tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

スムースオペレーター(シャデェー)

2008-06-04 22:31:24 | 日記

バリのホワイトマジックのせいか、ケチャダンスの余韻もさめやらないウルワツ寺院を後にして、一路、ホテルに向かって夜の道を車は走った。ブレーキオイルを補充した車は、昼の快調な走りを取り戻していた。結局、プナには、朝から夜の8時を過ぎたこの時間まで、11時間を越えて車の運転をしてもらったことになる。彼の親切に、感謝の気持ちでいっぱいだった。彼は、今度来る時は、家族をつれてぜひ来いという。彼を通せば、クルージングツアーも現地プライス、つまり、半分ぐらいの値段で参加できるらしい。なんと、半分のプライスだ。・・・・・・もうひとつの、ホワイトマジック。バリには、いつか必ずもう一度、来なければならない。
ホテルに着いて別れ際に、彼に自宅での明日の夕食に招待された。
「明日の夕方7時に迎えに来るから」
ぼくは、喜んで彼の招待を受けることにした。

ホテルの部屋に戻り、時間も遅かったので、ホテル内のチャイニーズレストランで夕食を。食材の一部が中国から輸入されているかも知れず、なんとも不安だったが、背に腹は変えられない。付け出しに出された、大量の塩茹での落花生がとても美味しく、ビールが進む。甘皮がはがれないので、未熟な時期に収穫した豆なのだろう。かすかに、にんにくの香りがする。行きのガルーダインドネシア航空の機内でも、bali peanutsと書かれたおつまみがでてきたから、落花生はインドネシア産で中国産ということはないのだろう。
もう一皿の塩茹での落下生があれば、それで夕食は十分だったのだが、注文して出てきたチキンのスープ付きヌードルは、鶏肉の味わいの深い醤油スープに中華風の麺だった。野菜がたっぷり入っていて、これもおいしい。しょう油味のチキンラーメンは、はじめての味わいだ。値段は200円程度。ホテルのレストランは高いと思って、食事のため街中をさまよっていたこれまでのぼくの努力はいったい何だったのだろう。

レストランを出て、昨晩は帰りが遅くなって行かれなかった近くのジャズバーへ。例によって、バリニーズのバーテンダーのロシティとナナに歓迎を受ける。今夜のライブは、バリニーズの女性ジャズボーカリストとそのバンドだった。ライブの最初の曲を聞くなり、ぼくはしびれた。重低音ベース&ドラムス炸裂。ぼくは、そのビートの利いたサウンドに、ライブ特有の一体感を味わっていた。そして、女性ボーカルの声は、セクシーなハスキーボイスだった。彼女の声を聞いて、ぼくはシャーデーを思い出した。彼女の歌う「スムースオペレーター(ナンパがうまい人)」を聞いてみたい。何曲か演奏が進むにつれ、ますます、その思いは強くなっていく。そして、リクエストの募集。ぼくはカウンターから思わず声をかけた。
「シャーデーをお願いします」
最初は通じなかったようなので、DJ風に言い直す。
「シャデェー」音節の後ろにアクセントを置いた発音。「うまく歌えるかどうかわからないわ」と言いながら歌いだした彼女は、完璧だった。
曲はまさに聞きたいと思っていた「スムースオペレーター」。前奏のラウドなドラムスが鳴った瞬間、ぼくは、一気に感動の頂点へ。

休憩が入り、ボーカルの彼女がぼくの隣の席へ。その彼女といろいろな話をした。彼女はまだ、CDデビューはしていないらしい。そして、彼女の3歳の子供は、彼女よりもさらに音楽の才能があるとのことだ。子供はメジャーデビューできるかもと彼女は言う。今から楽しみだ。ところで、彼女が尊敬しているボーカリストは、ダイアナロス。彼女の歌唱のテクニックは学ぶものが多いとのこと。ダイアナロスは、あまり知らないんだよね。思い浮かぶ曲が全然ない。

休憩が終わり、また演奏が始まる。曲と曲の間に、カウンターのひとつ離れた隣のイスに座っていた、陽気なコーリアンの女の子に声をかけた。彼女はインテリアデザイナーだと言う。名前はスク。手帳に韓文漢字で名前を書いて見せてくれる。彼女と話をしていたら、客として店に来ていたオージーの初老の男が飛び入りで歌いだした。たしかに歌はうまいのだが、お金を払ってまで聴く歌声じゃない。次の曲もその男が歌うというので、ぼくは、さっさとい勘定を済ませてホテルへ。どうやら、バリに来てから、早寝早起きの健康的な習慣が身についてしまったようだ。