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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(261)16日矢ヶ崎さん講演会、17日細川さん除染活動報告会に!

2011年09月13日 00時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110913 00:30)

9月16日と17日に、神戸と京都で、魅力的な講演会と報告会が行われます。
もちろん僕も駆けつけます。ご興味のある方、ぜひご参加ください。

一つは矢ヶ崎克馬さんによる、内部被曝に関する公開学習会です。
福島第一原発事故以来、「内部被曝」という言葉がすっかり定着しました。
内部被曝というと、放射性物質を食べたり飲んだりして、内部から被曝する
こと・・・ということは多くの方がご存じだと思います。

しかしその危険性ついては、ほとんどといっていいほど知られていない!

なぜならは、政府やその周りにいる学者たちが、内部被曝の恐ろしさを
覆い隠してきたからです。もちろん中には、覆い隠された内容を、真実と
受け取って、疑ったことのない政治家や、学者さんもいるのでしょうが、
ともあれ内部被曝の人体への恐ろしい影響が非常に低く見積もられている。

例えばある人の被曝量を表現するときに、「外部被曝何ミリシーベルト、
内部被曝何ミリシーベルト、足し合わせて何ミリシーベルト」という表現
がされることがありますが、これは外部被曝と内部被曝を事実上変わらない
ものとする立場です。

しかしここにはかなり大きな違いがある。
最も重要なのは、外部被爆では主にγ線にあたり、いわば体全体にまばらに
放射線が当たる事に対し、内部被曝では、α線、β線、γ線の全てがあたり
しかもα線やβ線は、局所に集中的にあたる事です。とくにα線は、細胞の
中ではごくごく短い距離しかとばず、その間に大きなエネルギーで、細胞に
徹底したダメージを与えます。

人間の細胞は、放射線に傷つけられても修復する能力を持っていますが、
内部被曝におけるα線やβ線での被曝の場合は、ごく限られたところに
全エネルギーが使われるため、細胞が修復できなかったり、誤った修復が
行われ、異常なままに細胞分裂が行われて、ガンが発生するなどのダメージ
がもたらされます。

もちろんγ線被曝でも量が多ければ同じことにいたりますが、α線やβ線に
よる内部被曝では、低線量での深刻な影響がおよばされるのです。
この点だけとってみても、内部被曝と外部被曝とはかなり違うものであり、
おなじぐらいの値の被曝なら、内部被曝の方がはるかに危険な性質を持って
いるといえます。

しかしこの事実がこれまで隠されてきました。

矢ヶ崎さんは、この問題と、被爆者訴訟における被爆者弁護の中で取り組み
始め、今日まで研究を重ねて、内部被曝問題の第一人者としての業績を
積み上げられてきました。何よりたくさんの被爆者を助けてきました。

その矢ヶ崎さんに学ぶのが、16日神戸で行われる公開学習会です。
お近くのみなさんのご参加を呼びかけます。


もうひとつは、京都精華大学の細川弘明さんによる、「福島市での除染活動で
見えてきたこと」と題した報告会です。

おもな話題として以下の内容が列挙されています。

・福島原発事故による地域別の汚染状況
・除染の必要性と可能性(場所によっては不可能性)
・「除染」と「避難」の関係 ── 避難させないために除染するのではない
・「放射能除染・回復プロジェクト」の福島市での活動(5月~8月)
・その他の様々な「除染」活動、やり方/考え方の違い、問題点など
・「除染廃棄物」をどうするか

大変、尊敬に値する行動で、僕も可能ならばぜひ参加させていただきたい
とも思っています。

この間、僕が論じてきた避難と除染の問題についても、深い洞察と実践を
重ねておられます。
みなさんがぜひ聞きにこられますよう、僕からも訴えます。

以下、案内を貼り付けます!

***********

9月16日(金)18:00~
『内部被曝』公開学習会

主催:兵庫県弁護士会
場所:兵庫県弁護士会館
    本館4階講堂

講演:矢ケ崎克馬氏
   (琉球大学名誉教授)

予約不要・入場無料
(連)078-341-7061

*******

9月17日(土曜)19:00-21:00
場所: 堺町画廊 (京都市中京区堺町御池下ル丸木材木町)
    http://www.h2.dion.ne.jp/~garow/information/map.html

「福島市での除染活動で見えてきたこと」
 (トーク・シリーズ 《東北への風》第4章 )

話題提供: 細川弘明(放射能除染・回復プロジェクト)
       http://bit.Ly/josen719
資料代: 500円

主催: 「福島市での除染活動で見えてきたこと」を聞く会
問合せ: 中原( kou840@yahoo.co.jp
070-5650-9834 )

----------------------------------------------

《おもな話題》
 ・福島原発事故による地域別の汚染状況
 ・除染の必要性と可能性(場所によっては不可能性)
 ・「除染」と「避難」の関係 ── 避難させないために除染するのではない
 ・「放射能除染・回復プロジェクト」の福島市での活動(5月~8月)
 ・その他の様々な「除染」活動、やり方/考え方の違い、問題点など
 ・「除染廃棄物」をどうするか

映像、写真、地図などをまじえて、報告したいと思います。質疑応答&
意見交換の時間もとります。

----------------------------------------------
話題提供者のプロフィール

細川弘明(ほそかわ・こうめい)
 アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表、京都精華大学 人文学部
(環境未来コース)教授、高木仁三郎市民科学基金 理事、グリーンピース
・ジャパン理事。福島原発事故後、京都精華大の山田國廣教授と福島大学の
中里見博准教授らが立ちあげた「放射能除染・回復プロジェクト」に参加し、
福島市内各地にて通学路ホットスポット調査、民家・農園・駐車場などの
除染テストをおこなってきた。
ツイッター @ngalyak (ログは http://twilog.org/ngalyak
http://www.kyoto-seika.ac.jp/magazine/entry/49.html
公開サーバー https://public.me.com/hosokawakm/ja/
三条ラジオカフェ震災特集 bit.Ly/radio325 bit.Ly/radio328 bit.Ly/radio428 ほか

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明日に向けて(260)911、再び全国で脱原発の声が!

2011年09月12日 23時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110912 23:30)

311から6カ月の昨日、9月11日、再び全国のたくさんの都市で、脱原発を掲げた
デモ・ウォーク・パレードが行われました。
僕自身は京都で行われた「バイバイ原発911パレード」に参加しました。
全体で1600人から2000人の参加と聞いています。

今回も会場やウォークの雰囲気がとてもよかった。それぞれが思い思いの
表現で、反原発・脱原発・卒原発・原発ノーという声を発していました。
京都での記録を中心に、全国の行動の様子を、ニュースや動画などで拾って
みました。

とても全部を網羅できていませんが、どうか興味のあるところをご覧ください。
さらに声を重ねて、脱原発のしっかりとした道を作って行きましょう。

****************************

バイバイ原発 911パレード 京都①
http://www.ustream.tv/recorded/17200270
(僕の発言の音が入っていました。ピースウォーク京都で10.8行動を呼びかけています・・・)

バイバイ原発 911パレード 京都②2
http://www.ustream.tv/recorded/17201177

京都のパレードの中心で頑張った方たちの凛々しい姿が観れます!
http://www.facebook.com/photo.php?fbid=10150290020217634&set=p.10150290020217634&type=1&theater
http://2.bp.blogspot.com/-_NknoI1yymE/Tmxu7kdr1bI/AAAAAAAACkA/P5ai6U54MAc/s1600/nuclear.jpg

以下、テレビニュース等々をアトランダムに。
とても全国のものを網羅できていませんが・・・。

京都学生デモ
http://www.youtube.com/watch?v=zVuPdfvzJFk

神戸
http://www.youtube.com/watch?v=uVmW9OSs4NI

福島
http://www.youtube.com/watch?v=YAr2yFkaqnw

広島
http://www.youtube.com/watch?v=HHNNudr7f5k

東京・大阪・松江・仙台
http://news.tbs.co.jp/20110911/newseye/tbs_newseye4823863.html

東京経産省人間の鎖・東京電力本社前デモ
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210911018.html

東京新宿
http://www.youtube.com/watch?v=LUBHsEgLeIY

土浦
http://www.youtube.com/watch?v=IiWj2zp8d3M

新潟
http://togetter.com/li/187225

福岡
http://genkaibai.blog.fc2.com/

なお東京では12名の方が不当逮捕されたそうです。
許せないです。この件について書いているブログを紹介しておきます。
http://matome.naver.jp/odai/2131578819509260701


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明日に向けて(259)放射能との共存時代を前向きに生きる(大江健三郎さんと『世界』と肥田さんについて)

2011年09月11日 02時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110911 02:00)

