彦四郎の中国生活

中国滞在記

ながーい今年の梅雨、そして、ながーい酒類提供禁止措置—ほぼ4カ月ぶりに居酒屋に行く

2021-07-06 09:44:40 | 滞在記

  今年、近畿地方の梅雨入りは異常に早い5月16日。例年よりも3週間あまりも早かった。沖縄と奄美地方はこの7月2日に梅雨明けをしたが、それ以外の地方の梅雨明け予報は、まったく出されていない。例年ならば近畿地方は、京都祇園祭の山鉾巡行の7月17日前後なのだが。なにか6月下旬から京都も本格的な梅雨に入ったような様相を呈し始め、ほぼ連日雨模様の梅雨空だ。そして湿気がとても強く蒸し暑く汗ばむ。昨年の京都地方の梅雨明けはなんと8月1日だった。今年は"ながーい梅雨期"になるかもしれないなあ‥。

 今年の梅雨期間、京都市を流れる鴨川は、時には透き通る水面に驚かされる時もあった。三条大橋の下の川底に敷かれた石畳がとても美しい。

 大雨洪水警報が出された時は、丹波山系に降った雨が鴨川に溢れ、堤防ぎりぎりのところまで濁流が迫っている日もあった。

 この早すぎる梅雨入りの今年だが、私の暮らす家の近くの畑や水田などの農地、家々の前などにはさまざまな初夏から夏到来を告げる花々や果実が見られた。9月中旬・下旬に実が熟れるアケビの実もかなり大きくなってきている。秋のコスモスの花も、もう咲いているところがみられる。ブドウの実も少しだけ大きくなっている。

 トウモロコシもかなり大きく育っている畑も。夏の花である夾竹桃(きょうちくとう)も開花、梨の実も栗の実も大きくなりつつあるこの6月中旬~下旬、7月上旬の光景。

 6月中旬、泰山木(タイザンボク)の大きく真っ白な花が開花し始めた。モクレン科の常緑広葉樹で大きく高く葉を繁らせて育ち木陰を作るので、私が暮らす亜熱帯の中国福建省では街路樹や公園や大学構内などによくみられる。花言葉は「威厳」「壮麗」「前途洋々」「真の輝き」など。

 私は30歳ころまでは、仏教の聖樹である「菩提樹」とはこのタイザンボクのことだとずっと思っていた。2013年から2015年までの2年間暮らした、中国の大学の旧キャンパスにあった外国人教員用アパートの窓の外に、このタイザンボクの大きな樹木が5〜6本ほどあった。タイザンボクの花が開花すると、菩提樹ほど強くはないが、少し甘く高貴な香りを付近に漂わせ、室内にも香りが入ってきた。

 京都の我が家の近くの水田の稲も青々と育ち始めている。

 生後7カ月になった孫の寛太を連れてよく散歩に行く京都・金戒光明寺(黒谷さん)。高麗門の門柱には"京都守護職本陣(会津藩)の文字。参道の石垣は城郭構造をもつこの寺院を物語る。山門へと続く石段、威容を誇る山門(三門)。

 山門からは、京都市内一円だけでなく、はるか天王山や石清水八幡宮のある男山や淀川までも見晴らせる。幕末1864年の禁門の変(蛤御門の変)の際にも、ここからは、京都に迫る2000人あまりの長州藩軍も見えたのではないかとも思われる。ちなみに、この光明寺は、知恩院とともに、徳川幕府が城郭構造をもつ寺院として改修したものだ。平城の二条城を補完するものとして。

 隣の真如堂だけでなく、ここ光明寺にも2本の菩提樹があった。本堂(御影堂)のそばに花手水があり、この6月下旬から7月上旬には、花々とともにたくさんのヒヨコ(ビニール製)🐤🐤🐤🐣🐣🐣🐥🐥🐥が周りに置かれていた。

 アジサイの花も色が薄れてきた6月下旬、木槿(無窮花)「ムクゲ」の花がきれいに咲き始めた。白、紫、ピンク、オレンジといろいろな花の色があるムクゲは、韓国や北朝鮮の国花でもある。朝鮮半島の民族服チョゴリがよく似あう花だなあと思い眺める。清楚な美しい花だ。

