人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

読響サマーフェスティバル「三大協奏曲」公演を聴く ~ 石上真由子のメンデルスゾーン、角野隼斗(かてぃん)のチャイコフスキー、北村陽のドヴォルザーク / 上野千鶴子の「言語能力」

2021年08月15日 07時10分07秒 | 日記

15日(日)。昨日の日経朝刊 読書ページのコラム「半歩遅れの読書術」に社会学者・上野千鶴子さんがエッセイを寄せています 上野さんは冒頭、次のように書いています

「言語能力というものはたくさん読み、たくさん書くこと以外に、身につけることができない 言語というのはいちばんチープで誰にでもアクセス可能な表現手段であるだけでなく、最後に残る自己表現手段でもある ネットが登場し、AV媒体が進化し、画像や動画がどれほど普及したとしても、人間にとって最初であり最後である表現手段は言語以外にないだろう

まったくその通りだと思います というのは、ひと様のブログやツイッターを読んでいると、「この人は、普段から新聞も本もろくに読まないで、書きたい放題 書いているな」と”判る”、つまり「インプットをロクにしないでアウトプットだけしている」ケースが少なくないからです 酷いのになると「自分で何を書いているのか分かっているのか?」と言いたくなる支離滅裂なブログもあります 文章を読めばその人がどういう人物か ある程度判るものです 上野さんの言う「言語能力というものはたくさん読み、たくさん書くこと以外に、身につけることができない」というのは、「多くの本や新聞を読んで情報を知識として『インプット』し、それをもとに言語により自分の考えを『アウトプット』することを繰り返すこと以外に、言語能力(自己表現力と言ってもよいか)を身につけることは出来ない」と言い換えることが出来ます

尊敬する上野さんの言葉を念頭に置いて、これからも「インプット」と「アウトプット」を繰り返し、少しでも”言語能力”が身につくように努力したいと思っています

ということで、わが家に来てから今日で2409日目を迎え、アーノルド・シュワルツェネッガーが、マスク着用やワクチン接種を拒否する人々を「愚か者」だと批判している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ワクチンはともかく マスクをしないのは愚か者トランプ元大統領の悪影響が大きい

 

         

 

昨日、 Kirioka さんと 池袋の東京芸術劇場コンサートホールで読響サマーフェスティバル「 三大協奏曲」公演を聴きました プログラムとソリストは①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」(Vn:石上真由子)、②ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」(Vc:北村陽)、③チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23」(Pf:角野隼斗) 指揮は小林資典です 小林資典は1974年千葉県生まれ。東京藝大大学院修了。文化庁海外派遣研究員として渡独、ベルリン芸術大学で学ぶ。2013年からドルトムント歌劇場の音楽総監督代理と第1指揮者を務めています

席は1階k列15番・16番、11列目のセンターブロック左側です。会場は文字通り満席です いつもの「読響定期演奏会」と違い女性客が圧倒的に多く、年齢も多岐にわたっています ほぼ間違いなくYouTubeやTBS系テレビ「情熱大陸」で話題となったピアニスト かてぃん 目当ての聴衆がかなりの割合を占めています

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは林悠介です

1曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐1847)が1844年に作曲、翌1845年3月にフェルディナント・ダヴィッドのヴァイオリン独奏により初演されました 第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・ノン・トロッポ~アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の石上真由子は1991年 京都市生まれ。8歳でローマ国際音楽祭に招かれる 日本音楽コンクール第2位、ルーマニア国際音楽コンクール優勝など受賞歴が多数あります

石上真由子が黒地に白の女性の上半身のイラストをあしらったエレガントな衣装で登場、小林の指揮で第1楽章に入ります 彼女の演奏の最大の特徴は自然で美しいヴィブラートです とりわけカデンツァは鮮やかでした 第2楽章こそ彼女の特徴が一番発揮された演奏で、音は若干小さめながら、しっかりと美音が聴衆に届いていました 第3楽章は愉悦感に満ちた演奏で聴衆を魅了しました

