ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

俳優による授業・学生に評価される先生・能力の向上  アイデア三題噺 101

2018-09-02 18:34:08 | 日記

 アメリカの大学では、先生の授業の良し悪しを学生が評価することがあります。その学生評価が、妥当性かどうかの研究も盛んなのです。先生の授業により、学生がすくすくとその才能を伸ばせれば、世の中にとって福音になります。そこで、ある実験が行われました。俳優の方に講義をしてもらって、その評価を学生に聞くというものです。俳優には、ユーモアやジェスチャーをたっぷりまじえておもしろおかしく講義してもらいました。でも、講義の筋道はメチャクチャになるようにしたのです。学生の評価は、興味深いものでした。俳優の講義に対して、学生の評価が全般的に高かったのです。授業方法だけでなく、授業の内容までもが、すばらしいという評価をする学生が多数いたのです。深い知識を持つ先生とユーモアやジェスチャーだけの俳優の授業が、どのように学生に受け入れられているのか、そして学習効果はどのように評価するのかに興味が湧きました。
 そこで、学生の知識の獲得とか好奇心の高揚などについて考えてみました。深く分かることは、大切です。でも、世の中常に深いところまで分からなくとも生活はできます。状況によっては、とりあえず浅い分かり方でも良い場合も多いようです。子ども達の勉強を見ていると、大人が無理矢理分からせようとすると、子どもに重荷になっているような状況が見られます。与えたいものを、少しずつ小出しに与えるくらいが、ちょうど良い場合もあるようです。浅い分かり方でも、知識が豊かになると、前とは違う見方や好奇心が現れることがあります。勉強すれば、勉強するほど、知れば知るほど、知的好奇心が湧いてくる子ども達がいます。
 まったく分からなければ、何をどのように勉強してよいかわかりません。100%分からせてしまえば、子どもはそれ以上勉強しようとはしません。分かることが多すぎても少なすぎても、知的好奇心は湧かないようです。分かりやすい教え方は、子どもが知識を取り込むために使う頭の努力が軽減されます。でもこれはこれで、頭の働きを低下させることに繋がります。勉強への動機づけは、60%ぐらい分かってもらうのが良いようです。大学における俳優の講義は、多くもなく、少なくもなく、学生の好奇心を引き出すちょうど良いレベルだったのかもしれません。ところで、講義を受けて学生の能力が向上しているかどうかを、先生の側から評価する視点はどの辺にあるのでしょうか。先生からは、講義に遅れない、聞く姿勢に工夫があるなどの点から評価されるようです。その工夫を行う中で、異質な知識を持つ人々や異なる文化を持つ人と接触をするようになれば、その学生の評価はさらに高くなるようです。
 



