人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

芸劇ブランチコンサートでモーツアルト&ドヴォルザーク「ピアノ四重奏曲第2番」を聴く ~ 郷古廉、佐々木亮、向山佳絵子、清水和音 / 「マイナポータル」から保険証登録を済ませる

2024年06月20日 00時01分04秒 | 日記

20日(木)。豊島区から「令和6年度国民健康保険料決定通知書」が届きました 封書に下のチラシが同封されていました

     

     

「マイナンバーカード」はすでに持っているので安心していましたが、「保険証」として利用する手続きはまだだったことを思い出して、さっそくスマホで「マイナポータル」から登録しました 念のため登録情報が正しいかどうか確認しましたが、間違いなかったので安心しました 何しろ相手が悪名高き「デジタル庁」がらみなので慎重に対処しました

ということで、わが家に来てから今日で3446日目を迎え、自民党派閥の裏金事件を受けて自民が提出した改正政治資金規正法は19日午前、衆院本会議で自民・公明両党の賛成多数で可決・成立した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     政策活動費の領収書公開は10年後だってさ それまで生きてる大物政治家は何%?

 

         

昨日、夕食に「海老の肉巻き」「生野菜サラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 海老は大きめのブラックタイガーを使いますが、柔らかく焼けて美味しかったです

     

         

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート「第48回 念願のメンバーでピアノ四重奏」を聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 K.493」、②ドヴォルザーク「ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 作品87」です  演奏はヴァイオリン=郷古廉(N響第1コンサートマスター)、ヴィオラ=佐々木亮(N響首席)、チェロ=向山佳絵子(元N響首席)、ピアノ=清水和音です

出演者は日本を代表するトップメンバーと言っても過言ではありません そのためか会場は満席です

     

1曲目はモーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 K.493」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1786年に作曲しました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります

4人の演奏で第1楽章に入りますが、気負いのない流麗な演奏で、音楽の流れが自然です 第2楽章以降も同様で、4人による美しいアンサンブルが会場に響き渡ります

いつものように、曲間に清水と佐々木のトークがありましたが、この日の人選は佐々木が「是非この4人で演奏したい」と要望して実現したそうです トークが終わると、郷古、向山の両人が再度入場しましたが、佐々木は弓を交換したいとして、舞台袖に引き上げました なかなか戻らないので、清水が「まさか楽屋まで取りに行ってるんじゃないだろうなぁ」と心配そうな顔をします。が、やがて佐々木が新しい弓を持って登場し、さあ4人で演奏に・・・というところで、今度は次の曲の楽譜を持参するのを忘れていたことに気が付いて、慌てて取りに戻りました 楽譜とともにステージに戻った佐々木の背中は冷や汗でびっしょりだったに違いありません 愛すべき亮さんです

     

プログラム後半はドヴォルザーク「ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 作品87」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)がベルリンの出版社ジムロックの要請により1889年に作曲、1890年にフランクフルトで初演されました 

4人の演奏で第1楽章に入りますが、ピアノと弦楽による丁々発止の演奏が展開します 第2楽章は冒頭、向山のチェロがロマンあふれる演奏を繰り広げます 第3楽章と第4楽章では、ドヴォルザークらしく激しい音楽と抒情的な音楽が交互に現れ、力強いフィナーレを飾りました

     

これだけのメンバーでモーツアルトとドヴォルザークの名曲を2400円で聴けるコンサートは滅多にありません 満席になるのも当然です

いつもなら6月度公演は、10月以降の3回分のチケットを前売りするはずですが、この日はその案内がありませんでした おかしいなぁと思ってプログラムの下の方を見ると、次のような告知が掲載されていました

【東京芸術劇場休館に伴う休演のお知らせ】

「芸劇ブランチコンサート ~ 清水和音の名曲ラウンジ」 ⇒ 8月7日まで開催、2025年10月再開予定。

「芸劇ブランチコンサート ~ 名曲リサイタル・サロン」 ⇒ 9月25日まで開催、2025年9月再開予定。

※再開後の公演内容およびチケット発売 ⇒ 2025年4月にMIYAZAWA&Co.および東京芸術劇場のHPでお知らせします。

なお、東京芸術劇場のホームページには下記の告知が掲載されています

【東京芸術劇場  一時休館のお知らせ】

東京芸術劇場は設備更新工事を行うため、以下の期間休館いたします。

休館期間:2024年9月30日 ~ 2025年7月中(予定)

※再開の詳細な予定については、あらためてお知らせいたします。

ここで思い出したのは、東京芸術劇場を会場としている読響の土曜・日曜マチネーシリーズ公演です

読響では2024年5月~9月公演は東京芸術劇場で開催、2024年10月~25年3月公演は東京オペラシティコンサートホールで開催するとしています 私が会員になっている定期演奏会と名曲シリーズは、ともにサントリーホールが会場なので影響ありませんが、マチネー会員の人は芸劇とオペラシティとどっちが良いのでしょうか 私は芸劇の方が好きです

     

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下野竜也 ✕ 新日本フィル「不思議な納涼コンサート」のチケットを取る ~ これは絶対に面白いぞ! / 阿川佐和子著「アガワ家の危ない食卓」を読む ~ 食に関する抱腹絶倒エッセイ集

2024年06月19日 00時03分39秒 | 日記

19日(水)。8月17日(土)16時からすみだトリフォニーホールで開かれる「不思議な納涼コンサート」のチケットを取りました   長年クラシック・コンサートを聴いてきた私は、「これは絶対面白いに違いない」と直感しました これは「下野竜也プレゼンツ! 音楽の魅力発見プロジェクト」の第11回目の公演で、オーケストラ付きレクチャーコンサートです   出演は管弦楽=新日本フィル、ピアノ独奏=大井駿、合唱=栗友会合唱団です プログラムは下のチラシの通りですが、滅多に聴く機会のない作品が多く、その意味でも貴重なコンサートです チケット代も4500円とリーズナブルです。お薦めします

     

     

ということで、わが家に来てから今日で3445日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は17日、国防省の次官人事に関する大統領令に署名し、自身のいとこの娘、アンナ・ツィビリョワ氏(52)を国防次官に任命したが、国防次官への抜擢は異例である  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     国防省では幹部が汚職で相次いで逮捕されてるから 身内しか信じられないようだな

         

昨日、夕食に「茄子と鶏肉の炒めもの」「生野菜とアボカドのサラダ」「大根の味噌汁」を作りました 「茄子と~」は豆板醤がピリッと利いて美味しかったです

     

         

阿川佐和子著「アガワ家の危ない食卓」(新潮文庫)を読み終わりました 阿川佐和子は1953年東京生まれ。慶応義塾大学卒。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。「ああ言えばこう食う」(檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、「ウメ子」で坪田譲治文学賞、「婚約のあとで」で島清恋愛文学賞を受賞 ベストセラーとなった「聞く力」など著書多数

     

本書は2011年から12年にかけて雑誌「クロワッサン」(マガジンハウス)に「残るは食欲」と題して連載した15編と、その後、雑誌「波」(新潮社)に「やっぱり残るは食欲」と改題して連載した18篇をまとめたものを2020年3月に新潮社から単行本として刊行、それを2022年11月に文庫化したものです

タイトルからも分かるように本書は「食に関するエッセイ集」です 冒頭の「旨いプレゼント」では父・阿川弘之氏のことが書かれています

「2015年に他界した父の口癖は、『死ぬまであと何回飯が食えるかと思うと、1回たりとも不味いものは食いたくない』であった たまたま自分の気に入らない食事に出くわした日には、『1回損した。どうしてくれる!』と本気で憤怒したものだ

こういう父親だからこそ、母親は料理が上手にならざるを得ず、娘も期待されることになります 母親が病気になった時など、娘である佐和子さんが料理を作ることになります 中学生の時の思い出を概要次のように書いています

