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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1842)私が大飯原発を止めた理由(樋口英明さん)、新型コロナウイルスの投げかけているもの(守田敏也)-第123回山猫軒シンポジウムの動画を公開します!

2020年07月11日 21時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200711 21:30)

山猫軒シンポ、盛況でした!

6月27日に京都市の聖護院門跡の仏間を借りて、「第123回山猫軒シンポジウム」が開かれました。
「明日に向かって 原発、新型コロナウイルスから見えてきたもの」というタイトルでした。
メインの講演として、元福井地裁裁判長の樋口英明さんと、守田がお話させていただきました。

企画に先立って書いた紹介記事を貼り付けておきます。
明日に向けて(1832)原発はあまりに危険、すぐにも停める必要がある!その危険な原発と新型コロナ感染症問題はつながっている!(京都市聖護院門跡で27日に樋口英明さんとともにお話します)
https://onl.tw/KGKuxj4

この企画を動画撮影しましたので、アップさせていただきます。
ただカメラに専属でつくことのできる人がおらず、一部でカメラが発言者の方を向いてないところもあります。ご容赦ください。


講演する樋口さん 守田撮影


新たに奉納された不動明王図の前でお話できました。なんと光栄なこと・・・(出渕さんFacebookより)


主催者代表・出渕ときこさんと聖護院門跡・宮城泰年師のご挨拶

まずは2人のご発言をお聴きください。

第123回山猫軒シンポ オープニング出渕ときこさん 聖護院門跡門主・宮城泰年師ご挨拶 もりもりチャンネルVol.161
https://youtu.be/3DotyuwIbrw

とても面白かったのは、出渕さんのリードのもと、参加者が聖護院の門の外に(バーチャルに)導かれ、「たのもう、たのもう」と呼びかける場から始まったこと。
これに応えて宮城泰年師が登場。山伏たちの問答について教えてくださり、「勧進帳もこれを真似たもの」と語られました。

実は僕は修験道には深い関心があります。聖護院門跡の仏間には役行者(小角=おづぬ)の木造も鎮座なされている。
また勧進にも一方ならぬ思いがあります。勧進は神社仏閣の建立・修復のみならず、橋や道路の設置、修復など「公共事業」を行うために、募金を募ることで、まさに社会的共通資本を守り、発展させるための仕事だったからです。

このためこのことを語りたくてたまらなくなったのですが、当日の演目と大きくずれてしまうので、ぐぐぐっと我慢しました。
ともあれお二人の素敵なご挨拶をご覧下さい。


出渕ときこさんと宮城泰年師のあいさつ (守田撮影)

樋口さんが原発を止めた理由を端的に講演

続いて元福井地裁裁判長の樋口英明さんが講演されました。
私が大飯原発を止めた理由(樋口英明さん) 講演後に樋口・守田トークも もりもりチャンネルVol.162
https://youtu.be/fjueN9FVH9I

樋口さんの論はいたってシンプルです。樋口さんが当日配布された資料の中から二つの表をご紹介します。
一つは2000年以降の主な地震、二つは各原発の基準地震動の推移です。一目瞭然なのは、それぞれの原発の耐震性が実際の地震の揺れに、まったく追いついてないことです。

なお樋口さんのお話の後に、僕も登壇して樋口さんとトークをさせていただきました。
樋口さんの判決の持つ特別な位置、とくに司法家の「専門技術訴訟」という呪縛を打ち破ったものであったことなど、話していただくことができました。
必聴です。ぜひ動画をご覧下さい。


樋口さん当日配布の表から


「専門記述訴訟」という呪縛について語る樋口さん。守田とのトークから(守田撮影)


素敵な横笛が

続いて湊愛子さんが素敵な横笛を披露してくださいました。
すくっと立ちあがって、一吹きしたら、もうそれだけで聴衆がぐっと引き寄せられてしまった。
その後の幾つかの県の民謡のメドレーも素晴らしかったです。民謡のリズムって、私たちの身体に入り込んでいるのですね・・・。

山猫軒シンポで湊愛子さんが素敵な横笛を披露! もりもりチャンネルVol.162-2
https://youtu.be/EJ0h8Ncq4Bs

湊 愛子さんのHPもご紹介しておきます!
http://minatoaiko.jp/


素晴らしい笛を吹く湊愛子さん 出渕さんFacebookページから


新型コロナについて守田が講演

これまでの流れに踏まえて、新型コロナ問題をいかに捉えるか、守田から発話させてもらいました。

明日への希望をつなぐ―新型コロナウイルスの投げかけているもの 守田敏也講演 もりもりチャンネルVol.163
https://youtu.be/ZAUYg7WRZEc

この間、「明日に向けて」で語ってきたことのポイントをまとめましたが、とくに最後の方で以下の点をお話しました。
「科学主義からの脱却こそがカギ 人間の生物的な力を取り戻そう」
写している写真と図は、コロナ禍で生産活動の制限が始まるや、美しさを取り戻したニューヨークの空と、中国の大気の状況です。
下にあるグラフは、僕の毎日歩いた距離、4月平均11.7キロ 5月平均11.5キロ、6月平均7.8キロです。


「人間の生物としての力を取り戻そう」と訴えました(守田撮影)


仁和寺前ホテル建設問題について

集会の終盤に、同問題で活躍を続けている桐田かつこさんから、問題の説明や署名への呼びかけがなされました。

仁和寺前ホテル建設問題について 桐田かつこさんから もりもりチャンネルVol.166
https://youtu.be/D3p2CCULLSQ

問題をコンパクトに説明されています。


仁和寺前ホテル問題について語る桐田かつこさん


動画は以上です。
質疑応答の音が十分に拾えてないところもありますが、全体としてとても素晴らしい会だったと思っています。
一方ならぬ努力をしてくださった出渕ときこさん、会場を快くお貸し下さった宮城泰年師、スタッフのみなさん、出演者のみなさん、参加者のみなさんに心からのお礼を申し上げます。

#山猫軒シンポ #聖護院門跡 #宮城泰年師 #修験道 #勧進 #樋口英明 #大飯原発差止判決 #専門技術訴訟 #湊愛子 #新型コロナ #仁和寺前ホテル問題 #桐田かつこ #出渕ときこ

***

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他の金融機関からのお振り込みの場合は
店名 四四八(ヨンヨンハチ)店番 448 預金種目 普通預金 口座番号 2266615

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明日に向けて(1841)『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会を行います。7月17日(金)午前10時半からと8月1日(土)午後2時からです

2020年07月10日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200710 23:00)

「読み解きBOOK」は何よりも「もやもやした気持ち」の説き明かしを目指した

僕も参加する「にょきにょきプロジェクト」が作成し、今年の5月3日から先行ダウンロードを開始した『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会が行われます。
主催と場所はすみれやさん。にょきにょきプロジェクトも共催します。Facebookのイベントページをご紹介しておきます。

『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会
https://www.facebook.com/events/322176579181973/
 
文部科学省が発行した『小学生のための放射線副読本』というものが、学校で配布されました。子どもが持ち帰ってきたこの本を見て、もやもやした気持ちを持ったお母さんたちが集まり、そのもやもやを言葉にする作業から始まって、この副読本を読み解いて
いこうと地道な作業をまとめたものが、『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』です。
 