911事件から10年目の日を迎えました。戦争と暴力の10年を思いつつ、この
日の記事として、放射線被曝のことについて触れたいと思います。

9月8日に東京で行われた「講演会 さよなら原発」において、発言者の一人
大江健三郎さんが肥田さんのこれまでの活動に言及され、その中で『世界』
紙上で、僕が肥田さんに対して行ったインタビュー記事のことに触れて下さ
いました。以下から当該発言部分が観れます。どうかご覧下さい。
http://www.ustream.tv/recorded/17137373

大江さんはまず、アメリカのジェイ・M・グールドが書いた『死にいたる
虚構』について触れています。「明日に向けて」でも何度か紹介してきた
もので、肥田さんが執念で訳された本です。グールドはこの中で、アメリカ
の被曝の実態について述べている。

大江さんはこの本に大変感銘を受け、ノーベル賞を受賞した時に授賞式の
行われるストックホルムにもっていき、ホテルで隣り合わせたノーベル物理
学賞の受賞者にその内容を提示したそうです。するとフランス出身の物理学
者は大江さんに同意してくれましたが、もう一人の受賞者は、大江さんの
ことをノーベル賞受賞者の風上にもおけないといったとか。

続いて大江さんは、肥田さんが、原爆による体内被曝の恐ろしさを訴え続け
てきたことを紹介しています。またグールドの本の内容にも触れて、アメリ
カが隠してきた低線量被曝の危険性を力強く訴えています。ここで大江さん
は、これら肥田さんの訳された本が、今後、次々と出て来る・・・と注目
すべきことを語られている。あらたな出版の動きがあるのかもしれません。


さて大江さんはさらに『世界』9月号のインタビューに触れて、次のように
紹介して下さいました。「『放射能との共存時代を前向きに生きる』という
文章は必読の文章であります。とくに福島の子どもたち、お母さんたちには
最良の支えとなるでしょう。ここにもきてくださっている若いお母さんの
ために、私は最も有効な励ましになるものだと思っています。」

そして大江さんは、このインタビューの中で、肥田さんが放射線被曝の恐ろ
しさを語りつつ、しかし被曝したらどうするのか、被爆者に力強い励ましを
行ってこられたことに触れ、とくにインタビューに掲載した、肥田さんが
信頼するアメリカのアーネスト・スターングラス教授から教わった言葉を、
読みあげて下さいました。

それは次のような言葉です。
「そういう被害をもう受けてしまったのなら、腹を決めなさいということな
のです。開き直る。下手をすると恐ろしい結果が何十年かして出るかもしれ
ない、それを自分に言い聞かせて覚悟するということです。」

「その上で、個人の持っている免疫力を高め、放射線の害に立ち向かうのです。
免疫力を傷つけたり衰えさせたりする間違った生活は決してしない。多少でも
免疫力を上げることに効果があることは、自分に合うことを選んで一生続ける。
あれこれつつくのは愚の骨頂。一つでもいい。決めたものを全力で行う。
要するに放射線被曝後の病気の発病を防ぐのです。」

さらに大江さんは次のように続けられました。
「今の肥田舜太郎氏の言葉を引き出したインタビューアーの質問への先生の
最初の明瞭な意志表示を、私の話の8番目に短いものですが引用します。
『一つは放射線の出るもとを断ってしまうことです。これが肝心です。』これ
が肥田先生の結論なんです。放射線の出るもと、この国の54基の原子炉の全廃
を、国家につきつけようじゃありませんか」・・・。

大変、感慨深く大江さんの講演を聞きました。もちろん大江さんが深く共感さ
れているのは、肥田さんの生き方に支えられた力強い言葉であり、僕はそれを
媒介したに過ぎません。それでもそこに関われたことが素直に嬉しいです。


同時になんとも不思議な縁を感じます。というのはこの大江さんの講演内容に
触れたとき、ちょうど僕は大江さんが1963年から65年に書かれた『ヒロシマ・
ノート』を読んでいたからです。しかもそのきっかけは、『世界』のインタ
ビューを読んだ被曝3世の友人が、原爆病院の歴史などを知って欲しいと、僕に
同書を送ってきてくれたことをきっかけとしています。

そもそも『ヒロシマ・ノート』は、『世界』に大江さんが綴ったものを新書に
まとめて出版したものです。当時、20代末から30歳に至ろうとしていた大江
さんは、若く、ナイーブなフランス文学者であり、新進気鋭の小説家でした。
その大江さんと、岩波編集者の安江良介さんが、連れだって広島を訪れる
ところから同書は始まっています。

そのとき二人は個人的にも辛い状態にあったことから同書は書きだされてい
ます。「僕については、自分の最初の息子が瀕死の状態でガラス箱のなかに横
たわったまま恢復のみこみはまったくたたない始末であったし、安江君は、
かれの最初の娘を亡くしたところだった。そして、われわれの共通の友人は、
かれの日常の課題であった核兵器による世界最終戦争のイメージにおしつぶ
されたあげく、パリで縊死してしまっていた。」(同p2)

しかもこのときの広島は、原水爆禁止運動が分裂していく中にありました。い
きおい同書は暗いトーンで進んでいきます。被爆者の過酷な現状とも相まって、
押しつぶされるような、重苦しい現実が横たわっている。そこに飛び込み、
人々の表情の中にうつりゆくものを作家は読みとろうと、全身を鋭敏な受信機
と化して、街を歩いてゆくのです。

さらにヒロシマへの訪問は何度も重ねられていきます。大江さんは米軍占領下で、
長年にわたって蓋をされ、ようやく明らかになりだしてから10年に満たない被爆
者たちの苦しみ、痛み、嘆きのつぶやきに寄り添おうとしてゆく。同時にその
現実に立ち向かわんとする医師たちのたたかいに、共感を深めていきます。

「モラリストの広島」という章から少し内容を紹介します。
「(中国新聞が)、自殺するよりももっと悪い深淵におちこんでしまったひとり
の老人についてつたえている。新聞記者がこの老人を訪ねて行った時、老人は
87歳だった。それより3年前、かれの孫は原爆症で死に、そして老人は、発狂して
(ママ)ずっとそのままだ。青年の両親はすでに死亡していたから、老人は、
かれの孫を独力で育ててきた。青年は東京の大学に入学したが、経済的にゆきづ
まって中退し、広島にかえり、そしてまもなく原爆病院で苦しい死をむかえたの
である。老人が東京の孫にどうしても送金できなくなった時、青年は職をさがす
べくつとめたのだが、すでにかれの体は労働に耐えることのできるものはなかった。
広島に戻ってからのかれはつねに疲労していて、ただ寝そべっていた。そして
青年が視力のおとろえに気づいた時、医者は彼の眼のみならず、腎臓がおかされ
白血球の数も減少していることを見出した。やがて青年は、眼底出血で失明し、
一ヶ月後、新聞の記述によれば、血のヘドを吐き、泣き叫びつづけ、もがき苦し
み、それから突然に静かになって≪寂しいよ、寂しいよ≫といい、そして
≪アーアーアー≫と三回泣きじゃくって、息をひきとったのであった、この
限りなく過酷な死。」

「青年の死のあと、永い期間、老人はじっと黙りこんで仏壇のまえに座ったまま
日をおくっていた。それから不意にかれは死んだ孫にむかって語りかけはじめ、
もう決して沈黙しなかったのである。≪あんた、10円の金がないいうたよのう。
あのときあさましい思いをしたんじゃろうのう、隆ちゃん≫、老人が青年の思い
出にむかって語りかける言葉はつねに金銭に関してであり、金銭的な困窮による
あさましい思いについてである。≪あんたが自転車を売るというたとき、おじい
さんはおこらずに売らせてやればよかったのう。隆ちゃん、ゼニがいったんじゃ
ろうにかわいそうにのう。≫死んだ青年は老人にとって、かれ自身の死のときに
いたるまで(そしてそれは発狂した老人にとって永劫回帰の永遠にかかわってと
いうことだが)つねに、金銭的な困窮によるあさましい思いになやまされている。
それを悔みつづけるこの老人の内部におけるほどにも、絶対に恢復不能のまさに
あさましい絶望があるだろうか?」(同p77,78)

被曝の苦しみに身を焼かれる被爆者の苦しみを前に、作家は無力であり、ただ彼は
必死になって、その痛みを自分のものにしようとしていきますが、まさにそれゆえ
に、作家自身もまた展望を見いだせず、苦しみ、もがいていきます。それはときに
読み手をして、作家はナイーブにすぎるのではないかという思いも感じさせてしま
います。しかし作家はそこから逃げ出そうとはしない。全身で痛みを共有し、痛み
そのものになりきっていく。「痛みをシェアする」。作家はおそらく無自覚な選択
としてその道を歩み、自らを被爆者たちの痛みの中にくぎ付けにしたのだと思います。