「母が家を留守にして、私が父のためにご飯を作る羽目になった。私は張り切った 皮付き豚肉ブロックを買ってきて6時間以上かけて苦心の逸品を作り、父親に食べてもらった 父は料理の一かけをちぎって口に入れ、顎を上下に動かして、しばらく味わって・・・と思われたその直後、父は私の顔を見て、ニコニコ語りかけたのである。『よし、明日はなんか旨いもん、食いにいこう!』。それが精一杯の私に対する心遣いだったと、今はかすかに納得できる 露骨に『まずい!』と言ってはなるまい。でも嘘はつけない。はて、なんと言ってこの場をしのごうか、その結果、口から出てきたのは、『明日は旨いもん』だったのであろう

この後、彼女は食材の買い出しから料理の完成まで いかに大変な努力をしたかをとうとうと書き連ね、「『うん、なかなかよくできているぞ。頑張ってくれてありがとう』そんな言葉は一語とて、父の口から発せられなかった」と嘆いています この”事件”は中学生のアガワさんにとって相当ショックだったようですが、気持ちは良く分かります

食に関するエッセイなので、アガワさんが作る料理も登場しますが、中にはすぐにでも作れそうな料理が紹介されています 例えば、

「ニラと豚肉の中華炒めは私の得意料理である 豚バラ肉の薄切りとニラをそれぞれ細長く切って、ニンニク、生姜のみじん切りとともに油で炒めて醤油で味付けするだけ 簡単で、しかもご飯によく合う 同じく豚バラ薄切りと、ピーマン、シイタケ、トマトを炒めた料理も簡単でおいしい

これなら自分にも作れそうだ、今度チャレンジしてみようと思いました

読んでいて「そうだ、その通り」と激しく膝を打ったのは「おまけの勝ち」というエッセイの冒頭の2行です

「晩ご飯を作るとき、何がいちばん面倒かと言えば、献立を考えることである 献立さえ決まれば、その方向にまい進すればいい もっとも、メインの料理が決まっても、その料理に合うもう1品、2品の副菜を何にするか決まらない

この悩みは普段から料理を作っている人でなければ分からないだろうな、と思います 私の場合は週5回夕食作りをしていますが、隔週金曜日を「鶏の唐揚げの日」と決めている以外は、その日に献立を決めているので、優柔不断というか、日和見主義というか、とにかく行き当たりばったりの素浪人のごとしです ただ、心がけているのは主食は肉類(牛、豚、鶏)、魚類、野菜類のバランスを取って日替わりにすること、必ず副食に野菜サラダを用意することです

食べる物以外で面白かったのは「二度使い」というタイトルのラップにまつわるエッセイです

「私はラップを二度使いするオンナである そんな話をテレビのバラエティ番組で他意なく披露したところ、『えー、アガワさんって、一度使ったラップをもう一度、使うんですか?』と司会者に言われた いろいろと説明すると、司会者から、『そこまでケチって、いったいどんだけお金貯めるつもりですか?』と言われ、たちまちガッハガッハとスタジオじゅうに笑い声が上がり、収録は終わった その後、いろいろな人から「ラップ二度使い」の話ばかりされた これほどの反響は、編集者ヤギの話では『ブラジャー事件以来です。ラップ二度使い発言は、それに勝るとも劣らぬ衝撃です!』と言われた

ブラジャー事件というのは、『ブラジャーなんて毎日洗う必要はない。2~3週間に1度くらいでいい」と言ったら、その場にいた5~6人の旧友女子が呆れてのけぞった・・・という事件です アガワさんはなぜラップを大切に使うかについて次のように書いています

「そもそもラップの気持ちになって考えてもらいたい 工場にて、芯にぴっちり巻かれて長細い暗い箱に閉じ込められて幾星霜。ある日突然、箱が開き、光が差し込む。清潔な指先で端をつまみ上げられ、ロールがゴロゴロと動き出す。『じゃ、お先に!』『うん、頑張ってきてね、お兄ちゃん!僕たちもすぐ後に続くから!運が良ければまた冷蔵庫で会おう!』。ラップ家族と別れを告げ、勢いよくシュルンと引っ張り出されてシャッと切断され、いよいよ長男ラップは自立の瞬間を迎えるのだ。よし、活躍するぞ 僕のお役目はいったいなんだろう。まもなく長男ラップは大きなボウルの上に貼り付けられる。下を見ると、マヨネーズで和えられたジャガイモ、玉ねぎ、キュウリ、ゆで卵、人参、おお、リンゴ君もお揃いだ そうか、僕はこの出来立てのポテトサラダをお守りするんだな。ガッテン承知いたしました 野菜の皆さん、お元気ですか。僕がここで膜を張っているかぎり、外部の雑菌や埃は侵入できません。もちろん虫の乱入も阻止します。お皿に移されるまで、どうか安心してお過ごしください。長男ラップはサラダ軍団に声をかけながら、内心でかすかに安堵している。よかった、電子レンジ行きじゃなくて・・・

どうでしょう、この感性 薄くて透明なラップにも物語があるのですね これをラップで歌ったら受けるかもしれません

アガワさんは「文庫本あとがき」に次のように書いています

「芝居やコンサートへ赴くと、会場で待ち合わせた友だちの顔を見るなり、つい声をかけたい衝動にかられる。『終わったら、何食べる?』」

これを読んで、誰かがどこかで同じようなことを書いていたことを思い出しました 正確には、「芝居やコンサートが終わった後、男性はいま観た芝居や いま聴いたコンサートのことを語りたがるが、女性はこれから何を食べようかと考える」という内容です これは男性・女性というよりも、人それぞれだと思いますが、何となく分かるような気もする自分がいます

その「あとがき」の最後の1行は、いかにもアガワさんらしい終わり方で、思わずニヤリとしてしまいました

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ジョナサン・ノット ✕ 東響のR.シュトラウス「ばらの騎士」のチケットを取る / 田原総一朗著「全身  ジャーナリスト」を読む ~ 3人の首相を退陣に追い込んだ男のジャーナリスト3原則

2024年06月18日 01時47分27秒 | 日記

18日(火)。12月13日(金)17時からサントリーホールで開かれるR.シュトラウス「ばらの騎士」(演奏会形式)のチケットを取りました 昨年の「エレクトラ」も、一昨年の「サロメ」も他のコンサート予定が入っていたためチケットを取らなかったので、今回こそはと思っていました 本公演はジョナサン・ノット ✕ 東響によるリヒャルト・シュトラウスの「コンサートオペラ・シリーズ」の第3弾ですが、どうやらこれで完結のようです ますまず聴き逃せません。何しろ歌手陣が凄い 元帥夫人役のミア・パーション、ファー二ナル役のマルクス・アイヒェはじめ世界最高クラスの歌手陣が揃っています

     

     

     

ということで、わが家に来てから今日で3444日目を迎え、米CNNテレビは15日、27日に主催する米大統領選候補者によるテレビ討論会のルールを公表したが、2020年の討論会で、相手の発言を遮る行為などが相次いだため、相手候補の発言中はマイクの音を切る  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     自分の主張だけが正しいと思い込んでる お山の大将みたいなトランプ対策に有効だ

         

昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました ビーフはいつもの牛バラ肉ですが、美味しかったです

     

         

田原総一朗著「全身  ジャーナリスト」(集英社新書)を読み終わりました 田原総一朗はジャーナリスト。1934年4月滋賀県生まれの満90歳。早稲田大学を卒業後、岩波映画製作所に入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、1977年フリーに テレビ、新聞、雑誌などで活躍。代表的な出演番組に「朝まで生テレビ!」「サンデープロジェクト」「激論!クロスファイア」など。1998年、優れた戦後の放送ジャーナリストを選ぶ城戸又一賞を受賞 「電通」「戦後日本政治の総括」「堂々と老いる」など著書多数

     

