とりがら時事放談『コラム新喜劇』

政治、経済、映画、寄席、旅に風俗、なんでもありの個人的オピニオン・サイト

国民がボクをいじめるぅ

2005年03月06日 19時09分13秒 | エトセトラ
イギリスのチャールズ皇太子が、長年の愛人関係にあったカミラ女史との婚約を発表した。
やはりと言うか、当然というか、英国民からの評判は芳しくないらしく、マスコミを中心に「果たして英国王になるための素養が備わっているのか、いないのやら」という、皇太子の人格にクエスチョンマークを灯す論調が大きくなりつつある。
その批判的な記事を目にした皇太子が「国民がボクをいじめるぅ」と侍従に漏らしたという記事が新聞に掲載された。
翻訳のやり方次第でいろんな印象を与えることができるが、これではまるで、なんだか志村けんが得意とするところの○○殿の雰囲気が漂ってしまう。しかし、今のチャールズ皇太子の生活態度を見てると、英国民でもない私までが、妙に「ぴったりしてるな」と思ってしまうのは致し方ないだろう。
皇太子は再婚式を市の公民館で執り行うと発表し、「............私。出ません。」と母である女王陛下にまで匙を投げられたのだから当然といえば当然だ。
こうまで評判が悪いのは、やはり故ダイアナ妃が皇太子以上に国民の人気を集めていのも原因だ。
皇太子のご成婚のパレードは、当時高校生だった私の目にも、とても華やいだものに映ったものだ。ダイアナ妃の笑顔をテレビで拝見し、「なんて知的で美しい人なのだろう」と、しばしぼう然と見つめたものだった。そして現実に皇太子妃としての社会活動は、容姿に劣らぬ素晴らしいものだった。
日本人の私がそれだけ感動したのだから、当の英国民にとっての感動は想像するに余りあるものがある。
それだけに、ダイアナ妃にも私生活批判がありながら、皇太子への風当たりが強くなるのも当然なのだ。
このイギリスのお友達とは対照的なのが我が皇太子だ。
「何があっても、あなたを守ります」というプロポーズの言葉をそのまま実行され、妃をかばう姿が、多少の非難もありながら国民の支持を集めている。ちょっと父の天皇陛下と仲が悪そうなのが玉に瑕だが。

さて、この世には皇室や王室でもないクセに、まわりからチヤホヤされ続けてわがまま放題に育った人たちがいる。
たとえば小学生の頃から小遣いなんと月百万円。高校生になったら自宅の地下室で大麻パーティや女友達との乱交を楽しむ有名な女優の息子がまず思い出される。
最近もタクシーの運転手を殴り飛ばし、駆けつけた警官までにも暴力を振るって公務執行妨害で逮捕された襲名披露したばかりの歌舞伎役者の息子なんかが、そういうやからの代表だった。
こういう人たちのことを大阪ではその上流家庭の格に合わせて敬意を込めて「あほボン」と呼ぶ。
このあほボンの代表が、先週半ばに逮捕された。
あほボンの名前は堤義明。西武グループに君臨してきた惣領で、一時は世界一のお金持ちとも呼ばれていたこともある「文化人」で「資本家」だ。
逮捕された原因がケッサクで、その罪状なんと「詐欺行為」。
これだけ地位も金もある有名人が「詐欺」で逮捕されるとはなんとも情けない話だ。かの就職情報誌の創業者も、北国を地盤にしていたアホの坂田似の政治家先生も「詐欺」で逮捕されることはなかった。
まさかご本人も「詐欺師」扱いされるとは夢にも思わなかったことだろう。
この堤義明は父の残した家訓をルールに会社を運営。そこに今回の事件の滑稽さがにじみ出ている。世界一の金持ちは家訓のほうが社会のルールより正しいと思っていたような、あほボンだったのだ。
かつてリーグ優勝を果たしたライオンズの監督に「もう一年。やりたければ、やりなさい」と言った傲慢な態度も、きっと家訓のルールに記されていたことなのだろう。

自分の廻りをロボットのようなイエスマンで固めて、膨大な財産ものをいわせてやりたい放題。その絶対君主の常識が通用しない世界があることを、きっと留置場の檻の中でしみじみと感じているに違いない。
それとも「株を買った国民や他社の経営者がボクをいじめるぅ」とでも思っているのだろうか。
案外、こっちの方がホントだったりして...........嗚呼、情けない。