とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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ミャンマー大冒険(85)

2006年08月23日 21時45分31秒 | 旅(海外・国内)
スイカを買いそびれたのは、実に残念であった。
というのも、スイカを買いそびれたことによりすっかり忘れていた朝食抜きの空腹感が蘇ったからであった。
そこで、未開封であったマンダレーのホテルが用意してくれていたブレックファースト弁当の箱を開けて食べることにした。

荷物を置いている一階の客席へもどり、弁当箱を開封した。

「なんじゃ、こりゃ?」

私はどんなものが入っているのかちょっとは気になっていたのであったが、弁当箱を開けてビックリした。
そこにはトーストが一枚。小さなプラスチックに入ったマーマレードとバターがそれぞれ一個。小さな容器に入ったサラダとウインナー。そしてミカンが入っていた。

「Tさん、これ一人分ですね」
「...................。」

ということで、何を勘違いしたのかホテルが用意した弁当は一人分しかなかった。
そこで私はTさんと「半分こしましょうね」と提案したのであったが、例によって「一つしかないのに私が食べるわけにはいきません」と頑固にきかない。
仕方がないし、私は腹が減っていたので弁当は私一人で頂戴し、今日は早めの昼食を取ることにしたのであった。
私はTさんが日本の多くの女性と同じように朝食を抜いたり、スナック程度のものしか食べないということを聴いていたので、私と旅行中はなんとか食べさせようと努力しているのだ。
なんといっても朝食はその日のエネルギー源。
超保守的思考を持つ私としては、朝はなによりもみそ汁に漬物、そしてメザシの一匹(他の魚でもよい。但し肉類は不可。トーストにベーコンなど、夷狄の食い物である。などと私は思い込んでいる)と暖か~いご飯、というのが定番なのである。
まさかミャンマー人のTさんに「みそ汁とご飯」というわけにはいかない。
それでも健康のためにも朝食は絶対に食べなければならいというのが私流なのであった。
(なおミャンマー人は「みそ汁」が大の苦手である)
ともかくホテルのマヌケな対応に少々憤りながら、ま、しゃあないか、と思い込むことにした。

昼食までの間、例によって船首のデッキで手摺りに捉まって景色を眺めていた。
そこでは数人の白人の旅行客がデッキに座り込み船の壁にもたれかけ読書をしていた。
その読書をしているなかの一人は極めてゴッツイ体形をした白人女性であった。

白人や黒人の中には驚くほどゴッツクしかも風船のような体形の人がいるが、あれは食生活のなせる技だろうか。
それとも遺伝的体質なのか、日本ではめったにお目にかかれない。
いや、日本だけでなくアジアでも見かけることは稀である。
ともかく、こういう質量の大きな人が船首のデッキにいたりすると船が重みで前かがみになって水抵抗が増加し、バガンへの到着が遅れてしまいそうな気がする。
こういう人たちはむしろ船尾のデッキに乗っていただけると、船は水中翼船のごとく船首を上に向けむず抵抗が少なくなるのではないだろうか。
と、しょーもないことを考えているのであった。

ところで、どうして読書なのだろうか。
本など自宅やホテルなどで読めばいいではないか。
この雄大なエヤワディ川の景色を眺めずしてなんとする。
しかし、白人の旅行者は読書を貪ったり、一脚レンタル料2000チャットの白いチェアに横たわり昼寝を貪るなど理解に苦しむスタイルをとっている。

時々白人共の休暇を楽しむスタイルを羨むヤツが日本人のなかにいるが(私)、とんでもない話だ。
白人共は、他の文化を見下げ(有史以来、一般的にキリスト教以外の文化は「文明ではない」とされている)アジアで質素な暮らしを営んでいる民族のことを馬鹿にする風潮がある。
しかし、書籍の誌面に視線を落とし、この壮大な景色を見逃している神経を、見下げられるはずのアジア人の私は少しく気の毒に思うのであった。

つづく


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