英語の先進国・韓国とイギリス・日本が学ぶ点   アイデア三題噺 100

2018-09-02 18:22:22 | 日記

 日本でも英語が、教科として小学校に導入されました。英語教育での先進国は、日本ではなく韓国なのです。韓国では、英語教育の無い幼稚園を探すのが困難なほど英語教育が普及しています。約20年かけて、韓国では幼児英語教育が完全に定着させてきたのです。幼児英語教育を行う上で、ネイティブの教師の確保が重要です。その確保が、容易なのです。在米の韓国人だけで、約200万人はいるのです。幼児英語教育を行う上で、韓国文化への適応が容易な在外韓国人を採用できるのです。
 そこで、英語教育先進国である韓国の実情を深掘りしてみました。韓国の就職活動では、提出する履歴書に語学のスコアを書く欄があります。TOEICなどスコアが、代表的なものです。語学のスコアが良くて、国際的な経験を持つ者を優先して採用する時代があったのです。かっては、外国の大学を出ていれば優遇する企業も多かったのですが、今は少なくなってきました。交換留学生制度は、大学が高校生を勧誘する有力なカードになっていました。でも、海外留学数は頭打ちの傾向になっています。近年では、語学だけでは差別化できないという風潮が、企業にも大学にも出てきているようです。韓国において、若年層の就職は厳しい現実があります。海外留学した者にとっても就職が厳しい現実は変わらないようです。
韓国企業側も、採用についてより深く考えるようになっています。国内営業職であれば英語のスコアは重視しない傾向にあります。採用基準も職種ごとに異なるようになっています。もっとも、海外市場に依存する企業には、語学力を社員に要求する度合いは日本企業よりも大きくなっています。語学にプラスして、異なる文化への適応能力、積極的な姿勢、外国理解などの特性を持つ人材を求めるようです。具体的に、法務、国際、国内営業など職種に分けて募集しています。
 グローバル化の波をスムーズに乗り切るために、英語の重要性が説かれました。ところが、英語が一番うまい国であるイギリスは、どれだけスムーズにグローバル化を行っているのか話題になります。成長も衰え、EUからの離脱も思うようにいっていません。韓国もこのことに気づいてきたようです。いくらネイティブの英語が話せても、それだけでは不十分だということになってきたようです。ハイレべルな会話能力は、背景にどれだけの読書量と語彙力、論理的思考能力があるかが問われます。企業が必要とする英語は、経営や技術力に裏付けられた言葉や文章になるようです。日本の語学教育も、多くの読書量から導き出される論理を、書いて、読んで、話して、相手に伝えることのできる能力が求められています。英語の先進国である韓国は、20年以上も前に幼児英語教育を始めました。多くの留学生を送り出し、その成果を上げてきました。その結果行き着いた場所は、会話だけではなく事業に役立つ英語というものになりました。




パルプ産業・リグニン・アルミニウム触媒 アイデア三題噺 99

2018-09-02 18:10:44 | 日記

 昨年の中国において、「独身の日」の11月11日が近づくにつれて、ダンボールが足りなくなったことは、記憶に残っています。中国に限らず、経済成長が続く東南アジアでは、生活必需品などを運ぶ段ボールの需要が拡大しています。王子ホールディングスは、2022年をメドに東南アジア地域の段ボール事業を拡大する計画を立てています。世界的なパルプ市況の高騰で、パルプ製造の採算が改善してきているのです。パルプを原料とする段ボール原紙生産を争って、拡大しようとしているわけです。生産すれば、利益が確実に出るわけですから、企業としては当然の行為になります。紙パルプの製造過程では、リグニンを廃液として排出することになります。リグニンの廃液が、公害の元になるのです。パルプの生産を上げれば上げるほど、公害が拡大するという構図ができているんです。これを阻止する技術が望まれているわけです。
 そこで、パルプ生産から生じるリグニンについて考えてみました。パルプの原料となる木材の主成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンという3つの有機物です。樹木が生長する中で、セルロースとヘミセルロースの細胞壁にリグニンが沈着し結合を強化するのです。リグニンの強固な結合により、木材は熱水や酸やアルカリに強い物質になります。紙パルプ製造は、簡単にいうと、リグニンの強固な結合を解体してセルロースのみを取り出す作業なのです。リグニンは、紙パルプの敵ともいえるのです。
 一方、リグニンは、素晴らしい可能性を秘めているのです。この有機物は、炭素の塊といってよいのです。もし適正に分解し、採取することができれば、航空機などの炭素繊維の原料になる可能性があるのです。航空機だけなく、これから普及する電気自動車の車体に使われる可能性もあります。しかも、無尽蔵といえるほどの木材資源が地球には存在します。光明が見えてきました。セルロースとリグニンが結合したリグノセルロースと呼ばれる木質繊維の分解に成功したのです。リグノセルロースを化学反応を促す触媒を使い、幹や枝に含まれる木質繊維をレブリン酸と呼ぶ物質に変えたのです。レブリン酸からブタジエンやプロピレンなどを合成すれば、様々な樹脂やゴムの原料となります。従来はこの工程では、高価な触媒であるレアメタルが使用されていました。でも、今回は、安価なアルミニウムで実現したところに価値があります。リグニンを含む有機物をアルミニウムの触媒で、分解できたことは、リグニン本体の分解の可能性を示唆しています。リグニンの有用物質化は、紙パルプ産業のみならず林業の興隆の夢を叶えるものになるかもしれません。