鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

梅見月図鍔 古赤坂 Ko-Akasaka Tsuba

2016-02-24 | 鍔の歴史
梅見月図鍔 古赤坂


梅見月図鍔 古赤坂

 梅を家紋の図案として採り入れた例では先の加賀前田家が有名。前田家のは梅鉢紋。
 ちょうど今頃の季節…、というか昨日の帰り道、ふっと気づいたら東の空に大きな月があり…もちろん梅が満開。月に照らし出された梅花に、しばし見とれてしまった。このような経験は多くの方がお持ちと思う。確かに寒い頃だが、日本ていいなあと感じるのも今の季節である。でも、梅に合うのは三日月のようだ。昔から梅に添えられる月と言えば三日月。写真の鍔は、赤坂でも初、二、三代の頃まで時代の上がる作。簡潔な陰影が美しい。

家紋散し図鍔 加賀 Kaga Tsuba

2016-02-24 | 鍔の歴史
家紋散し図鍔 加賀


家紋散し図鍔 加賀

 加賀後藤であろう、上質の赤銅地高彫金色絵の、豪壮で華麗に家紋を構成した鍔。透かしが三ツ巴、耳には菊、五三桐、梅鉢、梅花の各家紋を配している。全面に波を地文として施し、巴に葉毛彫で梅と松葉を彫り表わしている。いずれも家紋を際立たせるための地文という位置付け。漆黒の赤銅地に金の家紋が浮かび上がり、透かしの空間も永遠の動きを暗示している。この鍔に関しては、加賀前田家の武士が用いた家紋と考えて良いだろう。文様美を突き詰めたものだが、確かに武家の美意識が備わっている。