七宝散図鐔 畑直鏡
七宝散図鐔 畑直鏡作
直鏡が七宝象嵌を施した鐔を遺している。どうやら注文作であったようで、注文主の名前が天羽正直と刻されている。下地はまさに信家写し。土手耳に仕立てた撫角形の造り込みの全面に鎚の痕跡を残しており、焼手を加えたものであろうか土手耳にはそのまま打返耳のように変化がある。十字に薄肉に彫り、桜花と亀甲文をやはり薄肉に表現している。これに色鮮やかな七宝を散らし配しており、何とも素敵な鐔面となっている。古作と近代的な美観との妙な融和がある。信家と同時代、あるいはわずかに時代が下った頃に活躍したと考えられている金工に、七宝を巧みとした平田道仁がある。桃山頃の道仁と信家の接点を、このような後の金工が実現したと考えれば、それも面白い。83.2ミリ。
七宝散図鐔 畑直鏡作
直鏡が七宝象嵌を施した鐔を遺している。どうやら注文作であったようで、注文主の名前が天羽正直と刻されている。下地はまさに信家写し。土手耳に仕立てた撫角形の造り込みの全面に鎚の痕跡を残しており、焼手を加えたものであろうか土手耳にはそのまま打返耳のように変化がある。十字に薄肉に彫り、桜花と亀甲文をやはり薄肉に表現している。これに色鮮やかな七宝を散らし配しており、何とも素敵な鐔面となっている。古作と近代的な美観との妙な融和がある。信家と同時代、あるいはわずかに時代が下った頃に活躍したと考えられている金工に、七宝を巧みとした平田道仁がある。桃山頃の道仁と信家の接点を、このような後の金工が実現したと考えれば、それも面白い。83.2ミリ。