 7月1日の夕方、京都市内に行き四条大橋から北の丹波山地を眺める。京阪電車の車内に写真家の撮った三条大橋あたりの鴨川の写真が貼られていた。(上記写真左より①②)

 同じく鴨川に架かる丸太町橋から梅雨空の丹波山系を眺める。

 この日の夕方、ほんとうに久しぶりに居酒屋に行った。なんと、飲食店で酒を飲むのは、2月下旬以来4カ月ぶりだった。大阪府の新型コロナ感染者激増に伴い、隣接する兵庫県と京都府も緊急事態宣言が今年に入ってとても長く続いた。(①1/14~2/28[酒類の提供午後7時まで]、②4/25~6/20[酒類の提供禁止])。そして、6月21日からは京都府は蔓延防止措置法(➂6/21~7/11)[酒類提供午後7時まで]に移行している。

 6月下旬になり京都府の1日新規感染者は大きく減り10人~20人前後に、昨日7月5日は6人となってきている。私の第二回目のワクチン接種は6月13日だったので、2週間を経過した6月下旬には抗体ができているはずだ。そして、大学の後期(2学期)授業が全て終了した7月1日(木)の夕方5時半頃に、行きつけの祇園白川石畳通りの居酒屋「侘助(わびすけ)」に行き、"一人うちあげ"飲み(ソロ飲み)をした。"ながーい"酒類提供禁止措置期間だった。侘助は4月25日から再び閉店していたが、この6月28日から店を再開していたようだった。この日、酒類提供の7時まで店にいたが、他に客はなかった。

 7月上旬、隣の家の庭に咲く亜熱帯性の花・凌霄花(ノウゼンカズラ)が満開となって咲き誇っていた。蔓(つる)性の植物なので、隣の家の松の木の枝の上まで蔓が伸び花が咲いている。霄(空)まで凌ぐ花という意味の漢字が使われている。原産は中国南部。

 私の家の台所キッチンテーブルの上に、花屋で買った季節の花、桔梗(キキョウ)を置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 


新型コロナワクチン接種を巡って❸アジア各国での感染拡大—人間関係をも壊すこの禍

2021-07-04 17:47:22 | 滞在記

 新型コロナウイルス感染拡大の世界的パンデミックが再び深刻なステージにたっている。従来株から英国型や南アフリカ型やブラジル型、そして新たなインド型(デルタ株)と、ウイルスの変異型が再び猛威をふるっている状況が今年に入ってある。特にインド型の感染力はそれまでのものよりもかなり強く、昨年まではそれほど感染が深刻化していなかった東南アジアや東アジア、中東でも感染が広がっている。

 インドは今年の5月上旬の感染拡大ピーク時には1日の感染者数が40万人を記録したが、その後 減少傾向が徐々に見られ始め、この7月上旬の1日の新規感染者数は5万人になってはきている。そしてインドから広がったデルタ株は現在、東南アジアや東アジア、そして中東のイランやトルコなどへと感染が広がった。東南アジアでは今、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイの感染状況が深刻だ。また、ミャンマーでも広がってきている。東アジアでは、台湾の感染状況も6月上旬は深刻だった。(※7月上旬の1日の新規感染者数―イラン1万人、トルコ4800人、サウジアラビア1400人、ミャンマー1500人、タイ5200人、マレーシア6300人、インドネシア2万3000人、フィリピン5600人、韓国700人、モンゴル2400人、ロシア2万2000人、ベトナム450人、ラオス20人)

 中国以外の東アジアの国々で、台湾とモンゴルは昨年来、感染者数をほぼ抑えつづけてきた国だったが、この5月に入り急劇な感染拡大が起きてきた。モンゴルは隣国のロシアからか、台湾はデルタ株の感染拡大だった。台湾ではこの5月上旬ころから市中感染が発見され、瞬く間に感染がひろがった。感染のピーク時は6月上旬の1日の新規感染者数が500人~600人。その後減少し始め、この7月上旬になって50人ほどになっている。