本書は2024年4月に集英社から「集英社新書」として刊行されました

本書は次の各章から構成されています

序 章「僕はなぜジャーナリズムを疾走するのか」

第1章「非戦の流儀 ~ なぜ『日本の主体性』が僕のライフワークなのか」

第2章「ジャーナリストの心得 ~ 権力と金の誘惑、そしてタブーへの挑戦」

第3章「反骨の証明 ~ ジャーナリストは疑い続けよ、問い続けよ」

第4章「不条理の世界に対峙する ~ 右も左もぶっ飛ばすジャーナリストの誕生」

第5章「映像の過激派 ~ テレビの限界を超えたドキュメンタリー」

第6章「テレビと民主主義 ~ よみがえれ、大衆ジャーナリズムの活力よ」

第7章「原発と電通 ~ 日本社会を規定する2つの禁忌」

第8章「田中角栄が踏んだ『虎の尾』 ~ 自立を志向する首相はアメリカに潰される」

第9章「『モンスター』の誕生と転落 ~ テレポリティクスが僕を傲慢にした」

第10章「首相への直言秘話 ~ 僕はジャーナリズムを生きている」

終  章「混沌を生きる方法 ~ ジャーナリズムは未来を探る」

おわりに

朝日新聞第3面に「首相動静」という小さな欄があります。岸田首相の前日の行動を分刻みで記録している欄です いつだったか忘れましたが、つい最近「〇時〇分 ~ 〇時〇分  田原総一朗氏と面会」という記録があるのに気がつきました つまり、田原は90歳になった現在でも、現役の首相とサシで会って話をしているということです 一介のジャーナリストがなぜこんなことが出来るのか? その答えがこの本に書かれています

まず最初に、田原がジャーナリストとして守るべき原則、追求すべき理想として挙げているのは次の3点です

①日本に二度と戦争を起こさせないこと。

②言論の自由を守り抜くこと。

③野党をもっと強くして日本の民主主義を強靭にすること。

このうち①について、田原は「自分は軍国少年だったが、戦争中は『天皇陛下のために戦って死ね』と言っていた教師たちが、日本が敗戦となった途端に、『今までの日本は間違っていた。これからは民主主義だ』と手のひら返しをするのを見て信用できなくなった」と語っています

②について、一番分かり易いエピソードは政治家からの賄賂の話です

「2000年の小渕恵三政権末期の頃、自民党官房長官を経て幹事長代理を務めていた野中広務から、代理人を通して紙袋を渡された 代理人が帰った後で中を確かめると1000万円が入っていた 後で野中事務所に赴いて『申し訳ないけど受け取れません』とメモと紙袋を置いてきた 10年後、野中がインタビューで官房機密費の話を明かしたが、『言論活動で立派な評論をしている人たちのところに、盆暮れに500万ずつ届けることの空しさ』があったと暴露、私(田原)が受け取りを拒否したこともきちんと説明してくれていた ロッキード事件の際、田中角栄から現金の提供があった時も受け取らなかった この行為がその後のジャーナリスト人生に大いに役立った まず、相手がお金で篭絡しようとしてこなくなる この人には無理だということが業界内で知れ渡る効果がある。そうなると、誠心誠意、本音で取材の受け答えをするしかなくなってくる。それが狙いでもあった ジャーナリストは、政治との関係にかかわらず、お金の問題は身ぎれいにしておくことが肝心だと思う

これを読んで頭に浮かぶのは、田原以外の当時の高名なジャーナリストたちは盆暮れに500万円ずつ受け取っていたのだな、という疑念です

大物政治家をテレビに出演させて、言質を取って、批判していく手法により、田原は海部俊樹、宮澤喜一、橋本龍太郎の3人の総理大臣を失脚させています これについては、後で傲慢であったことを反省し、方針転換を図っています 批判するだけではダメで、むしろ首相に意見具申をする方が日本のためになるとして、直接会って1対1で話をする方向に修正しています

90歳の現在、「ここまでされたのなら、後は悠々自適に暮らしてはいかがですか」と労いの言葉をかけてくれる人がいれば、「いい年していつまでテレビで偉そうにしているんだ」とか「田原はもうボケた、老害以外の何物でもない」と批判する人もいる中、彼は「自分にとって、ジャーナリズムは終わりのない仕事だ。走って走って、時代を走り抜けたい」として、「理想は『朝まで生テレビ!』の放送中に命果てることだ」と語っています

ジャーナリズムのエネルギーの源泉として田原が挙げているのは飽くことのない「好奇心」です 90歳の一線ジャーナリストである田原の心境をあますところなく代弁している詩として、彼は サムエル・ウルマンの詩「青春」を挙げています

青春とは人生のある期間でなく、

心のもち方を言う。

薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、

たくましい意志、豊かな想像力、炎える情熱をさす。

(中略)

60歳であろうと16歳であろうと人の胸には、

驚異に魅かれる心、おさな児のような未知への探求心、

人生への興味の歓喜がある。

(中略)

20歳であろうと人は老いる。

頭(こうべ)を高く上げ希望の波をとらえる限り、

80歳であろうと人は青春にして巳(や)む。

(サムエル・ウルマン著、作山宗久訳『青春とは、心の若さである』より)

さて、次に田原が朝日の「首相動静」に登場するのはいつのことか・・・その時、田原は岸田首相に「そろそろ退陣を」と進言するのだろうか

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「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン フィナーレ2024」を聴く / 新国立劇場オペラ研修所「サマー・リサイタル2024」のチケットを取る

2024年06月17日 00時01分20秒 | 日記

17日(月)。7月25日(木)午後6時半から新国立劇場・小劇場で開かれる新国立劇場オペラ研修所「サマー・リサイタル2024」のチケットを取りました 新国立劇場や世界のオペラハウスで主役級を務める中村恵理をはじめ多くの歌手がこの研修所の出身者です この日出場の若い歌手の中にも将来の中村恵理がいるかもしれません

     

     

ということで、わが家に来てから今日で3443日目を迎え、7月7日投開票の東京都知事選で、政治団体「NHKから国民を守る党(NHK党)」が企てている「掲示板ジャック」が物議を醸している中、立花孝志党首(56)は16日、自身のユーチューブでこの計画に対する狙いを説明し「何も悪いことはしていない」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     選挙掲示板の候補者スペースを切り売りするのは 強欲政治集団のエゴだ 恥を知れ!

         

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」フィナーレ2024を聴きました プログラムは①モーツアルト「弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 K.458 ”狩”」より第1楽章、②ブラームス「ピアノ三重奏曲第2番 ハ長調 作品87」より第2楽章、③中村匡寿「ミミック」~バルトーク「中国の不思議な役人」のモチーフによる(世界初演)、④ポルヌ「ビゼー『カルメン』の主題による華麗な幻想曲(フルートとハープによる)」、⑤ラヴェル「序奏とアレグロ」、⑥マルティヌー「ピアノ三重奏と弦楽オーケストラのための協奏曲」、⑦エルガー「ピアノ五重奏曲 イ短調 作品64」より第2楽章、第3楽章、⑧三瀬和朗「暁月夜」(三味線とチェロによる)です

     

自席はLb9列12番、左ブロック右端です。会場はほぼ満席です

1曲目はモーツアルト「弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 K.458 ”狩”」より第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1784年11月に完成した作品です 演奏は2021年東京藝大2年在学中に結成したカルテット・インフィニート(Vn:落合真子、小西健太郎、Va:菊田萌子、Vc:松谷壮一郎)です 「インフィニート」とは「無限」を意味するそうです

第1ヴァイオリンの落合さんを中心に、溌溂とした演奏が繰り広げられました 無限の可能性を秘めたカルテットです

2曲目はブラームス「ピアノ三重奏曲第2番 ハ長調 作品87」より第2楽章「アンダンテ・コン・モート」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1880年から82年にかけて作曲し、1882年12月にブラームス自身のピアノによりフランクフルトで初演されました 演奏は2021年桐朋学園大学在学中に結成したポルテュス・トリオ(P:菊野惇之介、Vn:吉村美智子、Vc:木村藍圭)です。「ポルテュス」とはラテン語で「港」を意味するそうです

