中国四国地方では、台風による被害がおきました。北海道においては、地震が大きな災害をもたらしました。どちらの災害も、水に関わっています。水害を制御しようとすれば、山の環境林の整備、砂防ダムの補修や建設という事業が必要になります。北海道の地震では、山肌がずれる痛々しい光景が目に焼き付いています。どちらの災害にしても、山の治水に関する整備が行われることになります。
そこで、砂防ダムの増設や貯水池の建設に際して、地域にちょっとだけ地益をもたらす工夫を考えてみました。災害を受けた地域は、疲弊すると言われています。でも、そうでもないことを、歴史は証明しています。関東大震災や東京大空襲で壊滅的な被害を受けた東京は、世界有数の大都市に成長しています。原爆を投下され廃墟になった広島は、数日後には市電を走らせ、復興を試みました。現在は、中国四国地方における中心都市に発展しています。ピンチをチャンスに代えた都市も多いのです。
ここでは、砂防ダムなどの水利施設から、地域の復興を考えていきます。農業用水の落差が利用して、小水力発電を行うことができることはよく知られています。現在では、1mの落差でも0.5kwの電力を作ることができるのです。1kwの電力を作る建設費が、200万円といわれています。上手く運用すれば、2mの落差で売電が年間20万円になります。一般に、公共事業を推進するうえで、必要な土木建設を行うことは、雇用創設に繋がるとされてきました。でも、現在は雇用創設といっても働く人が高齢化するとか、絶対数が少ないとかの問題が出ています。雇用創設と抱き合わせのプラスアルファが求めらるところです。要約すると、砂防ダムや貯水池の建設に際して、小水力発電を敷設するのです。砂防ダムや貯水池は、国や県の予算で作られます。そこに、町村がコバンザメのように小水力発電を設置するわけです。
1kwの電力を作る建設費が200万円という仮定で計算すると、ダム本体の価格がゼロになりますから、発電機器だけの値段になります。200万円より少ないコストで、毎年20万円の利益を出すことができるというわけです。10機の発電機で毎年200万円の売電となります。もちろん、落差が4mになれば10機で400万円以上になります。災害の時には、義援金が集まります。このお金を自由に使わせていただくことができれば、発電機の購入にまわします。より組織的な仕組みは、出資金を募ることも一つの選択です。10機の発電機を建設するために、2000万円の出資金を募るわけです。1人1口10万円程度の出資金を、災害援助という名目で集めます。年間200~400万円の売電から、年2%の分配金と10%元本返済を行います。10年後には、出資金の返済は終了します。その後は、毎年200~400万円の利益を生み出すことになります。自然に優しい小水力発電のできあがりです。災害を受けた地域は、復興を目指します。その時に必要なものは、自前で調達できる資金になります。甘えてばかりいると、復興の女神は静かに去って行くかもしれません。