 中国の報道やインターネット記事をみると、連日、この台湾の感染拡大やワクチン接種について皮肉を込めて報道していた。台湾の蔡英文総督の髪を振り乱した表情や頭を抱えて困っている顔写真(合成写真かと思われる)がよく使われていた。

 中国政府からのワクチン提供を断ったこともあり、日本から提供された英国アストラゼネカ製のワクチン150万回分などを使ってのワクチン接種で139人が死亡したと連日報道していた。(ワクチン接種とこの死亡の関連性はまだ詳しく調査はされていない。アストラゼネカ製ワクチンの接種で、台湾において「血栓」(アストラゼネカワクチン接種で稀に起きている。)での死亡例は報告されていないが、「それみたか!中国のワクチン提供を断るからこんなことがおきるのだ」という論調の報道や記事である。日本政府がさらに100万回分のワクチン追加提供を予定していることに対する中国政府の批判記事もこの間よくみられた。(日本政府は、インドネシアやベトナムにもアストラゼネカ製ワクチンを提供した。日本政府はこの6月1日にアストラゼネカ製ワクチンの薬事承認をしているが、日本での集団接種ではまだ使用していない。)

 いま東アジアでも東南アジアでも、アジア全体が直面する課題は、ワクチン接種の遅れである。各国の全人口のうちで、1回でもワクチンを接種した人の割合(6月下旬)をみると、モンゴル(59%)、シンガポール(51%)、韓国(30%)、日本(20%)、ロシア(11%) を除けば、アジア諸国の多くが10%に届いていない。

 中国はこの7月上旬で12億回超の接種を完了しているので、1回でも接種をした人の比率は60%くらいにのぼるかと推測される。そして、中国は世界40カ国以上に3億5000万回超の中国製ワクチンを提供してきた。中国ではこの6月に入り、中国南部の広東省などでインド株の感染拡大が少し広がり、都市封鎖や大規模なPCR検査の実施によって短期間で抑え込んだ。6月18日、広東省深圳の空港内の飲食店従業員1人の感染が判明した際には、その日、空港離発着400便の運行が全て停止されキャンセルとなった。

 中国では4種類のワクチンが開発されている。中国製の現行ワクチンは全て「不活化ワクチン」(熱やアンモニアなどで不活化[殺した]ウイルスを投与して抗体をつくる従来のワクチン製造方法のもの)。現在使用されているものとして「シノバック製」や「シノファーム製」の中国製ワクチンはよく知られている。従来からのワクチン製造法でつくられているため、副作用などの問題は、米国の「ファイザー製」「モデルナ製」、英国の「アストラゼネカ製」のワクチンと比較して少ないとされてはきた。問題はコロナウイルスへの抗体の有効性(ききめ)である。

 中国の「シノバック」も「シノファーム」も中国政府はその有効性は79%と発表はしている。だが、中国のワクチン提供を受けたブラジルは治験の結果、その有効性は50.4%と発表した。中国政府からワクチン提供を受けた他の国では治験の結果の有効性は80%と発表している国もある。いずれにしても、その有効性には大きな課題があるようだ。中国製ワクチンの提供を受けているインドネシアやチリでは感染が拡大している。特に人口335万人のモンゴルでは、全人口の58.7%が1回以上、52.1%が2回以上の接種(中国製ワクチン) を接種しているにも関わらず、7月1日の1日の新規感染は2400人にまで増加した。(これは日本の人口で換算すると、日本での1日の新規感染者数が約9万1000人と試算される。)

  この4月10日、中国疾病センター(CCDC)トップの高福氏が公式の会見で、「中国製ワクチンは予防率は高くはない」と話したため、世界は驚いた。その後、高福氏は中国共産党系新聞「環球時報」で、「ワクチンの有効性は高い時もあれば低い時もある」と、前出の発言の打消しをおこなった。(上記写真の人物は高福氏)   中国との経済的な結びつきが強く「一帯一路」政策にも参加しているイタリア。そのイタリア首相が6月25日、「中国のワクチンは有効ではない」と見解を述べたことに、中国政府はでは「WHOではすでに中国のワクチンを承認している」とした上で、「安全性と有効性は十分に証明されている」と反論した。