3人のバランスが良く、円熟期のブラームスの渋い味わいが良く表れた演奏で、とても好感が持てました

3曲目は中村匡寿「ミミック」 ~ バルトーク「中国の不思議な役人」のモチーフによる(世界初演)です この曲は中村匡寿(なかむら ただひさ)が三味線奏者の本條秀慈郎から委嘱を受けて作曲した作品です 演奏はヴァイオリン=渡辺玲子、三味線=本條秀慈郎です 渡辺玲子はヴィオッティ、パガニーニ両国際ヴァイオリンコンクールで最高位入賞の実力者 本條秀慈郎は三味線を本條秀太郎に師事。桐朋学園芸術短期大学で学ぶ

スケルツォ風のリズム中心の作品ですが、ヴァイオリンと三味線との超絶技巧による丁々発止のやり取りは新鮮かつ刺激的で、三味線の無限の可能性を感じさせました

拍手の中、作曲者の中村匡寿氏がステージに呼ばれ、満場の拍手を浴びました

4曲目はポルヌ「ビゼー『カルメン』の主題による華麗な幻想曲(フルートとハープによる)」です この曲はフランソワ・ポンヌ(1840-1920)がビゼーの「カルメン」(1875年初演)をもとに、フルートとピアノのために書いた作品ですが、今回はピアノの代わりにハープで演奏されます 演奏はフルート=セバスチャン・ジャコ―(ベルリン・フィル首席)、ハープ=吉野直子です

ビゼーの歌劇「カルメン」第1幕のカルメン登場シーンの音楽がハープによって演奏され、ホセのアリアやカルメンのアリア「ハバネラ」などが演奏されますが、優雅なハープに乗せて奏でられるフルートが天翔けます 迫力のあるフルートは、ブルーローズではホールが小さすぎたかもしれません

5曲目はラヴェル「序奏とアレグロ」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1905年に作曲しました 演奏はフルート=セバスチャン・ジャコ―、クラリネット=吉田誠、ハープ=吉野直子、弦楽四重奏=ヴォーチェ弦楽四重奏団(Vn:コンスタンス・ロンザッティ、セシル・ルーバン、Va=ギヨーム・べケール、Vc=アルチュール・ユエル)です 

ハープの吉野を中央に配し、下手にクァルテット、上手に木管2人がスタンバイします

吉野が華麗なハープを奏で、弦楽四重奏と木管が華を添えるといった趣で、曲はさながらハープ協奏曲です 名手たちの名人芸が堪能できました

     

プログラム後半の1曲目はマルティヌー「ピアノ三重奏と弦楽オーケストラのための協奏曲」です この曲はボフスラフ・マルティヌー(1890-1959)が1933年に作曲しました 第1楽章「ポーコ・アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「スケルツォ:アレグレット」、第4楽章「モデラート・ポーコ・アレグロ」の4楽章から成ります 演奏は葵トリオ(Vn:小川響子、Vc:伊東裕、P:秋元孝介)、弦楽合奏=チェンバーミュージック・アカデミー・アンサンブル、指揮=浦部雪です

葵トリオがステージの手前にスタンバイし、後方をチェンバーミュージック・アカデミー・アンサンブルが固めます 第1楽章では小川響子のヴァイオリンがよく歌います 第2楽章では伊東裕のチェロが抒情的な演奏を繰り広げます 第3楽章では秋元孝介のピアノが冴え渡ります 第4楽章はまるでバロック音楽の「コンチェルト・グロッソ」そのものの曲想・スタイルです

マルティヌーの音楽は滅多に聴く機会がありませんが、この曲は十分楽しめました

2曲目はエルガー「ピアノ五重奏曲 イ短調 作品64」より第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アンダンテ ~ アレグロ」です この曲はエドワード・エルガー(1857-1934)が1918年に作曲しました   演奏はVn=原田幸一郎、池田菊衛、ヴォイラ=磯村和英、チェロ=毛利伯郎、ピアノ=練木繁夫です

原田、菊田、磯村の3人は、言うまでもなく世界的な活躍を見せて一世を風靡した「東京カルテット」のメンバーです この3人と毛利、練木は「サントリーホール室内楽アカデミー」の講師を務めています 葵トリオ(2018年ミュンヘン国際音楽コンクール第1位)、クァルテット・インテグラ(2022年ミュンヘン国際音楽コンクール第2位および聴衆賞)、ほのカルテット(2023年大阪国際室内楽コンクール第2位)など若く優秀な室内楽奏者を輩出してきました

第2楽章のアダージョは何と慈愛に満ちた演奏でしょうか 言葉にならないほど素晴らしい演奏です 第3楽章はアレグロに移るとエネルギッシュな演奏が展開します 先生方による模範演奏でした

最後の曲は三瀬和朗「暁月夜(あかときづくよ)」(三味線とチェロによる)です この曲は三瀬和朗(みせ かずお:1947~)が万葉集の歌「しぐれ零る暁月夜紐解かず 恋ふらむ君と居らもしものを」を題材に三味線とチェロによる曲として作曲したものです 演奏は三味線=本條秀慈郎、チェロ=堤剛です

演奏は、チェロと三味線による「トレモロ」のような特殊奏法によって開始されます この曲も前半のヴァイオリンと三味線による「ミミック」と同じように、超絶技巧による丁々発止の演奏が繰り広げられ、ただただ唖然とします 三味線ってこういうこともできるのか、という驚きです この2つの演奏を聴いて、われわれは古典的なクラシックばかり聴いていないで、たまには”同時代(現代)のクラシック”も聴くべきではないか、と反省しました ベートーヴェンだって、マーラーだって、作曲した当時は”現代の音楽”だったのですから

終演後、作曲者の三瀬和朗氏がステージに呼ばれ、満場の拍手を浴びました

午後2時から始まったコンサートは途中20分間の休憩を挟んで、4時50分に終了しました 正味2時間半のコンサートは聴きごたえがありました これで今年のチェンバーミュージック・ガーデンも終わりです 今年は「葵トリオ」と「フィナーレ」の2公演しか聴きませんでしたが、特に若い人たちの演奏を聴く良い機会なので、来年も楽しみにしたいと思います

     

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ドミトリー・マトヴィエンコ ✕ 東京交響楽団でラヴェル「道化師の朝の歌」&「組曲『マ・メール・ロワ』」、ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」(1947年版)を聴く

2024年06月16日 00時01分29秒 | 日記

16日(日)。わが家に来てから今日で3442日目を迎え、米国のトランプ前大統領は14日、78歳の誕生日を迎え、フロリダ州の集会で支持者らに「これまで一番大きな誕生日会だ」と感謝し、大統領選での勝利を誓い、転倒や言い間違いが目立つ83歳のバイデン大統領に向けて「適正テスト」を受けさせるべきだと皮肉った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     たった3歳違いの高齢者対決だ 適正テストを実施するなら両者とも対象にすべきだ

         

昨夜、サントリーホールで東京交響楽団「第721回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ラヴェル「道化師の朝の歌」(管弦楽版)、②同:組曲「マ・メール・ロワ」(同)、③ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)です 演奏は③のピアノ独奏=高橋優介、指揮はドミトリー・マトヴィエンコです

ドミトリー・マトヴィエンコは2021年マルコ国際指揮者コンクール第1位と聴衆賞を受賞。2020年グイード・カンテルリ国際指揮者コンクールで批評家賞を受賞 2024/25シーズンからオーフス交響楽団の首席指揮者に就任

     

オケは16型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります コンマスはグレブ・ニキティンです。チェロのトップには伊藤文嗣と並んで客演首席・笹沼樹がスタンバイします

1曲目はラヴェル「道化師の朝の歌」(管弦楽版)です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1905年に作曲したピアノ曲集「鏡」の第4曲を、1918年にロシア・バレエのディアギレフの依頼を受けて管弦楽版に編曲したものです

マトヴィエンコの指揮で演奏に入りますが、最弱音から最強音までのレンジが広く、切れ味鋭い指揮ぶりでオケからスペイン情緒あふれる演奏を引き出します 中盤における福士マリ子のファゴットが素晴らしかった