そこからすでに45年。その年月を大江さんがどのようにすごされてきたのか、僕は
良く知りません。また大江さんが今、『ヒロシマ・ノート』を読まれてどのように
思うのかも僕にはよく分からない。
ただこのように被爆者の痛みに寄り添おうとしてきた大江さんだからこそ、僕は
今回のインタビューの中で、肥田さんが次のように語られたことに、深く共感され
たのではないかと思うのです。

肥田さんはこう語られました。
「一番不幸を背負って、誰にも助けることができない広島・長崎の被爆者に、
きちんと理屈を説明し、自分の身体を自分で守って放射線の影響と闘って、授けら
れた寿命いっぱい生きるのがあなたの任務だと悟らせ、勇気を持って生きさせるの
が正しい援助なのです。お金やものをあげるのは邪道だ。本人の生き方を変える。
そこまで僕は教わってきました。」

肥田さんのお話を聞いた時に、僕はその前向きな姿勢、力強い姿勢に深く感動しま
した。しかし大江さんの『ヒロシマ・ノート』を読むことで、あらためてそれが、
本当に過酷な運命を背負った被爆者の方たち、その嘆き、苦しみ、涙を共に越える
中から紡ぎだされた言葉であることをあらためて知る思いがしました。

そして今、思うのは、私たちもまた、私たちの前にあるさまざまな嘆き、苦しみ、
涙を越えながら、このように強く、逞しくなっていく必要があるし、きっとまた、
なれるだろうということです。なぜって私たちには素晴らしい先達がいるから。
広島・長崎から紡がれてきたものを私たちは受け取って未来に投げればいいのだと
僕は思います。それもきっとまた未来世代に受け継がれていく。私たちはけして
放射能だけを未来に送るのではないのです。

大事なのは勇気と優しさ、そして諦めない心なのだと思います。
・・・ゆっくりでも、互いに励まし合って、前に進んで行きましょう。










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明日に向けて(258)9月11日は、脱原発行動に!

2011年09月09日 23時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110909 23:30)

311から6か月目となる9月11日、各地で脱原発を掲げた行動が行われます。
僕は京都で行われる「バイバイげんぱつ9・11」に参加します。
京都では京都市と宇治市でウォークが行われます。

東京での情報も貼り付けておきます。それぞれで参加可能な方、ぜひ
歩みをともにしましょう。

***************

こどもたちの、みらいのために
バイバイげんぱつ9.11

福島原発事故からもうすぐ半年。被災地では、今も多くのひとが不安な日々を
送っています。福島の悲劇を繰り返さないためにも、今こそみんなで手を取り
合い、立ち上がり、一緒に声をあげましょう。

こどもたちに、安全な野菜と水と空気と、そしてみらいを。

★2011年9月11日(日)★ 
14:00集合/14:46出発

★円山公園 しだれ桜西側広場集合★

■主催:バイバイ原発9.11実行委員会  
■協力:バイバイ原発・京都
http://atomausstieg-action.jimdo.com/

********

・9・11 再稼働反対・脱原発!全国アクション
 http://2011shinsai.info/node/540
<経産省「人間の鎖」1万人包囲アクション+デモ、原発現地のアクションと連携>
○集合場所変更
13:00  日比谷公園・中幸門(日比谷図書館裏)集合[西幸門から変更]
※千代田線・日比谷線「霞ヶ関駅」C1出口より200m
  丸の内線「霞ヶ関駅」B2出口より300m
  都営三田線「内幸町駅」A7出口より150m

・9・11 エネルギーシフトパレード/代々木公園→明治公園 http://www.enepare.org/

・9・11 BE-IN集会/明治公園 http://www.be-in-tokyo.net/

・9・11 新宿・原発やめろデモ!!!!! /新宿 http://911shinjuku.tumblr.com/

************

脱原発:京都と宇治でデモ行進 震災半年の11日に /京都
毎日新聞 2011年9月4日地方版

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から半年となる11日、脱原発
などを訴え、行進するイベントが京都市と宇治市である。

京都市では、54の団体と個人23人(8月末現在)が賛同して、原発から
再生可能エネルギーへの転換を訴える「バイバイ原発9・11」が実施される。

午後2時に東山区の円山公園しだれ桜西側の広場に集合。2時46分に黙とう
後に出発。四条河原町、三条河原町を経て市役所前で解散する。参加スタイル
は自由で、プラカードの他、コスチュームや音楽、踊りも歓迎する。

「京都は福井県の若狭の原発と隣り合わせ。原発止めよの思いを示したい」と
している。問い合わせは、実行委の長谷川さん(090・8124・4945)。

一方、宇治市でも宇治橋西詰から市役所まで約1キロをデモ行進する「9・
11サヨナラ原発アクション」があり、市民の参加を呼び掛けている。

同市宇治半白、団体職員、大河直幸さん(32)がイラク戦争(03年)の
反対運動で知り合った若者と実行委員会を結成。「バイバイ原発」に合わせて
企画し、自然エネルギーへの転換などを訴える。

午前10時に宇治橋近くの市民会館に集合。

同10時半に出発し、JR宇治駅前を経て、同11時ごろ、市役所で解散する。
太陽光発電や風力発電をデザインしたプラカードを掲げ、鳴り物やデコレー
ションも歓迎する。

大河さんは「原発や自然エネルギー問題を身近に感じてほしい」と話す。
問い合わせは大河さん(0774・34・7520)。【太田裕之、村瀬達男】
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110904ddlk26040276000c.html
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明日に向けて(257)キッチンハリーナ、ひとまち、山水人、信楽、ベジフェスでお話します。

2011年09月08日 22時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110908 22:00)

今後の予定をお知らせします。

キッチンハリーナ 守田敏也・内部被曝問題学習会

9月12日午後7時より、京都市左京区キッチンハリーナで、内部被曝に
ついての学習会を行います。連続3回の最後の会です。今回は主に、物理
学者の矢ケ崎克馬さんの話されている内容に則して行います。ちょっと
難しいかもしれませんが、事前学習は不要ですのでどうぞ。参加費500円。
ハリーナのアドレスです。http://kitchen-halina.net/

*****

守田敏也講演会
放射能から子どもを守る・京都・ママ・パパの会主催

9月13日午前と午後、ひとまち交流館でお話しますが、ただし、もう予約
満員だそうです・・・。一応、お知らせを載せておきます。

●講演会
日程
9月13日(火)

時間
午前の部…10時~12時 
午後の部…13時~15時 

場所
ひとまち交流館・京都 第一会議室

フリーライター守田敏也さん講演会
「放射能汚染と内部被曝 これからの日本は?京都は?
 ~内部被曝からカラダを守る基礎知識~」

<午前の部タイムテーブル>
10時~11時 講演会
11時~12時 質疑応答

<午後の部タイムテーブル>
13時~14時 講演会
14時~15時 質疑応答

※午前午後ともに満員になりました※
30人定員の部屋なので、予約制です。
当日参加は受け付けておりません。
http://kodomo-kyoto.sakura.ne.jp/

*****

滋賀県朽木村で行われる祭り、山水人2011に参加します!

「3.11以後の生き方とは?」
山水人2011の中の9月20日(火)のトークセッション
鎌仲ひとみ・冨田貴史・守田敏也

(このセッションに、友人でジャーナリストであり、小水力発電の
水先案内人?古谷桂信さんも参加です!)

なお「山水人2011」自身は9月10日から25日まで開かれます。
僕も19日に、「放射線被曝よろず相談所」を開設します。
場所は滋賀県高島市朽木村の生杉付近。
芦生の森の東部と接したところです。
たくさんのイベントが行われます。詳しくは下記をご覧ください。
http://yamauto.jp/top.html

*****

守田敏也・信楽講演会

9月28日信楽に呼んでいただきました!以下案内を貼り付けます。


震災後、ずっとご自分で見て来たこと、聞いたこと、調べたことを、
真摯に発信してくださるフリーライターの守田さん。
一度、ゆっくりお話を伺いたいと思っていました。あすのわにもとても
注目してくださっています。
京都でのお話会は、すぐに満席!
その守田さんの講演会を信楽でやっていただけることになりました。

気さくなお人柄もあり、今、聞きたいこと、初歩のところからわかり
やすく聞けると思います。

ぜひ、みなさま、ご参加くださいー!!!

