モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

クリスマスローズの原種、リヴィダス(Helleborus lividus)の花

2010-03-05 19:44:22 | その他のハーブ

(写真)ヘレボルス・リヴィダスの花


「ヘレボルス・リヴィダス」の花は、“鉛色のヘレボルス”とも呼ばれるが、日本的には小豆或いは赤銅色のようであり、濃い緑色の大理石模様の葉脈が入った葉がとても美しい植物だ。
2月が開花期だが、3月に入ってから開花した。

この花の原産地は、西地中海のマジョルカ島だが野生種はこの島でも少なくなっているようだ。
クリスマスローズの栽培家・研究家でもある英国のウィル・マクルーウイン(Will Mclewin)が1991年にマジョルカ島で探索したが3本しか見つけられなかったという。
このウイル・マクルーウィンは、日本クリスマスローズ協会が主催する原種探索の旅などのコーディネーターをしていて日本でも知られた人のようだ。

クリスマスローズの原種20種のうち有茎種(一本の茎に葉と花が咲く)が3種あるが、何れも地中海周辺が原産地で、コルシカ島原産の「アグティフォリウス(H.argutifolius)」は、「リヴィダス(Helleborus lividus)」の亜種と見られていた。

確かに二つの種は、有茎種であり葉が3枚と姿かたちが良く似ているが、1789年に異なる種であるとされた。

(写真)「ボタニカルマガジン」1号に掲載されたクリスマスローズ


この命名者がキュー植物園のエイトン(Aiton, William 1731-1793)と、200年以上も刊行されている園芸誌「ボタニカルマガジン」の創刊者カーティス(Curtis, William 1746-1799)である。

Aiton, William (1731-1793)
命名者エイトンは、スコットランドの園芸家・植物学者。キュー王立植物園が設立されたのが1759年だが、この時からキューの庭師として責任ある立場に着き、バンクス卿の信頼も厚くキュー植物園の今日の基礎を築く。彼は、1789年に『Hortus Kewensis』というカタログを出版した。この中にはキュー植物園が育てている5600もの外国産の植物が収録されていて、マッソンが南アフリカケープ植民地で採取した植物も含まれている。

Curtis, William (1746-1799)
もう一人の命名者カーティスは、英国の薬剤師・植物学者で「ボタニカル・マガジン」の創刊者でもある。この「ボタニカル・マガジン」は、フランス革命の二年前の1787年2月に創刊された月刊誌であり、外国の美しい或いは不思議な花々を手彩色の銅版画で掲載し、植物相の貧弱な英国に園芸ブームを作る大きな役割を果す。

現在も「キューマガジン」として発刊されており、園芸雑誌の草分け的な存在でもある。
カーティスがクリスマスローズ、「リヴィダス」の命名者となったのは、創刊された「ボタニカル・マガジン」の第一号にリンネの体系に基づいて「クリスマスローズ(Helleborus niger)」を掲載していること等が関係しているのだろう。
「ボタニカルマガジン」に関しては、別途取り上げる。

(写真)ヘレボルス・リヴィダスの葉と花


クリスマスローズ、ヘレボルス・リヴィダス(原種)
・ キンポウゲ科クリスマスローズ属の耐寒性が弱い常緑の多年草。
・ 学名は「ヘレボルス・リヴィダス(Helleborus lividus Ait. ex Curtis)」。英名はLivid Hellebore(鉛色のヘレボルス)。
・ 属名Helleborusの語源は、ギリシャ語で「殺す」を意味するHeleinと「食べ物」を意味するboraからなる。食べると危ない毒草であることを意味しており、根には強心剤・利尿剤の効果がある成分が含まれている。種小名のlividusは、「鉛色、青味がかった灰色」を意味し、特徴のある花の色を示す。
・ ヘレボルスの原種の原産地は、ヨーロッパ、地中海沿岸、カスピ海沿岸、中国四川省までの北緯40~50度の地域に生育。原種は20種あり石灰質の土壌に生息する。
・ H.リヴィダスは、20種ある原種の一つで、その原産地は西地中海に浮かぶスペインのマジョルカ島の山麓・谷などの斜面に自生する。
・ 草丈20-40cmで、濃緑色に葉脈の筋が入り大理石のような模様をつくった丸みがある葉はクリスマスローズの中でも特色があり最も美しいと思う。
・ 花茎の先端に1~3輪の赤紫を帯びたくすんだピンク色の花をつける。
・ 花のように見える5枚の花弁は、花を保護する萼(がく)で、本来の花弁は退化して蜜を出す蜜腺となっている。
・ 開花期は、他のクリスマスローズよりも早めで2月頃が最盛期だが3月に開花した。
・ 関東地方以西では戸外で越冬できるようだが、耐寒性は弱いので防寒する方が良い。
・ 他のクリスマスローズよりは暑さには強いが、過湿には弱いので水はけが良いアルカリ性の土壌が適する。
・ 繁殖は株分けが難しい種類なのでタネを取る。種からの場合は発芽後1~2年後に開花。
・ タネを取った或いは咲き終わった花茎は取り除くようにする。花が咲かない茎は翌年の花茎となるので切り取らない。


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4 コメント

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こんにちは (kazuko)
2010-03-06 23:02:02
可愛い花ですね。

うちでも数年前あった気がするのですよ。
でも、読んでみると耐寒性が弱いようなので、
きっと枯れてしまったのかな。

クリスマスローズって、皆、耐寒性が強いと誤解してました。

うちのクリスマスローズもそろそろ見てみようかな~。

ボタニカルマガジンのクリスマスローズもすごくきれいですね。

あと、花びらは実はがくなのだということも驚いてます。
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和さん (キャスパー)
2010-03-07 12:07:46
ボタニカルマガジンはかねてより手をつけたかったのですが、そのうちまとめて見ます。
有茎種のヘレボルスは耐寒性が弱いので冬場は軒下がいいようです。
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Unknown (isabella)
2010-03-10 10:30:53
お久しぶりです。このクリスマスローズのサイズはどのくらいですか?ボタニカルハンターという職業があること自体興味深いです。色の少ない和が狭庭で唯一咲いている花、クリスマスローズはごくごく一般のですが、寒さに強そうです。葉っぱも花もどれもうつむいて咲いています。これで寒さがおしまいになるとよいですね。いっせいに去年の球根の花が咲いてくれるでしょう。
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isabellaさん (キャスパー)
2010-03-10 19:33:19
香港行き来大変ですね。私はテレサテンの「香港」をカラオケで遊んでいる程度ですが。

このリヴィダスは、草丈(H)15cm、株張り(W)15cm程度で大きくなっても40cm程度ですのであまり大きくなりません。
耐寒性が弱いので、冬場は軒下などで育てるとよいかと思います。北海道の場合は室内ですかね。
ニゲル、オリエンタリスハイブリッドは耐寒性があるので、庭に直接植えても大丈夫でしょう。
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