彦四郎の中国生活

中国滞在記

サッカーW杯終わる―観客全員マスクなし、"コロナ禍を払拭する世界"を印象づけた大会—中国のゼロコロナ政策からの転換にも、少なからぬ影響

2022-12-25 18:55:18 | 滞在記

 この11月20日(日本時間21日)から、中東のカタールで開催されたサッカー「2022W杯カタール大会が」、12月9日(日本時間10日)に閉幕した。この大会は、日本代表がドイツ・スペインというサッカー強国に逆転勝ちをして、死のEグループを首位で通過しベスト16に進出したという劇的な歓喜の展開が待っていた。

 だが、この大会は、スタジアムの観客は全員マスクを着けず、サッカーの試合観戦・応援に熱中している光景がとても印象的な大会だった。まだまだ、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックは続きそうだが、"コロナ禍を払拭(ふっしょく)する世界"を強く世界の人々に印象付けた大会だったことが特筆される。思えば、昨年2021年7・8月に開催された東京夏季オリンピック、今年の2月の中国北京冬季オリンピックとは様相がまるで違った。中国も、ゼロコロナ政策をもって、「自国のコロナ感染者」の少なさを世界に誇りながら、冬季オリンピックを厳重な警戒の中で行ったのだが‥。

 そのような2つのオリンピックとはまったく違ったのが、今回のサッカーW杯の印象だった。一言でいえば「解放感あふれる世界のスポーツ祭典」だった。中国以外の国々は、今年の3月までには「withコロナ」の政策をとるようになった。そして、今回のW杯大会は、世界の人々に解放感をもたらした大会でもあった。だからこそ、世界の人々はこの大会に喜んで熱中をすることができたのだろうとも思える。この大会は、中国の超厳格・厳重なゼロコロナ政策の変更にも少なからずの影響を与えることとなった。

 日本代表チームは、ベスト8進出をかけた対クロアチア戦で、延長戦でも決着がつかず、PK戦となり日本は敗れた。ベスト8への壁は、やはりまだ少し高かった。森保監督の深いお辞儀をしてスタジアムを去る姿は、世界に印象を与えた。

 日本がこのW杯で戦った試合では、日本でのテレビの試合観戦視聴率は、日本時間の深夜や早朝にも関わらず、35%~40%にものぼった。

 準々決勝では、クロアチアがブラジルに勝った。(PK戦)  そして、ベスト4にはフランス・モロッコ・アルゼンチン・クロアチアの4カ国。さらに、準決勝では、フランスがモロッコに勝ち、アルゼンチンはクロアチアに勝った。決勝戦に先立つ3位決定戦ではクロアチアがモロッコに勝った。

 迎えた決勝戦。フランスVSアルゼンチン。まあ、手に汗握る、ものすごい試合となった。延長戦を経て3:3のまま、PK戦となった。そして、アルゼンチンが勝った。

 この結果、優勝アルゼンチン、準優勝フランス、3位クロアチア、4位モロッコ、……、9位日本…。

 アルゼンチンは36年ぶり3回目の優勝だった。この大会のMVPはアルゼンチンのメッシ選手(35)、得点王はフランスのエンバペ選手(23)となった。メッシの大会ともなった今回のW杯。メッシは13歳でスペインの世界的有名なプロサッカーチーム「バルセロナ」の入団試験に合格し、家族とともにアルゼンチンを離れスペインに移り住んだ。メッシの故郷の町での幼馴染が、メッシの奥さん(とても目がパッチリした、美しい女性)だ。二人は長遠距離恋愛をして、2017年に結婚。現在3人の子供がいる。

 サッカーW杯の試合や会場のようすは、中国でもテレビ放映された。とても厳しいゼロコロナ政策が長く続く中国国内のSNSでは、「国外では普通にW杯を開催している。マスクを着けている人は一人もいない。それなのに中国では、至るところで封鎖が続いている。これはすごいジョークだ」「私たち中国は、別の惑星なのか。他の国々が別の惑星なのか」などの投稿が相次いだ。

 このサッカーW杯の光景が、11月下旬の「ゼロコロナ政策」に対する抗議行動、それにともなう、「中国のゼロコロナ政策」の緩和、廃止に少なからずの影響を与えてもいたかもしれない。

 さて、次回の2026年W杯はアメリカ・カナダ・メキシコの3カ国開催となる。また、W杯出場国は、現在の32ヵ国から48ヵ国に増える。アジアからの出場枠も、現在の4.5から8.5に増える。日本は今回のW杯を終えて、FIFA(国際サッカー連盟)のランキングは24位から20位になった。アジアでのランキングは1位。

 2030年W杯の開催国招致を目指してもいる中国は、次回の2026年大会に出場できるチャンス到来でもある。習近平主席は大のサッカー好きでも知られている。だが、現在、中国サッカー男子代表のアジアランキングは11位。韓国、オーストラリア、イラン、中東諸国、中央アジア諸国だけでなく、ベトナムなども、現在、サッカーが強くなってきている。はたして、次回大会に中国はW杯に出場できるのか?私はとても注目したい。(出場してほしい!が…)

 (※中国代表チームには、ここ数年で南米やヨーロッパから中国に帰化した選手が4人ほどいる。高額のお金を積んで、中国の国籍をとってもらったという経過がある。この帰化選手だのみの強化方針だけでは、サッカーの強い国になるには問題が大きいと思われる。)

 男子サッカーに比べて、ここ数年で力をつけてきたのが、中国サッカー女子代表チームだ。現在、この東アジアで強い国とされているは、日本・韓国・北朝鮮・中国などだが、中国チームは、現在の日本チームより強いという感がある。残念ながら、かって女子サッカーW杯で10年ほど前に優勝したこともある日本だが、ここ数年は、韓国・中国・北朝鮮よりも弱い印象がある。

 


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