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とりがら時事放談『コラム新喜劇』



まもなく愛知万博が始まる。
大阪万博を知らない知らない世代にすれば、かなり楽しみなイベントらしく、会社の部下のA君なんかは「万博、行きたいんですけど、混んでますかね。」と今から心配している。
彼女とのデートに万博は手ごろなイベントといったところ。
大阪から新幹線でも近鉄電車でも自動車でも、片道数千円でいけるイベントはそう多くはない。

ところでA君は大阪万博はもちろんのこと、沖縄海洋博も知らない1981年の生まれ。
この1981年に、開催された博覧会が博覧会ブームの先駆けとなった「神戸ポートピア博覧会」だった。
当時、神戸の発展は上り坂の一本調子。
ポートピア博覧会も神戸市中央区沖に造成されたポートアイランドという埋め立て地のお披露目パーティの意味合いを持っていた。
この博覧会へ夏休み中にたった一度だけ、行ってみようとJR三宮駅を下車すると、会場へ向かうポートライナーの乗り場へは長蛇の列ができていた。
「乗車まで三時間待ちです。」
とのアナウンスにたちまちひるみ、せっかちの私はポートアイランドまで歩くことにした。
今は月に何度かポートアイランドにある得意先の事務所を訪問するが、ポートアイランドにかかる橋を渡るたびに「よく、この距離を歩いたもんだ」と感心しする。それほど長い距離を歩いたのだ。
驚いたことに、歩いていたのは私だけではなく、ポートライナーに乗るのを諦めた無数の観客がポートアイランドを目指して歩いていたのだった。
大阪万博から11年。その間、話題になるような博覧会は遠い沖縄の山原地方で開催された海洋博だけだった。イベントの欠乏に目を付けた神戸市の目論見ズバリとあたり、想像以上の人気を呼んだのだろう。

当時の神戸市は打ち出す政策が次々とヒットして、マスコミは「株式会社神戸市」などと呼んで持ち上げた。
赤字の自治体が多いなか、神戸市だけは順調に成長し、運営されていると思われていた。
時はバブルにさしかかる数年前。国内の雰囲気も悪くなかったのだ。

かつて株式会社とまでもてはやされた神戸市も今は昔。大ヒットの博覧会を企画する能力もどこへやら。華やかさだけが欲しいのか、地震のどさくさに紛れて企画したのが「神戸空港」。
ポートピア博覧会は十数年ぶりの博覧会でヒットをしたが、こちらはどこへ行っても空港だらけの関西地方。
当の市民がその必要性を認めないというのも頷けるのだ。
私の顧客、大手運送会社のN社の社員も言っていた。
「神戸空港なんて、なんのメリットもありませんよ。」と。
神戸からなら関西空港も大阪空港も1時間以内で行くことができる。
空港建設地のすぐ隣のポートアイランドはマンション、団地が立ち並ぶ住宅地。騒音対策も大いに疑問だ。
まさか地元土建屋を喜ばすための政治家先生、公務員のサイドビジネスじゃあるまいな。

空港造ったのは良いけれど、株式会社神戸市倒産で、ポートアイランドまで歩く羽目にならないことを祈るばかりだ。

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