守田敏也さん講演会
~放射能から身を守るには?これから日本はどうなるの?~

3.11の原発震災以来、わからないことだらけで、不安がいっぱい
ですよね。日本に放射能汚染がやってきた今、逞しく生き抜くため、
子どもたちを守るため、知ることから始めませんか?

原発事故って何が起こってるの?
放射能から身を守るには?内部被曝って何?
子どもの生活は?
食べ物はどうしたらいいの?

守田さんのお話は新しい情報が満載です。
素朴な疑問・質問に何でも答えてくれますよ。
この機会に分からないこと、知りたいことを聞いてみませんか。  
 

●9月28日(水)
13:00~(約2時間)

*講演の後、ガンガーカウンターで信楽町内を測っていただきます。
その後、一品持ちよりにて夕食もご一緒する予定です。
お時間許す方はご一緒にどうぞ。

●参加費 800円

●信楽町開発センター(信楽中央公民館内)
甲賀市信楽町長野1251
(甲賀市役所信楽支所横/信楽高原鉄道信楽駅下車徒歩3分)
地図はこちら http://g.co/maps/cbs82

参加される方は、予約をお願いします。
●参加申し込み・お問い合わせは市居まで。
メール ichiipk@ybb.ne.jp
Tel/fax 0748-83-0973 080-5365-4362

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
守田敏也(もりたとしや)さん プロフィール

1959年生まれ。京都市在住。同志社大学社会的共通資本研センター客員
フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、
社会的共通資本に関する研究を進めている 。原子力政策についても独自の
研究を続けている。震災後のデーター収集と鋭い分析力により、震災後、
講演会などに駆け回り、多忙な毎日を送られています。

●明日に向けて 守田さんブログ http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011

岩波書店『世界』9月号(発売中)に、守田さんが、6000人の被爆者を診察
してこられ、内部被曝に詳しい臨床医師:肥田舜太郎先生をインタビューした
記事が載っています。
http://www.iwanami.co.jp/sekai/
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2011/09/142.html
ぜひご覧ください。

*****

10月8日、9日に行われるベジフェスティバルでお話します!

ベジフェス 前夜祭 【第1部】10/8(SAT)18:00~19:30 
講演会 @下京区河原町五条下ル ひとまち交流館・第5会議室にて
 (講演会のみの場合は予約不要です)
入場:カンパ制

18:00~18:50  フリージャーナリスト 守田敏也さん 
「放射能汚染と内部被曝 日本は?京都は?私たちどうすればいいの?」 

広がる食料汚染と核のゴミ、迫りくる内部被曝の恐怖・・・。
地球の生きものと、子どもたちを守るために、放射能と立ち向かおう

ベジフェス当日 
14:00~16:00 TALK TALK THINK トークライブ
4名のゲストをお招きします。

守田敏也さん
僕生プロジェクト ごっちさん
いきもの多様性研究所 小山直美さん
team SAKE 大関はるかさん

(なお当日は他にも朝からたくさんのスケジュールがあります。
詳しくは以下をご覧ください。)
http://www.vegetarianfestival.jp/

*****

以上、ご興味がある企画にぜひご参加ください!



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明日に向けて(256)ドイツが脱原発を決めた一因は、原発周辺の小児白血病の多さだった!

2011年09月07日 23時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110907 23:30)

明日に向けて(254)において、僕は「よもぎさん」のブログ内容を
拝借しながら、原発から半径160キロ圏内において、放射線被曝の
可能性がある事を紹介しました。これを明らかにしたのはアメリカの
ジェイ・M・グールドらです。邦訳で『死にいたる虚構』『内部の敵』
などが出ています。肥田さんらが執念で訳されてきたものです。

共に自費出版で、なかなか手に入らないのが難点ですが、『死にいたる
虚構』は、「PKO法『雑則』を広める会」(tel&fax 0422-51-7602 
047-395-9727)が、500円以上のカンパで頒布されているそうですので、
可能な方はぜひお手にとっていただきたいです。また出版社の方は、
可能であれば、出版に漕ぎつけていただければと思います。(訳者で
もない僕が言うのはおかしいかもしれませんが・・・)

今回はこの内容を補足するために、ドイツで行われた調査を紹介したい
と思います。ドイツ連邦放射線防護庁の疫学調査で、詳細が原子力資料
情報室のホームページに、澤井正子さんによって、まとめられています。

それによると、これまでも同様の調査がたびたび行われてきたそうです。
「例えば1987年と1989年には、イングランドとウエールズの核施設の周辺
10マイル(16km)圏において小児白血病が統計的に有意な高い頻度で発症
している、という英国の研究がある」そうです。

また「「ドイツ小児がん登録機関(以下小児がん登録)」は、1980年から
1990年までのデータをもとに、原発から5km、10km、15km圏の15歳以下の
子どものがん発症頻度を観察する生態学的研究を実施。1992年に公表され
た報告では、原発から5km以内の5歳未満の子どもの小児白血病の発症率
が統計的に有意に高かった」そうです。

これらを受けて2001年に科学者が招へいされ、新たな調査が行われ、その
結果、次のことが明らかになりました。すなわち、原発から5km以内で、
全小児がん、小児白血病とも他の地域と比べて高い発症率を示しており、
それぞれの発症率は1.61倍、2.19倍でした。また急性リンパ性白血病と
急性非リンパ性白血病も、5km以内では、統計的に有意に高い発症率で
あることがわかりました。10km以内でも急性リンパ性白血病が、有意に
高い発症率を示しました。

こうした結果はドイツが脱原発に踏み切る大きな要因となりましたが、
この研究は、少なくとも原発周辺の地域では、事故が起きなくても、許容
量として出されている放射性物質による「低線量被曝」によって、小児
白血病が起こっていることを示したものだと言えます。ただし報告書その
ものは、最後に「どのような生物学的危険因子によってこの関連が説明
できるのか、本研究では言及できない」として、通常運転している原発
が危険因子とは言えないとして、決定的な結論を避けていることもつけ
加えておきます。

ともあれ、ドイツでこうした調査がなされ、結果が公表されていながら
日本政府がそれを全く無視し、覆い隠してきたことが批判されなければ
ならないと思います。日本でもただちに同様の調査を行うべきことを
私たちは訴えていかなければなりません。そのことで、福島第一原発事故
の問題にとどまらない、核と核施設の危険性を明らかにしていかなくては
ならないと思います。

以下、原子力資料情報室ホームページからの引用をお読みください。
なお長くなるので、注の引用を割愛しました。全文は、直接、以下の
アドレスからお読み下さい。
http://cnic.jp/modules/smartsection/print.php?itemid=122

******************************

原子力発電所周辺で小児白血病が高率で発症
―ドイツ・連邦放射線防護庁の疫学調査報告―

澤井正子

2007年12月、ドイツの環境省(連邦環境・自然保護・原子力安全省)と
連邦放射線防護庁は、「通常運転されている原子力発電所周辺5km圏内
で小児白血病が高率で発症している」という内容の調査研究(以下
『KiKK研究』)【1】の成果を公表した。ヴォルフラム・クーニック放射
線防護庁長官は調査結果について、「原発周辺では放出放射能に起因し
て健康上何らかの影響があるのではないか、という問題が30年以上議論
されてきた。この『KiKK研究』は疫学研究としてより詳しい内容に富む
新たな出発点であり、この問いへの回答を決定的に前進させる意味を
もっている」と述べている。長い間議論されてきた原発周辺での「がん
多発」という問題を科学的に裏付けた調査結果は、ドイツ国内で大変
大きな反響を生んだ。発表直後の放射線防護庁のホームページでは、冷静
な議論を呼びかけるコメントが公表されるほどだった。というのもこの
『KiKK研究』では、高率のがん発症と原発の放出放射能との関連について
は直接調査されておらず、今後の研究に委ねられているためだ。

第1、第2の調査研究

原子力発電所や核施設周辺で小児がんが高率で発症しているのではないか
という研究報告や議論は、今までにいくつか報告されている。例えば1987
年と1989年には、イングランドとウエールズの核施設の周辺10マイル
(16km)圏において小児白血病が統計的に有意な高い頻度で発症している、
という英国の研究がある【2】。「ドイツ小児がん登録機関(以下小児がん
登録)」【3】は、1980年から1990年までのデータをもとに、原発から5km、
10km、15km圏の15歳以下の子どものがん発症頻度を観察する生態学的
研究【4】を実施した(第1研究)。1992年に公表された報告では、原発から
5km以内の5歳未満の子どもの小児白血病の発症率が統計的に有意に高
かった(相対危険度:3.01)【5】。