2011年3月の原発事故で多くの人は原発についてしっかり考えてこなかったことを悔いました。そしてその後の政府の対応で、国は被害者を救ってくれるわけではないと言うこと、場合によっては嘘をつくということも学びました。だけど、今もまだこの国の原
発事故は終わっていないし、新たな原発事故の可能性は相変わらず高い状態が続いています。
 
同じ間違えを繰り返さないために、まずは自分たちのもやもやを大事にして、自分の言葉にしていきたい。そんな思いでこの集まりを企画しました。
 
この読み解きBOOKを制作した「にょきにょきプロジェクト」のメンバーの一人の守田敏也さんとともに、『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を一緒に読みませんか? そしてこれから放射性物質とどのように向き合っていったらいいのかということもみなさ
んとの対話の中から考えていけたらと願っています


『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』の表紙

すみれやさんは京都市左京区、元田中駅そば

7月17日(金)午前10時半からと8月1日(土)午後2時からすみれやさんにて
すみれやさんのHPとアクセスを示しておきます。

すみれや
https://sumireya.org/
https://sumireya.org/access/

参加費:1,200円
予約・お問合せ先:info@sumireya.org

なお以下はすみれやさんからのお知らせです。
 
※ イベント名、参加希望日、お名前、電話番号、メールアドレスをお知らせください。
※ Facebookページの参加ボタンを押すだけでは予約となりませんのでご注意ください。
※ 2〜3日経っても返事がない場合は、お手数ですが、すみれやにお問い合わせください。特に、携帯のメールアドレスからお申し込みの方はすみれやからの返信が届かないケースがありますので、ご注意ください。
※ 参加者の方にはマスクの着用にご協力をお願いいたします。


すみれやさん HPより

アクセス図


「読む会」とBOOKについての動画説明もご覧下さい!

「読む会」のお知らせ動画も作りましたのでご覧下さい。

『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会のご案内。もりもりチャンネルVol.164
https://youtu.be/1U0-JP1SxO8

BOOKがどのようなものかを解説した動画です。

「『放射線副読本』すっきり読み解きBOOK」を作りました!
https://youtu.be/aDE3vdaEQJg

なお「読み解きBOOK」は現在ダウンロード停止中。あとほんの少しで再開できます。
以下からお申し込みいただければ再開後、すぐにお届けできます。無料ですので興味を感じた方はぜひ!
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfO9q6FQan7QYVdzS5PRkgGJRzXeIQaWPRL_1PbiLC77zLe_g/viewform


読み解き会の案内動画より

*****

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明日に向けて(1840)核のアンソロジー 二つの7月16日に ともしびをつないで

2020年07月09日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200709 23:30)

二つの7月16日に

7月16日はアメリカで二つの大きなことがあった日です。
一つは1945年7月16日、ニューメキシコ州のソコロとアラゴモードに挟まれた米軍射爆場でトリニティと名付けられた人類初の核実験が行われたのでした。使われたのはプルトニウムで作られた原爆。長崎に投下するための実験でした。

もう一つは1979年7月16日、同じくニューメキシコ州の同じくナバホネーションの中のニューメキシコ州側にあったウラン精錬工場で、ウラン鉱滓(スラグ)や強酸の薬剤などが入り混じった汚染水ダムが決壊し、プエルコ川に大量流出する事故が起こったのでした。
どちらも周辺住民に甚大な被害を及ぼしました。とりわけトリニティ核実験では、後にガンなどになって犠牲になられた方もたくさんいました。

昨年(2019年)、ともにこの地を訪れた3人(田中康予・玉山ともよ・守田敏也)が、この日の意味・その場に立ち会った思いを、被害を受けた方たちへ祈りを込めてプレゼンします。
本年の7月16日午後9時から10時半まで。なお田中康予さんはニューヨークからの参加。ニューヨーク時間では16日午前8時からです。
zoomを使ってのオンラインイベントです。ぜひご参加ください!

Facebookのイベントページもお知らせしておきます。
https://www.facebook.com/events/661459151104835/

なお二つの7月16日について、もっと詳しいことを以下の記事に書きましたのでご覧ください。

明日に向けて(1836)2つの7.16=トリニティ核実験・チャーチロックウラン鉱滓(スラグ)汚染水漏れ事故の日にむけて
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3713eae362bef0b35fd7cef46fd37e42


プレゼンテ―タ―をご案内します!

お話させていただく3人のプロフィールをご紹介します。

田中康予
1994年からニューヨーク在住。ソーシャル・プラクティス・アーティストとして、自己変革や社会・環境問題をテーマとした作品制作と教育プロジェクトを行っている。栃木県北の地元が核廃棄物最終処分場の候補となり、311以降、核問題を独自にリサーチし、ジャーナリズムとアクティビズムを取り入れた表現活動を展開。https://yasuyoart.blogspot.com/

玉山ともよ
1997‐2000ユタ州立大学でDr.Barre Toelkenに師事、民俗学で修士取得後、2004‐2013年まで総合研究大学院大学文化科学研究科比較文化学専攻博士課程在籍、単位取得退学。米国南西部先住民保留地等でのウラン鉱山再開発、放射性廃棄物処理問題を研究。現在、兵庫県丹波篠山市で有機農業に従事。

守田敏也
京都市在住。同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローを経て、ジャーナリストとして活動中。福島原発事故以降は、原発問題や放射線の脅威から人々を守る活動を軸に、社会問題全般にわたっての取材・執筆・講演を続けている。海外にも出向き、世界各地で核の問題を向き合う人々や、ヒバクシャとの連携を深めている。https://www.toshikyoto.com

ちらしにそれぞれのプレゼンの内容紹介もあります。ご覧ください。


参加方法です

参加はzoomにてお願いします。申し訳ないですが視聴のみの参加となります。少し前からアクセスしてください。なおマイクは必ずミュートにされてください。
https://us02web.zoom.us/j/82812513276 
ID: 828 1251 3276
なおYouTubeの利用も検討中です。

参加費は無料です。


アラゴモードでのトリニティ実験犠牲者を追悼するビジルに参加して
家族の中の犠牲者の写真を貼りだした地元の女性とともに 田中康予さん撮影


京都「被爆二世三世の会」の街頭行動もあります!

この日は午後6時から、この二つの7月16日に際し、それぞれの被害者・ヒバクシャとの連帯を目指し、京都「被爆二世三世の会」の街頭行動も行なわれます。僕が属する団体です。
二つの7月16日を示したパネルや横断幕を出し、チラシを配り、ヒバクシャ国際署名への協力を訴えます。
京都市の三条河原町路上にて。午後6時から7時までです。この様子も撮影してオンラインイベントでも流します。
京都にお近くの方は、ぜひ街頭行動にもご参加下さい。

核なき未来をめざして、ともに歩みましょう!


