とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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ここは何処だ、秋葉原

2005年03月24日 20時32分40秒 | エトセトラ
今どき電化製品を買うのにわざわざ東京の秋葉原や大阪の日本橋へ足を運ぶ人は少ないようで、かつて電器の街と栄華を誇った秋葉原も、妙竹林な街に変貌しようとしている。というニュースを耳にして二、三年が過ぎ去った。
しかし実際に秋葉原を訪れてみると、駅前には大きな電器店が軒を並べ、同じような商品を同じような価格で競い合って販売している。つまり、昔と変わらぬ光景が繰り広げられているのだ。
では噂の真相はどうなんだろうと、電器店と電器店の間にある狭い路地へ入ってくと、そこは「オタクの楽園」が広がる別世界だった。

駅前南に立地する古い雑居ビルは電器店は一階だけ。他のフロアにも確かに中古オーディオ店や中古の電子パーツ店は入ってはいるがそれはほんの一部分。他はすべてオタク関係店舗で埋め尽くされていた。
2階にはフィギュアの店や模型店。3階には漫画専門書店。4階にもフィギュアと模型の店が広がっていて、5階は怖くて行けなかった。
フィギュアや模型といってもそんじょそこらのありふれた玩具ではない凄みがある。
2階の模型店はドイツカブリ社製の模型が山と積まれていた。
HOサイズ(1/87scale)のクレーン車や消防車、特殊重機などの模型の箱が店の中央に堆く積まれ、周囲の陳列ケースにはフォークリフトや搬送機器などの、ちょっとやそっとではお目にかかれない模型が展示販売されていた。
ここだけが「なかなかユニーク。ちょっと買ってみたい」と私に思わせる店だった。
3階の漫画専門書店では、一般漫画はもちろんのこと、ちょっと危ない同人誌、かなり危ないエロ漫画、ほとんど犯罪ロリコン漫画が棚を埋め尽くし、暗い顔した陰気な顧客でかなりの混雑だった。
4階のフィギュア店は東大阪に本社のある有名な会社の直営店があった。模型店ではミリタリー系のミニチュアが陳列ケースに所狭しと並んでいた。
電器店ばかりと思っていた1階も、歩いてみればオタクコーナーがちゃんとある。
50センチ四方の透明アクリルケースが所狭しと林立した貸し棚コーナーには、未成年者お断りと書かなきゃだめじゃないかと思わせる、際どいフィギュアや、プレミアつきのミニカーなどが売られていた。

これは聞きしに勝る凄いところだと、呆気にとられ歩いていると、さらに異様なところを見つけてしまった。
秋葉原駅から少し離れたところにあるそのアーケードは入り口に中古のオーディオ店が様々な懐かしのオーディオ機器を並べていた。DATデッキにレーザーディスクプレーヤー、βマックスのビデオデッキ、木製の大きなスピーカーなどなど。
製産が中止になった機器が壊れて、音楽映像ソフトが見られなくなったら、まずはここへきてみるべきだと思っていると、アーケードの奥に視線が向かった。
暗く狭いアーケードは、どこか荒んだ感じがしていたが、なんだか懐かしい感覚に囚われた。
どこかで見たぞ、この景色。
アーケードの一番奥には華僑か印僑がやっている金製品の店がある。ショーケースには赤い毛氈の上に金のネックレスや指輪が並べられている。そしてその隣にはインド人と思しき外国人がインド製衣料や音楽映像ソフトを売っている。流れるBGMもインド音楽。そして香のかおり。
まるでここは、バンコクのヤワラートの中華街、怪しげなカオサンの裏路地、はたまた昼間から酔っ払いがうろつくシンガポールのリトルインディアなどとそっくりではないか。
オタクの街どころか、一部の場所はディープなアジアに変身してしているのだった。
思わず、心の中で叫んでしまった。「ここは何処だ、秋葉原」。