ファミレスで彼女といろんな話をしてて、ぼくはなんとなく時計を見た。
「君ね。そろそろ帰らないと・・・・・・」
「でも、アップルクリスプは?」
彼女の部屋からここまで電車で2時間かかる。これから帰ったら夜中になってしまう。
「明日も学校だろ? さあ、帰った帰った」
「・・・・・・」
「リンゴは、あと粉を掛けて焼けばいいんだろ。明日一人でやってみるよ」
ぼくは、いつもの調子で言ったつもりだった。しかし彼女はどうも普段の様子ではなく、「そうだね」と呟いて、ゆっくりと立ち上がった。僕は何か変だなと思いながら、伝票をとった。
駅まで行く間、彼女はずっとうつむいていた。
「ごちそうさまでした。楽しかった」
電車が動く直前、笑顔を見せて彼女は言った。
「出来上がりを写真にとってメールで送るよ」
そう約束したはずだが、結局、面倒くさくなってスライスしたリンゴは夜食に、ボールの中の小麦粉は翌日卵と混ぜておやきになった。
【PV】スピッツ チェリー
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