2019年7月16日の事故から40年を迎えての抗議行動 守田撮影

#トリニティ核実験 #チャーチロック汚染水漏れ事故 #原爆 #ウラン精錬工場 #ニューメキシコ #ナバホ

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明日に向けて(1839)豪雨が東に移動中。岐阜で飛騨川が氾濫。今後、東海・関東・甲信越・東北で被害の可能性が

2020年07月08日 10時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200708 10:00)

岐阜・長野に大雨特別警報発令 河川が各地で氾濫危険水位に

7月4日から始まり、九州に甚大な被害をもたらした大雨が、東に移動中です。
すでに8日(水)6時30分、岐阜県の東濃、中濃、飛騨地方に大雨特別警報が発表されました。
さらに、6時43分には長野県の松本地域、乗鞍上高地地域、南部に大雨特別警報が発表されました。

増水していた木曽川水系・飛騨川が、岐阜県内の下呂市萩原町中呂(左岸)付近において氾濫したことが、8日7時過ぎに発表されています。
各地で河川が氾濫危険に達しています。9時40分時点での危険地域を図示した情報を貼り付けますが、ぜひ以下からリアルな状態を把握してください。

河川水位情報
https://weathernews.jp/s/topics/map/river_level.html?fm=news


河川水位情報 8日午前9時40分時点 


雨雲は東海・関東・東北に

雨雲が東に移動しており、さらに各地に被害が広がる可能性があります。
また川の水位は雨雲が通り過ぎたあとにむしろ上がっていく傾向があります。
特別警報が発令された地域で、どのタイミングで解除されるか分かりませんが、これまでの例では、解除後に洪水が発生した地域が多くあります。

その点で雨の降り方だけを注視せず、雨が降りやんだ後も洪水や土砂災害が発生する可能性があることに十分に注意されてください。
とにかく早めに避難されることが大切です。コロナ禍で避難所が怖いとも思いますが、水害では一気に命が奪われます。どうか避難を優先されてください。
またこれを契機に、個人間でより安全な住まいを避難先として確保し、いざというときに互いに守り合うことを、お勧めします。

マンションなどの高い階の部屋は比較的安全です。ただしエレベーターが止まったり、給水施設がダウンすることがあるので、水・食べ物を備蓄してください。
友人・知人と、いざというときに持ち寄るものを決めておくのもベターです。
ともあれ命を守る工夫を重ねていきましょう。

現在の雨雲の予想図を貼り付けます。これもリアルタイムでの情報をとるようにしてください。

全国の雨雲レーダー
https://weathernews.jp/onebox/radar/?fm=yn


雨雲の様子。10時45分の予想図 東京近郊だけでなく、関東、北部福島にも豪雨の可能性が

東京・横浜の危険性

東京、およびその周辺にお住まいの方は、東京・横浜圏が、世界の616都市の比較で水害の危険度がワースト1であることを知っておいてください。ちなみに大阪・神戸はワースト4、名古屋はワースト6です。
このレポートを発したのは、スイス・リーという再保険会社で、2013年9月18日、「都市地域の最も大きな自然災害リスクは河川の洪水と地震」と題して発表しました。
世界の都市が「洪水、嵐、高潮、地震、津波」などのリスクで比較され、被災する人口が推計されています。
その結果、5つのリスクすべてに影響を受ける人口が最も多い都市は、東京・横浜圏が5710万人でトップ、4位に大阪・神戸圏の3210万人、6位に名古屋圏の2290万人とな発表されているのです。

〈 自然災害 危険都市ランキング 〉 世界1位は「東京・横浜」 2020五輪決定直後に公表
防災情報新聞 20140421
http://www.bosaijoho.jp/association/item_6751.html

この危険性を裏付ける資料の一つが江戸川区河川事務所のHPに掲載されています。
埼玉・東京の多くの地域が、利根川や江戸川の水位よりもかなり低い所に位置しているのです。
昨年の台風19号の激烈な被害の時は、利根川の上流が次々と切れました。そこを補修しているわけですが、上流が決壊しないならしないで、危機は下流にまわってきます。


首都圏の多くの地域が利根川や江戸川よりも低い!江戸川河川事務所HPより

もはや堤防改修では間に合わないし、根本的解決にもならないのです。
「災害対策を一新せよ」との声をあげなくてはなりませんが、とにかく個人でも備えるしかない。
お近くの堤防が決壊することがありうることを前提に、対策を進めてください。早めに避難したり、大事な家財道具を少しでも高い所に移すなどされると、安全マージンがその分、高まります。

どうかなんといっても命を、そしてその次に大切な財産を守るために、十分に警戒し、知恵をめぐらせて対応してください。

#飛騨川氾濫 #河川氾濫 #大雨特別警報 #東京横浜はワースト1 #スイスリー

***

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明日に向けて(1838)九州豪雨災害の多くはまともな対策がなかったがゆえのこと!同じことが全国至るところで起こりうる。厳重警戒を!

2020年07月08日 02時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200708 02:00)

洪水災害が広がっていることを踏まえて深夜に投稿します。ご容赦を。

九州豪雨で被害が拡大中、四国・本州も要警戒!

九州がとんでもないことになっています。梅雨前線の停滞のもと、7月4日から降り始めた雨が九州各地で大きな被害を生み出しています。7日午後10時13分発表の朝日新聞によれば、4日からの大雨による死者は56人、心配停止2名、行方不明12人です。
しかもこの雨は、今宵、再び熊本から大分に大雨を降らせています。さきほど午前1時16分に気象台から大分日田で筑後川が再び氾濫との発表がありました。続いて同1時24分に大分由布で大分川が氾濫と伝えられました。あまりに胸が痛いです。
九州全域が雨を脱するのは8日朝とされていますが、川はその後にさらに増水を強めます。明日も厳重な警戒が必要です。ぜひとも豪雨地域のみなさんに、命を守っていただきたいです。

一方、この雨雲は、四国や本州に移りつつあります。明日以降、九州より東の地域で大雨被害がもたらされる可能性があります。要警戒です。
この大雨の間、各地で大雨特別警報が出されたり解除されたりしていますが、もともと特別警報は「数十年に一度の大雨」の時のものなのに、ここ数年、発令が繰り返されています。
しかも今回、熊本や鹿児島に出されたのは4日未明の午前4時50分で、すでに避難ができない状態での発令でした。「想定外の大雨」が強調されていますが、その言い方は正しくない。
起こっているのは、これまでの災害対策の目安が次々、突破されていることなのです。


球磨川の氾濫前と後の姿 朝日新聞より

事態は予測可能だった!