 中国製ワクチンの有効性が低い原因はその製造方法にあると言われている。このため、中国も欧米のワクチンのようなmRNAワクチンの開発製造を今後進めていくとみられている。また、安全性に関しては、中国製造ワクチンは「中長期的なスパン(期間的長さ)でみた場合、ADE(抗体依存性感染増強現象—ワクチン接種によって作られた抗体が、ウイルスの細胞への侵入を防ぐのではなく、逆に侵入を助長する現象)の懸念を指摘する声も出始めている。

 中国のワクチンは、一般的な冷蔵庫で保管できるというメリットはある。(2度〜8度での保管) このため、流通網や冷蔵設備の発達していない国々ではとても接種に使いやすいワクチンだ。(「ファイザー」̠−80度~−60度、「モデルナ」−25度~−15度、「アストラゼネカ」も中国製と同じ2度~8度) 

 ■WHOは中国製ワクチンがその有効性の問題から、なかなか承認しなかったが、2021年5月1日に「シノファーム」を、6月2日に「シノバック」を承認した。(WHOのワクチン承認の最低基準有効性率は50%)

◆シンガポール政府は、新型コロナワクチン接種者に対し、集まりに参加する場合の検査を免除しているが、中国製ワクチン「シノバック」を接種している人は、コロナ検査を受ける必要があると7月3日に発表した。「シノバックワクチンがインド株感染を防ぐという証拠は十分ではない」と理由を明らかにしている。また、フランス政府はワクチンを接種した入国者に対する隔離暖和措置を発表したが、中国製ワクチンは対象外としたことから、中国側は「同等の制裁」を行うと抗議した。

 韓国政府は、7月1日から海外でワクチン接種を終えた韓国人・外国人に対して2週間の隔離措置を免除することを発表した。免除対象のワクチンは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ヤンセン(ベルギー製)だけでなく、中国製の2つのワクチンも含まれている。中国製ワクチンをこのような免除対象に入れるのは韓国が初めてだ。中国政府は韓国政府のこの措置を歓迎している。韓国の文在寅政権らしい忖度かと思う。

■ロシアは世界で最も早くコロナワクチン(スプートニクV) を開発し生産体制をつくった国だ。しかし、ワクチン接種は進んでいない。ようやく1回目以上接種した人は人口の11%にすぎない。これは、プーチン政権への不信、ワクチンへの不信が大きいからと言われている。

◆イギリス政府は、「ファイザー製ワクチンを2回目接種した2週間後に、インド型の変異ウイルスに対して88%の有効性を示したという研究結果」を公表した。

■日本においては、昨日7月3日の1日の新規感染者数は1881人とまだまだ深刻だ。特に東京は716人と再びの増加の一途をたどる。神奈川県・千葉県・埼玉県も増加傾向で完全に第5波に入っている。大阪府は148人と再びやや増加傾向。蔓延防止等措置法が7月11日まで出されているところでは他に、京都府は16人、兵庫県は22人、北海道は30人、福岡県は36人、愛知県は45人と減少傾向。11日に解除される蔓延防止措置法は、関東の4都県には延長されるだろうが、大阪府にも延長が必要かもしれない。東京五輪まであと19日に迫っている。

■このコロナパンデミック禍、そしてワクチン接種を巡ることに関して❶~❸のシリーズで書いてきた。改めて思うが、ワクチン接種を巡って、家族間、夫婦間、友人間でも意見の相違から人間関係が壊れる、正常ではない事態に晒されるということも起こっていることは悔しい。

 私の親しい友人の一人から今日電話があった。電話で15分ほど話したあと、その友人に、「近々、会おうか」と告げたら、「おお、会いたいなあ。でも、あんたはワクチン接種をすでにしていて、コロナスパイクが体内に入っているから、残念ながらもう会うことはできないので、こうして電話で話しているんや…。コロナスパイクが体内に入ったら、他人にコロナを感染させてしまうからな‥残念だが‥」と返答された。「コロナワクチン陰謀論」に強く信じているいる友人だ。こんなことが身近に起きるとは‥。

