ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

高い教育インフラが人材を定着させる   アイデア広場 その401

2018-09-24 10:55:58 | 日記

 今は世界の優秀な人材の獲得競争が、激しさを増しています。シリコンバレーには多くの高度人材がいます。その人材が、アメリカを離れる現象が続いています。中国では、共産党の規制が強まり、以前ほど高度人材が集まりにくくなっています。シンガポールやスイスは、それらの人材を確実に確保し、確かな経済力を築いています。高度人材は、経済だけでなく地域社会に大きな波及効果をもたらします。経済効果はもちろん、知的環境を高める働きを持っているのです。もちろん、日本も優秀な人材を東京に招こうとしています。でも、規制改革や人材受け入れの環境整備が進まず、停滞しているのが実情です。日産やシャープのV字回復を見ても、外国人の高度人材の受け入れは大きな成功をもたらしています。
 高度人材獲得に関しては、外国企業の進出が盛んな企業を優遇する仕組みのあるシンガポールが参考にななります。低い法人税、そして企業が申請すれば3日程度で進出が認められる制度など、外国企業を誘致しやすい仕組みを作っています。どんな企業でも良いわけではありません。優秀な高度人材が活躍し、研究開発で成果を上げている企業を求めています。シンガポールは、優秀な人材が安心して働ける子息の教育環境も用意しています。これらの人材を海外から呼び寄せるためには、お金や研究施設を充実させるだけでは十分ではないのです。高度人材を海外から呼び寄せるためには、子弟の教育環境が大切になります。自分の子どもが、ゆくゆくは優秀な人材に育って欲しいと思う親心は、世界共通です。
 世界のトップの人材は、家族同伴で移動します。単身赴任のような、家族バラバラの招へいには応じないようです。その家族の一員である子弟の教育が、大切になります。優秀な人材が安心して働ける子息の教育環境は、国際バカロレア級の学校の存在です。国際バカロレア機構が認めた学校を卒業した生徒は、世界の有名大学に入学ができます。高い研究能力を持つ高度人材は、子どもが自分と同じ境遇で学問や研究に挑戦してもらいたいと望んでいます。そのためにも、国際バカロレア級レベルの学校で、自分の子どもを教育したいわけです。シンガポールは、その親心を十分に把握し、国際バカロレア級レベルの学校を準備しているのです。スイスには、バカロレアの本部があり、その資格は十分にあるわけです。
 日本の高度人材にも、移動が見られるようになりました。年間に1000人単位で、プロの人材が東京から地方に還流しているのです。東京の大手企業で働いていた優秀な人材が、潜在成長力のある地方の企業や地域に進出しています。地方で活躍したいと思っている人材は、まだまだたくさん控えている状態です。地方を舞台にした活動は、東日本大震災以降、顕著になっています。社会的見返りが高ければ、金銭的報酬は市場平均より低くても良いと考える人達も出てきているのです。自分の能力を、金銭だけでなく社会貢献に結びつけたいという人達です。仕事の目的が、収益を最大化するだけではなく社会課題の解決とのバランスに置いているわけです。問題は、子どもの教育のために思い切って転居できるかどうかという点にあります。
 そこで、子どもの教育が高いレベルで保障される地方の教育を考えてみました。その一例が、神奈川県相模原市の藤野地区にあります。この地区には、シュタイナー学園があります。世界各地にあるこの学園のいくつかは、国際バカロレアに認定されている学園もあるのです。
シュタイナー学園に子どもを通わせる親は、医師や建築家、芸術家の手に職を持つ人が多いことが特徴です。この学園のある地域には、多様な人材が集まるようです。多様な人材が集まれば、アイデアの富んだイベントも出てきます。もちろん、地域の経済や文化も上向きになります。
 国際バカロレア機構は、柔軟な知性の育成と国際理解を目的としています。国際バカロレアの知性を達成するために共通のカリキュラムや試験、そして資格ある教員を求めます。そんな中で、先日新聞を読んでいると、宮城県の仙台に、国際バカロレアの認定を受けた3~12歳の幼稚園と小学課程ができたという記事がありました。すでに日本にもいくつかの国際バカロレア認定校があります。バカロレアが認める知性と柔軟な創造力を育成するためには、しっかりした教育機構と教員が必要になります。バカロレアの認定をクリアするためには、優れた小学校、中学校、高校の先生の獲得が大切になります。日本の小中高の一貫教育で、成果を上げているのは筑波大学の付属校と言われています。このレベルの学校と教員を揃えることが必要になるかもしれません。東京から地方に入り、地域の経済や文化の課題解決に奔走する人々を、高度教育の面から支援する仕組みが求められています。外国人の人材も、日本の地方で活躍する時代になって来ています。教育の国際化を一つの切り口にして、高度人材を呼び込む仕組みを考えてはどうでしょうか。
 余談ですが、国際バカロレアや高度人材の人々から見ると、日本の教育は世界の水準からやや低いと見られているようです。高いレベルでの意識改革と高い能力を持つ先生の確保が、最初のハードルになります。この高い能力を持つ先生を獲得する狙い目は、日教組の先生です。この組合は、年々組織率が低下しています。でも、熱心に子どもと向き合う先生は多いのです。評判が芳しくない組織内の先生の失敗をかばいながら、一生懸命子どもと向き合っている先生もいます。この先生が、狙い目です。バカロレアは、学問だけでは評価しません。世界のあらゆる課題に目の行く人材を求めます。バカロレアは、教育だけではなく、政治も経済も、そして文化への広い視野を持たなければならいという思想のようです。感受性と知性の高い教師を集め、世界の子ども達の能力を触発する教育を実践しているようです。日教組の一部の先生はこの高い能力を備えています。地方おいて、世界の教育レベルを、はるかに超える教育の実践を上げてほしいものです。実践の成果が現れてくれば、世界の高度人材が日本の地方にも根を下ろすかもしれません。
 