今回の豪雨による被害、まだまだ拡大する可能性がありますが、悲しみと共に怒りも湧いてきます。
なぜか。今回の事態は「想定外」などではなく、予想できたからです。これまでの「想定」を見直し、一新することが問われているのです。僕は今年の梅雨が始まったときに、すでに以下の点を紹介していました。

***

今後、梅雨、夏の台風と雨が強まる機会が増えることが予測されますが、何より踏まえておかねばならないのが、気候変動の影響で雨の降り方の激しさが年々、増していることです。
これに伴い、毎年のように大きな河川の決壊による洪水や土砂災害が発生しており、しかも河川氾濫は年々規模が拡大しています。

ここ3年を振り返ってみましょう。2017年には7月5,6日に福岡県・大分県を中心に「平成29年7月九州北部豪雨」が発生。死者40人、行方不明2人の被害が出ました。
2018年には6月28日から7月8日にかけて「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」が発生。岡山県の真備町が水没するなどする中で、西日本一帯で死者263人、行方不明8人という甚大な被害が出ました。
2019年には10月12日に「令和元年東日本台風(19号)」が静岡県に上陸。関東・甲信越・東北などで死者86人、行方不明3人の被害が出ました。なおそれぞれの名は気象庁の命名によっています。

明日に向けて(1831)大水害・大地震の危機に逞しく備えよう―防災・減災体制の抜本的強化を
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2d720f627c297c94dadc01a438da3509


増加する河川決壊数を図示 クローズアップ現代より


甚大な水害がどこでも起こりうることを踏まえ、厳重な警戒を

ぜひこの記事を読んでいただきたいですが、要するにここで僕が指摘したのは、「想定」が突破される事態が毎年、各地で起こっている点です。とくに昨年の台風19号被害では、71河川142か所で堤防が決壊、氾濫河川は300にも及びました。
降雨量が複数河川で「計画降雨」を上回ってしまったためです。「計画降雨」とは河川整備等を行う際の流域基準のことで、基本的には"100年に1回の豪雨でもこれ以上は降らないだろう"との想定による基準値ですが、それが次々と突破されてしまった。
だからもはや全国で防災体制を一新しなければならないのです。これまでの想定ではダメなのです。それがもう分かっていたのです。にも関わらず更新しないから、「数十年に一度の水害」と想定するレベルに毎年どこかが達してしまうのです。


台風19号 「計画降雨」を上回る記録的大雨 2019年10月16日17:38 日本気象協会 安齊理沙

しかも日本の河川の洪水対策は、長年「堤防で氾濫をおさえこむ」ことを基軸としてきたために、堤防が突破されると打つ手なしになってしまう。
もちろん手をこまねいてただけではなく、氾濫を抑えこめなかった場合の対応措置も、重ねられてはいるのですが、しかしペースがあまりに遅いし、国民・住民に十分に伝わっていません。
とくにこの国難を無視して東京オリンピックを強行しようとしてきた安倍政権が、ほとんどまともな措置をとらないばかりか、国民・市民への注意喚起もしてこなかったために、今回も被害を拡大させているのです。

このため、今後も全国どこでも堤防の破堤や越水による大規模な洪水が起こりえます。とくに東京は大ピンチの前にあります。大阪や名古屋も同じです。ぜひともこのことを頭に入れて備えて欲しいです。
最悪を想定してください。小舟なども用意して備えていただきたいです。いまのうちに避難所を少しでも良くすることに着手しましょう。コロナも考慮し、災害の際のホテルの借り上げ準備を各地で進めましょう。
災害に苦しむ九州の人々にみんなで助けをだすとともに、それぞれの地域で「明日は我が身」と考え、できる備えを強めましょう。みんなで互いの命を守り抜きましょう。

#九州豪雨 #河川決壊 #筑後川氾濫 #計画降雨 #特別警報

***

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明日に向けて(1837)感染症対策「森を見る」思考を―何が日本と欧米を分けたのか―新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(30)

2020年06月30日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200630 23:30)

新型コロナウイルス感染症の第一波が収まり、緊急事態宣言が解除され、都市間の移動自粛要請もなくなりました。
感染は小規模ながら相変わらず続いていており、油断はならないですが、すぐに第二波が起こるとは言えなさそうです。
この時期に第一波の経験からの学びを行うために、一時期、中断していた新型コロナに関する連載を再開していきたいと思います。


専門家会議が編み出した戦略はやはり妥当だった!

今回掲げたタイトルは、外務省発行の外交専門誌『外交』Vol.61の巻頭によせられた押谷仁さんへのインタビュー記事のタイトルです。分かりやすいのでそのまま使わせていただきました。
以下よりご覧になれます。読み応え抜群ですのでぜひご一読ください。今回はこれをてがかりに話を進めます。

外交専門誌「外交」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/vol61.html


外務省webサイトより

新型コロナウイルスへ感染症対策が良かったのか、悪かったのか。これを「死者数」でみることに大きな抵抗を感じる方がおられる点に配慮し、これまで論じることを躊躇していたのですが、しかしこの間、この点に注目が集まっているのも事実です。
とくに4月ごろに、専門家会議を中心とした日本の新型コロナ感染症対策を、「古すぎる」「世界のトレンドから遅れている」「竹やりで突入するようなもの」などと語っていた方たちから「ファクターX」などという言葉が出てきています。
自分たちの予想が全く当たらなかったので、「感染症が広がらなかったファクターX」を探し出しているのですが、なんとも誠実さがないなあと思います。渋谷健司氏など「東京はもう手遅れ」と危機を煽りまくっていたことの捉え返しも行わない。

しかし世界のトレンドとは何ったのでしょうか。欧米のやり方だったのでは。そしてそれでは感染拡大を抑えられなかったのではないでしょうか。痛ましい死者の拡大が起こってしまったのではないでしょうか。
やはり専門家会議の打ちだした戦略が妥当だったのでは?この捉え返しが大切なのでは?日本の対応を「時代遅れ」と語っていた方たちは、この点に踏み込もうとしません。自らが間違っていたことになるからでしょう。
しかしそれでは何が正しかったのかを検証できません。そればかりか今回、せっかく効果があった対応方法を次の感染症対策で手放すことになりかねません。

今後も感染症に立ち向かっていくためには、優れた経験に学んで継承することが大事です。
安倍政権が、専門家会議をひどい形で解散することで、政権と専門家会議に大きな隔たりがあったこともより鮮明になったいま、ぜひ公平な目で学びを深めたいです。


何が日本と欧米を分けたのか

これまでこの点を、専門家会議の方があまり明確に語ることはなかったように思いますが、今回、押谷さんは鮮明に語っておられます。引用します。

感染症対策「森を見る」思考を
http://www.gaiko-web.jp/test/wp-content/uploads/2020/06/Vol.61_6-11_Interview_New.pdf

***

「データを見れば、欧米諸国と日本でどちらが有効な対応なのかは明らかです。両者の違いは、感染拡大を止める戦略にあります。ひと言でいえば、日本の戦略は「森を見て全体像を把握する」ことで、ニューヨークをはじめ欧米諸国は「木を見る」方法だと言えます。
欧米諸国は、感染者周辺の接触者を徹底的に検査し、新たな感染者を見つけ出すことで、ウイルスを一つ一つ「叩く」ことに力を入れてきました。しかし、日本だけではなく各国のデータから、接触者の陽性率は非常に低いことがわかっています。
一方で、通常の方法では見つからないような軽症例や、無症状の感染者からも感染が起こり得ます。したがって、そのような対応は感染拡大阻止にはさほど有効ではない上に、たいへん非効率な消耗戦となってしまったのです。
一方、日本の戦略の肝は、「大きな感染源を見逃さない」という点にあります。われわれがクラスターと呼ぶ、感染が大規模化しそうな感染源を正確に把握し、その周辺をケアし、小さな感染はある程度見逃しがあることを許容することで、消耗戦を避けながら、大きな感染拡大の芽を摘むことに力を注いできたのです。
そのような対策の背景には、このウイルスの場合、多くの人は誰にも感染させていないので、ある程度見逃しても、一人の感染者が多くの人に感染させるクラスターさえ発生しなければ、ほとんどの感染連鎖は消滅していく、という事実があります。」