この研究結果が社会的に大きなな議論を呼んだこと、そして同時期に
クリュンメル原発の周辺において有意に高い小児白血病の発症が認められた
ため、1997年には小児がん登録が第1回の調査データを更新し1991年から
1995年の期間のデータを追加した第2の生態学的調査研究の結果を公表した
(相対危険度:1.49)。調査の結論は、「原発から5km以内の5歳未満の
子どもの白血病発症率は統計的に有意ではないが高い。しかし15km以内では
がんの発症率が高いという証拠はなくこれ以上の調査は必要ない」という
ものだった。

第2研究のデータの扱い方や結果についての外部評価、さらに社会的にも
メディアにおいても批判的議論が巻き起こった。そのため研究結果の公表後
も、子どものがん発症と原発付近に居住することの間に関連性があるのでは
ないかという議論がドイツでは絶え間なく繰り返され、クリュンメル原発
周辺では高率の小児白血病発症も続いていた。

新しい第3の調査研究

ドイツの脱原発へ歩みは1998年に社民党と緑の党の連立政権を発足させ
(~05年まで)、2002年には脱原発法【6】を成立させるなど確実なものと
なっていた。このような動きと連動して2001年、放射線防護庁長官の招聘に
より様々なグループが対等な立場で議論する円卓会議が開催された。この
会議において放射線防護庁は、すでに公表されている第1、第2の研究を
基本としながらも、科学的批判に堪えうる体系的な第3の調査研究開始を
決定し、研究は小児がん登録に委託されることになった。

研究の開始に先立ってテーマと方法については、複数の専門領域にまたがる
12名の専門家で構成される外部検討委員会から、3つの課題が放射線防護庁
に提示された。
1) 原子力発電所周辺の5歳以下の子どもにしばしばがんの発症がみられるか。
2) 原子力発電所の立地地点の周辺でがん発症のリスクが増加しているか、
それには距離による傾向があるか。
3) 得られた調査結果を説明できるような影響要因(危険因子)が存在するか。

これらの課題に対応するため、『KiKK研究』は2つの部分に分かれている。
第1部は小児がん登録のデータを基にした症例対照研究【7】である。
第2部は聞き取り調査(アンケート)付の症例対照研究となっている
(図2参照)。一般的にはこのような症例対照研究では、疾病発症の原因に
ついての質問に回答するようにはなっていないが、第2部は第1部で得られ
た結果を説明できる影響要因を可能な限り明らかにするため、選ばれた
グループに対して聞き取り調査が行われた。『KiKK研究』は2003年に開始
され、4年間の調査研究作業と5回の外部検討委員会の討議を経て、2007年
12月報告書が公表された。以下にその内容を紹介する。

『KiKK研究』報告の概要

『原子力発電所周辺の小児白血病に関する疫学研究』は、ドイツ連邦放射線
防護庁が小児がん登録に委託し実施された。ドイツ国内(旧西ドイツ地域)
の16ヶ所の原子力発電所周辺に住む子どもたちに発症した小児がんと小児
白血病【8】について、原発サイトから 子どもの居住地までの距離と疾病
発症の相関関係が調査された。

【研究デザイン】

この研究は、生態学的手法で行われた第1、第2の研究に続く、第3の調査
研究である。生態学的研究では、集団レベルで疾病と要因との関連が認めら
れても、個人レベルでは必ずしも当てはまらないという問題がある。その
ため研究は症例対照法によって行われた。症例対照法はコホート分析【9】と
違って相対危険度が算定できないため、リスクの近似値としてオッズ比【10】
が推定された。

【調査対象】

1980年から2003年の間に小児がん登録に登録された5歳の誕生日以前に小児
がんを発症した子どもすべてについて調査された。診断時ドイツの16の原発
立地地点周辺地域で暮らしていて5歳以下でがんを発症したケースは1592例
である。発症していない対照群として、同一の地域に住んでいる子ども
4735例が住民登録から無作為に選ばれ、合計6327例が含まれている。

【調査区域】

調査区域は、ドイツの22基の原子力発電所を含む16立地地点、その周辺の41の
郡(自治体)が対象となっている(図1参照)(リンゲン原発とエムスラント
原発の距離は2kmで近接しているが2地域と算定)。

【研究方法】

6327例の子どもすべてについて、原発からの距離は以下のように設定した。
がんと診断された日(発症している場合)、あるいは似たような期日(対照群
の場合)に住んでいた地域と一番近くに立地する原子力発電所との距離を
25メートルの精度で決定した。がんを発症した子供がそれぞれの調査対照群
よりも原発の立地地点により近い地域に住んでいるかどうか、ということが
比較された。放射線の影響は直接決定できないので、原子力発電所と居住地
との距離が援用された。

【結論】

原発から5km以内で、全小児がん、小児白血病とも他の地域と比べて高い発症
率を示している(表1参照)。全小児がんの発症数は77例、オッズ比は1.61
(95%信頼区間下限値:1.26)だった。小児白血病は発症数が37例、オッズ比
は2.19(95%信頼区間下限値:1.51)となった。これはそれぞれの発症率が
1.61倍、2.19倍であることを意味する。表2には、小児白血病全体と、その
うちの急性リンパ性白血病と急性非リンパ性白血病のオッズ比を示した。
いずれも5km以内では、統計的に有意に高い発症率であることがわかった。
また10km以内でも急性リンパ性白血病のオッズ比は1.34(95%信頼区間下限値
:1.05)で、有意に高い発症率である。

【考察】

ドイツ国内の原発周辺地域、特に5km以内に住む5歳以下の子どもの小児がん
と小児白血病の発症リスクが高い、という実態が把握された。しかしどの
ような生物学的危険因子によってこの関連が説明できるのか、本研究では
言及できない。放射線生物学的、放射線疫学的知見に基づいても、通常運転中
のドイツの原発から放出される電離放射線は、危険性の原因として解釈する
ことはできない。

終わりに

ドイツ政府によって実施された『KiKK研究』は、5歳以下の子どもが小児
白血病を発症する危険性について、居住地と原子力発電所立地地点の距離が
近いほど増加することを初めて科学的に立証した。報告を検討した外部検討
委員会は、「研究は科学的検証に耐えうる現時点で世界的に通用する手法で
行われた包括的な調査である」と評価している。『KiKK研究』が提起した
原発の放出放射能とがん発症の関連については、ドイツ政府(環境省、
放射線防護庁)が調査の継続を確認している。今後もその経過と成果を注視
したい。

注は省略(以下から注を含む全文が見れます)
http://cnic.jp/modules/smartsection/print.php?itemid=122

なお以下のブログでも、同様の考察に触れることができます。
http://sakuradorf.dtiblog.com/blog-entry-153.html
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明日に向けて(255)戦争と暴力の10年を問う

2011年09月07日 17時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110907 17:00)

9月11日が近づいてきました。この日は、311大震災・大津波・原発
大事故から6カ月の日ですが、同時にアメリカで起こった「911事件」
から10年目の日でもあります。あのときツインタワーを襲ったのは
誰だったのか未だにはっきりしていません。しかしアメリカは、
すぐさまオサマ・ビンラディンを犯人と断定してアフガニスタン・
タリバン政権に引き渡しを要求。タリバン政権が「証拠がないのに
引き渡しには応じられない」述べると、なんと、事件には直接に
なんの関係も考えられないアフガニスタンに空襲を開始しました。

その後、世界は殺伐とした雰囲気に包まれてしまいました。アメリ
カはテロに対する報復のトーンをどんどん高め、あちこちで国家に
よる暴力が強められました。さらにイラクに対する介入が強められ、
フセインが大量破壊兵器を隠していると主張。イラク侵攻が開始さ
れ、全面戦争・・・というより一方的な殺りく戦に拡大し、本当に
たくさんの命が奪われていきました。

こうした流れはパレスチナにも波及し、2008年末から翌年にかけて
イスラエルがガザ地区を空襲、世界の人々が見ている前で、白昼
堂々と連日にわたる市民の殺りくが行われてしまいました。まさに
この10年、世界は戦争と国家暴力によって明け暮れました。その
挙句にアメリカは今年になって、パキスタンでオサマ・ビンラ
ディンの隠れ家を急襲。無抵抗だった彼をその場で法的根拠もなく
処刑してしまいました。

そもそもテロとはなんでしょうか。非常に定義が難しい言葉ですが、
法的根拠に基づかない、卑劣な殺りく行為というほどの意味を持っ
ていると思います。ではアメリカの行ったことは何だったのでしょ
うか。イラクには大量破壊兵器などなかったのです。しかし一方的
攻め込んだ。オサマビン・ラディンも無抵抗なのに処刑されてし
まった。僕はこれらも明白なテロだと思います。国家テロです。