村に溶け込み、生産性を上げる人材  スモールアイデア NO 193

2018-09-24 10:42:57 | 日記

 下條村のことを話してきましたが、この村がどうしても譲れないとしたことは、入居者の選定についてでした。村独自の選定基準で、人を選びました。そのために、国の補助金を活用しなかったのです。過疎化対策として、若い人に来てもらえば良いという姿勢では、持続的な受け入れが困難になります。地域に溶け込んで、収入を得る人材でなければならないでしょう。
 そこで、村に溶け込み、生産性を上げる人材について考えてみました。過疎化が進む農山村では、人材の受け入れを希望しています。でも、地域に魅力がなければ、継続的に仕事に従事することはできません。地域の魅力は、「天地人」にあるかもしれません。寒暖差のあれば、害虫の被害が少なくなります。寒暖差が大きければ、リンゴやモモの甘みを増す良い果樹園になります。狭い斜面の土地でも、小規模の農業は可能です。無農薬農業や有機農業の場合、広い土地では難しくなります。作物の種類により、土地の肥沃度など考慮して有機農法をしていきます。小さな耕作地で有機農業を行えば、土地に負荷をかけずに、作物を育て、収穫することができます。最後は、人になります。過疎化の農地でみんなと同じ作物を作れば、過当競争に巻き込まれ利益はでません。他の地域では作らない作物で、なおかつ手のかからない作物を作る人達もいるのです。天地人の最後の条件の中では、仕事を楽しんで明るく過ごす人材が求められるようです。
 ある村で受け入れた若者は、多くの経験をした人材でした。日本中をボランティアのアルバイトをしながら、農業に従事してきた青年です。全国各地にコミュニケーション網を持っている青年でした。普通の農家で栽培する作物には手を出さず、誰も作っていない作物に挑戦したのです。ただし、初期投資はできるだけ少なくしました。機械を買ったり、農地を買ったりすれば、借金という負担が生じます。借金をせずに、自分の身の丈にあった農業に最初から徹したわけです。
 無農薬や有機農法、そして美味しい野菜だけでは、消費者を満足させることができなくなりました。単なる有機野菜では満足しない意識の高い高齢者や一人暮らしの方が、増えてきているようです。高齢者は、大きな白菜やキャベツを敬遠する傾向があります。ミニ白菜やミニキャベツ、そしてミニ大根など小さめの野菜を好む人達がいるのです。それらを料理しやすいような工夫を加えて、何種類かの野菜を詰めてセットで送付します。直販の絆を深めていくと、都会の消費者も安心できる作物の供給基地を求めるようになります。小さな農地で、限られた資源で、最大の効果を上げる仕組みを創り出しているわけです。日本の過疎地には、可能性のある地域が数多くあるのです。それを掘り起こせる人材を、引き寄せることができれば、地域は少し安泰です。