とても重要な点だと思います。
世界のトレンドだとして、例えば児玉龍彦氏などが強調していたのは検査の徹底です。「感染者周辺の接触者を徹底的に検査し、新たな感染者を見つけ出すことで、ウイルスを一つ一つ叩く」のです。しかしそれは「非効率な消耗戦」になってしまった。
なぜか。大事なポイントは「このウイルスの場合、多くの人は誰にも感染させていないので、ある程度見逃しても、一人の感染者が多くの人に感染させるクラスターさえ発生しなければ、ほとんどの感染連鎖は消滅していく」点です。
多くの方が感染を絶対にしないさせないとピリピリしていた時には、明示的に言えなかったように思えますが、「ある程度見逃して」も良いことは、とても重要なのです。欧米ではこの点が把握できなかったので、あまりに非効率に医療資源を消耗させてしまいました。

これは地道な追跡調査で分かったことでした。感染者10人のうち実に8人は誰に感染させてなかった。残りの2人のうちの1人も1人にしか感染させていなった。しかし最後の1人がクラスターを作ってしまっていた。
それがどうしてなのかを分析して得られたのが、クラスターが特定条件下で起こることでした。こうして編み出されたのが「3密を避ける」戦略でした。欧米各国はこの方法に至れなかった。ぜひクラスター対策を摂り入れて欲しいです。
日本はだからこそ、厳格なロックダウンも行わず、欧米から比べたらかなりゆるゆるの「自粛」で乗り切ることができたのです。ウイルスを「一つ一つ叩く」方策を採らないことが懸命だったのです。


『外交』Vol.61より

アジアは戦略を共有している

さてこのように書いてくると、感染拡大を上手におさえ、死者数を少なく抑えられたのは日本だけではない。韓国や台湾の方が、人口当たりの死者数が少ないと言うご指摘がでてくるのではと思います。
まったくその通りなのです!その点で優れているのは日本の専門家会議だけではありません。アジア各国の戦略が優れていたのです。
どうしてなのかというと、ベースに同じ戦略を共有しているからです。Field Epidemiology Training Program(FETP)です。

日本は1999年より始めていますが、タイ(1980年)、台湾(1984年)、フィリピン(1987年)などで日本よりも早くFETPが設置されている国があります。
韓国(2000年)や中国(2001年)もこれを設置しており、それぞれの担当者が国を越えたネットワークを形成してきて、SARS,MARS,新型インフルの経験を共有してきたのです。その中でクラスターを追跡し、感染を抑えこんでいく戦略が研ぎ澄まされてきた。
今回、どれだけ情報交換が行われ、互いの戦略を学びあったのかのリアリティまでは分かっていないのですが、これらの戦略を有している国の新型コロナ対応が、どこでも比較的うまく感染を抑えこめたことは事実です。

その点でも専門家会議は、安倍政権の枠に収まらないスケールを持っていました。20年間にわたる感染症対策の経験を、各国の専門家とともに共有してきたからです。
しかし安倍政権ならず日本の歴代政権は、この意義をまったく理解せず、感染症研究会や保健所の予算や人員を大幅に削ってきました。検査体制も伸ばそうとはしませんでした。
その逆風の中でも、これらの方たちが研究と実践的トレーニングを連綿と積んできたことが、今回、大いに役立ちました。ぜひここに注目して欲しいです。

「FETP」をご存じですか?
日経メディカル 20100427
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kansen-j/201004/514877.html


日経メディカルの記事より

*****

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#新型コロナウイルス #専門家会議 #押谷仁 #クラスター対策 #ロックダウン

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明日に向けて(1836)2つの7.16=トリニティ核実験・チャーチロックウラン鉱滓(スラグ)汚染水漏れ事故の日にむけて

2020年06月27日 11時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200627 11:00)

【お知らせ】本日27日午後1時半より、京都市の聖護院門跡で原発と新型コロナについての企画が行われます。
元福井地裁裁判長・樋口英明さんとご一緒します。ぜひご参加下さい。Zoomでの視聴も可能です。
詳しくはイベントページをご覧ください。当日ですので、Zoomアドレス・パスワードも公開しています。
https://www.facebook.com/events/1735196226633686/


トリニティ核実験から75年・・・

7月16日は核にまつわる大きな日です。二つの大きな事件が起こった日だからです。しかも同じ、アメリカ・ニューメキシコ州で起こりました。
一つは1945年7月16日、ニューメキシコ州のソコロとアラモゴードに挟まれた米軍の射爆場で起こりました。人類史上、初めての核実験でした。
使われたのはガジェットと命名されたプルトニウム型の核爆弾でした。のちに長崎に投下したものと同型で、長崎空襲のための実験でした。

爆発が起こったのは16日の未明。目撃した住民は「大音響とともに地上から太陽が現れた。この世の終わりがきたと思った」と語っています。
しかし極秘に計画を進めていた米軍は、すぐに火薬倉庫の爆発事故と発表。周辺の多くの住民が、何も知らされないままに、大量に降下してきた放射性物質によって被曝しました。
その点で、トリニティ核実験は、人類史上初めて核爆発による被害を人々にもたらしたものでした。核兵器の被害は広島が最初ではないのです。最初はトリニティなのです。

しかもこの爆弾、地上30メートルの鉄塔の上で爆発させたため、地表の泥を大量に巻き上げ、それに放射性物質がついて、近郊に大量に落ちたために住民への被害をより大きくしました。
米軍はこの経験から、後の核実験を空中投下で行い、放射性物質を大気中に拡散させるようにしましたが、もちろんそのことで、被害を世界大に広めただけでした。
その後、周辺住民から次々と重篤なガンが発生しました。被害は次世代にも及びました。しかしアメリカは長きにわたって加害責任を認めていません。2014年9月より、ようやく米国立がん研究所(NCI)の調査が始まりましたが・・・。


トリニティサイト近くの看板 守田撮影

チャーチロック・ウラン鉱滓汚染水漏れ事故から41年・・・

もう一つの7月16日の事故は1979年に起こりました。ナバホ・ネーションのチャーチロックにあったウラン精錬工場から発するウラン鉱滓(スラグ)を含んだ汚染水を大量に貯めていたダムが決壊したのでした。
ウランやさまざまな岩石のカス、また精錬に使用された強酸などの薬剤が混じったとても危険な汚染水は、周辺に住んでいるナバホ・ディネの方たちが生活水を採っているプエルコ川に流れ込み、被害を拡大しました。
この事故の背景をなすのは、1944年、原爆製造計画=マンハッタン計画が動いている時に、ナバホ・ディネ、そしてホピの「居留地」から次々とウラン鉱が発見され、発掘されだしたことです。

