鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

這龍図三所物 後藤乗真 Joshin-Goto Midokoromono

2011-12-14 | 鍔の歴史
這龍図三所物 (鍔の歴史)



這龍図三所物 後藤乗真

 後藤宗家三代乗真。大振りの作風、小柄笄などでは画面をはみ出して金の小縁にかかるほどの図柄も多い。戦国時代を生き、自らの領地を守るために太刀を手に戦場に出、矢を受けて戦死した人物と見れば、単なる金工として以上の存在を感じるであろう。打ち出し強く肉高く、切り込み深く、後藤家の作風の一つに「山高く谷深く」の謂いがあるのだが、その言葉通りの作風である。
 表現技法は、金の地板を裏面から打ち出し表面に打ち込みを施して塑像の原型を作り、さらに表面に鏨を切り込んでその痕跡を生かした身体と顔、その表情などを造りだす。それが故に、目貫の裏面を観察すると、意外にも金板が打ち伸ばされて薄いことに気付く。これが時代の上がる作品の特徴の一つ、見所であり、後藤家に限らず、古金工や古美濃の目貫にも同様のことが言える。目貫の端部を鑑賞されたい。十四代揃いになる三所物の一。


倶利迦羅図笄 後藤乗真

 不動明王の化身体である剣に巻きつき、これを呑み込まんとしている龍の姿を捉えた作。画面からはみ出して金小縁にまでかかっている大振りの紋が特徴。打ち出し強く量感があり、ふっくらと肉高く、迫力に満ち満ちている。赤銅魚子地に金紋高彫据紋。