 そして、改めて思う。「コロナ禍の元凶は何なのか、誰たちなのか、どういう組織なのか、新型コロナ発生とヒトへの感染の起源の真実とは‥」と。

 

 


新型コロナワクチン接種を巡って❷メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの性質を知る重要性

2021-07-03 19:42:36 | 滞在記

 私の大学時代からの友人から「コロナワクチン接種の危険性」を知らせるメールが頻繁に送信されるようになったのはこの4月中旬からだった。「アメリカなど、外国の博士論文や記事などにこのようにワクチン接種の危険性が書かれている。一読の価値があるから是非読んで、その感想を聞かせてほしい」というような内容のメールが次々に届く。それらの記事や論文の検索方法まで書いてあるので、できるだけそれらを読んで簡単な返信をし続けた。

 5月になってもその友人からのメールは続いた。5月23日に私は第一回目のワクチン接種をしたのだが、そのことを伝えても、接種の危険性を訴えるメールは送信されてきた。6月に入って、6月13日に第二回目の接種を終えたあとも、時々にメールは届く。

 ワクチン接種をすべきかどうか?ということに迷いや不安を持つ人はけっこう多いようだ。私の妻もワクチン接種を行ったが、家の近所の人たちと話してみると、家族の間でも接種を巡っては意見の違いもあったり、夫婦間でも接種をする人と様子見や接種しないなどに分かれている家もあった。

  6月下旬、読売テレビの朝の報道番組「スッキリ」では、この新型コロナワクチン接種を巡っての「副反応への不安」についての特集報道をしていた。「スッキリ」の取材で、「ワクチン=ウイルスの混入」と思っている人もけっこう多いことが報道されていた。4月から頻繁にメール送信されてきていた友人からの「是非読むべきだよ」という記事や論部の中にも、「ワクチンにはコロナウイルスが混入されているので、接種をすることによりコロナに感染し、他の人にも感染を広げることになる」というものもあった。これをそのまま信じてしまったら、友人が心配してメールをするのも無理はない。

 コロナ禍下、家での在宅勤務や、仕事が休業状態となり自宅待機、または失業という人も少なくない。そして、自宅で実に多くのさまざまなコロナワクチン関連の情報に接することも多くなっている今日、ワクチン接種の是非について分かりやすく説明していた「スッキリ」の特集報道は参考になるものだった。

 「スッキリ」の取材では、「私がワクチンを打たない理由」として、「①ワクチン=ウイルスと誤認、②副反応に不安、③"妊娠にリスク"など誤情報、④副反応で予定が狂う」という理由が挙げられていた。街頭インタビューでは、ワクチンのイメージとして、「弱いウイルスをワクチンに入れて抗体をつくるのかな!?」、「弱体化したウイルスそのものがワクチンに入っているのかな?!」という思いの人がとても多いことが紹介されていた。

 この報道番組で参考になったのは、「①ワクチン=ウイルスと誤認」についての解説だった。ワクチンの種類についての情報は、私も含めてだが、あまりよく知らないまま、接種したり、接種をしないという人が多いかと思われる。現在、日本でワクチン接種をしているワクチンは、米国製の「ファイザー」と「モデルナ」の二種類だが、このワクチンはどういう種類のものなのか? 世界で最も多く接種されている中国製のワクチンとはどういう種類のものなのか? ワクチンの種類というものについて、少し調べてもしてみた。

 報道番組「スッキリ」で紹介されていたワクチンの種類に関する図表。これはCOVNAVI(こびナビ)が作成した図表。一般社団法人「小金井市医師会」がこの図表を転載して「新型コロナワクチンについて その4  ~mRNAワクチンって何?~」(小金井市医師会 2021年3月30日)という記事を公表しているのでネットで読んでみた。これによるとワクチンには、「①生ワクチン、②不活性ワクチン、③組換えワクチン・成分ワクチン、④ベクターワクチン、⑤DNAワクチン、⑥mRNAワクチン」の6種類があった。

