とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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ミャンマーレポート2007(6)

2007年07月16日 16時03分59秒 | ミャンマー旅行記・集
写真:広大な聖地「シュエターリャウン」


モンユウという街は未だ観光地として開発の進んでいるところではない。
まず、その地理的位置が辺鄙なことが災いしている。
距離的にはミャンマー第二の都市、旧都マンダレーと世界三大仏教遺跡の一つバガンの街の中間に位置しているのだが、道路事情が良くないためにメインのコースから外れてしまっている。

それに暑い。
ミャンマー中部の乾燥地帯を代表するこの地方は、最高気温が40度を越えることも少なくなく、エアコンを搭載している観光用のチャーター車でも、時折休憩をとってやらないとオーバーヒートしてしまう恐れもある。

このような過酷な環境の街にどうして私が行こうと思ったのか。
その理由は「地球の歩き方」のページの隅に載っていた小さな写真だ。

それは建設中の巨大な仏像の写真で、このような「辺鄙」なところに、こんな「凄い」仏像があるとはなかなか想像できなかったからなのだ。
ミャンマーの大地に、その仏像はどのように建ち、どのようなお姿をしているのか。

見てみたい。

それがモンユウという街に心を魅かれた最大の理由だった。

サガイン市で昼食をとり、約二時間ほどデコボコの国道を走ると、運転手は標識も何もない所で脇道に入った。
脇道はデコボコのアスファルト舗装もない土ぼこりの舞う未舗装の道路だった。
この未舗装の道路をしばらく走ると右手前方に巨大なお釈迦様の立像が見えてきた。
目標としていた仏像であった。
シュエターリャウンという仏教系新興宗派団体が管理する広大な敷地に、その仏像は聳えていた。

思わず立ちすくんでしまうのは建設中の高さ176メートルの仏像だけではない。
この仏像の周囲には数々の巨大な仏像やモニュメントが作られていた。
全長数百メートルの寝釈迦像。
鎌倉の大仏様の10倍はありそうな座像。
そしてこれらを取り巻く無数の修行僧像。
西欧のエッセンスが加えられたとおぼしき僧院の建造物。

木々も乏しい痩せた丘陵地帯。
そこに点在する新たに造成された聖地、シュエターリャウンは大々的に日本に紹介されることがほとんどない。
テレビの紀行番組で採上げると、有名なゴールデンロックと並ぶミャンマーの有名観光地として人々の心に触れることは間違いない。

それにしても理解に苦しむほど奇っ怪な景観なのだった。
そう。
聖地とは言え、なにか清らかなものが漲っているというよりも奇っ怪な光景だったのだ。

しかし、酷暑の中を汗を流しながら歩いているとこの場所に、このような広大な仏教聖地を切り開いた僧侶の心も分るような気がしてきた。

私たちがここに到着してから土産物を売る売り子の子供や女性が十人近く束になって付いてきたのだ。
彼女たちは近隣の村の人たちで、ここを訪ねてくる観光客や参拝者に土産物を売り、生計の足しにしているのだ。
つまり、この聖地がなければ、彼女たちはモンユウ近郊の痩せたこの土地を耕し、想像以上の苦労をして家族を養って行かなければならない。

見るからに豊かとは思えない彼女たちの姿を見ていると新興宗派とはいえ、このミャンマーという国での上座部仏教の役割はどこへ行っても変わらないことを痛烈に感じたのだった。

つづく


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