2曲目はラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」です この曲は友人ゴデブスキの2人の子どものために1908年から10年にかけて4手のためのピアノ連弾曲として作曲、翌11年に管弦楽用に編曲した作品です 第1曲「眠りの森の美女のパヴァーヌ」、第2曲「おやゆび小僧」、第3曲「パゴダの女王レドロネット」、第4曲「美女と野獣」、第5曲「妖精の庭」の5曲から成ります

オケは12型に縮小します この曲では全体を通して、相澤政宏と濱崎麻里子のフルート、荒木良太のオーボエ、最上峰行のイングリッシュホルン、吉野亜希菜のクラリネットが素晴らしい演奏を展開しました 第5曲では静謐な弦楽アンサンブルが美しく響き、コンマスのニキティンとヴィオラ首席・青木篤子のソロが冴えました この曲を聴くと、曲想がよく似ているエルガー「エニグマ変奏曲」の第9変奏「ニムロッド」を思い出します 両曲ともとても美しく感動的な曲です

マトヴィエンコ はオケからファンタジックな演奏を引き出し、聴衆を魅了しました

     

プログラム後半はストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)です この曲はイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)が1911年に作曲、同年6月13日にパリで初演され、その後、1947年に4管編成を3管編成に縮小した改訂版を書きました 第1部「謝肉祭の市」、第2部「ペトルーシュカの部屋」、第3部「ムーア人の部屋」、第4部「謝肉祭の市(夕景)」の4部から構成されています

この曲は、つい4日前にデュトワ ✕ 新日本フィルの演奏で聴いたばかりです    しかし、デュトワは1911年作の原典版を使用していたので、内容が少し違います    原典版よりもティンパニやトランペットに比重が置かれた作品となっています   曲は次の4部から構成されています。第1部「謝肉祭の市」、第2部「ペトルーシュカの部屋」、第3部「ムーア人の部屋」、第4部「謝肉祭の市(夕景)」です

マトヴィエンコの指揮により演奏に入りますが、冒頭から色彩感溢れる演奏が繰り広げられます 木管楽器がよく歌い、弦楽器が切れ味鋭い演奏を展開します なるほどトランペットの響きが際立ちます この曲でも最上峰行のイングリッシュホルンの演奏が素晴らしい また、序盤で活躍する高橋優介のピアノがクリアに響き、存在感を示しました

マトヴィエンコはストーリー重視の演奏を心がけていたように感じました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

     

     

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セバスティアン・ヴァイグレ ✕ ダン・タイ・ソン ✕ 読売日響でモーツアルト「ピアノ協奏曲第12番」、シェーンベルク:交響詩「ペレアスとメリザンド」他を聴く

2024年06月15日 00時04分48秒 | 日記

15日(土)。わが家に来てから今日で3441日目を迎え、NHK党はホームページに「ポスター掲示場をジャックせよ ~ 選挙ポスター掲示場の常識をぶっ壊す」として、「東京都知事選挙30名の立候補者のポスター枠を”あなたのポスター”で埋め尽くしてください。5月末日まで5000円、6月1日より一口1万円、6月20日より一口3万円のご寄付で、東京都内に約14,000カ所設置される選挙ポスター掲示場のうち1カ所に「自分で作ったポスター」を最大30枚貼ることができます。今回のポスターでは、立候補者の写真や名前を掲載できません」という告知を掲載した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     選挙を利用して金儲けをしようというのは「つばさの党」と同じ 恥知らずな奴らだ

         

昨日、娘が会社の同僚からアスパラをいただいてきたので、夕食に「アスパラの豚肉巻き」「生野菜とアボカドのサラダ」「ほうれん草の味噌汁」を作りました アスパラは新鮮で美味しかったです

     

         

昨夜、サントリーホールで読売日響「第639回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ウェーベルン「夏風の中で」、②モーツアルト「ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K.414」、③シェーンベルク:交響詩「ペレアスとメリザンド」作品5です 演奏は②のピアノ独奏=ダン・タイ・ソン、指揮=読響第10代常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレです

     

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び コンマスは林雄介、隣は戸原直というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はウェーベルン「夏風の中で」です この曲はアントン・ウェーベルン(1883-1945)がブルーノ・ヴィレの同名の詩からインスピレーションを受けて1904年に作曲、1962年5月25日にシアトルで初演されました

ヴァイグレの指揮により低弦の静謐な音楽で開始されます やがて木管楽器、金管楽器が加わり活気を帯びてきます この曲はシェーンベルクに師事する前に作曲された作品なので聴きやすく親しみやすい曲でした 初めて聴いた印象は「『夏風の中で』と題するアニメに付けた”リヒャルト・シュトラウス風劇伴音楽”」です 極めて絵画的な音楽に聴こえました 林雄介のヴァイオリン・ソロが大活躍し、フルートの倉田優、オーボエの荒木奏美、クラリネットの中館壮志の演奏が冴えていました

2曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K.414」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1782年に作曲しました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ロンド:アレグレット」の3楽章から成ります

ピアノ独奏のダン・タイ・ソンはベトナム・ハノイ生まれ。モスクワ音楽院で学ぶ。1980年ショパン国際コンクールでアジア出身初の優勝を果たし大きな注目を集めた 現在、米国オバーリン音楽院、カナダ・モントリオール大学などで教鞭を取り、ショパン・コンクール優勝者ブルース・リウらを育てるなど、後進の指導にもあたっている

オケが8型に縮小、ダン・タイ・ソンが登場しピアノに向かいますが、「彼も随分 年をとったなあ」と思いました 何しろショパン・コンクール優勝時の青年のイメージしかないので、落差が大き過ぎました 44年の歳月を想いました

ヴァイグレの指揮で第1楽章に入りますが、テンポ感が素晴らしい モーツアルトはテンポが肝心です 終盤における流麗なカデンツァは見事でした 第2楽章では、ダン・タイ・ソンが一音一音を紡ぎ出すように演奏している姿が印象的でした 第3楽章ではオケとのコラボにより愉悦感に満ちた音楽が繰り広げられました

大きな拍手にダン・タイ・ソンは、ショパン「ワルツ イ短調 遺作」を抒情豊かに演奏、再び大きな拍手に包まれました

     

プログラム後半はシェーンベルク:交響詩「ペレアスとメリザンド」作品5です この曲はアーノルド・シェーンベルク(1874-1951)が1902年から03年にかけて作曲、1905年1月25日にウィーンで初演されました シェーンベルクは当初、モーリス・メーテルリンクの戯曲を原作にオペラとして作曲することを目論んだようですが、すぐに断念し交響詩として作曲した経緯があります 作品は単一楽章ですが4部構成を取ります

オケは14型に戻り、ステージ下手にハープが4台スタンバイします

澤谷夏樹氏の「プログラム・ノート」を読むと、「登場人物やその関係を示すのに、ライトモティーフ(人物や事態に特定の音型をあて、それを示唆する書法)を用いる」と書かれています なるほど、第1部の演奏を聴くとペレアス、メリザンド、ゴローを表すそれぞれのモティーフはこれかな、と何となく分かるのですが、第2部以降(どこから第2部かさえも分からないが)は理解できなくなります 耳が悪く、記憶力も悪く、頭が悪い私は曲についていけません ただ、断片的に耳に入ってくる林コンマスのソロ、ソロ・ヴィオラ鈴木康浩の独奏、そして北村貴子のイングリッシュホルンの独奏などは素晴らしさが伝わってきました。また、第4部におけるオケ総動員によるアグレッシブな演奏はスケールが大きく素晴らしいものがありました

ヴァイグレのタクトが静かに下ろされると、満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました

シェーンベルクも「12音技法」の前の作品なら、何度か聴けば好きになるかもしれないな、と思った演奏でした

     

     

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高橋和夫「アラブとイスラエル」、松岡圭祐「ウクライナにいたら戦争が始まった」、池井戸潤「花咲舞が黙ってない」、佐藤愛子「人生は美しいことだけ憶えていればいい」他を買う

