人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

市川崑監督「野火」(1959年製作)、塚本晋也監督「野火」(2014年製作)を観る 〜 戦場という極限状態に追い込まれた人間の行動を描いた作品:新文芸坐

2021年08月12日 07時19分47秒 | 日記

12日(木)。わが家に来てから今日で2406日目を迎え、米ニューヨーク州のクオモ知事は10日、同州のジェームズ司法長官が、クオモ氏が複数の女性に対してセクハラ行為したことを認定したことを受けて、今後2週間以内に辞任する意向を示した  というニュースを見てシャレを言うモコタロです

 

     

     クオモ:辞任は悔しクオモうが バイデン大統領も辞めろというので 悲しクオモう

 

         

 

昨日、夕食に勝浦市在住の大学時代の友人S君が送ってくれた赤魚を塩焼きにして、「生野菜とアボカドのサラダ」「カツオのタタキ」「冷奴」「エノキダケの味噌汁」と一緒に食べました 赤魚は脂がのっていてとても美味しかったです

 

     

 

         

 

現在、池袋の新文芸坐では、東京裁判から75年を記念して「戦争映画特集」を上映中です 昨日、大岡昇平の小説「野火」を映画化した2人の監督による作品を観ました

 

     

 

最初に観たのは市川崑が1959年に監督した「野火」(モノクロ・104分)で、2本目に観たのは塚本晋也が2014年に監督・主演した「野火」(カラー・87分)です

とくに後者は、いつかは観たいと思っていてチャンスに恵まれず、伸び野火になっていて やっと願いが叶った映画です

 

     

 

ストーリーはラストを除いて概ね同じですが、市川版のモノクロに対し塚本版がカラーという違いがあります また塚本版の方が上映時間が短いだけあって物語のテンポが速く進みます 物語の概要は以下の通りです

日本軍の敗北が濃厚となった第二次世界大戦末期のフィリピンのレイテ島戦線 結核を患っていた田村一等兵は部隊を追放され、野戦病院へと送られる しかし、野戦病院では食糧不足を理由に田村の入院は拒否されてしまう 田村は再び舞い戻った部隊からも入隊を拒否されてしまう 行き場を失った田村は病院の前に寝転ぶ連中の仲間に加わる。安田は煙草の葉をたくさん持っていて食料と交換していたが、足を怪我していて自由に歩けない身だった 安田は煙草を餌に松永という若い兵士を部下のように扱っていた。病院が空襲に遭い、田村は一人で荒野を逃げたが、海辺の教会のある無人の村で、現地の男女と遭遇し、女に騒がれたため恐怖におののき女を撃ち殺してしまう 田村はそこで手に入れた塩を代償に、山中の芋畑で出会った兵士たちの仲間に入る 彼らは集結地パロンポンを目指していた。途中で米兵の銃撃に遭い、仲間の多くは死んでいった 田村は兵士たちの足首が転がる野原で、何者かの銃撃に遭う 彼を抱き上げたのは松永だった。松永は”猿”を狩り、その肉を安田と共に食べて生きていたのだ 田村は「俺を猿と間違えて撃ったのでは?」と疑うが、松永は否定する 安田は田村の手りゅう弾を騙し取り、田村と松永に投げつけてきた。彼が歩けないのは偽装だと判明する 安田が仲直りを呼びかけてきたが、松永は彼を銃殺する そして彼の脚を切り落として食らいつく。それを目前にした田村は松永を銃殺した 田村は銃を捨て、かなたの野火へ向かって歩き始めた。そこにはフィリッピン人がいる。非常に危険な行動だった

 

     

 

この映画は、戦場という異常な空間で極限状態に追い込まれた人間たちの行動が描かれています

この映画で執拗に描かれているのは、とにかく「食料がない」という究極の状態です 食べるものは「サツマイモ」しかないし、「塩」は貴重な物資です

「松永は”猿”を狩り、その肉を安田と共に食べて生きていた」というのは嘘で、実は現地のフィリピン人を銃殺して、その人肉を食べていたのです

「勝つ見込みのない戦場において、サツマイモも塩もなくなったとき、人間はこういう行動を取る、人間の尊厳など守られない。戦争とはそういうものだ」というのが原作者・大岡昇平からの、市川崑監督、塚本晋也監督からのメッセージです

塚本版「野火」の上映に当たり塚本監督がビデオ出演し、「本作が毎年のように上映されているのは奇蹟のようだ 戦争は、頭で考えて人に実行を指示する者と、それを実行する者とに分かれるが、圧倒的多数は実行する側にいる 戦争になると、本作で描かれているような悲惨なことが起こる。そのことをよく考えてほしい」と語っていました

8月15日の敗戦記念日を前に、あらためて戦争のことを考える上で、戦争関連映画を観るのも良いことだと思います

 

     

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