どうでもいいことですが、コンサート後の彼女のツイッターを見たら、アフターコンサートに何と東銀座の歌舞伎座に行ったようです 彼女は歌舞伎ファンだったのか そういえば、彼女は歌舞伎役者のように「目力(めぢから)」があるなぁ、と思いました

2曲目はドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841‐1904)がニューヨークのナショナル音楽院の院長を務めていた1894年から翌95年にかけて作曲、1896年にロンドンで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

チェロ独奏の北村陽は2004年生まれ。9歳でオーケストラと共演。「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」で優勝し注目を集めました

チェロを帯同してステージに登場した北村は、まだ あどけなさが残る少年といった雰囲気です それはそうです。まだ17歳ですから

小林の指揮で第1楽章に入りますが、冒頭の管弦楽部分は小林の指揮にかなり力が入っています 次いで北村のソロが力強く入ってきます あどけない容姿と悠然とした演奏とのギャップに驚きます 第2楽章では郷愁を誘う叙情的な演奏に惹かれます フルートの倉田優の美しい演奏に続き、クラリネットが巧いなぁと思ってよく見ると、新日本フィル首席の重松希巳江が客演していました 次にソロを吹いたオーボエの金子亜未も新日本フィルにいたので、さながら同窓会のようでした 第3楽章に入ると、北村は民俗色豊かな演奏を繰り広げ、スケールの大きなフィナーレを迎えました 小林 ✕ 読響がしっかりとサポートし、ソリストを盛り立てたのは言うまでもありません

休憩時間は予想通り、女性トイレに長蛇の列ができました 15分の休憩では並んでいる全員は入れなかったようです 我慢を強いられた女性にとっては「水に流せない」話だと思います

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840‐1893)が1874年から翌75年にかけて作曲、1875年10月25日にボストンで初演されました 当初、彼の恩人で巨匠ピアニストのニコライ・ルビンシテインに献呈する予定でしたが、彼がこの作品に「演奏不能」と不満を表明したため、ドイツの指揮者でピアニストのハンス・フォン・ビューローに献呈しました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ・エ・モルト・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ・シンプリーチェ」、第3楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の角野隼斗(すみの はやと)は1995年生まれ。東京大学大学院修了。ピティナ特級グランプリ受賞 リヨン国際コンクール第3位。国内外でコンサート活動を行う傍ら、Cateen(かてぃん)名義で自ら作・編曲および演奏した動画をYouTubeで配信しています

Kiriokaさん曰く「風貌がちょっとショパンに似ている」という 角野かてぃん がピアノに向かい、第1楽章に入ります     ソリストは冒頭から力が入っていますが、緊張からかミスタッチがありました    その後は、スケールの大きなオケの演奏に対抗するかのように熱演を繰り広げました    第2楽章では、フルートの倉田、オーボエの金子、チェロの富岡といった首席クラスの演奏がソリストを盛り立てました    第3楽章に入ると、「おやっ?」という箇所もありましたが、ソリストのグルーブ感溢れるエネルギッシュな演奏が続き、小林 ✕ 読響のバックに支えられながら、壮大なフィナーレを飾りました

終演後は会場のそこかしこに熱心な かてぃんファンによるスタンディングオベーションが見られました ただし自席から確認できる限り、立ち上がって拍手をしているのは女性客のみでした すぐ前の席の親娘らしき女性たちも立ち上ったので、私も Kirioka さんもステージが見られなくなってしまいました    ある人がスタンディングオベーションすると、すぐ後ろの席の人がステージが見られなくなるので、見るために立ち上がります。その連鎖によって「満場のスタンディングオベーション」の神話が出来上がります われわれはその波には乗りませんでしたが、やる時はやります

私はニュース以外はテレビを観ないので「情熱大陸」も観たことがありませんが、個人的な印象としては、角野隼斗氏は多岐にわたる能力がありそうだし 可能性を秘めているので、10年後ぐらいには音楽を離れて、まったく違う道に進んでいるのではないか、と思ったりしました

それにしても、読響は商売が上手いなぁ、と思います 誰でも知っているプログラミングにより 話題性のある若手の演奏家を登場させて会場を埋め尽くすのですから、大した手腕だと思います

親会社が親会社だからかも知れません

 

     

コメント (5)
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