鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

雲龍図目貫 後藤宗乗 Sojo-Goto Menuki

2011-12-13 | 鍔の歴史
雲龍図目貫 (鍔の歴史)



雲龍図目貫 後藤宗乗

 初、二、三代までの作品に銘はない。代が下がって以降も在銘作は少なく、多くは作行からの極めである。製作された時代背景からの時代観も極めの上で考慮される。即ち重要視されるのは図柄や付随する文様などのほか、時代による造り込みの特徴である。
 二代宗乗と極められた作品は、初代のそれに比較して多い。初代の補佐をして少なくとも初代と同時代を生き、先代のほとんど総てを見ており、それに独創を加味する社会的意識は低い時代であったわけで、それでいて無銘。即ち、二代極めでも初代の作品があると考えて良い。その逆もあるかもしれない。初代の補助をしていた二代の作とはそういうものである。三代に至って特徴が大きく現われている。四代にも特徴がある。初二代の極めの線引きは頗る難しいと思う。初代作と極められている険しい顔付きの獅子図があり、それが初代の典型であり、それからはずれた作は総て不可と見る方もおられるが、初代とて作風に変化があるはず。初二代をどこで分かつべきか、作者意外に誰にもわからない。
 なんて優れた意匠であろうか、典型的な目貫の意匠を下地に雲を添えただけだが、迫りくる何ものかがある。金無垢地容彫。□