2024年06月14日 00時02分34秒 | 日記

14日(金)。昨日の朝日新聞夕刊は次のように報じています

「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は13日、紛争や迫害などにより家や故郷を追われた人たちが、4月末までに世界で過去最多の約1億2千万人に達したと発表した UNHCRは20日の『世界難民の日』に合わせ、紛争などの人権侵害によって住まいを追われる『強制移動』に関する2023年の報告書を公表した。強制移動を余儀なくされた人は約1億1730万人にのぼり、前年から880万人増えた 昨年10月からイスラエルによる進攻が続くパレスチナ自治区ガザでは、昨年末時点で人口の75%にあたる最大170万人がガザ内での移動を余儀なくされた

こうした中、国連UNHCR協会(国連難民高等弁務官事務所協会)と国連WFP協会(国際連合世界食糧計画WFP協会)から相次いで封書が届きました 現在私は、双方の組織に毎月銀行引き落としの形でわずかながら寄付を続けていますが、内容は双方とも支援継続・強化の依頼となっています

国連UNHCR協会の川合雅幸事務局長の手紙によると、ウクライナでの戦争が続く中、トルコ・シリアやアフガニスタンでの地震、リビアの洪水、スーダンやアルメニアでの危機などにより、これまで以上に多くの緊急事態が発生し、UNHCRも対応に追われる1年だった、としています

     

国連UNHCR協会は下のパンフレットに記載の活動をしています

     

     

     

     記事投稿 - goo blog

一方、国連WFP協会の青木創事務局長の手紙によると、パレスチナをはじめとする紛争の激化・長期化や頻発する自然災害によって支援ニーズが増加、物価高騰により活動コストが上昇する一方で、国連WFPは深刻な資金不足に直面しており、支援ニーズと資金のギャップが広がっているとしています

     

同封パンフレットによると、世界で深刻な飢餓の危機にある国と地域は下のデータの通りとなっています

     

そして、世界72か国3億900万人が深刻な急性食料不足に直面しているといいます

     

     

     

     

歳を重ねるにつれて、「自分や自分の家族だけが幸せならば良いのか? 限られた人生の中で 少しでも世の中のためになることをやった方が良いのではないか」と考えるようになりました 世界には戦争や自然災害などにより、自分の力ではどうにもできない災難に直面している多くの人たちがいます 「自分の出来る範囲のことでいいからやっておこう」と考え 数年前から寄付を始めました もちろん年金生活者なので額は知れていますが、両組織からは定期的に活動レポートが送られてくるので、世界の難民や食糧危機の現状に関する最新情報を知ることができます 読者の皆さまにはそれぞれの生活があるので、あえて「寄付してみてはどうですか?」とは言いませんが、こういう支援活動があることを知っておくことも大切だと思い、あえてご紹介しました

ということで、わが家に来てから今日で3440日目を迎え、国連安全保障理事会は12日、北朝鮮の人権状況を協議する公開会合を開き、日米韓は、北朝鮮が国民生活を犠牲にして核・ミサイル開発を推進していると主張、中国とロシアは、安保理制裁が市民の生活困難を招いている可能性があると北朝鮮を擁護したが、北朝鮮の代表は出席しなかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     北朝鮮は核・ミサイル開発と韓国に飛ばすゴミ風船の製作に多忙で 欠席したんだろ

         

昨日、夕食に「丸ごとピーマンのチーズ肉詰め」「生野菜とアボカドのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作り、十五穀米と いただきものの「手羽煮」と一緒に食べました 「丸ごと~」はひき肉とチーズがびっしりと詰まっていて食べ応えがありました

     

         

手元の本が残り1冊になったので、いつも通りジュンク堂書店池袋本店で8冊買いました

1冊目は高橋和夫「アラブとイスラエル」(講談社現代新書)です イスラエルのガザ地区攻撃が止まない中、なぜこのような泥沼状態になったのか、歴史を紐解きたいと思います

     

2冊目は松岡圭祐「ウクライナにいたら戦争が始まった」(角川文庫)です 本の帯に「実録的ノンフィクションノベル」とあります

     

3冊目は池井戸潤「花咲舞が黙ってない」(中公文庫)です 謳い文句に「花咲舞の正義が銀行の闇に斬り込む痛快連作短編」とあります

     

4冊目は同じく池井戸潤著「民負うシベリアの陰謀」(角川文庫)です 総理大臣とバカ息子と秘書が新種のウイルスと戦う物語のようです

     

5冊目は阿川佐和子「アガワ家の危ない食卓」(新潮文庫)です 謳い文句に「爆笑必至の食エッセイ」とあります

     

6冊目は佐藤愛子「人生は美しいことだけ憶えていればいい」(PHP文庫)です 「この世で起こることは、すべて修行だと思えばいい」そうです

     

7冊目はカフカ著「カフカ短編集」(新潮文庫)です カフカの15編から成る短編集です

     

最後の8冊目は五木寛之著「こころの散歩」(新潮文庫)です 週刊新潮に連載のエッセイ43篇を収録しています

     

いずれも、読み終わり次第このブログでご紹介していきます

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林真理子著「小説8050(はち・まる・ごー・まる)」を読む ~ 子どもがイジメに遭ったとき、親はどう対処すべきかを問う問題作

2024年06月13日 01時18分47秒 | 日記

13日(木)。わが家に来てから今日で3439日目を迎え、韓国軍合同参謀本部は11日、北朝鮮の軍人約20人が9日午後0時半ごろ、南北の軍事境界線を一時的に侵犯したため、警告放送と警告射撃を実施したところ、軍人らは北朝鮮に引き返したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     本当は 脱北目的で 道に迷ったふりをして 韓国の領土に入りたかったんじゃない?

         

昨日、夕食に「タラのアクアパッツァ」「生野菜とアボカドのサラダ」「トマトスープ」を作りました アクアパッツアはタラよりアサリの方が存在感がありますね

     

         

林真理子著「小説8050(はち・まる・ごー・まる)」(新潮文庫)を読み終わりました 林真理子は1954年山梨県生まれ。1982年にエッセイ集「ルンルンを買っておうちに帰ろう」が大ベストセラーになる。86年「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞、95年「白蓮れんれん」で柴田錬三郎賞を受賞したほか、数々の文学賞を受賞 「不機嫌な果実」「平家物語」ほか著書多数

     

本書は2021年4月に新潮社から単行本として刊行、2024年5月に文庫化されました

本書のタイトルにある「8050(はち・まる・ごー・まる)」は、言うまでもなく、80代の親が50代の子供の生活を支えるという現代社会の深刻な問題を表しています ただし、本書は「80代の親が50代の子供の生活を支える」ことを内容とした小説ではありません

主人公の大澤正樹は50代の歯科医で、妻と優秀な長女、そして中学時代から7年間自室に引きこもっている20代の息子がいます 近所で起きた事件をきっかけに、このままでは自分たちの将来は「8050問題」そのものを体現することになってしまうと、深刻に考えるようになります 厳しい中学受験を勝ち抜き、難関の中高一貫進学校に合格したはずの息子は、なぜ登校を拒否し自宅に引きこもるようになったのか・・・。妻からは、息子が引きこもったのは正樹が『医師になれ』と過度の期待をかけ過ぎたからだと非難され、結婚を控えた娘からは弟を何とかしてほしいとクレームを言われる そんな中、正樹は果たして自分は父親として息子に正面から向き合ってきただろうかと自問し、仕事にかまけて息子のことを理解しようとしてこなかったと自覚します そして、あるキッカケから 息子が中学時代にイジメに遭っていたことを知り、7年前に息子を虐めていた同級生を相手に裁判を起こすことを決意します 幸いイジメ問題に明るい若い弁護士に巡り合え、7年前の事件でも訴訟を起こすことは可能であることを確認し、息子の心を少しずつ開かせながら訴訟に向けて準備を進め、息子は法廷で証言台に立ちます

この小説のテーマは、自分の子どもがイジメに遭っていると知った時、親としてどうすべきかということです 本作では裁判で勝訴した後、記者会見が開かれますが、正樹は記者から「全国の、不登校に悩んでいる多くの親御さんに伝えたいことはありませんか?」という質問に対し、次のように答えています

