モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

その24:コーヒータイム⑤ “近代”を創ったコーヒーハウス

2008-02-03 08:42:49 | ときめきの植物雑学ノート
コーヒータイム⑤ “近代”を創ったコーヒーハウス

コーヒーハウスの原型『カフェ・カーネス』
アデンの僧院でコーヒーが公開されてから100年後の1554年に、
オスマン帝国の首都コンスタンチノープルでハタムとシャムスというシリア人により
世界最古のコーヒーハウス『カフェ・カーネス(kahvehane)』が開店した。

焙煎という生豆を煎って煮出す本来のコーヒーが発見されたのが15世紀中頃といわれ、
焙煎されたコーヒーを、広く高い天井・美しい装飾品と調度・壁面には豪華な絵画
そしてゆったりくつろげる空間で飲む社交場ともいうべきコーヒーハウスが誕生した。
ここで、荒削りだった“カフワ”が華麗で洗練された“トルココーヒ”に生まれ変わった。

アラブ・イスラムの世界からの飛躍は、
当時地中海での覇権を争っていたヴェネチア共和国への普及から始まり、
17世紀中頃以降には、ヨーロッパの主要都市にコーヒーハウスが作られた。



<<各地での最初のコーヒーハウス>>
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1454年 イエメン・アデンの僧院でコーヒーが公開される。
<アラブの世界へ>
1511年  カイロ
1530年 ダマスカス
1554年 コンスタンチノープル『カフェ・カーネス』
<ヨーロッパ・他へ>
1645年 ヴェネチア
1650年 オックスフォード「ヤコブの店」
1652年  ロンドン「パスカ・ロゼーの店」「コーヒーテント」
1666年 アムステルダム
1671年 パリ
1683年 ウィーン
1686年 ニュールンベルク・レーゲンスブルク・プラハ
1687年 ハンブルク
1689年 米国ボストン
1694年 ライプツィヒ

1888年(明治21年)上野黒門町「可否茶館」
――――――――――――――――――――――――――――――――――

コーヒーハウスが普及する時代背景
コーヒーハウスがヨーロッパの各地に伝播・普及する17世紀は、16世紀に引き続き
・宗教的な対立、魔女裁判
・30年戦争(1618-1648)
・飢餓・飢饉、商工業の不振
・ペストの流行
・人口増加のストップ
など危機的状況であった。

しかし、17世紀の最後の四半世紀は、温暖化・宗教的な情熱の減退などで
明るく・寛容で・のびやかになり、このような時代環境のもとに
コーヒーハウス及びコーヒーが普及していった。
普及を支えるコーヒーの栽培・生産・流通・販売といったことが気になるが、
その前にコーヒーハウスのもっと重要なことを確認しておこう。

次世代のシード(種)を生み出したコーヒーハウス
何よりも重要なことは、コーヒーハウスは、
次の時代のシード(種)をたくさん生み出し育てるインキュベーションセンターとなったことだ。
いわば、工業化社会においては、製造機械を作る製造機を“マザ-マシーン”というが、
農業社会から商業・軽工業に移行する社会での、
概念・システム・サービス・商品などを生み出すマザー・ファンクションとなったことだ。

コーヒーハウスから生み出された重要な概念(コンセプト)は、
フランス革命の旗印であり、近代社会を創ったコンセプトである“自由・平等・博愛”がそうだ。

フランス革命を生んだ『カフェ・プロコップ』
『カフェ・プロコップ』は、いかがわしい公衆浴場を豪華絢爛に改修し1686年に開店した。
この店には、モンテスキュー・ルソー・ヴォルテール・フランクリン・ナポレオンなど
18世紀啓蒙主義の担い手、ダントン・マーラー・ロベスピエールなどの革命派など
当時の様々な知識人が集まった店として有名だ。
フランス革命のスローガンが討議されたのがこの店であり、2階からはギロチンの処刑を見たそうだ。
革命・反革命のギロチンを終わらせたのは、『カフェ・プロコップ』で
支払う金がなく、借金のかたとして帽子を置いていったナポレオンであったというから、
敵も味方も全部この店の客だったようだ。
『カフェ・プロコップ』は、1789年フランス革命を折り返し点に、1872年に閉店となった。


“コーヒーハウス”についてのモンテスキューの名言があるから紹介しておく。
※ モンテスキューは、権力の三権分立(立法・行政・司法)を唱えた哲学・思想家。

「カフェは、議論が現実を作ることが出来る唯一の場であり、・・・(中略)・・・
アナーキーな陰謀が生まれる唯一の場所である。」

というように現実を認識しており、こうも言っている。・・・・・

「もし私がこの国の支配者であったなら、カフェを閉鎖するだろう。こうした場所に
出入りする人間は、そこで必要以上に頭を過熱させるからだ。」

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