 ①の「生ワクチン」は、まだ生きているが、病原性を弱くした(薄めた)ウイルスをワクチンに混入してある。つまり、人体に悪さをしない程度に病原性を弱くしたウイルスが混入しているワクチンだ。この種類のワクチンとしては、現在では、「おたふくかぜワクチン」や「水疱瘡ワクチン」、「麻疹(はしか)ワクチン」で使用されている。②の「不活性ワクチン」は、もう死んでいるウイルスをワクチンに混入してある。つまり、感染力をなくしたウイルスが混入しているワクチンだ。この種類のワクチンは、現在では、「インフルエンザワクチン」として使用されている。現時点での中国製のワクチンはすべてこの種類だ。ちなみにインフルエンザワクチンの有効性は50%~60%と言われている。

 ③の「組換えワクチン・成分ワクチン」はウイルスのタンパク質成分のみをワクチンに混入してある。④の「ベクターワクチン」や⑤の「DNAワクチン」、⑥の「mRNAワクチン」はいずれも、ウイルスの設計図をワクチンに入れ込んだもの。そして、⑥の「mRNAワクチン」は、今回の新型コロナウイルスに対して最も有効性があり副作用も少ないものとして開発されているとの説明。新型コロナウイルスの突起(スパイク)部分のみの情報を入れることによって感染を防止する。

 そして、「スパイク部分の設計図だけの混入なので、mRNAは人体細胞の核の中には入り込まず、ヒトの遺伝子に組み込まれることはありません。また、mRNAは細胞に取り込まれてから20秒~20分で分解されます。作られたタンパク質も10日以内に分解されいずれも体内に残りません。このような理由から、mRNAワクチンの長期的な副作用は考えにくく、たとえあったとしても非常に稀(まれ)と考えられます」と説明されていた。まあ、このあたりのことは、まだ、私には理解が難しいが‥。河野ワクチン担当相も、政府の公式見解として「ワクチン接種で遺伝子が組み替えられることはない」と番組で説明していた。

上記写真左から③④枚目は、2021年3月3日の新潟県医師会の勉強会スライド「新型コロナmRNAワクチンの基礎と原理」(峰宗太郎氏作成)

 このワクチン6種類について、大学医学部生への90分講義でも、このことの理解は医学部生であってもちょっと難しいとも言われている。まあ、要するに、①の生ワクチン以外は、ワクチン接種によって感染することはないとの説明だ。ちなみに、このmRNAワクチンの基礎研究は、バイオ医学の進歩によって、20年以上行われてきた下積みがあると言われている。米国製の「モデルナやファイザー」ワクチン、英国製の「アストラゼネカ」ワクチンなどはこのmRNAのワクチンだ。まあ、だいたい、「ワクチン=コロナウイルス感染の危険性」というのは誤った情報だということはほぼ理解はできる。

 6月26日(土)の朝日(ABC)放送の報道番組「正義のミカタ」でも、ワクチン接種を巡る特集「ワクチンは殺人兵器—陰謀論が広まるワケ」を報道していた。それによると日本では、①「すぐに接種を希望する人の割合」として、65歳以上では78.0%、20歳以下では27.5%、全年齢(全体)では45.3%にとどまっている。②「6月下旬時点で、日本でのワクチン接種回数は3700万回、人口の20%以上が少なくても1回は接種済み」、③「WHO報告—世界人口の70%以上がワクチン接種を終えるまでパンデミックは収束しないとの報告」と報道されていた。

 大阪の学習塾運営会社が、「ワクチン接種で不妊になる―殺人ワクチンで世界革命をもくろむ」のミニコミ紙を約58万軒に配布していたことも報道されていた。この学習塾は「類設計室(類塾グループ)」。大阪府内を中心に関西圏で60余の学習塾教室を経営している関西では有名な大手学習塾だ。この会社のトップがかなりワクチン陰謀論を信じ込んでいる人なのかと推測される。

