稲村亭日乗

京都の渓流を中心にルアーでトラウトを釣り歩いています

霊松寺の山門 安達住職の気概を今に

2018年11月02日 | 
 旅行最終日。
 山の中にある霊松寺(長野県大町市)を訪ねた。

 駐車場から寺に向かって坂道を下ると鮮やかな紅葉が見えてきた。

    

 イチョウの黄、ドウダンツツジとモミジの赤、そのみごとな対照。

    
 
 もっともこうした紅葉は京都の社寺でもよくみる。
 つくられた紅黄葉の対照の美しさで、ぼくはさほど好きではない。

 境内には山門(嘉永5年建立)がある。

    

 木材の帯びた丸みが長い年月を物語る。

 ただ、山門は一般に寺の入口でよく見るが、
これは敷地の中ほどにポツンと立っており、両脇には何もない。

    

 住職の説明があった。

 明治初期、廃仏毀釈の嵐が吹き荒れたとき、当時の住職 安達達淳(あだち たつじゅん)が
松本藩の圧力に屈することなく、その後謹慎処分を受けつつも寺を守りぬいたらしい。

 また住職は中央政府のところまでも足を運び、
廃仏毀釈の誤りを訴えたというから気骨のある人だったのだろう。

 この山門は、同じく廃仏毀釈で廃寺とされた松川村の
観勝院で解体されたものを買い取り、ここに移築したものであるとのこと。

 安達住職の見識の高さがしのばれる。

    
      ( 庫裏からの眺め )
 この事件により、全国でたくさんの文化財を失ったと聞くが、残念なことだ。

 思うに当時、安達住職のような気概をもって
新政府の圧力に抗った宗教者たちも少なからずいたのだろう。

 今も残る文化財のうちにはそうした人々からの後世への「贈り物」も多いはず。

 この人々の功績をいつまでも記憶にとどめておきたいものだ。

    
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