「子どもを信じて、お前を守ってやれるのは世界中でお父さんとお母さんだけなんだと言い続けてください いじめは簡単に解決出来ることじゃありません。裁判はお金も時間もかかりました。ですが、真実はわかったんです 息子は、自分が悪いわけではなかったと確信を得ました。私たち親子はそれで充分だったんです・・・」

要するに、イジメに対しては「覚悟を決めて子どもと一緒に戦え」ということです この小説の若い弁護士の言葉を借りれば「裁判で負けてもいい。親が自分と一緒に戦ってくれていることを自覚してくれることが大事」なのです

本書は500ページの大書ですが、ページをめくる手が止まらず、あっという間に読み終わりました 子どものイジメ問題に悩まされている親御さんはもちろんのこと、広くお薦めします

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シャルル・デュトワ ✕ 阪田知樹 ✕ 新日本フィルでストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲、ハイドン「交響曲第104番」を聴く

2024年06月12日 00時45分13秒 | 日記

12日(水)。わが家に来てから今日で3438日目を迎え、11月の米大統領選で返り咲きを狙うトランプ前大統領は9日、激戦州の西部ネバダ州で演説し、敗北した前回2022年の大統領選の結果を覆そうとトランプ支持者が議会を襲撃した事件は警察に促されて起きたとする根拠のない陰謀論を展開し「仕組まれた」と訴え、訴追された支持者らを「闘士」と称賛した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     訴追されてる事件を持ち出して 場外乱闘に挑んでるトランプって マジ ノータリン

         

昨日、夕食に「豚の生姜焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました 豚肉はスタミナ作りに良いと言われていますね

     

         

昨日、サントリーホールで新日本フィル「第657回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ハイドン「交響曲第104番ニ長調”ロンドン”」、②ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年原典版)、③ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲です 演奏は②のピアノ独奏=阪田知樹、指揮=シャルル・デュトワです

     

チケットは完売です よく入りました

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び   コンマスは崔文洙、隣は西江王子というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はハイドン「交響曲第104番ニ長調”ロンドン”」です この曲はヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)が2度目のロンドン滞在中の1795年に作曲、同年ロンドンで初演されたハイドン最後の交響曲です 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグロ ~ トリオ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・スピリトーソ」の4楽章から成ります

デュトワの指揮で第1楽章に入ります。重心の低い演奏でアダージョが奏でられ、軽快なアレグロに移ります 明晰で明朗な音楽を聴くとハイドンっていいな、とつくづく思います 第1ヴァイオリンを中心に弦楽セクションのアンサンブルがとても美しく響きました 第2楽章を経て、第3楽章はリズミカルな曲想がとても心地よい そして最後の第4楽章では、ティンパニの連打が演奏に推進力を与え、オケの総力を挙げての力強いフィナーレを迎えます それにしても、ハイドンは よくも100曲を超える交響曲を作ったものだと感心します

     

プログラム後半の1曲目はストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年原典版)です この曲はイゴール・ストラヴィンスキー(1882-1971)がディアギレフが主宰するロシア・バレエ団からの委嘱により1910年から11年にかけて作曲、1911年にパリで初演されました 第1場「謝肉祭の市場」、第2場「ペトルーシュカの部屋」、第3場「ムーア人の部屋」、第4場「謝肉祭の市場(夕方)」の4場から成ります

ピアノ独奏の阪田知樹は2016年にフランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位、6つの特別賞を受賞 2021年にエリザベート王妃国際音楽コンクール第4位入賞 東京藝大を経て、ハノーファー音楽演劇大学大学院ソリスト課程に在籍しています

オケは16型に拡大し、ステージ下手にはピアノ(阪田知樹)、ハープ2台、チェレスタがスタンバイし、管楽器の後方にはティンパニの山内創一朗、腰野真那はじめパーカッションのメンバー7人が控えます

デュトワの指揮で演奏に入ります 爽快なスピード感、豊かな色彩感が堪りません 切れ味鋭い弦楽器、よく歌う野津雄太のフルート、岡北斗のオーボエ、河村幹子のファゴット、日高剛のホルン、途中から加わった阪田知樹のピアノもファンタジックで冴えています 山川永太郎のトランペットが素晴らしい 太田友香の超高音のクラリネット、佐藤和彦の超低音のテューバも冴えています 一人一人挙げていったらキリがないほど個々人の演奏が素晴らしかった

演奏を聴きながら、「ああ この部分は6日の公開リハーサルで何度も繰り返し練習していたな」と思い出しました   デュトワは納得のいくまで繰り返し、次に移りませんでした また、この演奏を今から110年以上も前の初演時にディアギレフや聴衆が聴いたら、まさに当時の「前衛音楽」に度肝を抜かれたのではないかと思いました それほど濃厚なリハーサルの成果が出た、エポックメイキングな作品であることが伝わってくる演奏でした

デュトワの両手が下ろされると、満場の拍手とブラボーが飛び交いました

最後の曲はラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1912年に作曲した同名のバレエ音楽の第3部を、ほぼそのまま用いたものです 第1曲「夜明け」、第2曲「パントマイム」、第3曲「全員の踊り」から成ります

デュトワの指揮で演奏に入りますが、木管楽器、とくに野津雄太のフルートが終始 冴え渡りました 金管楽器も弦楽器も力づくでなく、どこまでもソフトに奏でられ、包容力のある雄大な演奏が展開しました

曲が閉じると、満場の拍手とブラボーの嵐が待っていました デュトワは管楽セクションのトップを立たせ賞賛します そして最後に、後半で大活躍したフルートの野津雄太を指揮台まで連れてきて台に上げました。以下、再現写真(脚本・構成=tora)です

     

 デュトワ「君が主役なんだから壇上に上がりなさい」 野津「そんな恐れ多いことできません」

     

 野津「指揮台がこんなに高いとは思いませんでした」 デュトワ「それは気のせいだ。低いよ」

     

デュトワ「皆さん、野津雄太君をよろしく」 野津「いや~恐縮しちゃうな~。気分は最高だけど」

忙しいデュトワさん、次は崔コンマスとハグです

     

デュトワ「よくまとめてくれたね。感謝だ」 崔「感激です。厳しいリハーサルもいい思い出です」

西江王子を交えて3巨頭会談。何の話だろう

     

崔「打ち上げは何がいいですか?」 西江「和食はどうですか?」 デュトワ「君たちに任せるよ」

     

     

デュトワ「今日はこれで終わりです。また新日本フィルのコンサートでお目にかかりましょう」

帰りがけに新日本フィルの受付に寄って、登原さんと少しだけ立ち話をしました 登原さんは開口一番「良かったですね。号泣です」と感激していました 私は「リハーサルを見学したけど、繰り返し繰り返しが厳しかった」と伝えると、「通常のリハーサルは3日間ですが、デュトワさんは5日間でした」とのことでした やっぱりね、です 次の新日本フィルのコンサートは来週金曜日の「クラシックへの扉」です

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ブレイディみかこ著「他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ」を読む ~ 「エンパシー」と「アナーキー」はセットでなければエンパシーは闇落ちする / モコタロ邸バリアフリー化

2024年06月11日 00時03分52秒 | 日記

11日(火)。昨日午前中、地元のAクリニックで胃がん検診(胃カメラ)を受診し、午後に池袋の豊島健康診査センターで肺がん検診(レントゲン検査)を受診しました 胃カメラによる検診は2020年、2022年に次いで3度目です。前回は20分弱かかりましたが、今回は同じ医師で10分程度で終わりました 肺がん検診は毎年受診していますが、今回初めて通常のレントゲン検査に、肺のCT検査が加わりました。訊いてみると、隔年実施とのことでした 豊島区からは、あと「特定健診」(一般の健康診断)と大腸がん検査の案内が来ているので、近いうちに日程を入れたいと思います

