ウランバートルから宿泊した遊牧民のおじいちゃんのゲルまでは、四駆の車で道なき道を走る。夏と違って冬は、わだちが掘れたぬかるみなどないからスタックの心配はないが、乗り心地は決して良くない。
ゲルに向かう途中、2頭の馬を搬送しているトラックが前を走ってた。馬たちはトラックの荷台につながれて、キルトで胴体を防寒されている。
売られていく馬かなとか思ったけど、近くの村で草競馬(ナーダム)があり、出場する馬の輸送中らしい。
ナーダムとは、もともとシャーマンによる儀式が起源で、オボー祭りと強い関連性があった祭典のよぷだ。本来ナーダムは、夏から秋の短い期間に行われることが一般的。しかし現在は、伝統文化や観光ビジネスのため、冬もナーダムを行うことが多くなっている。
ナーダムは飼い馬とともに個人が参加する。体重が軽い方が有利なので、騎手は小さな子供たちだ。寒さが厳しいモンゴル高原で、幼い子供が競馬に乗ることはとてもリスクが高い。凍傷や落馬で、重体になったり、亡くなったりする事故も起こる。このため、2018年1月から、冬の競馬を全面禁止するよう法律が改正されたはずとのことだ。
レースは馬の年齢別に行われる。近頃のナーダムでは、お金持ちたちがアラブ種やサラブレッドをレースに持ち込むことが多いと通訳のプージェーは嘆く。
大きな大会では、アザラガ(牡馬)、イナ・ヘス(高齢去勢馬、または6歳以上)、ソヨロン(5歳)、ヒャザーラン(4歳)、シュドレン(3歳)、ダーガ(2歳)に加えて混血種のレース(サラブレッド)と区別されているが、地方ナーダムだと、それがあいまいなのかもしえない。
牡馬と高齢去勢馬のレースで優勝するのはものすごく大変なこと。名誉あることだ。