人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

松岡圭祐著「ウクライナにいたら戦争が始まった」を読む ~ 短期留学中の女子高生が見たウクライナ・ブチャにおけるロシア軍の蛮行:ノンフィクション仕立ての小説

2024年06月23日 00時11分35秒 | 日記

23日(日)。今住んでいる豊島区に隣接する北区の王子駅近くに「北とぴあ」というビルがあります ここにはコンサートホール(さくらホール)が入居しているので何度かクラシック公演を聴きに行ったことがあります その広報誌「北とぴあタイムス」に次の告知が掲載されていました

「大規模改修のため、令和7年4月から令和9年3月まで北とぴあを一時休館することとしておりましたが、近年の物価・資材の価格高騰の影響などにより、工事経費の大幅な増加が懸念されることなどから、改修内容の見直し及び手法の再検討等を行うことになりました それに従い、令和7年度からの2年間は、通常どおり北とぴあを開館することにしました

一方、6月20日付toraブログでご紹介した通り、豊島区の池袋駅近くにある「東京芸術劇場」は設備更新工事のため2024(令和6)年9月30日から2025年7月中まで休館します

「近年の物価・資材の価格高騰の影響」というのは、どちらにも共通する問題点だと思いますが、片や予定通り工事を行い、片や工事を一時中止するというように対応が分かれました 「北とぴあ」は工事期間が2年間なので、建物の全面的な大規模改修を行うのだろうと想像が出来ます 一方、「東京芸術劇場」は6か月の工事期間なので、それほど大規模な工事ではないことが予測できます

ところで、私は今住んでいるマンションの管理組合の副理事長を務めていますが、今年築31年目を迎えた14階建て建物の2回目の大規模修繕計画を今月末開催の「管理組合定期総会」に上程します これまで1年以上かけて検討してきましたが、やはり「物価・資材の価格高騰の影響」は避けられません 「これ以上先延ばししたら、管理費を値上げしないと修繕が出来なくなる」というギリギリの段階で決断するに至ったわけです 「物価の高騰」の中には「職人不足に伴う人件費の高騰」も含まれています 公共機関の建物も民間の建物も、経費面を中心に大規模修繕には苦労が絶えませんね

ということで、わが家に来てから今日で3449日目を迎え、20日に告示された都知事選は、予告通り掲載枠を候補者以外に提供し掲示板の一部を”ジャック”したり、「表現の自由」を盾に女性の裸体を掲示する候補者が出たりなど、早くもカオス状態を迎えており、首都の首長を決める神聖なイベントが、実質的にビジネスや売名に利用される異常事態になっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     お前らの破廉恥な行動が 自由な選挙の規制に繋がるんだよ! ノータリンどもめが!

         

コンサートのない日は読書です 昨日、松岡圭祐著「ウクライナにいたら戦争が始まった」(角川文庫)を読み終わりました 松岡圭祐は1968年 愛知県生まれ。デビュー作「催眠」がミリオンセラーとなる   大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部を超える人気作となった   「ジェームズ・ボンドは来ない」「高校事変」など著書多数

     

福島県南相馬市に住む高校生の琉唯(るい)は3か月の短期留学のため、母、妹・梨央奈と共に単身赴任中の父を訪ねるためウクライナに赴く ブチャの家では、初日の夜から両親は口論を始め、琉唯は見知らぬ国で不安を抱えていた やがてロシアによる進攻が近いと退避勧告が出され、一家は慌ただしく帰国の準備を進める しかし、新型コロナウイルスの影響で飛行機に乗ることが出来ず、一家はブチャに取り残されてしまう すると、遠くから爆発音が聞こえてきて、それはだんだん近づいてくる ブチャの街は一瞬にして戦場と化し、琉唯は現実の戦争を目の当たりにし、一家は親子バラバラになってロシア兵から逃げ惑うことを余儀なくされる

本書は2022年8月にKADOKAWAから刊行された単行本に、加筆修正のうえ2024年5月に文庫化したものです

著者は、まえがきに当たる部分で「状況と日時、各事態の発生場所に関し、単行本執筆当時の情報を可能な限り網羅し、また帰国者の証言などを併せ、できるだけ正確を期した」と書いています 本書がノンフィクションにように書かれているのは、そうした背景があることが分かります

「まさか21世紀の現代に、ロシアが隣国ウクライナに戦争を仕掛けてくるはずがない」という希望的観測の状況から、ロシアの侵攻が現実になり、慌てて帰国の準備を進めるが、敵はすぐそこまで到達しており、否が応でも戦争に巻き込まれていくーという恐ろしさが描かれています まさにブチャの街はそういう状況だったのだろうと想像できます ブチャにおけるロシア兵の容赦ない蛮行に一般市民は為すすべがなく虐殺されていきます その残虐な描写を読むのは辛いものがあります 「なぜ何の罪のない一般市民が無慈悲に殺されなければならないのか」という問いに答えるべき人物はロシアのプーチン大統領しかいません しかし、彼は「ロシアとウクライナは一体である」という一方的で偏狭的な歴史観に固執して「正義は我にあり」という態度を崩していません 2年前の2022年2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まってから2年以上が経過しましたが、いまだに侵攻は続いています 東部を中心にインフラや建物が破壊され、ミサイル攻撃により国民が殺され、子どもたちがロシアに誘拐され、多くの国民が国内外に避難せざるを得ない状況に追い込まれています

ウクライナから遠い日本に住んでいるわれわれですが、「一旦戦争が始まったら こういう状況になるのだ」ということを認識する意味でも、今読むべき本としてお薦めします

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