話は変わりますが、モコタロ邸をバリアフリー化しました モコタロのケージの内部は2階建てになっていて、2階に上がる時は良いのですが、降りる時にジャンプして飛び降りるため、骨折でもしたら大変だということで、スロープを付けることにしました 何しろモコタロも9歳半なので、そういうお年頃ということです 娘が Amazon に発注した3枚のスロープを設置して、飛び降りなくてもいいようにしました まだ慣れないせいか下の方でうろうろして上がろうとしませんが、そのうち慣れることを 私 祈ってます

     

     

ということで、わが家に来てから今日で3437日目を迎え、トランプ前米大統領は9日、ラスベガスでの集会で、大統領選を制すれば、接客業のチップ収入に対する課税を即刻廃止すると表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     今度はギャンブル推進キャンペーンか トランプは当選するためなら手段を選ばない

         

昨日、夕食に「鶏のガリチー煮、スパゲティ添え」を作りました 何回食べても飽きません

     

         

ブレイディみかこ著「他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ」(文春文庫)を読み終わりました ブレイディみかこは1965年福岡市生まれ。1996年から英国ブライトン在住。ライター、コラムニスト。2017年「子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から」で新潮ドキュメント賞、19年「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で本屋大賞2019ノンフィクション本大賞、毎日出版文化賞特別賞などを受賞 「女たちのテロル」「ワイルドサイドをほっつき歩け」など著書多数

     

本書は2021年6月に文藝春秋社から単行本として刊行され、2024年5月に文庫化されました

著者は「はじめに」の中で概要次のように書いています

「2019年に出版した『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の中で、『エンパシー』という言葉について書いたが、多くの読者に受け入れられたようだ 『エンパシー』は、『共感』ではない他者理解があるのではないか、と感じていた多くの人に『誰かの靴を履く』というシンプル極まりない解説によって、ストンと腑に落ちたのではないか しかし、『エンパシー万能』『エンパシーがあればすべてうまくいく』という考えに結びついてしまうのは著者として不本意に思う なぜなら、米国や欧州にはエンパシーを巡る様々な議論があり、それは危険性や毒性を持ち得るものだと主張する論者もいるからだ そうしたことから、本書で『エンパシー』を掘り下げてみようと思った

本書は次の11章から構成されています

第1章「外して、広げる」

第2章「溶かして、変える」

第3章「経済にエンパシーを」

第4章「彼女にはエンパシーがなかった」

第5章「囚われず、手離さない」

第6章「それは深いのか、浅いのか」

第7章「煩わせ、繋がる」

第8章「速いエンパシー、遅いエンパシー」

第9章「人間を人間化せよ」

第10章「エンパシーを『闇落ち』させないために」

第11章「足元に緑色のブランケットを敷く」

著者は第1章「外して、広げる」の中で「エンパシー」と「シンパシー」の違いについて次のように書いています

「『オックスフォード・ラ―ナーズ・ディクショナリーズ』によると、『エンパシー』は他社の感情や経験などを理解する能力であり、『シンパシー』は①誰かをかわいそうだと思う感情、誰かの問題を理解して気にかけていることを示すこと、②ある考え、理念、組織などへの支持や同意を示す行為、③同じような意見や関心を持っている人々の間の友情や理解(いわゆる”シンパ”)ーとなっている つまり、エンパシーは能力だから身に着けるものであり、シンパシーは感情とか行為とか友情とか、どちらかといえば人から出て来るもの、または内側から湧いてくるものだということになる ここで厄介なのは、『エンパシー』は『共感』という日本語に訳されるが、『シンパシー』も『共感』と訳すことができることだ 『シンパシー』の方は『同情』『思いやり』『支持』といった訳語もあり、『エンパシー』の方は『感情移入』『自己移入』と訳されることもある

「『エンパシー』の意味があいまいになっているのは、日本だけではなく、英語圏の国々でも定義が様々に異なる 大まかにいうと①コグニティヴ・エンパシー(「認知的エンパシー」と訳される)、②エモーショナル・エンパシー(「感情的エンパシー」と訳される)、③ソマティック・エンパシー(他者の痛みや苦しみを想像することによって、自分もフィジカルにそれを感じてしまうというもの)、④コンパッショネイト・エンパシー(苦しんでいる人々や動物に対する、強いシンパシーの情であり、彼らを助けたいと思う願望)という種類がある

この中で著者が興味を持っているのは、「コグニティヴ・エンパシー(「認知的エンパシー」)」です 彼女は次のように書いています

「自分を誰かや誰かの状況に投射して理解するのではなく、他者を他者としてそのまま知ろうとすること 自分とは違うもの、自分は受け入れられない性質のものでも、他者として存在を認め、その人のことを想像してみること 他者の臭くて汚い靴でも、感情的にならず、理性的に履いてみること とはいえ、本当に人間にそんなことはできるのだろうか。しかし、エンパシーが「ability (能力)」だとすれば、きっと able な人にはできるのだろう

第4章「彼女にはエンパシーがなかった」の「彼女」とは元英国首相のマーガレット・サッチャーのことです サッチャーは「鉄の女」と呼ばれ「イギリス病」根絶のため徹底的な緊縮財政を貫徹しましたが、官邸で働く100人近くの人々(私設秘書、護衛官、お抱え運転手や身の回りの世話をやく人など)に対しては、とても優しく思いやりのある人物だったということです しかし、社会民主党の創設者デヴィッド・オーウェンは「彼女が周囲の人々に優しかったのは、官邸で働いていたスタッフは各人がそれぞれの分野で成功を収めた人々だったからだ」と語っています つまり、サッチャーは身近な人たちにはシンパシーを感じていたが、英国の底辺で生活する多くの労働者へのエンパシーには欠けていたということです

第10章「エンパシーを『闇落ち』させないために」の中で、著者はトランプ前米大統領を登場させています

「フリッツ・ブライトハウプトは、『自分が正しいと思っている陣営の気持ちや状況を理解すればするだけ、それに反対する立場の陣営が必要以上に邪悪で、間違った存在に見えてくる』という 彼はトランプを『エンパシーの達人』と呼んでいる。トランプがエンパシーに長けているというわけではない。まったく逆で、彼は他者からエンパシーを集めるのが得意だというのだ 彼は『俺 VS メディア』『俺 VS エリート知識人』『俺 VS 陰謀家たち』という風に、世界全体を敵に回して戦っているかのようなナラティブを用いる 他者に対するエンパシーを働かせやすい私心のない人が、強烈な自我を持つ人に弱いことは以前にプライトハウプトが指摘したことだが、自信満々で、型破りで、ポリコレなど微塵も気にせず自分の感情を爆発させるトランプが、全方面から攻撃されている『ひとり戦隊』を演じれば演じるほど、人々のエンパシーに訴えることができるのだ この説は、少なくとも『何であの人が』という、他者への思いやりがありそうな人がトランプを支持している事実を理解するうえで役立つかもしれない。そもそもトランプはアンダードッグを気取って出てきた人だから、本当に負けてしまったとき、支持者による彼への感情移入がマックスに高まるのは当然だろう

そして、次のように続けています

「『友 VS 敵』の構図の強化(トランプだけでなく、ポピュラリズムは通常このやり方で支持を伸ばす)からテロリズムまで、ここまで挙げたエンパシーの闇落ちの例は、靴を履いた対象に自己を支配されてしまっている例だ    他者の靴を履いて、自分の靴を見失ってしまったら元も子もないのである

さらに、「アナーキーという軸をしっかりとぶち込まなければ、エンパシーは知らぬ間に毒性のあるものに変わってしまうかもしれない。エンパシーとアナーキーはセットでなければ、エンパシーだけでは闇落ちする可能性がある」と書いています

上記の通り「エンパシー」を、あらゆる支配を拒否し、自治・自立し相互扶助を行う「アナーキズム」と結びつけて考えようとするのが、ブレイディみかこさんの主張の特徴です

このブログで『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を取り上げた際、フォロワーの女性から「是非、中学生の息子の夏休みの課題図書としたい」とコメントをいただきました 今回の『他者の靴を履く』は、課題図書とするなら高校生以上、むしろ日常的に他者との関係の中で生きている一般社会人に相応しいかもしれません

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