ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

逆転の発想ができた下條村  スモールアイデアNO 192

2018-09-23 17:19:07 | 日記
 
 平成の大合弁の前には、市町村が全国に3200ありました。それが、2010年には1700までに減少したのです。市町村は減ったのですが、その体質は弱体化したように見えます。以前、お話をした長野県下條村の職員は、人口1000人当たり8人で村の仕事を行っています。平均的な市町村は、人口1000人当たり17人で行っているのです。職員給料や生涯年金などを考えると、不条理を感じます。平均的な市町村の半分の職員で、効率的に働いているのです。なぜ、他の市町村では、職員を減らすことができないのでしょうか。
 そこで、これからの市町村のあり方を考えてみました。下條村は、縦割り行政の弊害をなくしてしまいました。一人の職員が、いろんな業務を行う仕組みにしたのです。ある意味で、現在の先端をいく仕事の仕組みを取り入れていたともいえます。余談ですが、副業を持っていたり、希望したりする人々が、2017年に690万人を超えました。副業の増加の背景には、深刻な人手不足の問題があるのです。一定の大企業は、副業解禁をいち早く行いました。これは、副業をすることにより、異分野の交流を通して、社員の能力が高まることを理解しているからです。副業が、仕事の効率は上がると経験的には知られていました。役場でも複数の業務を行うことで、業務遂行能力が高まっていったわけです。視野も広くなり、村民の望むこと、そのためにできることを準備していくことができるようになりました。下條村は、総務課、振興課、福祉課、教育委員会の4つに統合し、係長制度を廃止しています。収入役もなくし、教育長も欠員にしています。組織の簡素化を行ったわけです。
 このように村の組織を簡素化しても、業務の停滞が起きていませんでした。前に、述べたように他の市町村が、補正予算で獲得できなかった1億円とか2億円の美味しい交付金を、下條村は獲得しているのです。この村が職員を減らしていった手法は、退職者の補充をしなかったことです。村長の強い指導力があったのでしょう。この強い指導力は職員だけでなく、村人にも及びました。何と、200万円以下の道路工事などは、村人がやることにしてしまったのです。村は道路工事の資材を提供し、村人は労力を無償で提供するという仕組みです。村道や農道、そして水路の整備などは、村人が行うようになりました。この経費は、公共事業で行う場合に比較して、5分の1で済んでしまいました。節約できた予算は、保育費や医療費の充実にまわされました。保育所にいつでも安く入所できて、医療費が安いという環境は、若い人々を呼び寄せました。結果として、過疎の村に若い住民が、やってくるという現象を生み出したわけです。
 蛇足ですが、以前の日本では、「結い」の習慣がありました。住民が労力や資金を出し合って、地域の生活環境を維持した制度です。下條村には、このような制度の名残があったのかもしれません。それを再生したともいえます。村長は、職員の能力を伸ばし、村民の満足のいく地域を作る仕事があります。村人も若者をただ待つだけでなく、自力で引き寄せる努力を追究したということでしょう。

