きょうの午後は急に出張へいくことになり、3か所を回りました。
いっしょに行ったHさんはこの春に異動になった人で、顔が広いので、いろんな人を紹介してもらいました。 3つめの仕事が終わってから、「ちょっと挨拶に寄って来るから待ってて」と言われて、駐車場の車の中で待っていました。
こういうこともあるかなと思って、補助バッグに入れてきた、きのう買った『NHK短歌6月号』を出してきて読んでいました。 おもしろいページがたくさん。
まず、いちばんに「えりこ日記」を読みます。 買う前に立ち読みしましたが、もう一度落ち着いて読みました。 心のうごきがリアルに伝わってきて、いっしょに泣きたい気持ちになりました。こんなふうな気持ちになるのは、錦見さんの筆力だなと思いました。 さりげなく書かれてあるけれど、やっぱり巧いと思うのです。
それから、インテリアのアンソロジー(これも錦見映里子選)を楽しく読みました。 個人的には高安さんの北窓のミシンの歌が好きなので、これが採用されていて嬉しくなりました。それから、キャラメルの函で作ったエッフェル塔とか、絵ぶすまとか、把手(ノブ)とか、狐の土鈴とか。 なんだかインテリアっていっても選ばれる対象が個性的で楽しいなぁと思いました。 制作順とかじゃないところもよかったと思います。
そして、ジセダイタンカに浅野大輝さんの作品とその隣の頁には浅野さんが選んだ「リスペクト・ブックス」の紹介がありました。 紹介されていたのは笹井宏之さんの『えーえんとくちから』。
そういえば、あんなに好きだったのに最近笹井さんの本を読んでいないなぁと思い、また読んでみたくなりました。
・ゆふやけにのびゆく影の人型のそのさみしきを一心に曳く
「はるけきほのお」 浅野大輝 より
びよーんと足元から伸びている影が見えてきますね。 短歌作品のあとに置かれた短いエッセイ。
「・・・・人と出会うために短歌を続けているわけではないけど、短歌を続けていなければ出会えなかった人たちが、今僕の身の回りにいる。そのことがぼんやりと明るい。」
ほんとうにそうだなぁと思います。 短歌をやっていると、人と出会い続ける。 「短歌をやっている」という一点だけで、クリスマスに画用紙を折って作った人形がつながるカードみたいに、ひろげてみたらすてきな模様になっている、そんな感じかなぁ。
きのう、録画していた「短歌で胸キュン」を観て、ひとり大笑いしていました。 なんだろう、あのおもしろさは。 佐伯裕子さんの持つ温かくほのぼのした空気が、画面から伝わってきて、楽しいのでした。 あの番組をおもしろがっているのは数人だと思って黙っていて、おずおずとうちあけたら「あれ、私も大好き!」という人がいたりして、胸キュンファンが増えてきているのも嬉しいことです。短歌をやっていなかったら、あのおもしろさにも出会えなかったんですね。