体的に色々
教えていただいた。また、現地での二人のガイドさんによる地元を愛し、大切に考え
ながらの心温まる、また、しっかりした視点でのガイドは素晴らしかった。自分たちも聞いてくれる人に感動を与え、喜んでいただける伝道活動を継続しなくては・・と改めて思いつつ。富岡製糸場を暫定リストに載せるのを実現しなければと心に決めて、帰路に着いた。

コメント (5)
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