町村の賢い予算の獲得方法   スモールアイデア NO 191

2018-09-23 17:11:33 | 日記

 財務省は先日、2019年予算に対する各省庁の概算要求を締め切りました。要求総額は、過去最大の102兆円後半になる見通しです。各省庁の要求には、労働力不足、災害対策、そして仕事と育児の両立支援というへ3の対策が重点項目になっています。個人としては、各省庁が横断的知恵を出し合って、住民が簡単な書類で恩恵を受けやすい書類にしてほしいという願いがあります。それとは別に、2019年は統一地方選や参院選があります。政権与党も野党も、住民福祉のための万全な対策を行うことを求められています。人気取りのために、さらなる歳出圧力は高まることが慣例のようになっています。一般予算が承認されたら後に、補正予算が組まれることが多いのです。地方選挙がありますので、地方にアピールする補正予算が組まれることでしょう。補正予算は、中央政府が無理に地方に使わせる不条理な面を持っています。この予算は、バラマキなることが多いのです。
 そこで、この補正予算の不条理を逆手にとって、町村の施設を安い予算で作る方法を考えてみました。補正予算や復興予算は抜け道があり、あらゆる用途に使われています。東日本大震災では、20兆円以上の復興予算が組まれました。20兆円の復興資金は、復興とは関係のないプロジェクトに使用されていました。上がやるなら下も模倣することは、世の習いです。法の解釈に従って行えば、理念はある程度無視しても良いわけです。政府の補正予算を上手く使う村があります。プールの総事業費1億4千万円でしたが、わずか42万円の負担のでプールを作った村があります。さらに、この村は武道館の総事業費1億7千万円を50万円の村の持ち出しで作ってしまったのです。
 この村が、有名な下條村です。この村が利用したものは、「地域の元気臨時交付金」など国の2つの交付金です。プールの総事業費は1億4千万円でしたが、国からの補助金が2つ合わせて1億円が交付されました。プールの総事業費の残り4千万円は借金になります。でも、残り4000万円は後で国が交付税で補う条件になっていたのです。結果として、村の持ち出したお金が42万円だったというわけです。「地域の元気臨時交付金」は、政府が2012年度補正予算に急遽、盛り込んだメニューでした。
 年度末ギリギリで、急に提示されても即座に対応できる自治体はあまり多くありません。短期間で書類を提出し、政府に認めてもらうことになります。仕事のはやい下條村職員には、地域の「元気臨時交付金」の書類への対応が容易にできたというわけです。申請書類をまとめあげ、締め切り1週間前に提出して交付金を獲得しました。国の戦略なき予算のバラマキを、うまく活用しているともいえます。もっとも、優秀な職員の存在がなければ、できないことだったでしょう。
 余談ですが、この村は国の縛りのない交付金や補助金を、積極的に活用しています。縛りがあっても、その縛りが村にあえば活用もしています。プールや武道館の建設には、縛りがあります。でも、村には必要な施設と考えたのです。交付金や補助金が村の施策とあわなかったら、活用しない姿勢を貫いています。例えば、公営住宅などは、平等に入居させるルールの縛りがあります。過疎化対策として、多くの町村は公営住宅を作り、格安で住居を提供しています。でも、下條村は国の交付金を使った公営住宅を建設しませんでした。自前の資金で、公営住宅を建設したのです。一般住宅の半分の値段で入れる住宅を作りました。消防団に入る人など地域生活に溶け込める人を、選抜しているのです。過疎対策は、人が増えれば良いのではなく、地域に貢献できる人でなければならないという考え方があるのです。これからの過疎対策には、この頑固な姿勢が必要になるかもしれません。
 蛇足ですが、この村が困っている点は、受験期の子どもを持った家族が転居していくことです。保育園が完備し、小学校も完備しています。でも、中学から高校に進学する時の課題があるようです。この村は自由に使えるお金が、50~60億円と言われています。これをこの課題解決に使うことで、進学の問題を解決できれば、過疎化の問題解決に光明をもたらすかもしれません。下條村が行ってきた先進的改革を継続することで、この壁を乗り切ってほしいと願っています。








 

地方を豊かにする仕掛けを探る   ファンタジアランドの理想論 1

2018-09-23 17:03:05 | 日記

 今回は、「町村の賢い予算の獲得方法」、「逆転の発想ができた下條村」、「村に溶け込み、生産性を上げる人材」、「高い教育インフラが人材を定着させる」という4つのテーマを掲げてみました。この4つテーマを統合したり、組み合わせをしたりすると、地方の問題を解決する「何か」が出てくるのではないかというファンタジアランドの希望を述べたものです。
 「町村の賢い予算の獲得方法」の内容は、村の知恵により自由になるお金を貯めた事例です。そのお金を使って、村に人を集めるということになります。公営住宅を安くし、医療費の援助を多くし、保育所は誰でも安く利用できるようにするというものです。もちろん、役場も住民もそれなりの努力をします。そんな村が、日本にはあるというものです。
「逆転の発想ができた下條村」の内容は、知恵を出して課題を解決する役場や住民の行動力が、どのようにして育成されていったのだろうかというものです。他の町村ができなかったことをどうして、できるようになったのか。村の潜在能力を捉えることができました。
 「村に溶け込み、生産性を上げる人材」は、人を集めることのできる村や町の事例です。集めることはできましたが、問題は生産性のある人達かどうかです。生産性のある人達が集まれば、地域は豊かになります。地域の気候や地形を理解し、その特性を利用しながら、市場が欲しがる作物を作る人達が集まった地域があります。全国にネットワークを持ち、どこの市場ならば高く売れるかすぐにわかる人達です。地域は豊かになります。
最後の「高い教育インフラが人材を定着させる」は、この生産を上げてきた人達も一定期間過ぎると、村や町を離れていく場合があります。子どもの教育が原因です。中学から高校と進むにつれて、都会の学校を目指すようになるのです。良い学校や良い会社という流れは、なかなか変わらないようです。この難問を解決する地区も出てきました。
 地域に人を集め、豊かにし、持続可能な村にしていく仕掛けの可能性を述べてみまました。前の2つは、9月23日(日)に発信し、24日(月)残りの2つを発信する予定です。