早起き鳥 

【未明混沌】今日も必ずお元気で…!

rakuten

六年生の子供が金策に奔走...!

2016年07月19日 04時32分49秒 | 読書







 俺が六年生の頃、

親父は二三頭の馬を持って

あちこちの地方競馬を回って

滅多に家に戻ることがなかった。


たまには勝つこともあったようだが、

結果は家の身上を減らす一方で

ある時、新潟の競馬で

勝つつもりでいたところ本命だった馬が

レースの最中に怪我をしていまい、

親父から家に電報で至急

5、60円の金を送れといってきた。


にわかにそんな大金をつくるあてもなく

親戚の富裕な材木屋に

借金を申し込むことになった。


この家の娘をゆくゆく俺の嫁にという

親たちの腹づもりがあったらしい、

親しい仲の相手だった

母親はそんな相手の家に息子を

借金に出向かせるのを嫌って嘆いたが、

俺としては親父の苦境を察して出かけていった。



  「天才」
          石原 慎太郎 著
     









 なんて父親だろう

いい年をして放蕩三昧とはいやはや

親が子供の尻拭いというのはあっても

親の尻拭いを子供が、

それも小学校の六年生とは・・・


結果借りられたことにはなるのだが

そんな少年期を経験した角さん

金の威力、怖さを身にしみていたのだろう


逆に借金を頼まれたら、

できない時ははっきりNO

できるのであれば、

渡す金はもう返ってはこないと

肚をくくって貸すのだろう

自分の元を離れた金は

一切関わりのないという考えなのかもしれない


なんと勇ましいというか

金に対する感覚の図太さに敬服

自分では決して金を溜め置かない

水のように流れている金の行き場所を

管理しているかのようである


お金とは空気のようなものなのかもしれない

ないと思うかならないのであって

空気のようにふんだんにあると思えば

特段、執着することもなく

必要な分だけは回ってくるにちがいない



     早起き鳥




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