早起き鳥 

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最後の手紙@東野 圭吾

2007年07月13日 03時43分41秒 | 読書

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拝啓
 今日は重大なことを打ち明けたくて、筆を取らせていただきました
先日、弟から手紙が来ました
受刑者にとって肉親からの便りほど心安らぐものはありません
胸を弾ませて読み始めました
しかし、その手紙を読み私はおどろきました
そこにはもうこれっきり手紙は書かないし、私からの手紙も受け取らないと書かれていたのです
その理由を家族を守るためだと、弟は記してありました
さらにその手紙には、強盗殺人犯の兄を持ったばかりに彼がこれまでどれだけ苦労してきたかが切々と綴られていました
このままだと将来は娘の縁談にまで累は及ぶに違いないというくらい予測も添えてありました
だから兄弟の縁を切ると弟は言ってきたのです
私が出所した後も連絡をとろうとしないでくれというのです
この手紙を読んだ時の衝撃をわかっていただけるでしょうか
弟に縁を切られたことがショックだったのではありません
長年にわたって私の存在が彼を苦しめ続けてきたという事実に震撼したのです
 まだ同時に当然そういうことが予測できたのに
弟にこんな手紙を書かせるまで気がつかなかった自らのアホさ加減に死にたくなるほどの自己嫌悪を覚えました
何のことはありません
私はこんなところにいながら何一つ更正などしていなかったのです
弟のいう事はもっともです
私は手紙など書くべきではなかったのです
同時に気づきました
緒方さんへの手紙も、おそらく緒方さんにとっては
犯人の自己満足にしか見えない不快感きわなり無いものだったに違いないこと
そのことをお詫びしたくてこのような手紙を書きました
もちろんこれを最後にいたします
どうも申し訳ありませんでした
ご健康とご多幸ををお祈り申し上げます
 緒方忠夫様
            武島剛志

追伸 
  弟にも詫びの手紙を書きたいのですが もはや読んでもらう術がありません
 『手紙』東野 圭吾

「手紙」は本を二回読んで、映画も見て
それはそれは感動的な物語でした
苦しんで…苦しんで…
あんな罪をおかなければよかったと後悔の日々
くどくどと書かれた手紙は
書く方も、受け取る方もそれはそれは気が滅入る
筆まめな人にはかえって相手の気持を暗くさせるのでしょう
犯罪とはなんと恐ろしいものか
改めて人の世における犯罪行為の悪影響を思い知りました
そして手紙の効用、手紙の意味、手紙の重みも改めて
考えさせられた作品でした。
 頑張れ早起き鳥


■イヤなことがあっても
 肯定的な言葉をクセになるまで
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 「大丈夫、大丈夫!」
  「愛のセラピー」 斉藤 一人