11日(水)。わが家に来てから今日で2405日目を迎え、現代アートの島として知られる瀬戸内海に浮かぶ「直島」で9日、前衛芸術家・草間彌生さんのオブジェ「南瓜」が、台風9号に伴う強い風の影響で飛ばされ、海に流されていたことがわかった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
南瓜(カボチャ)は流されたけど 西瓜(スイカ)だったらどうだったんだろうか?
昨日、夕食に「肉じゃが」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「もやしの味噌汁」を作りました 肉じゃがは作るたびに美味しくなっています。何事も積み重ねが肝心ですね
昨日、新宿ピカデリーで山田洋二監督「キネマの神様」を観ました この映画は松竹100周年記念作品として2020年3月1日にクランクインし、ちょうど半分を撮り終えた3月末に、ダブル主演の一人、ゴウ役の志村けんを新型コロナで失い、4月には長期中断を余儀なくされました その後、コロナ禍のもと度重なる困難に直面しながらも、沢田研二をゴウ役の代演に立て、今夏やっと完成・公開に漕ぎつけた作品です
ギャンブル漬けで借金まみれのゴウ(沢田研二)は妻の淑子(宮本信子)と娘の歩(寺島しのぶ)にも見放されていた しかし、そんな彼にもただ一つだけ愛してやまないものがあった。それは「映画」だった 行きつけの名画座「テアトル銀幕」の館主テラシン(小林稔侍)とゴウは、かつて撮影所で働く仲間だった。若き日のゴウ(菅田将暉)は助監督として、出水宏監督(リリー・フランキー)の指導のもと、映写技師のテラシン(野田洋次郎)をはじめ、時代を代表するスター女優の園子(北川景子)、撮影所近くの食堂の看板娘・淑子(永野芽郁)らに囲まれながら夢を追い求め、青春を謳歌していた しかし、ゴウは初監督作品「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大怪我をし、その作品は幻となってしまう 半世紀後の2020年、あの日の「キネマの神様」の脚本が出てきたことで、ゴウの中で止まっていた夢が再び動き始める
私は原田マハの原作を以前読んだことがあるので、「読んでから観る」ことになりました
原作では、39歳独身の歩は仕事に疲れて会社を辞めてしまいます。同じころ、映画とギャンブル好きの父親が病気で倒れ、多額の借金が明らかになります ある日、父が歩の書いた映画の感想を、勝手に映画ブログのコメントに書き込み、それをきっかけに、歩は有名映画誌「映友」の編集部に再就職が決まります そして、ちょっとしたきっかけから父も「ゴウ」のハンドルネームで映画ブログ「キネマの神様」をスタートさせることになります
一方、映画では、歩は会社を辞めるのは同じですが、彼女には息子の勇太(前田旺志郎)がいて、家に引き籠ってウェブデザイナーの仕事を請け負っています その勇太が祖父ゴウが昔書いた「キネマの神様」の脚本を探し出してきて、「これは傑作だ。ストーリーを現代に書き直して脚本コンクールに応募しよう」と提案し、2人で脚本作りに励み、見事大賞に輝きます
最初、志村けんさんがゴウ役を務めると知った時は、原作に照らして最適任者だと思いました しかし不幸なことに新型コロナのため死去したことから、いったい誰がゴウを演じるんだろうと心配していました 後任として沢田研二が決まったというニュースを聞いた時は、キャラが違い過ぎる、正直言ってミスキャストではないか、と思いました でも、映画となって実際に観てみると、沢田研二で良かったんだなとつくづく思いました 山田洋二監督は「男はつらいよ」でも沢田研二を起用しているので、彼の性格をよく知った上で代打として起用したのでしょう 脚本賞受賞記念の内輪のパーティーで、「それではゴウさんの得意の歌を歌っていただきましょう」とアナウンスされたので、てっきり「勝手にしやがれ」とか「TOKIO」でも歌うのかと思ったら、何と志村けんの十八番「東村山音頭」でした また、エンドロールの最後には「志村けんさん さようなら」のメッセージが映し出されます。この作品は山田監督の志村けんさんへのオマージュと言っても良いと思います
ところで、コロナ禍で1年延期せざるを得なかったことで、新たに付け加えられたシーンがあります 一つは テレビ画面に映し出されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」と、新型コロナ感染者数〇〇人増加というテロップであり、もう一つは「テアトル銀幕」の一つおきの座席に表示された「着席禁止」マークです そして、コロナ禍の影響で「テアトル銀幕」を閉館しようというテラシンに向けて歩が励ます「クラウドファンディングでも何でもやって、諦めないで頑張ろう。私も応援するから」という言葉です 今から1年前、映画館が苦境に陥った時、ミニシアターを救おうという運動が起こり、クラウドファンディングが活用されました 「キネマの神様」には、映画を守ろうとするこうした活動もしっかりと盛り込まれています
ところで、昨日の日経 夕刊文化欄のコラム「語る」で山田洋二監督が記者のインタビューに応えています 超訳すると、
「映画館の観客が映画の画面に入り込んだり、俳優が画面から出てきたり。ゴウの映画も、この映画もバスター・キートンやウディ・アレンの作品を思わせる 『手塚治虫さんに ”山田さん、ああいう映画を撮るといいよ” と言われたことが、ずっと投げかけられた課題として残っていた』。89歳の今も『映画の豊かな表現力に挑んでみたい気持ちがある』。コロナ禍も(「キネマの神様」の)物語に取り込んだ。『外すと現代があいまいになる。今の日本人の生活が出なくちゃいけない』。夜に外で1杯飲むことも出来ない時代、ゴウが何を思うかという問いも浮かび上がる。『進歩と発展を追い続ける考え方に日本人はブレーキをかけなきゃいけない。人間が不幸になる』。その思いは募っている」
山田監督の『進歩と発展を追い続ける考え方に日本人はブレーキをかけなきゃいけない。人間が不幸になる』という問いかけに、われわれは答えを出さなければなりません
映画の話に戻ります 本作は年代を超えて共感を得られる作品です 映画を愛するすべての人たちに強くお薦めします