広島・長崎に投下された原爆に使われたウランは、ベルギー領だったコンゴやカナダから持ち込まれたものでしたが、ニューメキシコでのウラン発掘は、第二次世界大戦が終わり、ソ連との核兵器を向き合わせての「冷戦」が始まるや、どんどん拡大、1000以上もの採掘場が作られ、精錬工場も建てられました。(今はほとんどが廃坑)
そこで劣悪な労働に従事したのも、多くはナバホ・ディネの方たちでした。そんな中で起こったのが、1979年の大量のウラン精錬工場から出た汚染水の川への流出でした。
1979年というと何かに気づかれる方もおられるのではないでしょうか?そうです。この年はスリーマイル島原発事故の年です。このためチャーチロックの事件もさぞや注目が集まったかと思いきや、そんなことはなかった。先住民族の地だからでした。

この点で、チャーチロックの事故は、先住民族の地からウランをかってに掘り出し、採掘労働や精錬などさまざまな過程で、周辺環境を汚染し、人々を被曝させてきたことの連なりの中で起こったものでした。
ここから私たちがおさえなければならないのは、核爆発による最初の被害が起こったのはトリニティ実験であるけれども、それより先に、ウラン鉱の採掘で人類初の核被害が起こされていたということです。
しかもナバホだけでなく、他国のウラン鉱も含めて、被害の多くは各地の先住民族の方たちが受けました。このウラン鉱とトリニティの被害のあとに、広島・長崎での凄惨な大虐殺と、放射線による世代を越えた加害が行われたのでした。


チャーチロックウラン汚染水漏れを批判する40周年集会・デモ 守田撮影


ふたつの716に参加して

昨年、僕は7月と11月にアメリカに訪問しました。「核の終わりを探る旅」でしたが、7月に二つの716関連の企画に参加することができました。まずはチャーチロックでの40年目の抗議・批判の集会に参加しました。
集会場そのものが二つのウラン鉱山跡に挟まれていましたが、そこからデモがなされました。約200人が歩き、精錬所があった方角を向きながら運動の代表の方の話を聞きました。
その後、集会場に戻り次々と発言が続きました。それぞれの発言が印象的でしたが、ナバホ・ディネの方達が様々な健康被害の元に今も苦しんでいることが、とても深く胸に響いてきました。

その後、トリニティサイトの企画にも参加することができました。チャーチロックの集会で出会ったロンさんの車に、ニューヨーク在住のアーティスト、田中康予さんとともに同乗させてもらい向かいました。
サイトの南にあるアラモゴードの町で住民集会に参加。参加者が次々とガンなどの被害、家族の死を語る圧巻の集会でした。僕はそこで京都「被爆2世3世の会」のメンバーとして発言しましたが、ものすごく熱い拍手で迎えられました。
その後、犠牲者を追悼するビジルに参加しました。小さな野球場の内野守備位置あたりに、犠牲者の名を書いたペーパーバックが並べられ、中にあるろうそくに火が灯されました。夜になると鐘の音と共に、一人一人の名が読み上げられました。

二つの716企画に参加して、「ああ、ここにもこんなに核の被害者がいる。ヒバクシャがいる。この人々と共に歩んで、この悲惨な時代を越えていきたい」と強く思いました。
同時に「この中からこそ、新たな時代をみんなで豊かに作りだしていく新たな「愛」もまた生まれるのだ」とも思いました。そうなのです。核の被害、悲しい痛みをシェアし、その中で私たちの心を温めて愛を育む中でこそ未来が見えるのです。
ぜひこの流れを強めていきたい。これを読んでいるみなさんにも参加していただきたいです。


アラゴモードでのビジル 犠牲者の名前が書いたペーパーバックに灯をともして 守田撮影


今年のふたつの716に向けた企画を立案中です!

今年もまたふたつの716の日がやってきますが、そのときにぜひ企画を行いたいと考えい、思案中です。
一つに京都「被爆2世3世の会」で7月16日午後6時より街頭での宣伝を行いたいと思います。アメリカでは朝の5時ごろ。ちょうど75年前にトリニティでの爆発が起こされた時間帯です。
「トリニティの日に企画を」とミーティングで決めたのですが、僕はそこにナバホ・ディネの方たちへの連帯の意味も込めることを再度、提案しようと思っています。これをビデオ収録し、アラゴモードとナバホ・ディネの方たちに送りたいです。

もう一つ、昨年の二つのアメリカ訪問の旅に僕を誘って下さった、玉山ともよさんと、ニューヨークにいる田中康予さんとで、ネット上での何らかの企画をと考えています。
3人それぞれが簡単なプレゼンを行い、現地の方たちからもコメントをいただくかたちで進めようと思っています。こちらも2つの716にしっかりと焦点を当てます。
これらも録画も行い、リアルタイムだけでなく、多くの方たちに見てもらいたいと思っています。

そして何らかの形で、これらの企画を今年の広島の日、長崎の日に反映させていきたいと思っています。
広島・長崎の惨劇に心を痛めている多くの方たちに、先にウラン鉱の発掘があり、トリニティの核実験があったことを知っていただきたい。わがこととして、そこの犠牲者の痛みをシェアしていただきたいと思うからです。
悲しみを集めるのは辛い作業でもあるのですが、しかしその中でこそ、新たな何かが生まれると僕は確信しています。どうかご協力ください!


家族の犠牲者の写真と名前を貼りだした方と共に 田中康予さん撮影

*****

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明日に向けて(1835)「沖縄慰霊の日」に愛と平和を考える―「知っておきたい沖縄のはなし」をご覧ください

2020年06月23日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200623 23:30)

沖縄戦のことをどう考え伝えていくのか

本日6月23日は「沖縄慰霊の日」でした。
沖縄戦で亡くなられたすべての方の霊に、心からの祈りを捧げたいと思います。
沖縄戦で心身を傷つけられ、いまなおトラウマに苦しむサバイバ―のみなさまにお見舞い申し上げます。

75年前のこの日、組織的戦闘としての沖縄戦が「終結した」という解釈があります。日本軍司令官牛島中将が23日までに自決したためです。
しかし牛島中将は「最後の一兵まで戦え」という命令を残しました。そのためその日以降も、戦闘が続きました。
その点でこの日を「終結の日」として捉えるのは正しいとは言えませんが、しかし長らくこの日は「慰霊の日」とされ、今日も平和の礎の前で、県の主催による慰霊集会が行われました。

犠牲になった人々の魂に対して私たちはどういう思いを手向けたらいいのでしょうか。沖縄戦をいかに捉え、後世に伝えていくことが必要なのでしょうか。
実は僕はこの点について本年の2月下旬に、滋賀県のある公立中学校でお話させていただきました。6月に修学旅行に行く予定の当時の2年生全生徒さんの前ででした。
残念なことに、6月の修学旅行は中止になってしまいましたが、生徒のみなさん、沖縄のことを事前学習していてとても熱心に聴いてくださいました。「慰霊の日」にこの時の動画をみなさんにご紹介したいと思います。