こうした10年の最後の年に、311事態が起こりました。地震自体は
偶然にこの時期に起こったのですが、その後に起こった放射能漏れ
隠しによる被曝の拡大、いまなお続く、危険地帯の放置などの事態
は、僕にはこの10年間とのつながりを強くもつものであると思えて
なりません。

さらに言えば、そもそもこの暴力は、第二次世界大戦のあらゆる
暴力(日本軍のそれも含めて)が正されて来なかったこと、特に
原爆投下の不正義が正されて来なかったことと強く結び付いている
ように思えます。その意味で私たちに今降りかかってきている
苦しみは、アフガンやイラクの人々が苦しんできたことや、第二次
世界大戦の犠牲者たちの苦しみと深いつながりを持っています。
(僕はその意味を込めて、アフガニスタン空爆と書かずに空襲と
書いています。あのとき、「空襲」と書くと日本人が嫌悪するので、
「空爆」という言葉が使われたそうだからです)

だからこそ、今、この戦争と暴力の10年を問わなくてはいけない。
それを問わずして、私たちだけの平和と安全を考えることはでき
ないと思うのです。あれほどにひどい戦争を行う国が私たちの「友好
国」であり、かつ政府の背後から原発事故終息にも強く口を出して
いること。同時にそのむごい戦争を全面支持してきたのが私たちの
政府であることと、人々が深刻な被曝の中にあっても、それを防ごう
とせず、むしろ被曝の実態を隠して、被曝を拡大しようとすらして
いることが強く重なっているように僕には思えます。

その意味で、311から6カ月を迎えるこの秋に、僕は多くの皆さんと
ともに、この10年の戦争と暴力の中で亡くなったたくさんの命に
思いを馳せ、その中にあってこそ、私たちと世界の人々の未来の平和
と安全、幸せを願っていきたいと思うのです。

こうした観点から僕は京都大学の岡真理さんがよびかけている以下の
企画に参加します。これらは僕が参加するピースウォーク京都も協力
しています。またピースウォーク京都自身は、10月8日、アフガニス
タンへの空襲が始まった日に、三条河原でキャンドルをもって、
戦争犠牲者への追悼行動を行います。10月29日のマラライ・ジョヤ
さんの講演会も共催します。(これらの案内はまた別に掲載します)

みなさま、どうかご参加ください。平和への祈りを込めて。

*****************************

9・11、アフガニスタン空爆から10年目を迎え、アフガニスタン関連の
講演会を3回シリーズで京都大学にて、開催いたします。シリーズ最終回
にあたる第3回、アフガニスタンの女性人権活動家、マラライ・ジョヤ
さんをお招きしての講演会は、ピースウォーク京都との共催です。
その事前学習会として、2つの企画を準備いたしました。いずれも
アフガニスタン関連の映画上映とアフガニスタン研究者による講演会です。

第1弾は、10日、今週の土曜日、川崎けい子・中津義人監督のドキュメン
タリー「ヤカオランの春」の上映と、田中浩一郎さんの講演会です。
「ヤカオランの春」は、1978年の共産党クーデタから2001年の米軍による
攻撃までの20数年間のアフガニスタンの歴史を、一人のアフガン人教師の
人生の証言に重ね合わせながら描いたものです。アフガニスタンの苦しみが、
決して、アメリカによる戦争、あるいはタリバーン時代から始まったもの
ではないことがよく分かります。
ぜひ、お越しください。

===転載・転送歓迎=========================

シリーズ<9・11、アフガニスタン空爆から10年
 ~アフガニスタンと世界と私たちの今を考える~>

■第1回 2011年9月10日(土)1:30~(1:00開場)
◎映画「ヤカオランの春」(川崎けい子・中津義人監督、2003年、83分)
◎講演 田中浩一郎さん(日本エネルギー研究所理事)
 「アフガニスタン~終わらない苦難の歴史~」
会場:京都大学 吉田南キャンパス 人間・環境学研究科棟 地下講義室
http://www.h.kyoto-u.ac.jp/access/
★申し込み不要 / 資料代700円
--------------------------------------------------------------
アフガニスタンを今いちど、想起するために――
9・11によって、それまで関心の埒外に打ち捨てられていたアフ
ガニスタンは、にわかに世界の耳目の的になりました。しかし、
2003年、イラク戦争が始まると、世界の関心はイラクに注がれ、
アフガニスタンは再び、忘却の深淵に飲み込まれていきました。
10年たっても米軍・NATO軍の駐留は続いています。9・11、
そしてアフガニスタン空爆から10年を迎える今、あらためてア
フガニスタンについて想起し、私たちが果たすべき応答責任ついて、
ともに考えたいと思います。
--------------------------------------------------------------
【講師プロフィール】
田中浩一郎(たなか・こういちろう)
専門は現代イランの政治情勢および現代アフガニスタン情勢。在イラン
日本大使館専門調査員、(財)中東経済研究所主任研究員、外務省国際
情報局分析2課専門分析員、国際連合アフガニスタン特別ミッション政
務官、(財)国際開発センター エネルギー・環境室主任研究員を歴任、
2008年より(財)日本エネルギー経済研究所理事、兼 中東研究センター
長。論文に「アフガニスタンの今」(保坂修二編『アフガニスタンは今、
どうなっているのか』京都イスラーム地域研究センター、2010年)ほ
か多数。
--------------------------------------------------------
【映画「ヤカオランの春」】
やがて教師は語り始めた、封印された暗い過去の秘密を、故郷で起こっ
た衝撃の真実を――
内戦の激戦地ヤカオラン、美しい大地は血で染まり、人々は悲しみに
沈んだ。アリ・アクバル、タジワール夫妻は、生きるために故郷を離れ、
難民となった。そして、自らの人生を子どもたちに語り始めた。
平和を希求する人々へ、あるアフガン家族からのメッセージ…
---------------------------------------------------------
主催:PJ21(京都大学大学院 人間環境学研究科 岡真理研究室)
PJ21kyoto@gmail.com
----------------------------------------------------------

<今後の予定>
■第2回 2011年10月8日(土)1:30~(1:00開場)
◎映画「カンダハール」(モフセン・マフマルバフ監督、イラン=仏、
2001年、87分)
◎講演 鈴木均さん(アジア経済研究所研究員)
 「アフガニスタンはどこへ行くのか~9・11から10年を迎えて~」
--------------
■第3回 2011年10月29日(土)1:30~(1:00開場)
◎講演 マラライ・ジョヤさん(人権活動家・もと国会議員)
 「祖国に自由と真の民主主義を求めて
~占領・軍閥・原理主義との闘い~」
-----------------------------------------------------------
PJ21 その他の企画(別途、詳細お知らせします)

■9月17日(土)1:30~(1:00開場)
「<パレスチナ>私たちに何ができるの?」
◎映画「シャティーラ・キャンプの子どもたち」
◎講演1.岡真理「パレスチナ問題とレバノンのパレスチナ難民」
   2.清末愛砂「西岸最新情報」
◎私たちにできること(パレスチナ関連NGOの活動紹介)
会場同じ/資料代1000円
------------------------------------------------------------
以上

岡 真理
*****************
京都大学大学院 人間・環境学研究科
tel/fax 075-753-6641
e-mail PJ21kyoto@gmail.com
*****************
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明日に向けて(254)実はこれまでも日本全土が被曝していた・・・・・。

2011年09月06日 23時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110906 23:00)

これまでこの通信に多くの方がコメントを寄せて下さいました
が、その中でやりとりをし、お互いにブログをリンクさせるに
いたった方に「よもぎ」さんという方がおられます。「石の下
にも5年かも」というブログを開設されています。

ブログの説明として次のような一文が掲載されています。「慢
性疲労症候群と診断されてから、いろいろな方面に関心が広がり
ました。石の下に閉じ込められている方々が大勢いらっしゃる
のだと思います。病名にこだわらず、思うことを記していきた
いと思います。」

「慢性疲労症候群」という言葉を、僕は肥田舜太郎医師のイン
タビューの折に初めて知りました。ウキべディアでは「主訴は、
身体及び思考力両方が激しく疲労し、日常生活を著しく阻害す
る」と説明されており、日本で38万人の患者がいると推定され
ています。

しかし認知度が低く、「適切な診断を受けていないか、うつ病
・神経症・更年期障害・自律神経失調症等に誤診されている患
者が多いと思われる」のが実情のようです。アメリカでも数百
万人の患者さんがいるようですが、肥田さんがしのビデオをみた
ときに、原爆ぶらぶら病とそっくりだと感じたと言うのです。

そこから肥田さんは、この病もまた被曝の影響によって起こって
いるのではないかと考えたといいます。詳しくは、岩波書店
『世界』9月号に掲載された、肥田さんのインタビュー記事を
ご参照ください。

