波龍図鍔 政知
波龍図鍔 銘 長陽群龍亭静壽翁政知行年七拾貮歳己酉初夏彫之
老いてもなお鏨使いに衰えをみせぬ名工岡田政知(まさとも)の、実は没した年の作品。政知は嘉永二年に天寿を全うしている。鐔の耳際を帯状に縁取りし、内側には荒波を肉彫地透の手法で印象的空間として描写、耳際に雨龍を薄肉に彫り出している。大海原を波立たせ、突然に天空高く立ち昇る竜巻こそ龍神の本質とみたものであろう、波と龍の取り合わせになる図は頗る多い。
耳を掛軸の縁のように演出する美感は、明らかに文様化の中から生じたもの。そのように眺めると、波のみの描写も現実世界の文様表現であることが理解できる。
波龍図鍔 銘 長陽群龍亭静壽翁政知行年七拾貮歳己酉初夏彫之
老いてもなお鏨使いに衰えをみせぬ名工岡田政知(まさとも)の、実は没した年の作品。政知は嘉永二年に天寿を全うしている。鐔の耳際を帯状に縁取りし、内側には荒波を肉彫地透の手法で印象的空間として描写、耳際に雨龍を薄肉に彫り出している。大海原を波立たせ、突然に天空高く立ち昇る竜巻こそ龍神の本質とみたものであろう、波と龍の取り合わせになる図は頗る多い。
耳を掛軸の縁のように演出する美感は、明らかに文様化の中から生じたもの。そのように眺めると、波のみの描写も現実世界の文様表現であることが理解できる。