知っておきたい沖縄のはなし もりもりチャンネルvol.154
https://www.youtube.com/watch?v=kJ8USzX2FAs


沖縄戦と平和憲法と米軍基地

この講演には、僕が戦争の問題でこの間、考えてきたこと、取材してきたことをいっぱい込めました。
一つは、明治維新以来、日本が戦争に次ぐ戦争に明け暮れたこと。とくに1930年代には中国への侵攻を深め、その先にアメリカとの戦争に入り、太平洋の島々や海での戦争がやがて沖縄戦へといたっていきました。
その沖縄戦は、住民を守ろうとしない日本軍のあり方が顕著にあらわれた戦いでした。当初、首里城付近を攻防ラインとしていた日本軍は、那覇など都市の住民を南部に逃がしていた。しかし首里城での攻防に敗れるや、その南部に日本軍が撤退したのでした。

このため南部は兵士と住民がひしめき合う状態になってしまいました。そこにアメリカ軍が無差別攻撃をかけました。
日本軍もアメリカ軍も住民を守る気が少しもなかったので、軍人よりも圧倒的に多数の民間人が犠牲になったのが沖縄戦でした。
この点を実写フィルムもまじえながらコンパクトに説明しました。

その後、日本は戦争に敗れ、民主化が進み、平和憲法ができました。憲法は長年にわたる戦争の犠牲の上に成り立ちました。「二度と戦争などせず平和で豊かな国を作るのだ」という日本民衆の気概が溢れていました。
このことを生徒さんたちとシェアするために、文部省がこの頃に出版した「新しい憲法のはなし」の主要部分を読み上げました。
その上で、この平和憲法から除外されたのが沖縄であったこと。1972年までアメリカの統治下におかれ、基地だらけになり、朝鮮戦争やベトナム戦争への出撃がそこから行われたことを知ってもらいました。



アメリカが行ってきた戦争と沖縄

アメリカが日本に対して行った戦争の振り返りも行いました。一つは全土の都市を狙った都市空襲です。スタンダード石油が開発した焼夷弾が大量に使われました。
アメリカはさらに沖縄上陸戦を行い、さらに広島・長崎に原爆を投下しました。そのすべてが戦争犯罪でした。
大量虐殺の果てに日本を占領したアメリカは、沖縄から朝鮮へ、ベトナムへと出撃しましたが、その時、使ったのも焼夷弾でした。日本で使われたものをバージョンアップしたものが朝鮮では2倍、ベトナムでは20倍、落とされました。


嘆かわしいことに、日本はこの朝鮮・ベトナム戦争でしこたま儲け、経済復興と高度経済成長を実現しました。その象徴が東京タワーであることを指摘しました。あのタワーの上の3分の1は、朝鮮戦争でポンコツ化した米軍の戦車の鉄からできているからです。
また東京大空襲など本土空襲から、朝鮮・ベトナムへの空襲が同じ将軍に指揮されたことも話しました。カーチス・ルメイです。戦中に「皆殺しのルメイ」とあだ名したこの将軍に、日本政府はなんと天皇ヒロヒトの名で勲章を送っています。
さらに米軍は沖縄に海兵隊を軸に大量の米軍を置いてきました。今も在日米軍の4分の3がいる。その米軍は兵士を人殺しに変える訓練を続けています。その中で島袋里奈さんが殺害されるなど、繰り返し軍と軍属による島民への暴力が振るわれてきました。

暴力への抗議が繰り返される中で、普天間飛行場の返還が決まったものの、米軍が辺野古に基地新設を求め、日本政府が建設を続けています。これへの沖縄の人々の抵抗が続いていることを写真を交えて話しました。
これに世界から支持が集まっている。日本ではモデルのローラさんが、イギリスではQUEENのブライアン・メイさんが声を上げてくれました。そんな中で、基地反対の玉城デニーさんが知事になっています。
これらを踏まえて最後にこうメッセージを発しました。

「沖縄の人たちはいまも戦争・軍隊・基地・暴力に反対して努力を続けています。
その沖縄を訪れてぜひ沖縄の平和のこころに触れて下さい。沖縄の優しさにふれて下さい。
そしてみなさん自身が、平和で、優しく、家族や友だちを大事にするあたたかい心を育てて欲しいです。
戦争の悲しみの中からつむぎ出されてきた愛があふれているのが沖縄です。

沖縄に、世界に、愛と平和を!」

・・・ぜひ「知っておきたい沖縄のはなし」をご覧ください!


*****

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明日に向けて(1834)第123回「山猫軒シンポ」原発、新型コロナウイルスから見えてきたもの(27日)・・・Zoomからも視聴できます!

2020年06月22日 22時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200622 22:30)

樋口英明さんとともに原発についてお話します。第二部で新型コロナについてもお話します!

すでにお知らせしましたが、6月27日午後1時半から、第123回「山猫軒シンポ」にてお話します。
「明日に向かって 原発、新型コロナウイルスから見えてきたもの」というタイトルです。
以下、イベント案内を貼り付けます。

午後1時開場、1時半開始 午後4時5分まで
京都市左京区 聖護院門跡にて(京大病院近く 東大路通「熊野神社」下車すぐ)

ゲスト
元福井地裁裁判長   樋口英明さん
フリージャーナリスト 守田敏也さん

特別出演
笛の名手       湊 愛子さん

主催
山猫軒シンポジウム事務局 09082078642(いずぶち)

詳しくは以下の記事をご覧ください。

明日に向けて(1832)原発はあまりに危険、すぐにも停める必要がある!その危険な原発と新型コロナ感染症問題はつながっている!(京都市聖護院門跡で27日に樋口英明さんとともにお話します)
https://onl.tw/KGKuxj4

湊 愛子さんのHPもご紹介しておきます!
http://minatoaiko.jp/


山猫軒シンポ Zoomでも視聴できます!

この企画、Zoomからも視聴可能になりました!
ぜひご参加ください。

************************

Zoomで視聴されたい方は守田までお申し込みください。
↓↓↓↓↓
morita_sccrc@yahoo.co.jp

Facebookページからも受け付けます。

************************

お申し込みをいただいた方に、Zoomのアドレス・ID・パスワード・資料をお届けします。
当日は午後1時よりZoomをオープンします。早めにご参加ください。
ただし時間と技術面での制約からZoomでは視聴だけ可能です。質疑応答には対応できません。ごめんなさいです。

参加費1000円

守田の銀行口座に振り込むか、Paypalでお支払いください。

振込先 ゆうちょ銀行 
なまえ モリタトシヤ 
記号14490 番号22666151

Paypalから
https://www.paypal.me/toshikyoto/1000

入金は申し込みの後からでも結構です。


Zoomなどを使って新たな可能性を切り開こう

今回のZoom使用は、山猫軒シンポ事務局のいずぶちときこさんと僕との間で相談して設定しました。
この間、多くの講演会が中止・または延期になっています。
緊急事態宣言が全面的に解除になる中で、少しずつ再開しつつありますが、いまなお完全に「コロナ前」に戻すことはできません。第二波の到来のあり方によっては、再度、リアル企画ができなくなるかも。

そんな中でいかに市民的な議論を継続するのか。あるいはより豊かなものにできるのか。
その一つにZoomなどの市民運動での活用が考えられると思います。もちろんネットを介したものでは、リアルな交流から欠けてしまうものがたくさんある。
しかし他方で、遠距離からの参加が可能になるなど、リアルでは実現不可能だったこともあります。

だとすればより新しい可能性の方をつかんでいきたいものです。
というわけで、とくに遠方のみなさま。京都市の企画では参加できないというみなさま。ぜひZoomからご参加下さい。
いろいろな経験を積み上げる中で、コロナの中で、そしてまたポストコロナにおいて、新たな可能性を切り開きましょう。
6月27日(土)午後1時よりお待ちしています!