よもぎさんもまた「慢性疲労症候群」という診断を受ける中
で、さまざまなことを学び、情報発信をしてくださっているの
ですが、彼女が伝えたいことは、この病の恐ろしさというよりも、
その中にあって、前向きに、命ある事に感謝しつつ歩んでいる姿
です。その姿勢に心を打たれます。

さて、そのよもぎさんが、今回、「これまでずっと封印してきた」
ことを書いて下さいました。端的に言えば、311の前からたくさん
の原発に囲まれている日本では多くの地が被曝しているという
点です。また多くの人がガイガーカウンターを持った今、それが
明らかになりつつある。だから「原発マフィア」が、放射能を
日本中にばら撒いてしまおうとしているのではないかという推論も。

僕は全体としてよもぎさんの書いていることに強く共感しました。
避難や除染を考えるときにも、この日本全体の被曝の可能性を
考えることは非常に重要だと思います。この点、肥田さんも、
グールドというアメリカの研究者が行った研究を引いて、原発から
100マイル(160キロ)圏内ではガンの発症率がそれ以外の地域より
高いこと。被曝が疑われることを指摘していました。

それで肥田さんは日本でも原発からの100マイル地図を作ろうとした
ところ、ほとんど日本全土が入るのでやめたと我々ていたので
すが、今回、よもぎさんは、自らのブログにこの地図をアップされ
ています。ぜひこれもご覧ください。
http://baikautsugi132.blog24.fc2.com/blog-entry-73.html#comment

この地図を見ると、原発から160キロ圏内にあることを免れている
地域は、北海道の東半分と、紀伊半島の南側部分。徳島県などであ
ることが分かります。被曝から逃れるにいいところといえそうです
が、東北海道は西で事故が起こったらアウトです。紀伊半島はどう
か。放射能の被害ではないけれど、豪雨による大災害の最中で、
なんとも悲しく思います・・・。

こう考える時、思いだされるのは、肥田さんの次の言葉です。
「一番大事なのはみんなで元を断つことです。放射能から逃げる
努力などする必要のない世の中を作ることです」・・・。
まさに僕もその通りだと思います。

以下、よもぎさんのブログ内容をご紹介します。

*****************************

現実直視(1)2001年3月11日以前の日本1

このブログでは、ずっと封印していたことを書きます。
未来に生き残る人に伝えなくてはいけない時になってしまった
と判断しました。現在、生きている人が、この事実の連鎖を知
らなくては、生き残る人さえいなくなるかもしれないという懸
念が、日々強くなるばかりです。

まず、日本がこれまでの55年間に、多かれ少なかれ日常的に被
曝してきた範囲。原発が稼働するだけで、低線量フォールアウト
は半径160kmの圏内に及びますが、もう多くの人がご存じのよう
に、風向きによって範囲はきれいな円など描きません。

そして、どの原発も何度も高濃度の放射能漏れ事故を起こしてい
ます。その都度、よくても「事故はあったが周辺に影響はない」
の報道が為されました。まったく報道されない事故も多々あった
ことと想像します。

しかし、もちろん影響はあったのです。
子供や若者にがんや脳腫瘍が増え、大人がある日突然に白血病に
なる…。その多さを見ても(おそらく統計は公表されないで
しょうが)、従来の生物学や疫学では説明できない不思議な現象
のはずです。

私自身が「脳内物質が影響を受ける免疫障害の病」と知って、脳
と免疫に関するさまざまな文献を渉猟し、また、それ以前に生活
をともにしてきた動物たちの「免疫障害」の病気の数々と闘って
きた重い経験が結びついたとき、無数の病名の区別など吹っ飛ん
でしまいました。

生物の免疫システムが広範囲にわたって壊されている!

小動物の場合しか知らないといえば知らないのですが、最初に出
る症状は多様で、ほんとうに何年経っても、次から次へと新しい
病名に遭遇します。けれども、つきっきりの臨床看護をしていれ
ば、次第に症状の展開が読めてくるようになります。
なりたくないのですが、なってしまいます……

これと同じことが人間にも起きているとは、現実には、長い間、
私は気づいていませんでした。自分の状態も病気とは知らなかった
のです。

けれども「慢性疲労症候群」という病名からスタートしてみると、
WEB上で、さまざまな病気と苦闘しあるいは共生している方々の
たくさんのブログを知ることができる時代になっていました。

なかでも気になったのは、グリオーマという脳腫瘍(膠芽腫)の
多発でした。2001年前後に、20代後半という若さで罹患されてい
る方が多い……。数年の余命宣告を受けるような病の好発年齢が
20代後半?

ホームページやブログという表現手段を使えるという条件が、年
齢層をかなり狭く見せているのかもしれませんが、これほど苛酷
な病に罹る働き盛りの方が多いというのは、どう考えても異常です。

また、今ではごく当たり前の病のように口に上る「うつ病」の
多発も、やはり異常と考えるべきだと思いますし、免疫障害が
関わっていると思われます。「うつ病」は憂鬱が続くからなって
しまう、というような病ではありません。脳内物質の異常が
起こっています。ただし、セロトニン、ドーパミン由来説は、
現在も「仮説」です。仮説をもとにした投薬は、ターゲットを
確定できないロシアン・ルーレット。しかし、SSRIはもはや湯水の
ように処方され、ビジネス分野を確立してしまいました。
副作用には「うつ病」が必ず明記されています。

けれど、断薬も苦しい副作用を伴うため難しく、患者の発症時の
恐怖、断薬時の苦悩の記憶を糧に、個体差を精査することなく、
どんどんばら撒かれています。いったん「うつ病」と診断される
と薬の人質状態となってしまいます。

薬と武器は同じ人間が所有する会社が作っている。

同じ人間たち=シンジケートが、医療産業、石油産業、自動車
産業、金融産業も、その根幹を一手に握っている。

もちろん原子力産業も、です。

そして、医療、薬、武器、原子力が最も欲しがるものは何か?
出来るだけ多くの「人体実験」のデータとエビデンス(統計証拠)
です。

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3月の事故をきっかけに、いち早くガイガーカウンターを入手され
た方々が大勢いました。この全国の状態を計測されたら、当時
「安全」と信じていた関東以西でも、異常な高い数値が続々と出る
ことに、誰もが不審を感じ始めるのは時間の問題です。

そこで「原子力シンジケート」が打った手が、「汚泥を腐葉土に
混ぜて、全国拡散」だと私は直観しました。

これで、速やかにすべてを福島のせいにできる。

でも、多くの人が「安全でクリーン」と考えていた日本は上図のもの
です。現在、多くの日本在住の人が「返して!」と叫んでいるのは、
人工放射性原子のヒット率が低く、たやすく隠蔽できるだけの島
なんです。

原発の配置を見て、私が想起したのは、解体するためにビルの各所
に配置された爆薬でした。

原典は6月14日の記事「未曾有な日常、生き方シフト」で、記事の
末尾にご紹介した下記の本とともに送付していただいた小冊子、
【アヒンサー 未来に続くいのちのために 原発はいらない】です。

2冊の本も、再度ご紹介しておきます。
アメリカに於けるデータが詳しく掲載されています。

アヒンサーシリーズ(アヒンサー=「生命あるものを傷つけない」)
『死にいたる虚構 国家による低線量放射線の隠蔽』 (1994年刊)
ジェイ M. グールド/ベンジャミン A. ゴルドマン著
(肥田舜太郎/斎藤紀 共訳)
“DEADLY DECEIT Low Level Radiation High Level Cover up”
    Jay M. Gould/Benjamin A. Goldman

同じシリーズに
『放射線の衝撃 低線量放射線の人間への影響(被曝者医療の手引き)』
もあります。
ドネル W. ボードマン Donnell W. Boardman,M.D.著(肥田舜太郎 訳)

現在は[PKO法『雑則』を広める会]
(tel&fax 0422-51-7602 047-395-9727)で、500円以上のカンパで頒布。

本当にできるだけ多くの、日本にいる人に読んで欲しいのですけれど
……無理かなあ?(-_-;)
コメント (2)
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明日に向けて(253)ナラ枯れ防除活動に再度、取り組みます・・・。

2011年09月06日 01時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110906 01:00)

みなさま。*印の内容は9月1日に書いものです。主旨はナラ枯れ防
止活動を洪水防止の観点からも再開するというものです。ところが
親しい友人にこのことを話したところ、原発問題でこれだけ動いて
いるのに、そう何でも取り組まなくていいのではとアドバイスを受
けました。それで取りあえずこの文章を保存状態にしました。