 「黒幕が人類を管理?! 人類削減が狙い!?」との陰謀論報道もされていた。これに沿った実例として、福井県の県会議員が「コロナワクチンは殺人兵器」と主張し、この2月~3月に、自身の広報誌1万5千部を各戸配布したことも報道されていた。この県議は斎藤新緑氏で、県議会の議長も経験している人物、現在自民党県連の会長代行。「闇の勢力が計画し、人類初の遺伝子組み換えによるワクチンによる殺人兵器。ワクチンを打てば5年以内に死ぬ」と広報誌には書かれている。

 「ワクチンを打つと5G電波で操られる」との陰謀論報道も。「その黒幕は、あの大富豪のビル・ゲイツ」との報道も。この説を米国人の9%は信じていると報道されていた。このようないろいろなコロナワクチン接種を巡る情報を強く信じ込んでいる人に対してどう接したらいいのか?ということに対して、「正義のミカタ」のこの報道特集でのコメンテータは、「①絶対にワクチン接種は安全だと言い切るのも危険、ワクチン接種は絶対ダメだと言い切るのも危険。まだ、このmRNAワクチンに関しては副作用などのことについての絶対的な研究情報は不足しているのだから」とし、「②現時点で、定説を疑うことは大事だが、"陰謀説" を完全否定することもまた危険。しかし、科学的根拠も事実関係もまったくない"陰謀説"を信じ込むことがある一定レベルを超えるとこれは妄想であり、精神的な治療機関の受診も必要な場合がある。」と指摘していた。

 人間は、主張していることを完全否定されると「バックファイア効果」と呼ばれる心理が働き、よけいにその主張に固執することとなり逆効果になるという。この心理作用をふまえて、コメンテーターの医師は、極度の陰謀論を信じ込んでいる人への対処法として、①「基本的に相手を立てつつも他の可能性を提示」➡(他の可能性をまったく信じない場合)➡②「相手の考えは変わらないと割り切って、さりげなく話題を変える」➡(日常性に支障をきたしている人の場合)➡③「精神科での治療を勧める」ということを具体的に指摘していた。いずれにしても、いろいろな可能性を考えることができれば、1つの陰謀論に陥ることはないとも話していた。

 今日、7月3日(土)のABC報道番組「正義のミカタ」では、日本におけるワクチン接種人数は、「1回接種者約3025万人(国民の23.8%)、2回接種者約1600万人(国民の12.6%)」であることが報道されていた。一方で、先週木曜日に、「国内の医師・地方議員ら計450名がワクチン接種中止を求めて嘆願書を提出。安全性がまだ分かっていない遺伝子ワクチンを国民全員に接種させる必要があるのかと訴えた。」とのニュースも紹介されていた。この嘆願書提出に対し、河野ワクチン担当相は、同日にブログで「医師免許を持っているにもかかわらず"デマ"ほ流す人もいます」とコメントしていたとの報道。

 7月3日の「正義のミカタ」では、mRNAコロナワクチンについて、京都府立医科大学の内田氏が、簡単ではあるが、けっこう分かりやすく説明をしていた。「革新的!メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン➡(遺伝子情報を利用)と言われると怖いかもしれないが、特徴を正しく知る必要がある」と話し、その特徴とは、「①主な成分は、油・糖・塩—コーティングのため油などを使用! 人体からすぐに排出される。②すぐに溶けるので、DNAへの影響はあり得ない! 。③実は40年前から研究される。2001年からヒトに投与!研究の歴史は実は長い!」との説明。

 7月3日付朝日新聞には、「接種予約 急ブレーキ」「ワクチン予約 各地で停止 自治体へ供給追いつかず―ファイザー製ワクチン、7月以降 供給スピードが減速」の見出し記事が‥。

 英国製のアストラゼネカワクチンは、日本ではこの5月21日にようやく薬事承認がされた。1億2000万回分の日本への供給が決定しているが、このワクチンを日本における集団接種に使用するかどうかはまだ決まっていない。稀なワクチン接種副作用症例として「血栓(けっせん)」が確認されているからだ。この「血栓」はとても怖いもので、血管内に血の塊(かたまり)ができ詰まりが起きる症状で、足の腿(もも)にできる場合が多い(足がむくむ)が、脳内の毛細血管や臓器の毛細血管に血栓ができる場合もあるという。