湊愛子さんHPより

*****

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#原発再稼働反対 #大飯原発差止訴訟 #福井地裁裁判長 #樋口英明 #新型コロナウイルス感染症

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明日に向けて(1833)被ばくの遺伝的影響を解明するために・・・被爆二世三世健康調査アンケートにご協力を

2020年06月20日 22時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200620 22:30)

京都「被爆二世三世の会」が第2回健康調査アンケートに取り組み中です

僕が参加している京都「被爆二世三世の会」が、二世三世の方を対象とした2回目の健康調査アンケートへの取り組みをはじめました。
1回目の調査は2015年5月25日~2015年9月30日に行いました。合計106人の回答が寄せられました。
結果をまとめたものを、2016年3月1日付で発表し、会のホームページに掲載しています。

2015年被爆二世健康実態調査 中間報告 
http://aogiri2-3.jp/chousa/2015jittaichosachukanhoukoku.pdf

今回の調査アンケートは、1回目を踏まえ、二世三世の身体に、遺伝的影響として起こっていると思われる症状をよりピックアップすることで作成しました。
ぜひ一人でも多くの被爆2世3世の方にご参加いただきたいです。関心のある方は守田までご連絡ください。

↓↓↓
morita_sccrc@yahoo.co.jp

折り返しアンケートをお届けします。
また二世三世の方のお知り合いがおられましたら、ぜひこの情報をお伝えいただけたらと思います。


京都「被爆2世3世の会」ホームページより


被ばくの影響は十分に考えられる

被ばくの遺伝的影響はあるのか。放射線が生物の遺伝子にダメージを与え、次世代に影響を及ぼすことがあることは、すでに疑いのない事実として把握されています。
しかし広島・長崎の原爆による実際の影響は「確認されていない」とされています。「論理上の可能性はあるが、事実としては確認されていない」というのが国や国際原子力ロビーの見解です。
これを打ち出したのは、原爆を投下したのちに排他的な被爆者調査を行ったアメリカの機関(原爆傷害調査委委員会、後の放射線影響研究所)など。加害者が被害者を調べたもので、とても信用できません。

これに対し多くの被爆二世三世が、遺伝的影響と思えるさまざま症状を体験してきました。しかし被爆者と障害者への根強い差別意識がある中で、ダイレクトにこの問題を捉え、深めることができてきませんでした。
この状態を打破し、実相に迫ろうとしたのが私たちの1回目のアンケートでしたが、その過程で私たちは二世三世の間に、思っていたよりもたくさんの似た症状や体験があることを知りました。
これまで深く話し合われたことがなく、記録も残っていないので、個人の体質や、家族の傾向と思われていたさまざまなことが、多くの二世三世に共通して起こっていることが見えてきたのです。


遺伝的影響について論じる「放射線影響研究所」ホームページ


『核なき未来へ 被爆二世からのメッセージ』森川聖詩著から

このことから私たちは、それぞれの体験の共有化をもっと進め、真実に迫ろうと考えました。
そんなときに、二世三世運動を共に担ってきた森川聖詩さんが、画期的な著作を上梓して下さいました。小見出しに掲げた本です。

以下に書評を載せています。ご覧ください。
https://onl.tw/eSzbzzt

以下からご注文もできます。
http://gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-5849-5.htm

森川さんはこの書の中で、幼少期から現在まで、ご自身の身体に起こったことを赤裸々に綴って下さっています。
これを読んだ私たちの会の仲間たちから、「同じ体験をした」「重なる部分が多い」などの感想が寄せられました。それで私たちは2回目のアンケートの冒頭に森川さんの体験記を載せて、同じ体験がないか問うています。
その後に、さまざまな被爆体験記に描かれた被爆1世が被った症状をピックアップし、似たことが起こってないかを尋ねる形でアンケートを構成しました。


京都「被爆二世三世の会」年次総会の記念講演で談笑する森川聖詩さん(20200420) 守田撮影


被爆影響を振り返ることの辛さ

この中で私たちは、この作業の特有の辛さにも突き当たりました。例えば森川さんの書にはこのような記述があります。
「ケガをすると、少々のかすり傷のようなものであっても、傷口がなかなか治らず化膿して、白い膿みがたまり、炎症を起こすことが多く、そのたびに病院にかよっていた」。
これに多くの2世の仲間から「同じ体験をした」「いやいまもそうでカに刺されることが怖い」などの意見が寄せられるとともに、「この調査は辛い。かつてのトラウマが蘇る」という切実な声も寄せられました。

「子どもの頃、ケガをすると膿が出る状態が続いてなかなか治らずとても辛かった。思い出すと苦しい」というのです。
討論を深める中でもっと深い思いも出てきました。「ケガが治らず辛かっただけではない。親に叱られて反対に『こんな身体に生んだオフクロが悪いんだ』と責めてしまった。謝りたいと思うがもうオフクロはいない」と。
私たちはこうした仲間の声を前に、この調査を進めることの意義を、何度も話し合わざるをえませんでした。


アンケートに関して語り合う 京都被爆二世三
世の会例会(20200514より)
コロナ禍の中、会議室8人、zoom8人で集って会話 平信行さん撮影


被ばく影響を自覚してより良く生きる!

何のために私たちは、こうした辛い思いをしていただきながら、調査を進めるのか。答えは被ばく影響を自覚して、より良く生きることにつきます。
被ばく影響の実相を正確に把握したいのももちろんですが、あくまでその上で、どうすればその影響を越えて、より良く生きていけるのかの可能性を探りたいのです。私たちは、それが世界中のたくさんのヒバクシャにとってもプラスになると確信しています。
被ばくは広島・長崎の前から起こっています。1945年7月16日のアメリカのトリニティサイトの核実験でたくさんの人々が被ばくしたし、もっと前から先住民族などがウラン発掘で被ばくしていました。

広島・長崎後も、世界中で核実験が行われ、福島にいたるたくさんの原発や核兵器製造工場の事故も起こりました。核廃棄物も酷い形で捨てられてきました。
そう考えればものすごくたくさんの被ばく被害が、国際原子力ムラによってないものにされてきている。それば現代の、暴力が野放しにされた現状にもつながっています。私たちはこの暴力の流れを止めたいとも思います。
ただし前述のように、この調査には特有の辛さがある。そのため私たちはアンケートを顔の見える範囲でお渡しし、辛さがあればそれもシェアしながら進もうと思っています。被ばく影響を自覚して、より良く生きるために、どうかこの調査にご協力ください!


会報での呼びかけより

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「明日に向けて」連載1800回越えに際し、バージョンアップに向けたカンパを訴えています。カンパの振込先をご案内します。
振込先 ゆうちょ銀行 
なまえ モリタトシヤ 
記号14490 番号22666151

Paypalでも自由に金額設定をしてカンパしていただけます。
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