ところが台風12号がやってきて、紀伊半島を中心に、もの凄い被害
が発生し、何か所にもわたって大洪水がおきて、多くの方が亡くな
ってしまいました。未だ行方不明の方もたくさんいます。こうした
被害の発生は、予想できもしたことですが、それでも唖然とするも
のがありました。

いろいろな悲劇が起こっています。例えば那智勝浦町では、寺本
真一町長(58)の自宅が流され、お連れ合い(51)と娘さん(24)も流さ
れ、後に娘さんは遺体で発見されました。ちょうど4日に結納を行う
予定だったそうです。「被害に遭ったのはうちだけではない。・・・
早急に復旧に向けた対策、対応を考える」と町長は語ったとか。

この紀伊半島を襲った激烈な被害そのものは、ナラ枯れを原因とす
るものとはいえません。この地域にもナラ枯れの原因となるカシノ
ナガキクイムシが生息していますが、主に激烈に枯死をもたらして
いる日本海側固体群とは別の太平洋側固体群で、それほど大きな枯
損はもたらしてはいないからです。

それでも全国的に進んでいるさまざまな要因での山林の崩壊が一因
となっていることは間違いないと思われるし、これに「絶対に洪水
を行させない」ことを目指してきた、堤防の度重なる強化による洪
水防止という河川管理方法の破たんが重なり、気象の異常化による
降水量の激増に対応できなくなったためと思われます。

これを考えたときに、山林の保全は急務であり、とくに激烈に進行
を続け、今日、奥羽山脈を峠越えして太平洋側に侵入しつつある
カシナガ被害を食い止めること、いや少なくとも食い止めるべきだ
という発信を行っていくことは必要不可欠だと思います。以上から
いったんは保存にした内容をご紹介します。以下、お読みください。

**************

(2011年9月1日記)

僕はこの春まで日本の森林の荒廃を憂い、激しく進行す
るナラ枯れ(ミズナラやコナラなど、ナラ類の集団枯死現象)を食
い止めるための活動を行ってきました。しかし311事態以降、これを
休止して、すべてを大震災・大津波・原発大災害対策に振り向けて
きました。

その間にも各地で枯死が進み、森の中を奔走している人々を思う
と胸が痛い思いがしていましたが、今は緊急事態だからと、放射線
被曝からいかに私たち自身を守るのかということに、ウェイトをお
いて走ってきました。そのスタンス自身は今後も大きく変わるわけ
ではありません。

しかし今回の東北の旅で、仮設住宅を訪れ、平地が津波で被害を受け
たのだから当然といえば当然ですが、その多くが沢筋に建てられてい
るのを見て、山を守る必要性を痛感する思いがしました。特に宮城
県から岩手県にかけては、コナラやミズナラの純林がとても多いと
聞いています。

実際、旧仙台城裏手の山間ににある東北大学植物園も、最大数を誇
る樹木はコナラで約5000本、そのつぎはこの地域の自生的な樹木で
あるモミで約2000本と、圧倒的にコナラが多く、それだけにここで
ナラ枯れ被害が起こった場合、急速な生態系の変化が起こることが
考えられます。

とくに懸念されるのは、圧倒的な集団枯損が進むことで、山の保水力
が急激に低下し、洪水が発生しやすくなることです。ことに最近の
「異常気象」の中で、極地的な「ゲリラ豪雨」が発生しやすくなって
いることを考えるとき、山の崩壊を食い止めて、洪水を未然に防ぐ
ことの重要性は非常に高くなっています。

津波被害を受けた方たちのもとに今度は山から洪水が押し寄せるなど、
あってはならないことであり、山の動植物を守るためでもあるけれど
も、今は東北の再生のため、これ以上の被害を増やさないために、
人を守ってくれる山々を守ることを訴えたいと思います。そのため
この間知り合った東北の方たちと何らかの活動を行いたいと思います。

同時に、かなり被害の進んでしまった京都市内でも、再度、気持ちを
奮い立たせて防除に取り組みたいと思います。対象としては、大文字
山の大の字の上から頂上にいたる部分と、大文字山からは少し南に
なりますが、これまでも防除に取り組んできた、若王子山頂の、共同
墓地付近です。

近くの手近かな自然を守ることを繰り返すことで、さまざまなことを
学び、また力も蓄えて、東北での活動につなげたいと思います。スケ
ジュールなど、これから考え、この場で明らかにします。みなさま、
どうか再びお力添えください。山を守り、人を守り、よりよい明日を
目指しましょう!
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明日に向けて(252)原発作業員の急性白血病死に対する日弁連会長談話

2011年09月05日 23時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110905 23:30)

2回にわたってお伝えしてきた福島第一原発で作業されていた方の
急性白血病死問題について、日本弁護士連合会の会長談話が発表
されました。概ね妥当なのではないかと思います。僕自身、まだ
学びを進めている最中ですが、重要な提言としてご紹介したいと
思います。

******************************

東京電力福島第一原子力発電所作業員の急性白血病による死亡に
関する会長談話
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110902_2.html

東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、本年8月30
日、福島第一原子力発電所で復旧作業(以下「本件作業」という。)
を行っていた下請企業の40代の男性が急性白血病で死亡したと発
表した。東京電力の発表によると、本年8月上旬の7日間、休憩所
で作業員の放射線被ばくの管理に従事し、その後数日間のうちに体
調不良を訴え、死亡したとのことである。また、男性の7日間の
外部被ばく線量は0.5ミリシーベルト、内部被ばく線量は0ミリ
シーベルトとのことであり、厚生労働省の労働災害認定基準に該当
せず、医師の診断によっても本件作業と急性白血病との因果関係が
ないとされている。

しかし、急性白血病は遺伝などを原因とする例も見られるが、放射
線被ばくや一部の化学物質への曝露等に起因する例が多く、その原
因の特定は疾患の種類や遺伝性などの他の原因の有無なども含め慎重
に検討する必要がある。

しかし、東京電力による記者発表においては、この男性の3月11日
以降の居住歴も含めた全行動履歴が明らかでなく、また、福島第一
原子力発電所事故以前も含めた原子力発電所の作業歴の有無は明らか
でない。この男性が、福島第一原子力発電所周辺で生活していた期間
があれば、その生活そのものに起因した被ばくをしている可能性が
あり、また、以前から原子力発電所での作業に従事していたとすれば、
そこでの作業で放射線被ばくしていた可能性も十分にある。さらに、
事故収束作業現場の混乱状況からすれば、作業に起因した外部被ばく
及び内部被ばくの測定値そのものの正確性にも疑問が残る。しかも、
東京電力は、因果関係を否定する根拠について、このような不十分な
調査による事実関係を厚生労働省の労災認定基準に当てはめるだけで、
診察をした医師に因果関係を否定する具体的根拠を聴き取ってもいない。

このような十分な調査を経ているとはいい難い中で、本件作業と男性の
急性白血病との因果関係を断定的に否定することは性急に過ぎ、相当
ではない。

そもそも東京電力は作業を元請企業に発注しておきながら、その作業
員の急性白血病の発症について、元請企業からの報告を受けるだけで、
当該男性が何次下請の作業員かすら把握していない。事故が発生した
原子力発電所での作業員の管理体制としては無責任というほかない。

福島第一原子力発電所では、このような体制の下で250ミリシーベル
トを超えて被ばくしたとされる作業員が続出していることから、今後、
健康影響を訴える作業員が続出することも予想される。

福島第一原子力発電所事故は一日も早い収束が強く望まれているとこ
ろであり、そのためには、作業員の労働環境の適正さを確保することが
極めて重要である。

したがって、当連合会としては、東京電力に対し、男性の職歴、生活歴、
それから予想される被ばく線量を徹底的に調査し、男性の原子力発電所
での作業と事故後の生活に基づく被ばくを併せて考慮し、急性白血病と
の関係を慎重に検討した上で、プライバシーに配慮しつつその検討結果
を公開することによって、原子力発電所労働者の休憩時を含む労働環境
の適正さを確保することを求める。

そして、国に対しては、今後一層、東京電力に対する労働安全衛生指導
を強化し、原子力発電所労働による健康被害が起こることを防ぐととも
に、放射線による健康被害の危険性が確率的に高いと考えられる労働者
が安心して暮らすことができるよう、長期にわたって健康影響を調査し、
健康被害が発生したときには困難な立証を経ることなく手厚い保護を
受けることができる施策を実現することを求める。また、事故発生時に
福島第一原子力発電所付近に居住していた労働者については、労災認定
の判断に当たって、作業に起因する被ばくだけでなく、環境汚染地域に
おける生活に起因する被ばくも総合的に考慮してその判断を行うことと
すべきである。

2011年(平成23年)9月2日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
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